並行世界を渡り、太陽に祝福された暖かな町に濁った憎悪が流れ着く。

それは、婉曲的かつ大規模な集団自殺願望の塊。

それは、絶え間ないありとあらゆる歴史への殺意。

それは、前を向きひた向きに走るもの全てへの明確な憎悪。


それはーー極めて歪な聖杯戦争の始まり。



さあ、武器を持て。

人理と魔術師の化かし合い。

逃げ果せた傷だらけの棺の悪足掻き。

果てなき2週間の繰り返し。

一切関係のなかった筈の争いであったとしても。

生き残りたければ、守りたければ、先へと進みたいならば。

直視せよ、手繰れ、そして受け入れるがいい。

少女よ立て。そして識れ。

これが、悪意の坩堝の底の色だ。





遥か昔であったとしても、地続きの時間に変わりはない。

少女は解し、そして立つ。

武器も鎧も有りはしない、凡庸極まる無名の怪獣。

されど、足掻きの限りを尽くしたその果てに。

放ったその咆哮は、星食う魔障の海すら切り裂いてーー



嘆く悲劇の棺に向かい、怪獣はそっと手を差し伸べる。

貴方の悲劇はわたしが引き受けるから大丈夫、と。

漸く人であった頃を想起した棺は安らかに朽ちる。

その内から溢れ出るは悲劇の根本。

識ることすら叶わぬ埒外の化生。

されど怪獣は笑う。

何故ならそこに居るからだ。

何もかも、そこに。



斯くして想いは解き放たれ、真なる宝具は具現する。

刮目せよ。

重なっては消えて行く時間の摂理。

その一つ一つを受け入れ、なお前を向く者達の想いの権化。



ーー"総て蒼き新世界"を。



  第0話(予告編)()
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