けものフレンズR 足跡を辿って   作:ナンコツ

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※これは第五話へいやの続きです。
まだAパートを読んでいない方は、先にそちらをお読みください。


第五話 へいや Bパート

 ジャパリパークに広がる平野。その山の中にともえちゃん達はいます。ロバちゃんとブタちゃんら農業コンビの話によると、スケッチの場所であるキャベツ畑はこの山の中にあるらしいのです。先ほどの草原と違ってひんやりと涼しい山の中。その森を抜けると、開けた場所に着きます。

 

「やっと着きましたよ皆さん!あそこがキャベツ畑です!」

「えっ、ホント?」

 

 ともえちゃん達の視界に入ってきたのは一面の緑。畑に生えた植物は、葉っぱをいくつもの層で重ねて丸く生えています。これがきっとキャベツなのでしょう。それが一面にずらっと並んでいるのですから、何とも壮大な眺めです。畑の中をラッキービーストが歩き回り、水をあげたり害虫を潰したりしています。

 

「うわぁ……。」

「これ全部……野菜なのか……。」

「キレイ……。」

「これはまだ七、八分といったところですね。」

「もうすぐ収かくできると思いますよー。」

 

 キャベツ畑に感動すると同時に、ともえちゃんに変化が訪れます。頭の中から何かが沸き起こるようなあの感覚が、再びやってきたのです。今度は一体、どんなことを思い出すのでしょうか。

 

 

――太陽の光が優しく降り注ぎ、心地よい風が吹く春の気候。辺り一面を埋め尽くさんばかりに実ったキャベツ畑が、ともえの目の前に広がる。彼女はその豊かな田園風景をスケッチブックに描き込む。その素晴らしさたるや、感動のあまり空腹すらも忘れるほどだった。

 スケッチを描き終えた後、足元に不思議な黒い石が一個だけ転がっていたことに気づく。「なんだろう?」と拾い上げ、まじまじと見つめる。右から見ても左から見ても、下でも上でもどう見てもただの石ころのようだ。

 ともえは何気なく、拾った物をかばんの中にしまい込む。その中にはキラキラと光る、色とりどりのパステルカラーの立方体がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。――

 

 

「えっ……?」

「ともえさん、大丈夫ですか?」

 

 記憶を取り戻したともえちゃんはしばらく呆然としていました。自分は一体、何をかばんにしまい込んだのでしょうか。過去の自分がしでかしたことによる得体の知れない恐怖に、みるみる顔から血の気が引いてゆきます。

 

「ちょま、ちょっとまって。」

「またなんか嫌なこと思い出したのか?」

 

 ともえちゃんはかばんを地面に置き、その中身を改めます。当然、あの立方体は一つも存在しません。

 

「スケッチブック!色鉛筆!ジャパリまん!ばんそうこう!マッチ!油!タオル!ナイフ!ランプ!」

「いつも使ってる道具じゃん。」

「それがどうかしましたか?」

「いや……。」

 

 ともえちゃんの突然の奇行に周りは困惑するばかり。あまり心配をかけたくないともえちゃんは、とっさにごまかします。

 

「な、なんか忘れ物してないかなーって思ってね!アハハ!」

「その忘れた記憶を探しにきたんじゃん。」

「そ、そうだよねーアハハ。ま、そんな大したこと思い出せなかったし。」

「そうですか。前みたいに心を掻きむしるようなことじゃなくてよかったです。」

 

 そう。今回はいわゆる、心を掻きむしるような思い出ではありませんでした。しかし、謎の黒い石と詰め込まれた立方体は今まで全く出てこなかった新しい情報です。しかも、かばんに入れたはずのそれらは、今はかけらも存在しないのです。

 

「(どういうことなんだろう……?)」

 

 ともえちゃんはなんとなく嫌な予感がしてきました。それらの行方次第では、何か取り返しのつかないことが起こるような……そんな予感がしているのです。漠然とした不安が彼女の心を苛みます。

 

「(これはまだ、あたしだけの秘密にしとこう……。)」

 

 知らない方がいいこともある。みんなにはあまり心配をかけたくない。そんな優しさから、このことは今はまだ話さないでおくことにしました。この情報が必要そうなら、折を見て話せばよいでしょう。

 さて、そんなともえちゃんを心配した農業コンビが彼女に話しかけます。

 

「ともえさん大丈夫ですかぁ?」

「汗かいてるみたいですけど。」

「ご、ごめんね心配かけちゃって!そ、そういえばさ!このキャベツ畑すごいねー!めっちゃ絵になる~!」

「そうなんですよぉ!私達、この畑を見て感動して……。」

「私達もこんな畑を作ってみたいって、ずっと憧れているんです。でも、私達はキャベツの種を持っていなくて……。」

 

 確かにこの青く広々とした畑は一種の芸術と呼べるかもしれません。今はラッキービーストが世話をしているようですが、昔のヒトはこれと同じ、もしくはそれ以上の大農場を持っていたのかもしれません。だとすればスケールの大きい話です。

 

「この畑はラッキーさん達のものなのかな、ラモリさん?」

「聞イテミルヨ。」

 

 ラモリさんは作業中のラッキービーストに話しかけます。何やら人目につかないところへ行き、密談をしているようです。

 やがて話を終え、ともえちゃんの所にもどってきました。

 

「畑ノ所有者ハ、現在行方不明。現在ハラッキービースト2体デ管理シ、一部権限モ有シテイル模様。」

「てことはさ、あのボスになんとか取り入れば、種を分けてくれるんじゃねーかな。」

「ロバさんとブタさんの夢、叶えてあげられませんか?」

「そうだね。ラモリさん。キャベツの種、ゆずってくれるかどうか頼んでみてくれない?」

「……ヤッテミルヨ。」

 

 再びラッキービーストに交渉を持ちかけに行きます。しかし、交渉をしに行ってからだいぶ時間が経ちました。交渉に苦労しているのかもしれません。

 

「あの……どうなんでしょうか?」

「ロバさん、ラモリさんを信じてあげてください。」

「ら、ラモリさまぁ~。」

 

 みんなは祈るように待ちます。ここまで来たからにはなんとかキャベツ作りのメドを立てたいところです。

 何分、何十分という時間が経ったでしょうか。ようやくラモリさんがサングラスを光らせて戻ってきました。

 

「交渉ハ完了シタヨ。畑ノ持チ主ノラッキービーストガ、苗ト土ヲ持ッテ来テクレルソウダヨ。」

「ほんとに!?」

「やりましたねロバさん、ブタさん!」

「すごい……こんな日が来るなんて。」

「なんだか夢みたいですぅ……。」

 

 交渉成功の知らせを受けてみんなは大喜び。しかし農業コンビはまだ実感が湧かないらしく、まだとまどった表情をしています。

 

「今マデラッキービーストノ管カツ下デ、物ヲ盗ンダリ勝手ニ使ッタコトガナカッタカラ、特別ニ許シテクレルソウダヨ。ココマデスルノハ、バースデージャパリまんヲプレゼントスルクライ特別ナコトダカラネ。」

「きっと、ロバちゃんとブタちゃんが誰にも頼らずに、自分達の力で一生けん命やってきたから、ラッキーさん達も認めてくれたんだよね。」

「自分達の力で……。」

「一生けん命……。」

 

 今までの苦労が報われた……。がんばってきてよかった……。これまでに自分達が味わってきた喜びや悲しみ、楽しさや苦しさを思い出し、感極まった二人の目からは大粒の涙がこぼれていました。

 

「ほら泣くなよ~。まだこれからなんだろ?」

「そうですね……。はい……。」

「でも、なんだか……。今までがんばってきてよかったってぇ……。」

 

 二人はラッキービーストが苗と土を持ってくるまでの間、ずっと泣いていました。それを見たともえちゃんも、少しもらい泣きをしてしまいます。彼女は、少しずつ努力を重ねてようやく夢への一歩を踏み出したこの二人を見て、何を思うのでしょうか。

 

 

 しばらくすると、二人のラッキービーストがネコ車を引きながらやってきました。ネコ車の中身は一方はたくさんのキャベツの苗、もう一方はどっさり山積みにされた袋詰めの土が入っています。

 

「コンニチハ。キャベツノ苗20株ヲオ届ケニ参リマシタ。」

「土ト石灰モオ届ケニ参リマシタ。」

「わあ!ありがとうございます!」

「くんくん……。うん、いい土ですねぇ。」

「キャベツノ苗ハ一、二週間ホドハ持ツヨウニシテアリマスノデ、ソレマデニ植エ替エヲオ願イシマス。」

「はい。心得ました。」

 

 渡された物は、どれも品質には問題がないようです。農業コンビの太鼓判なら安心でしょう。

 

「ソレトコチラ、オスソ分ケノキャベツモ用意シマシタ。ドウゾ召シ上ガレ。」

「わあ、ありがとう!」

「コレヲバイクデケン引シテ、小屋マデ運ボウ。」

「よ~っし!め~っちゃまかせて!」

 

 一度やったバイクによるけん引なら慣れたものです。最も重い土の入ったネコ車を引っ張り、サイドカーにも置ける限りの苗を置きます。もう一方のネコ車はロバちゃん達が持っていきます。

 

 

 みんなは小屋に到着。まずはキャベツの苗を別の倉庫にしまい、土や農具を持って先ほどニンジンを洗った川の上流へ登ってゆきます。川を離れ、しばらく山を歩くと開けた原っぱがありました。ここもあのキャベツ畑のように涼しい場所です。

 

「ここなら年中涼しいですから、きっとキャベツが育つと思います。」

「まず土を耕して、植物が育ちやすいようにしますぅ。クワやスコップで土を掘って、石や木の根をどかしたり、水を逃がすための通路を作ったりしまーす。」

「キャベツハ水がアリスギテモ、ナサスギテモ育タナイカラ、水ノ排水路ハ必要ニナッテクルヨ。高温モ苦手ダカラ、種マキガ行ワレルノハ涼シイ時期ナンダ。」

「あの、自分の手で耕してもいいでしょうか?」

「汚れてもよければ……。」

 

 みんなは力を合わせてクワで地面を耕し、あるいはレーキで落ち葉をかき集め、あるいはスコップで深く地面を掘ります。

 キャベツ20株を植えられるだけの土を耕すと、次はネコ車に盛られた袋詰めの土と石灰の出番のようです。

 

「では次に、肥料となる土と石灰をまきましょう。」

「なんで土の上に土をまくんだよ。」

「この辺りの土は少し元気がありませんので。元気な土をまいて、キャベツが育ちやすい土に変えてしまうんです。」

「キャベツハ、乾ソウト多湿ヲ嫌ウカラ、土ノ吸水性と水ハケヲ両立シナイト育タナイヨ。全テハ土次第ダヨ。」

「責任重大だね……。」

 

 耕した土にまず石灰をまき、そして肥料入りの土をまきます。ここまでの一連の作業で、農業コンビに次いでがんばっていたのはイエイヌちゃんでした。先ほどからのイエイヌちゃんの活躍はめざましいものがあります。

 

「なんだかイエイヌ、妙に張り切ってるな。」

「うん。ヒトと一緒に生きてきたって言ってたから、自分も力になりたいって思ったのかもね。ずっとヒトを待ってたイエイヌちゃんだから……。」

 

 生き生きと働くイエイヌちゃんを見て、ともえちゃんは何か感がい深いものを感じたようです。思えば、最初に仲良くなったフレンズはイエイヌちゃんでした。それだけに彼女への思い入れは人一倍大きいのでしょう。

 さて、土をまき終えればこの日の作業は終了のようです。

 

「これで一週間ほど待てば、土がなじんで苗を植えられるようになるはずです。」

「もう、あたし達が手伝えることはなさそうだね。」

「そうですねぇ。そろそろ日も暮れますし、今日は私達の小屋で休んでいってください。」

「そうしよっか。ね、みんな。」

「はい!」

「もうクタクタだよ~。」

 

 さすがに朝から夕方まで働きづめで、疲れ切ってしまいました。今日はブタちゃん達のお言葉に甘えて小屋で休ませてもらう方がよさそうです。

 みんなが下山し、小屋に着いた頃にはもう日が沈んで夜になっています。今日も一日がんばりました。

 

 

 この小屋では自家発電をしており、スイッチで電気をつけることができたので、夜でも明るく暮らすことができます。みんなはくつろぎながら、ラッキービーストからもらったキャベツとジャパリまんに舌つづみを打ちます。

 ところでキッチンの方には電磁調理器があるらしく、イエイヌちゃんはそこで何やらお水を温め始めました。尻尾を振りながらご機嫌で沸とうを待っているようですが、何をしようとしているのでしょうか?

 しばらくすると、イエイヌちゃんは小屋にあったコップとポットを持って居間へ戻ってきます。

 

「あら?これは……。」

「はい、お茶です。お茶の葉っぱではなく、ニンジンで作ってみました。」

「ニンジンで!?すごいよイエイヌちゃん!」

「お茶の葉のように十分に乾かなかったので、ちょっとお口に合わないかもしれませんが……。」

 

 みんなは早速、イエイヌちゃんが淹れてくれたニンジン茶を飲んでみます。お味はどうでしょうか?

 

「はー……。」

「なんだか落ち着きますぅ……。」

「生き返るぜぇ~……。」

「イエイヌちゃんさいこー……。」

「気に入っていただけて嬉しいですぅ~!」

「よろしければ作り方、教えていただけますかぁ?」

「はいっ!もちろん!」

 

 イエイヌちゃん特製のニンジン茶でリラックスしたみんなは、それぞれ思い思いの時間をすごします。横になって眠ったり、あるいはお茶の淹れ方を教わったり、あるいはスケッチを描いたりそれをプレゼントしたり……。

 すると突然、ともえちゃんが暗い顔をしながらみんなを集めます。

 

「え~……皆さん。大変なことになりました。」

「ともえさん、何かあったんですか?」

「先ほどロバちゃんとブタちゃんにあげたスケッチで、ついにスケッチブックの空きページがなぐなっでじまいまじだー!」

 

 スケッチブックをパラパラとめくりながら、涙ながらに報告します。確かに、裏面を除けば何も描いてないページは一つもありません。

 

「じゃあスケッチはもうやらないってことかぁ?」

「ううん、大丈夫……。図書館に行けば代わりがあるから……。」

「確かに、字の勉強をしに行った時に似たような本が積んであったのを見ましたね。」

「なら、次の目的地は図書館ですねぇ。」

「そう……。だから記憶探しは一旦中断ってことで……よろしくお願いします。」

 

 ともえちゃんはぺこりとお辞儀をしました。ともえちゃんにとって絵を描くことはライフワークの一つです。これなしで旅を続けることなどできません。というわけで明日の目的地は、スケッチブックのスペアをもらうために、図書館に決定です。

 

 

 みんなが寝静まった頃、ともえちゃんはふと小屋の外が騒がしいことに気づきました。

 

「ウーッ!ワウ!ワウ!ワウウゥゥッ!」

 

 何やら犬がやたら吠える声が聞こえます。不思議に思ったともえちゃんはみんなを起こし、外に飛び出します。するとそこには、肩で息をつきながら畑の中に立つイエイヌちゃんがいました。さっき吠えていたのは、イエイヌちゃんでしょうか。

 

「イエイヌちゃん、何があったの?!」

「あっ……皆さん!畑のお野菜を食べようとしていた動物がいましたので……。」

「本当ですか!?たまに野菜を狙ってくる動物がいまして、困っていたんです。」

「でも、これならきっとしばらくは来ませんねぇ。」

「野菜ドロボーかぁ。ほんっと、野菜づくりって大変だな。」

 

 もしイエイヌちゃんが偶然外に出なかったら、もしイエイヌちゃんが戦わなかったら……。せっかくの野菜を食べられてしまったかもしれません。野菜作りの大変さをみんなは改めて認識したようです。

 騒ぎの後、みんなは再び寝床に着きましたが、その日は特に何事も起こらなかったようです。イエイヌちゃんががんばって畑を守ってくれたおかげですね。

 

 

 次の日。畑の様子をざっと見た後、ともえちゃん達四人はジャパリバイクに乗り込みます。いよいよ出発です。

 

「じゃ、そろそろ行くね。畑のお世話、がんばってね。」

「はい。こちらも色々とお世話になりました。」

「いつでもまたおいでくださいね。どっさりの野菜と一緒にお待ちいたしておりますからぁ。」

「はい!楽しみにしてますっ!」

 

 イエイヌちゃんは満面の笑顔で答えます。すると、ロバちゃんが彼女に意外な提案を持ちかけてきました。

 

「あの、イエイヌさん。よろしければこちらで働いてみませんか?」

「えっ……?」

「イエイヌさんはとってもよく働いてくれましたし、泥棒も追い払ってくれましたし……。イエイヌさんがいれば、安心できます。」

「ロバちゃん、とってもいいアイデア!どうですかイエイヌさん?」

 

 ブタちゃんはロバちゃんの意見に賛成のようです。突然持ちかけられた提案に、三人はひどくうろたえてしまいます。

 

「おい、どうする……ともえ?」

「あたしに聞かれても……。イエイヌちゃん次第だよ。」

 

 ともえちゃんには何も言えませんでした。ともえちゃんからすれば、イエイヌちゃんと別れるのは辛いことです。でも、だからといって無理に引き留めるというのは、果たしてイエイヌちゃんにとって幸せなことなのでしょうか?彼女が大好きだからこそ、その意見を尊重してあげるのが友達なのではないでしょうか?別れたくないと思いつつもともえちゃんは何も言わず、彼女の返事をはらはらしながら待ちます。

 少し考えた後、イエイヌちゃんが出した結論は……。

 

「すみません、せっかくですがお断りさせていただきます。」

 

 イエイヌちゃんはきっぱりと答えました。

 

「最初、ヒトがいた証を残すために働くあなた達は、ヒトの帰りをずっと待っていた私と似ている……って思いました。前の私だったら、残って一緒に働いたかもしれません。でも、ともえさんと一緒に旅をしていて思ったんです。ヒトと一緒に暮らし、ヒトと喜びや苦しみを分かち合う。それが、私の本分なのかもしれないと。」

「イエイヌちゃん……。」

「そして今、私は思います。それぞれのやるべきこと、やりたいことを一生けん命にやるのが一番大切で、そして幸せなことなのだと。ですから、申し訳ありませんが、今はお断りをさせていただきます。」

 

 一連の流れを見ていたラモリさんは静かにつぶやきます。

 

「ロバニハロバガ美シク、ブタニハブタガ美シイ……。」

「えっ、どういうことラモリさん?」

「コネコチャンニモ、イズレ分カルサ。イズレネ。」

 

 ラモリさんはともえちゃんから目を背けます。どうやら本人は、深く教えるつもりはないようです。

 一方、イエイヌちゃんの言葉を聞いたロバちゃんは、残念に思いながらも彼女の意思を尊重します。

 

「そうですか……。そこまで意思が固いのなら、お引き留めすることはできませんね。」

「でも、私達はいつでも待ってますよぉ。旅がひと段落ついたら、考えてみてください。」

「はい。ありがとうございます。」

 

 イエイヌちゃんは深々とお辞儀をします。あまり長居すると別れが辛くなるので、ともえちゃんはゆっくりとバイクをスタートさせます。

 

「お気をつけて~。」

「いつでも遊びに来てくださいね~。」

 

 ロバちゃんとブタちゃんは、ジャパリバイクが見えている間、いつまでも手を振り続けて旅の無事を祈りました。ともえちゃん達も、二人の姿が見えている間、ずっと手を振り続けて二人の健勝を祈りました。これほど名残惜しい別れもそうそうないかもしれません。

 

「いや~、ちょっと焦ったぜ。イエイヌとお別れかも~って。」

「あの方達と一緒にいてもよかったかもしれません。でも、ともえさんと一緒にいることこそが、私の一番やりたいこと、ひいては一番やるべきことだと思いましたので。」

「ロバにはロバが美しく、ブタにはブタが美しい……かぁ。」

 

 ともえちゃんはラモリさんの言葉を反すうしていました。今はまだ、どういうことなのか分かりません。ですが、イエイヌちゃんの言葉は自分の胸にも強く響きました。自分のやるべきこと、やりたいこと、それを一生けん命にやることが大切でそして幸せなこと。この旅を終えた時、自分にはそれが残るのでしょうか。

 ともえちゃんは新たな期待と、そして不安を抱えながらジャパリバイクを走らせるのでした。

 

 

 

終わり




ぼく「家畜繋がりってことで、ロバちゃんとブタちゃんの話にしよう。」
→グーグル先生「ロバにはロバが美しく、ブタにはブタが美しい」

ぼく「出す野菜はニンジン、ダイコン、カブにしよう。」
→グーグル先生「ニンジンの間にダイコンとカブを植えるとチョウが卵を産み付けなくなるぞ」

ぼく「ロバってキャベツ食べるのかなぁ?」
→グーグル先生「キャベツろば」

ぐうぜんってこわいね!
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