けものフレンズR 足跡を辿って   作:ナンコツ

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※この回はけものフレンズ2と性格が違っているキャラが多くいます。
そちらが好きな方は注意してお読みください。
※このお話はお芝居をイメージして台本形式にしています。苦手な方はご注意ください。


第六話 としょかんげきじょう Aパート

カンザシフウチョウ(カンザシ)

鳥網スズメ目フウチョウ科カンザシフウチョウ属のフレンズ。黒いマントを羽織り、黄色のリボンを胸につけている。

カタカケフウチョウ(カタカケ)

鳥網スズメ目フウチョウ科カタカケフウチョウ属フレンズ。黒いマントを羽織り、青色の大きな胸飾りをつけている。

ともえ

ヒトのフレンズ。スケッチブックを手がかりに、自分が何者かを知る旅をしている。

イエイヌ

ほ乳網ネコ目イヌ科イヌ属のフレンズ。ともえと共に旅をしている。

G・ロードランナー(ゴマちゃん)

鳥網カッコウ目カッコウ科ミチバシリ属のフレンズ。ともえと共に旅をしている。

アムールトラ(アムール)

ほ乳網ネコ目ネコ科ヒョウ属のフレンズ。非常に攻撃的な性格。

ラッキービースト(ラモリさん)

フレンズからはボスと呼ばれる。青い体にサングラスが特徴。

 

 

 

 図書館。おびただしい量の本がずらりと並ぶ知識の庭。

 カンザシ、少し開けた場所を舞台に見立ててたたずむ。

 カタカケ、その袖で台詞のチェック。

 

カンザシ

「生きるべきか、死ぬべきか。それが問題だ。どちらが気高い心にふさわしいのか。非道な運命の矢弾をじっとたえしのぶか、それともどとうの苦難にきりかかり、戦って相果てるか。……あれ、えーと……。」

カタカケ

「死ぬことは、眠ること。」

カンザシ

「ああそうだ。死ぬことは眠ること、それだけだ。眠りによって、心の痛みも、肉体が抱える数限りない苦しみも終わりを告げる。それこそ願ってもない、最上の結末だ。」

カタカケ

「やはり、長い台詞は難しいわハムレット殿下。」

カンザシ

「ああ、美しいオフィーリア!もどかしくてたまらない。口惜しいが、私の頭からこぼれ落ちてゆくのだ。クギを打ち付けるがごとくガンガン頭にきざもうとしても、よだれが垂れるがごとくどろりと流れてしまう。」

カタカケ

「まったく、記憶なんて当てにならないもの。ちょっとしたことで、あっさり、どこかへ行ってしまうもの。ああ逃げないで小鳥よ。私の元にずっといてちょうだい。」

カンザシ

「……記憶と言えば。」

カタカケ

「……小鳥と言えば。」

カンザシ

「ハーミアは元気でいるのか?」

カタカケ

「ハーミアは美しいままなの?」

カンザシ

「彼女の心は、おろかだが愛と友情に殉じたロミオ。どんな危険にも首をつっこみ、きっと無茶をしているに違いない。」

カタカケ

「彼女の生きざまは、変わらぬ愛を貫くジュリエット。どんな困難があろうとも、きっと愛を信じ続けているに違いない。」

カンザシ

「再び相まみえることはあるのか?」

カタカケ

「再び愛を語らうことはあるの?」

カンザシ

「その時はきっと、私は踊って祝うだろう。」

カタカケ

「きっと私も、踊って祝うでしょう。」

カンザシ、カタカケ

「あの子は今、いずこに?」

 

 カンザシとカタカケ、ひざまずき祈りを捧げる。

 と、そこへともえ、イエイヌ、ゴマちゃん、ラモリ、トビラを開けて入ってくる。

 

ともえ

「こんにちはー!カンザシ師匠、カタカケ師匠いるー?」

カンザシ

「おお、我が弟子ハーミア、よく戻って来てくれた。」

カタカケ

「ああ、我が弟子ハーミア、よいところへ来てくれました。そんなあなたにおくる花はハーデンベルギア。運命の再会。」

 

 カンザシとカタカケ、ともえを囲んでマントを広げ、ステップをふんでダンスを踊る。

 

ともえ

「あ、相変わらずお芝居大好きなんだね……。」

イエイヌ

「ともえさん!大丈夫ですか?!」

ゴマちゃん

「ともえ~、こいつらなんなんだよ~?」

ともえ

「ああ、落ち着いて二人とも。」

 

 ともえ、おののくイエイヌとゴマちゃんをなだめる。

 

ともえ

「これはね、求愛のダンスなんだよ。ね、ラモリさん。」

ラモリさん

「カンザシフウチョウトカタカケフウチョウノ最大ノ特長ハ、何ト言ッテモ求愛ノダンスダヨ。羽ヲ広ゲ、メスニ対シテ小粋ナステップヲフムンダ。」

イエイヌ

「じゃあこれも友達の証なんですか?」

ゴマちゃん

「ふしぎな踊りでビビらせてんのかと思ったぜ。」

カンザシ

「ハーミアよ、そこにいるのは……ライサンダーか?」

カタカケ

「ハーミア……ディミートリアスを侍らせて帰ってきたの?」

 

 カンザシとカタカケ、ダンスをやめてイエイヌとゴマちゃんの方を向く。

 

イエイヌ

「あの。私は、イエイヌと申します。」

ゴマちゃん

「ロードランナー様であって、ディミートリアスなんて名前じゃない。」

カンザシ

「よろしく頼むぞライサンダー、ディミートリアス。私はその名も気高きハムレット。」

ともえ

「この子の名前はカンザシフウチョウちゃん。」

カタカケ

「あなた方におくるお花はキブシ。出会いの花。私はひたんの女オフィーリア。」

ともえ

「この子の名前はカタカケフウチョウちゃん。」

カンザシ

「ああ、ハーミアよ!そんな卑しい名で呼んでくれるな。」

カタカケ

「ハーミア、ハーミア!いつまで私をそう呼ぶつもりなの。」

ともえ

「この二人はね、お芝居の本がとっても好きでマネしたがるの。……最初会った時なんてゴネリルとリーガンって呼んで、あたしはコーディリアだったの。」

 

 と、ともえ、イエイヌとゴマちゃんにそっと耳打ちする。

 

イエイヌ

「そ、そうなんですか。」

ゴマちゃん

「あんまり絡まれたくねーなぁ。」

カンザシ

「そうだ、ライサンダーにディミートリアスよ。貴様らも我が弟子にならぬか?」

イエイヌ

「で、弟子ですか?」

カタカケ

「私達の弟子になってくれれば、図書館は使い放題。本も持って行っていいし、字だって教えてあげる。他にもお得な特典がいっぱいよ。」

ゴマちゃん

「特典ってなんだよ。」

カンザシ

「さあ、弟子にならぬか?」

カタカケ

「さあ、弟子になりましょう?」

 

 カンザシとカタカケ、イエイヌとゴマちゃんを囲んでマントを広げ、ステップをふんでダンスを踊る。

 

カンザシ

「さあ!さあ!」

カタカケ

「さあ!さあ!」

イエイヌ

「ひぃ~!なりますなります!なんでもなります!」

ゴマちゃん

「命だけは助けて~!」

 

 しゃがみこんでおびえるイエイヌとゴマちゃん。

 

ともえ

「二人とも、仲良くしてあげてね。」

イエイヌ

「こわいですぅ~。」

ゴマちゃん

「プロングホーン様助けて。」

カンザシ

「よろしい、今日から貴様らは我が弟子だ。」

カタカケ

「お好きな本を好きなだけ読んでいってね。必要なら字も教えてあげるから。」

カンザシ

「それでは、オフィーリア。茶の用意を。」

カタカケ

「かしこまりました、ハムレット殿下。」

 

 カタカケ、奥のトビラを開けて引っ込む。

 

カンザシ

「さあ、三人とも。立っていては落ち着かぬ。イスに座って、ひとまず休んでくれ。」

イエイヌ

「し、失礼します。」

 

 ともえ、イエイヌ、ゴマちゃん、テーブルを囲むイスに座る。

 

イエイヌ

「なんだかとっても変わった方達ですね。」

ゴマちゃん

「あんな理解できないフレンズ、初めて見た。」

ともえ

「ま、いい子達であることは確かだよ。変わってるけどね。ここにある本をいっしょに読んでくれたし、面白い本の場所を教えてくれたし。たくさん勉強して、それから旅に出たんだ。」

ゴマちゃん

「ともえのルーツなんだ。」

イエイヌ

「ひょっとして、私に会う前はここに?」

ともえ

「うん。あたし、気がついたら図書館で目を覚ましたんだ。ラモリさんが運んでくれたらしくて……。」

カンザシ

「待て待て。待つのだ、ハーミア。そのまま説明するのでは面白味がない。あの日の出来事、芝居で語ろうではないか?」

ともえ

「えっ、えぇ~?でも、そんなに大したことじゃ……。」

カンザシ

「芝居のすばらしさ、臨場感、そして感動。あますことなく伝えようではないか。」

 

 と、カタカケ、6人分の紅茶を持ってやってくる。

 

カタカケ

「まあ、ハムレット殿下。とってもよい考えだわ。ちょうどあの時の役者が揃っているじゃない。」

カンザシ

「目覚めよ、インスピレーション。」

カタカケ

「目覚めよ、エモーション。」

カンザシ

「さあまずは打ち合わせを。」

カタカケ

「そして手早く練習を。」

ともえ

「あっ、あたしお芝居なんてやったことないよ~。」

 

 カンザシとカタカケ、ともえとラモリさんを引っ張り別の部屋へ移動。

 イエイヌとゴマちゃん、ゆっくりと紅茶を飲む。

 第一幕終了。

 

 

 

 ともえ、テーブルの上に寝そべる。

 ラモリさん、それを見守る。

 カンザシ、テーブルの前に立って周囲を見張る。

 と、カタカケ、登場。

 

カンザシ

「リーガン、よく来たわね。時間を守って。」

カタカケ

「時計はちょうど、9時を回ったわ。もう帰って休みなさい、ゴネリル」

カンザシ

「交替ね。助かるわ。ああもう、気が滅入るったら。」

カタカケ

「何か異状は?」

カンザシ

「ボスが見てるだけ。」

カタカケ

「じゃ、おやすみ。コーディリアが目を覚ましたら、起こしてちょうだい。」

 

 カンザシ、テーブルから離れる。

 

ともえ

「うーん……。」

ラモリさん

「気ガツイタ?聞コエテイルナラ、返事シテ。」

ともえ

「あー……ええ元気。起きられるから、待っていて。」

ラモリさん

「起キラレタ。確カニ君ハ、大丈夫。早速ダケド、教エテ君ノ名前。タッタヒトツノ、大事ナ君ノ名前。」

ともえ

「名前……?あたしの名前は……?」

カタカケ

「ああ、やっと目を覚ましたのね、騒がせて。」

ともえ

「ご、ごめんなさい。あの……あたし、今まで何を。」

カタカケ

「さあ、リーガンを起こさないと。ほら、子猫が目を覚ましたと。見て、子猫が鳴いていると。」

 

 カタカケ、テーブルから離れる。

 

ラモリさん

「ナマエ、ワカル?」

ともえ

「こ……こねこちゃん。」

ラモリさん

「分カッタヨ、ベイビー。変ワッテルネ、コネコチャン。」

ともえ

「えーと……なんてことなの?あたし、何も分からない。自分の名前も分からない。カンで答えた名前も変わった名前なんて。」

 

 と、イエイヌ、手を挙げて中断させる。

 

イエイヌ

「もしかして、コネコチャンってたまに呼ぶのは……?」

ともえ

「うん。ここから。」

ゴマちゃん

「けっこうしょうもねーな。」

 

 と、カンザシとカタカケ、テーブルのともえに近づく。

 

カンザシ

「コーディリア。よく目を覚ましたわ。ずっと眠っているから、死んでしまったかと。」

カタカケ

「まる一日も寝ていたわ。心配していたのだから。」

ともえ

「まあ、なんてかわいらしい方達。助けてくれてありがとう。よろしければ、あなた方のお名前を教えていただけるかしら?」

カンザシ

「私はゴネリル。自らのためなら父さえも利用する、稀代の悪女。」

ラモリさん

「アレハ、カンザシフウチョウ。メスニ対シテ行ウ求愛ダンスガ特長デ、羽ヲカサノヨウニ広ゲテ、ステップヲフムヨ。」

カタカケ

「私はリーガン。自らのためなら姉ともさや当てをする、稀代の悪女。」

ラモリさん

「アレハ、カタカケフウチョウ。コチラモ求愛ダンスガ特長ダヨ。羽ヲ顔ノ横ニ広ゲテ踊ルヨ。笑ッタ顔ノヨウナ姿カラ、スマイリーフェイスとも呼バレテイルヨ。」

カンザシ

「そんなつまらない名前で呼ばないで。」

カタカケ

「この名前を使っている今だけ、私はフレンズのいましめから解き放たれているのに。」

ラモリさん

「……。」

ともえ

「フレンズ?フレンズとは、あなた方のような人なの?ここは一体、どこなの?」

カンザシ

「まあ大変。そこから分からないのね。なら教えてあげる。フレンズとは動物達が、サンドスターに触れることによって生まれた存在。そんな私も、元はカンザシフウチョウ。」

カタカケ

「ここはジャパリパーク。動物やフレンズたちがそれぞれなわばりを持つ楽園。そんな私も、元はカタカケフウチョウ。」

ともえ

「フレンズ?なら、あたしも何かのフレンズ?」

カンザシ

「あなたが眠ってる間、色々調べてみたわ。あなたの見た目を中心に。」

カタカケ

「私も調べてみたわ。あなたの持ち物を中心に。」

 

 と、カタカケ、かばんを指差す。

 

ともえ

「これ?これはあたしが持っていたものなの?」

カタカケ

「その通り。その中にはスケッチブックと色鉛筆が入っていた。スケッチブックは、この図書館に山と積まれた真っ白な本。色鉛筆は、ヒトが使っていたとされる色あざやかな棒。」

カンザシ

「耳はない、尻尾はない、羽もない。でも、道具はある。それらから、考えられる、可能性。それは、ヒトのフレンズ。」

ともえ

「ヒト?ヒトとは何なの?私は何なの?」

カンザシ

「それはどんな本にも載っていない。それはどんな動物かも分かっていない。」

カタカケ

「ヒトは道具を自由に使っていたという。動物と仲良く助け合い暮らしていたという。」

カンザシ

「動物達と心通わす。」

カタカケ

「それがヒトという動物。」

ともえ

「仲良く?心通わす?……ええ、そう。きっとそうだわ!あたしは絶対に、やりとげなければならないことがあった気がする。それはきっと、フレンズ達と仲良く暮らすこと!」

 

 ともえ、スケッチブックを掲げる。

 

ともえ

「と、も、え……。そう、あたしはともえ。ジャパリパークにいるフレンズみんなと心通わせることが、あたしの使命!ならばきっと、あたしはやりとげてみせる!このスケッチブックに誓って!やりとげてみせるわ!」

 

 ともえ、ラモリさん、カンザシ、カタカケ、四人並んで一礼。

 

カンザシ

「これにて第一幕終了。」

ともえ

「それから色々勉強して、絵を描いて。」

イエイヌ

「そして旅に出たんですね。」

ともえ

「そう。記憶探しの旅にね。最初はラモリさんがあたしを運んでくれたジャパリバイクに乗ってたんだけど、途中で動かなくなっちゃって。なんで動かなくなったのかなぁ?」

ラモリさん

「メンテナンスガ必要ダッタカラ、一旦荒野ニ行コウトシタンダ。デモ、ヤハリ途中デ動カナクナッテ、応急処置ヲシタンダ。」

イエイヌ

「その時に、私の所を訪ねてきたんですね。」

ともえ

「そうなの。最初に会ったお友達がイエイヌちゃんでよかった~!」

イエイヌ

「最初のお友達になれてよかったですぅ~!」

 

 ともえとイエイヌ、抱き合う。

 

ゴマちゃん

「フウチョウコンビは友達じゃねーの?」

カンザシ

「ああ、やめてくれフウチョウコンビなどと。」

カタカケ

「今の私はオフィーリア。こちらはハムレット。役を演じている時だけ、私達は解放されるの。フレンズといういましめから。」

ゴマちゃん

「めんどくせーな……。」

ともえ

「まあ、色々教えてくれたお師匠様だから。」

カンザシ

「あるいは友と呼んでくれてもかまわないのだ、ハーミア。ハーミアも、ライサンダーも、ディミートリアスも。私の弟子はみな友達。」

カタカケ

「助け合い、支え合い、愛し合うのがフレンズ。ライサンダー、ディミートリアス。私もあなた方と繋がり合いたい。そんなあなた方におくる花はフリージア。親愛の情。」

イエイヌ

「あ、愛し合うんですかぁ?」

ゴマちゃん

「なんかプロングホーン様とは違うカリスマを感じる……気がするかも。」

ともえ

「ねえみんな。お外に出ない?こんなにいいお天気だし、5人でお芝居ごっこして遊ぼうよ。」

カンザシ

「おおすばらしい。役になりきることによる、しびれるような陶酔感をぜひ教えてあげたい。」

カタカケ

「さあ行きましょう。鳥たちが羽を広げ、青く広い空へ飛び立つように……。」

イエイヌ

「はい行きましょう。」

ゴマちゃん

「両手を広げ、風を感じて走るように……。」

 

 全員、出入り口を出て図書館から外へ出る。

 第二幕終了。

 

 

 

続く




図書館と言えばフクロウコンビですが、出さない方がよいと考えてフウチョウコンビに。
アニメではキャラがあまりつかめませんでしたが、「意味深なことばかり言うのは、お芝居が好きだからなのだろう」と考えてキャラ作りしました。
これはこれで変なキャラになってしまいましたが……。

お芝居をイメージした話なので脚本風に進めようとしました。
が、IE以外の縦書きのやり方が分からず、行を揃えても見方がブラウザによって違うかもと思い、妥協して読みやすさ重視に。
ひょっとしたら脚本風もできたのでしょうか?
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