けものフレンズR 足跡を辿って   作:ナンコツ

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※この回はけものフレンズ2と性格が違っているキャラが多くいます。
そちらが好きな方は注意してお読みください。


第四話 じゃんぐる Aパート

 ともえちゃん達三人がやってきたのは、サルや鳥などの動物たちの声が入り乱れるうっそうとしたジャングル。日当たりがよくて降水量も多く、ムシムシと湿気の多いこの熱帯雨林では、さまざまな植物が育っています。それゆえいたるところに木や草が生えており、ジャパリバイクでスイスイ走る……というわけにはいかないようです。

 しばらく走っていると、後部座席に乗っているゴマちゃんの体がふらつき始めたようです。

 

「なんかジメジメしててやだなぁ……。なんか息苦しい。」

「ゴマさん、お席変わりましょうか?」

「うぅ……。ありがと……。」

 

 いったんてい車し、イエイヌちゃんはゴマちゃんをサイドカーに乗せ、自分はともえちゃんの後ろにすわります。でもイエイヌちゃんとしては、ともえちゃんのすぐ後ろにいることができてとっても幸せなようです。

 ゴマちゃんはふと、サイドカーに置いてあったスケッチブックを開きます。そこにかかれているのは、絵の半分以上を占める大きな滝です。他にあるものといえば、ジャングルらしい植物と滝を近くまで見ることのできる橋くらいでしょうか。ボスはきっと、この植物を見てジャングルに手がかりがあるという答えを出したのでしょう。

 

「こんなリッパな滝、ホントにあるのかよ?」

「あるよ、きっと!川を上っていけば、いつかこんな滝に出会えるはず!」

 

 ともえちゃんは笑顔で答えました。その表情からは、これから待ち受ける冒険と新しいフレンズとの出会いを心待ちにしていることがうかがえます。

 しばらくは軽快に走っていたジャパリバイクでしたが、だんだんとスピードが落ちてゆきます。そしてついに……。

 

「パワーダウン……パワーダウン……。バッテリー充電ノタメニ、テイ車ヲスイショウ……バッテリー充電ノタメニ、テイ車ヲスイショウ……。」

「ここまでか~。」

「こっから歩いていくのかぁ。はぁ……。」

 

 落ち込むゴマちゃんをしり目にボスはハンドル部分から飛びおり、ともえちゃん達の先頭に立ちます。

 

「案内ハ任セテ。川ヲワタル必要ハナイカラ、トラブルナク、最テキナルートヲ案内デキルヨ。」

「たのんだぜぇ~……。」

 

 充電のためにバイクをいったん置いておき、四人はジャングルのおくへと入ってゆきます。

 今度こそ、ボスの案内には間違いはないのでしょうか?

 

 

 ともえちゃん達の目指す場所は滝。つまり、川沿いに歩いてゆけばいずれはたどり着くということです。よどみにごった川に近づくことなく、ボスは安全な道をどんどん進んでゆきます。しかしいたるところにたおれた木があり、先へすすむたびにどんどん増えているようです。

 しばらく歩いていると、ボスが急に立ち止まってぶるぶるとふるえ始めてしまいました。

 

「あれ?ラッキーさんどうしたの?」

「アワワワワ……。アワワワワ……。」

 

 サングラスの視線の先に映っていたもの。それは川が増水したせいか、こわれてしまった橋のなれの果てでした。川のあちこちにぽつんと立っている折れた木の柱が、かつて橋があったことをさびしく物語ります。

 

「これじゃあ通れませんね……。」

「なんとか行けるんじゃねーか?飛んじゃいけないなんてルールはないぜ~?」

「あたしにも羽が生えてたらなぁ……。」

 

 ともえちゃん達が渡ろうとしている川の幅は広く、さすがにジャンプでこの川を渡るのは不可能でしょう。

 困り果てたともえちゃん達でしたが、ふと下流の方から何やら声が聞こえてくるのに気づきました。ともえちゃん達はそっと耳をすましてみます。すると、何やらイカダのような舟を引っ張りながら泳ぐフレンズと、それに乗るメガネをかけたフレンズがいるではありませんか。

 

「あっ、あちらに見えますのはイリエワニのフレンズです。彼女は泳ぐのが得意で、朝から夕方までこのふにぇを……。」

「どうした?聞き取れないよ。」

「ご、ごめんなさい、またかんじゃったみたいれす……。」

 

 舟を引っ張って泳いでいる子はは虫網ワニ目クロコダイル科クロコダイル属のイリエワニちゃん。黄緑のかみをポニーテールにまとめ、黒いライダースーツを着込んだ、いかにもアネゴはだな子です。

 もう一方の舟に乗っている子は、は虫網ワニ目アリゲーター科カイマン属のメガネカイマンちゃん。かみがたはイリエワニちゃんとは対照的に黄緑色のおさげ。黄緑の半袖シャツにグローブ、さらに黒いスパッツの上に白いホットパンツを着込み、メガネをかけています。おしりにしっぽが生えていますが、イリエワニちゃんにも生えているのかもしれません。

 二人のフレンズに気づいたともえちゃんは、ぬれないようにスケッチブックを置き、舟に向かって手をふりながら近づきます。

 

「なにあれ、めっちゃ絵になる~!おーい、おー……。」

 

 とつぜんともえちゃんは川にしずみこんでしまいました。どうやら深みにはまる直前で止まろうとしたら、思ったよりも深かったようです。

 

「あっぷ、おっぷ、ふ、ふか……。」

「だ、大丈夫ですかともえさん!?」

「ともえ~、そのクセ少しは直せよ~。」

 

 ゴマちゃんはあきれながらともえちゃんの近くまで飛びます。でも、その一方でイリエワニちゃん達も気づいたらしく、いっしょにともえちゃんを引っ張りあげて舟に乗せてくれました。やさしいフレンズに助けられましたね。

 

 

 助けてもらったともえちゃんは、そのまま三人を連れて舟に乗せてもらえることになりました。そうなると舟に乗っているのは、メガネカイマンちゃんもふくめて5人になるのですが、イリエワニちゃんはそれでもかまわずに引っ張ってしまいます。なんという力持ちでしょうか。

 みんなはそれぞれ自己しょうかいをすませ、まったりとクルージングを楽しみます。

 

「ありがとうね、イリエワニちゃん。いろいろ助けてもらっちゃって……。」

「いいっていいって。アンタ達みたいな子を運ぶのがあたいの仕事だからね。で、どこまで行こうか?」

 

 行き先を聞かれたともえちゃんはスケッチブックを開き、滝の絵を見せます。すると、メガネカイマンちゃんが興味深そうにのぞき込みます。

 

「あ、これ知ってます。橋から見られるおっきな滝、ですよね。」

「橋かぁ。ひょっとして、この川の上流にあるヤツかな?よければ、そこまで送っていくよ。」

「ほんと!?ありがとう!」

 

 ともえちゃんは大喜び。イエイヌちゃんとゴマちゃんもほっと一安心です。

 その一方で、ボスはきわめて事務的に、イリエワニちゃんについてのかい説を始めます。

 

「イリエワニハ、世界最大ノワニデ、泳グハヤサハ時ソク20km以上ト言ワレテイルヨ。流レニサカラッテ泳ゲルキョリハ短イケド、シオノ流レサエ読メレバ、海ヲ渡ルコトモデキルンダ。」

「ボス、しゃべれるのかい!?」

「すごい……!ボスってひょっとして、動物にくわしかったりしますか?」

「うん!ラッキーさんはね、色んな動物のことを知っててね、あたし達にたっくさん教えてくれるんだ!」

 

 目をかがやかせるメガネカイマンちゃんに、ともえちゃんはじまんげにボスをしょうかいします。するとメガネカイマンちゃんはメガネをかけ直し、ぽつりぽつりとつぶやくように語ります。

 

「あの、私……イリエワニさんと一緒に、この舟に乗って、川を渡ってるんです……。それでこの舟に乗ってくれるフレンズもたくさんいましてそれでこのあたりとかおっ、お友らちぉしょうかいできたらぃぃなて……。」

 

 彼女の言葉はなんだか語尾が聞き取りづらく、ぼそぼそとしていて周りの動物の声にかき消されかねません。周りの子達も口ぐちに不満をもらします。

 

「ねえ、また聞き取れないよ。」

「しかもちょっとかんだよな。」

「しゃべるのが苦手なのでしょうか?」

「そ、そうなんです!昔、しゃべってたら、舌をかんで1日痛みが引かなくて……。それ以来、思いきりしゃべるのが、苦手になって……これじゃ、ガイドなんかできないって……。」

「そんなことないよ!」

 

 メガネカイマンちゃんはさびしそうにしょんぼりとかたをすくめています。そんな姿を気のどくに思ったともえちゃんは、彼女のために一はだぬいであげるようです。

 

「ガイドのお仕事なんてめっちゃステキだよ!ね、ラッキーさん。この子の話し方、なんとかしてあげられないかな?」

「オーケー、ベイビー。マズハ落チ着コウ。発声ハ運動ノ一種ダカラ、リラックスシテイルト調子ガヨクナルヨ。」

「リラックスですね。リラックス~、リラックス~……。」

 

 まずメガネカイマンちゃんは体の力をぬき、ゆったりと立ちます。

 

「他には?ラッキーさん。」

「口ヲ大キク、シッカリ動カス。母音ヲ、ハッキリスル。」

「ぼいん?」

「ア、イ、ウ、エ、オ」

「あ、そういうことか。どう?メガネカイマンちゃん?」

「あ、い、う、え、お、あ、い、う、え、お、あ、い、う……。」

 

 ボスに言われたとおり、母音をはっきりと発音するように心がけながら声を出します。

 

「他には?」

「一音、一音ヲテイネイニ。話ス時ハ、気持チ高メノ声デ。低イト聞キ取リヅライヨ。」

「てぇ、いぃ、ねぇ、いぃ、にぃ、ですね!わぁ、かぁ、りぃ、ましたぁ!」

「ていねいすぎだろ……。」

 

 ゴマちゃんの指てきを待つまでもなく、声の高さや出し方がちょっぴり不自然かもしれません。果たしてうまくいくのでしょうか?

 

「ガイドをするんだったら、動物のかい説もできたらいいよね!」

「図書館でもらった、動物ずかんで、勉強はしているんです……。」

 

 メガネカイマンちゃんは持っていた動物ずかんを取り出します。だいぶ読み込んでいるらしく、ページがところどころゴワゴワしています。

 

「オッケー、ならイメージはつかめるよね。ラッキーさんの後からしゃべってみれば、きっとそれらしくなるよ。」

「は、はい。お願いします。」

「じゃ……ラッキーさん。メガネカイマンちゃんについて教えて。ゆっくりカンタンに。」

「メガネカイマンハ、小ガタノワニデ、イッパン的ニハ、2メートル50センチ前後ト、言ワレテイルヨ。」

「メガネカイマンは、小がたのわにで、いっぱん的には、2めーとる5ずっせんちぜんごと、言われていまス……。」

「う~ん、こりゃもっと練習しなきゃだめだな~。」

「ううう……。」

 

 練習の成果はまるで表れず、メガネカイマンちゃんは落ち込んでしまいました。

 その後も練習を続けますが、なかなかうまくかい説することができません。そのとちゅう、ともえちゃんは川べりの木にフレンズが休んでいるのに気付きました。

 

「ねえラッキーさん、あのフレンズ達は?」

「ヒョウトクロヒョウダネ。」

 

 一人は頭に耳を、おしりにしっぽを生やし、黄色いヒョウがらのついたかみに白いツインテールが映え、白いシャツに赤いリボンのネクタイ、ヒョウがらのロンググローブとプリーツスカートにニーソックスをはいたフレンズ。彼女はほ乳網ネコ目ネコ科ヒョウ属のヒョウちゃんです。

 

「ヒョウハサバンナヤ熱帯林、ハタマタカンソウ地帯カラ、寒イ地方マデ。広ク、生息シテイルヨ。」

「ヒョウはサバンナや熱帯林、はたまたかんそう地帯から、寒い地方まで。広く、生息しています。」

「できましたよ!すごいです!」

 

 もう一方の黒いフレンズは、同じくほ乳網ネコ目ネコ科ヒョウ属のクロヒョウちゃん。こちらはヒョウちゃんと対照的に黒いかみに黒いツインテール、ヒョウちゃんとおそろいの服は色が全て黒色です。

 

「クロヒョウハ、ヒョウノ変イ種ダヨ。フツウノヒョウカラ、生マレルコトガアリ、時ニハ、フツウノヒョウトクロヒョウガ、生マレルコトモアルヨ。」

「クロヒョウは、ヒョウの変い種です。ふつうのヒョウから、生まれることがあり、時にはふつうのヒョウとくっ、クロヒョウがうまっれることもあるそうでスゥ……。」

「ほめるとかむんだな。」

「ううう……。」

 

 ガイドの仕事に悪せん苦とうのメガネカイマンちゃん。あんまりさわがしかったのか、ヒョウちゃんとクロヒョウちゃんが目を覚ましたようです。二人は川を渡る舟を見つけると、手をふりながら声をかけます。

 

「お~い、元気~?」

「きばりすぎたらあかんよ~。」

「おっ、あいさつしてやってくれ。」

 

 舟を引っ張って泳ぐのにいそがしいイリエワニちゃんは、ともえちゃんにごあいさつをたのみます。

 

「おーい!」

「おーっす。新入りかぁ~?ウチはヒョウ。よろしゅうなぁ~。」

「ウチはクロヒョウや~。」

「あたしはともえー!二人とも、とってもかわいいフレンズさんだね!」

「ありがとな~。」

「あんたもかわええよ~。」

 

 おたがいに手をふりながらのごあいさつ。どうやらたがいに心が通じ合ったようで、ヒョウ達はしっぽもふりながらお返事をします。

 その一方で、メガネカイマンちゃんはイエイヌちゃん達といっしょにガイドの練習中です。イエイヌちゃんは先ほどのボスのかい説を覚えたらしく、ゆっくりと説明を始めます。

 

「クロヒョウは、ヒョウの変い種です。ふつうのヒョウから、生まれることがあり、時には、ふつうのヒョウとクロヒョウが、生まれることもあるそうです。」

「クロヒョウは、ヒョウの変い種です。ふつうのヒョウから、生まれるこっ、こっ、ことがあり、時にはふちゅうのヒョウとクロヒョウが生まれることもあるそうれしゅ……。」

「もうちょい落ち着こうぜ~。」

「は、はい……。もう一度お願いします。」

「ヒョウはサバンナや熱帯林、はたまたかんそう地帯から、寒い地方まで。広く、生息しています。」

「ヒョウはサバンナや熱帯林、はたまたかんそう地帯から、さむぃちほぅまれ……。」

「だから落ち着けって。深呼吸。」

「すーはー、すーはー。」

 

 メガネカイマンちゃんはまだうまくいかないようで、ゴマちゃんとイエイヌちゃんのアドバイスを受けながら試行さくごをくりかえします。

 一方でヒョウちゃん達は、この様子を目をぱちくりしながら見ています。

 

「ウチら一体、何を見せられてるんや……?」

「ええやん、ねーちゃん。なんだかおもろいし。ふふっ。」

 

 二人はメガネカイマンちゃんの様子を生あたたかい目で見守っています。特に何かしてあげられるわけではありませんが、とりあえず声えんを送ります。

 

「がんばってな~。」

「ほら、おうえんされてますよ。」

「あ、ありがとうございまっしす!」

「だめだこりゃ。」

 

 なんとお礼の言葉ですらかむ始末。メガネカイマンちゃんの目ひょう、スラスラしゃべれるガイドの道はまだまだ遠いようです。

 

 

 長いこと舟を引っ張っていたからかイリエワニちゃんも少しょうおつかれの様子。みんなで日当たりのよい開けた川べりで日向ぼっこです。

 

「いい天気だねー。」

 

 さっきまでのジメジメがうそのようなぽかぽかよう気。ともえちゃん達はゆったりとした時間を過ごします。

 しかしその時、イリエワニちゃんとメガネカイマンちゃんがおもむろに口を開きました。

 

「んあー……。」

「あー……。」

「あれ?イリエワニちゃん、メガネカイマンちゃん、どうしたの口開けて?」

 

 ともえちゃんに指てきされた二人は、あわてて口をとじます。どうやらワニは日向ぼっこで気持ちがよくなるとつい口を開けてしまうようです。

 

「ワニハ日光ヨクヲスルト、ヨク口ヲ開ケルヨ。体温調節ノタメトモ、口ノ中ノ寄生虫ヲ、鳥ニ食ベテモラウタメトモ言ワレテイルヨ。」

「なるほど、昔からのクセなんだ。」

 

 いつものようにボスのかい説。すると、メガネカイマンちゃんもクセになったのか、ふたたびボスに合わせてかい説を始めます。またカミカミのかい説になると思われましたが……。

 

「ワニは日光よくをすると、よく口を開けます。体温調節のためとも、口の中の寄生虫を、鳥に食べてもらうためとも言われています。」

「今度は言えたじゃん!」

「やったじゃないか!」

「ありがとうございます。休んでリラックスできたから……でしょうか?」

「ふ~ん……?」

 

 ともえちゃんはその様子に何か引っかかるものを感じました。いつもカミカミだったメガネカイマンちゃんが、日向ぼっこの後にうまくしゃべれたことをともえちゃんはぐうぜんとは思わなかったようです。

 ともえちゃんがいろいろ考えをめぐらせていると、川面にぷかぷかと泡が浮かんでいるのに気づきました。

 

「あれ?あの泡……ひょっとして誰かおぼれてるんじゃ?」

「なんだって!?助けなきゃ!」

 

 すわイリエワニちゃんは急いで川に飛び込み、泡に向かって泳ぎます。やっと追いついたイリエワニちゃんは、すばやくもぐってフレンズを引き上げます。引き上げたフレンズの顔を見てみると……。

 

「……グルル……!」

「えっ?」

 

 イリエワニちゃんはいっしゅんかたまってしまいました。泡の主はなんとアムールトラちゃんだったのです!アムールトラちゃんはイライラした様子でイリエワニちゃんをにらみつけます。

 

「ビーストじゃん!」

「イリエワニさん、早くこちらへ!」

「アムールトラちゃんって泳げるの?」

「アムールトラハ、運動ノウ力にスグレテイテ、泳ギモウマイヨ。温泉ニツカッテ、ユッタリスル姿モ、目ゲキサレテイルヨ。」

「アムールトラは、運動のう力にすぐれていて、泳ぎもうまいです。温泉につかって、ゆったりする姿も、目げきされているようです。」

 

 とつぜんのビーストの出現に大さわぎする外野をよそに、川の中ではイリエワニちゃんとアムールトラちゃんの格とうが始まります。

 

「何こいつ!水の中であたいとやろうってのかい!?」

「ガウッ、ガアァァウッ!」

「このジャラジャラしたの、邪魔だねぇ!かみくだいてやろうか!?」

 

 アムールトラちゃんはクサリのついたうでわをジャラジャラとふりまわし、イリエワニちゃんをなぐりつけます。しかし、イリエワニちゃんも負けてはいません。パンチを受け止めながら力ずくで組み合います。

 

「どうしよう……。待って二人とも!こんなところで争わないで!」

 

 ともえちゃんは二人を止めに入ろうと川に飛び込みます。でも、みなさんごぞんじの通り、ともえちゃんは泳げないので……。

 

「あっぷ……あっぷ……た、たすけ……。」

「ともえさーん!」

「学習しろよぉ~!」

「ともえさん、今助けます!」

「勝負はおあずけだ!ともえ、今助けに行くからね!」

「ウゥ……。」

 

 ともえちゃんがおぼれて、てんやわんやの大さわぎ。ともえちゃんはワニコンビのおかげで何とか一命をとりとめました。みんな心配そうにかけよりますが、アムールトラちゃんだけは川の中から動こうとしません。ずっと成り行きを見守っています。

 

「けほっ、けほっ……。」

「全くひやひやさせるよ……。」

「大丈夫ですか、ともえさん。」

「へ、平気……。それより……。」

 

 ともえちゃんは息も絶え絶えですが、それでも川の中から動かないアムールトラちゃんに声をかけます。

 

「アムールトラちゃーん、ごめんねー!ただ、気持ちよく泳いでただけなんでしょー?あたしてっきり、おぼれたと思っちゃって……じゃましてごめーん!」

「ガゥ……フン。」

 

 アムールトラちゃんはまるで照れかくしをするかのようにきびすを返し、向こう岸へ向かって泳ぎ去ってゆきました。アムールトラちゃんはともえちゃんをなぜか特別扱いしているようです。

 

「行っちゃいましたね……。」

「なんでともえの話はだまって聞くんだろうな~。」

「ほんとはやさしい子なんだよきっと。」

 

 ともえちゃん達はアムールトラちゃんのさわぎで色々ドタバタしたせいですっかりつかれてしまい、予定よりもだいぶ休んでしまいました。日光よくを始めて15分。ようやくみんなは舟に乗り込み、滝に向かって出発します。

 そこへふと、ともえちゃんがメガネカイマンちゃんに呼びかけます。

 

「ねえ、メガネカイマンちゃん。いいかな?」

「はい?」

「今さっきね、メガネカイマンちゃんをカツレツばっちりのガイドにする方法、思いついたよ!」

「いきなりかんでんだよなぁ~……。」

 

 カツゼツをよくすると言いつつなんとも不安が残りますが、一体ともえちゃんは何を思いついたのでしょうか?

 

 

 

続く




今回も長くなってしまいましたが、この辺りがちょうどいい区切りだったので2パートにまとめました。
ワニコンビとヒョウ姉妹は2期のキャラがあまり好きではなかったので、だいぶ改変してしまいました。それゆえ「こういうキャラだったら好きになれたのになぁ」という願望も多分に含まれています……。
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