初のアニメオリカ使用回です。(まだ、OCGになる可能性がありそうなので)
なお、使用したアニメオリカは活動報告に効果を載せておきます
あと彼女の普段使いのデッキは湿地草原を入れたビオトープデッキになっています
キャスターに成りたくて、田舎から上京してきて――
専門学校を卒業して無事、TV局に入社できて――
入社1年目で舞網チャンピオンシップのリポートなんて大役をやらせてもらうことになって――
ジュニアコースの実況までやらせてくれるって、舞い上がっちゃって――
ジュニアの子ならきっと、かわいいモンスターがいっぱいなんだろうな~
ちょっとミスしたりとか可愛らしい事とかするんだろうな~
緊張している子とか大丈夫かな~
なんて思っていたら――
――ギャオオオオオォォォォォォォォォ!!
巨大怪獣と人型の蟲みたいなのが大暴れして
――シャアアァァァァァァァ!!
獣たちが海に潜むナニカと争って
――ブッピガン!!
空では宇宙戦艦とロボットが戦争している
「あははははは・・・なんなのこれ・・・?」
去年は入社したてで大会中継なんて見る暇なかったし、ジュニアコースのデュエルは毎年ダイジェストで流れるくらいだったから流して見ていたけれど
それでも、そこに映っていたのは子供らしい可愛らしさに溢れたものだった
そう、決してこんな映画みたいな感じじゃなかったはずだ
「え、えっと・・・」
あっちこっちで起こっている効果の応酬や駆け引きは、もうデュエルから離れて長い私にはリポートできるようなものではなかった
――トンッ
誰かが私の肩に手を置いてくれた
励ましてくれるんだ、そうだ、これでも私はアナウンサーなんだ!
プロとして蹲っているわけにはいかない!!
「あ、ありがとうっ!?」
――カラッ、グッ!
振り向いたら紫のローブを着たガイコツがサムズアップしていて、あまりの事に私の意識はそこで途切れました・・・
これがあの開会式の後に行われたジュニアコース一回戦です
さぁ、盛大に始まりました、舞網チャンピオンシップ
2日目の今日、ここメインスタジアムではジュニアコース2回戦が行われています
実況はこのワタクシ、本来の担当者が昨日失神してしまったので代打として参りました、ニコ・スマイリーがお届けさせていただきます
現在は遊勝塾、原田フトシ君とワイト塾、瀬良あゆみちゃんの試合が行われております!
「痺れるぜ!俺のターン!ドロー!!」
LP1200
「「フトシ!頑張れよ(って)ー!!」」
「あゆみー!負けるなー!!」
「頑張って~!!」
ご家族からの盛大なエール!これは両選手には心強いでしょう!
さて、現在のフィールドの状況は瀬良選手のモンスターが何と攻撃力15000のワイトキングが3体!
対して、原田選手は前のターン、ダメージは防いだもののモンスターをすべて失ってしまいました
彼の操るモンスターは相手フィールドのモンスターをリリースして相手フィールドに特殊召喚可能ですが、自らの発動させている永続トラップ、群雄割拠の効果でそれは望めません
「俺は手札の怪粉壊獣ガダーラを捨ててマジックカード、トレード・インを発動
デッキから2枚ドローするぜ!」
原田選手ここが大勝負です
「よっしゃー!俺はマジックカード、アンティ勝負を発動!
互いのプレイヤーは手札を1枚選んで確認し、レベルの高いモンスターを選んだプレイヤーのカードは手札に戻り、レベルの低いモンスターを選択したプレイヤーはそのカードを墓地に送り、1000ポイントのダメージを受けるぜ!」
「わわわ!?レベル勝負ですか!?」
「俺は手札のレベル10、壊星壊獣ジズキエルを選ぶぜ!」
「うぅ~私が選ぶのはレベル1のワイトです。」
「じゃあ、ダメージを1000ポイント受けてもらうぜ!」
「きゃああぁぁぁ!!」
LP800→0
決まったー!見事、逆転のカードを引き当てた原田フトシ選手の勝利です!
「素晴らしいデュエルでした!お強いんですね!」
「おう!痺れただろ~?」
「はい、痺れちゃいました!また・・・デュエルしてくださいね?」
「あぁ、俺で良ければいつでもいいぜ!」
「はい、ありがとう、ございます。」
うんうん、初めて会った相手とも友情をはぐくみあえる
これぞ、大会の醍醐味ですなぁ~
さぁ、次の対戦カードは・・・
「やったぜー!」
「おめでとう、3回戦進出ね!」
「うむ、めでたいな、だが気を抜くなよ、フトシ
勝って兜の緒を締めよという言葉がある
すなわち、故人曰く勝者への戒めとして・・・」
「権ちゃん、おっさんくさ~!」
「おっさん言うなー!」
『はははははっ!』
権現坂と素良の漫才にみんな笑う
ぶっちゃけ、俺としてはあの娘が親と一緒に居て普通に暮らしていることに涙が出そうだが
まぁ、ダインがこの世界には居ないしな
居るとしても、シンクロ次元だと思ったが・・・トリシューラプリンがある辺り、気にするだけ無駄か
「次はアユの番だったな」
「うん、がんばっちゃうよ~えっと、相手は確か・・・」
「LDSの赤馬 零羅君だな」
「赤馬?赤馬零児の関係者か?」
「修造さん、他人の家庭事情を詮索するのは感心しませんよ?」
「あぁすまない、ちょっと気になっちゃったからさ」
気になるのもわかるけどね
赤馬零児に弟がいたなんて、情報はないだろうし
さて、たしかあの子はかなり特異な才を持っていたはずだけど、うちの子達とデュエルしてどんな影響が出るかな?
「よいしょ、よいしょ
むむむ・・・よし、チャージ完了!」
心を込めてデッキをシャッフルする
遊矢お兄ちゃんに教えてもらった、おまじない
今日も頑張ろうね、私のカードさん達
「あぁ、今日もアユは可愛いな~」
「もう、あなたってば!先に先生たちに挨拶でしょ!」
「アタッ!?」
何やってるのよ、パパ、ママ・・・
「いや、お母さん、自分たちは気にしませんので・・・」
「そう言うわけにはいきません!
アユをこんな大舞台に導いてくれた先生方には感謝してもしきれません。」
「修造さん、ここは大人として好意は受け取っておくべきですよ?」
「うむ!親しき仲にも礼儀ありと言うしな!」
「だから権ちゃん、おっさん臭いって」
「おっさん言うなー!!」
「アユ~こっち向いて、こっち」
私はパパの向けるカメラに笑って手を振る
やらないと、落ち込んじゃうから大変なんだから
「わぁ、かわいい~」
やらなくても良かったかな・・・もう、相手の子に笑われちゃうよ
「さぁ、熱戦続く、ジュニアコース2回戦、次なる試合は鮎川アユ選手と赤馬零羅選手です!」
赤馬?あの社長さんの家族かな~?
私の対面に立っているのは継ぎはぎの熊のぬいぐるみを持った帽子の上にフードを被った男の子?だよね?
なんだか、怯えているような・・・
うん、とりあえず、挨拶は大事だよね!
「こんにちは!いいデュエルにしようね!」
握手しようと思って手を差し出してみるけど、零羅君は瞬きもせずにそこに立っているだけ
その大きな眼は見開かれたままで、まるでカメラのレンズみたい
「おや~?どうしましたかな、零羅君?緊張しておりますかな?」
零羅君はピクッ!っと反応すると顔を上げて、どこかに目を向ける
その視線の先には、あのLDSの理事長さんがいて窓越しだから何だかわからないけど・・・何か言っていた
――ハッ!
「おや?」
零羅君は持っていたぬいぐるみをニコさんに渡して、初期位置についてしまった
う~ん、変わった子だな~
「ふむ、では、零羅選手も準備が出来た様なのでアユ選手も準備をお願いできますかな?」
「あっ、は~い」
私も初期位置に立って準備完了する
よ~し、頑張るぞー!
「さぁ、まずはアクションフィールドのセレクトです!アクションフィールド、オン!!」
アユと零羅の立つ場所がスタジアムの芝生から燦々と陽光が照り付ける岩場の谷へと変わる
「これはフィールド魔法、おひさまの谷!
夏場でこのフィールドは少々きつそうですが、両選手には元気いっぱいにデュエルしてほしいものですね~
では、始めましょう!戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り!」
「宙を舞い・・・」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ・・・」
「これぞ!」
「デュエルの最強進化系!アクショーン!!」
『『
「先攻は私からだよ!
私は、あっ!アクションカード見っけ!」
「おぉ!アユ選手早速アクションカードを入手、幸先がいいですね~」
「よ~し、魔法カード、手札抹殺発動
互いのプレイヤーは手札を全て捨てて、デッキから捨てた枚数分ドローするよ
私の手札は5枚だから、5枚のカードをドロー!」
「僕も5枚のカードを捨てて5枚のカードをドロー・・・」
「これは遊矢君の十八番、アクションカードを使った手札増強だー!
アクションカードをフル活用する遊勝塾らしい戦略ですね~」
「よし、私は手札からアクアアクトレス・グッピーを召喚!」
グッピー「キュル!」
ATK600
日の照りつける谷に可愛らしくデフォルメされたピンクの熱帯魚が現れる
「グッピーの効果発動
1ターンに1度、手札のアクアアクトレスモンスター1体を特殊召喚出来る
来て、アクアアクトレス・アロワナ!」
アロワナ「アロー!」
ATK2000
グッピーの隣に並ぶ、巨大かつ派手な紫を基調とした熱帯魚
水生のモンスターの割には演出の為だろうか、キセルまで持っている
「まだまだ行くよ~手札から魔法カード、ダウンビート発動
このカード名のカードは1ターンに1度だけ発動出来て、自分フィールド上の表側表示モンスターを1体リリースして発動できるの
そして、私はリリースしたモンスターと元々の種族、属性が同じで元々のレベルが1つ低いモンスターをデッキから特殊召喚するよ
私は水属性、水族、レベル2のグッピーをリリースしてデッキからレベル1のアクアアクトレス・テトラを特殊召喚!」
テトラ「テートラ!」
DEF300
グッピーが退場し、続き現れるのは水色の熱帯魚、その顔は男形だからか少々凛々しい
「テトラの効果発動、1ターンに1度、デッキからアクアリウムカードを1枚手札に加えるよ
私は永続魔法、
水分など全くない岩場がどこからともなく現れた大量の水に呑まれ、海底の様になってしまう
心なしか、居心地が悪そうにしていたアクアアクトレスたちもご満悦だ
「このカードの効果で私の水属性モンスターは水属性モンスターとの戦闘以外では破壊されない
さらに、アクアアクトレスモンスターは相手の効果を受けなくなるよ
そして、アクアアクトレス・アロワナの効果発動
デッキからアクアアクトレスモンスターのグッピーを手札に加えて、手札を1枚セット
私はこれでターンエンドだよ。」
「お~迎撃準備万端のフィールド、零羅選手、これを崩せるのか!」
「・・・僕のターン、ドロー」
ニコの煽りも空しく、零羅は機械的な動きと抑揚のない声で自分のターンを開始する
「僕は手札から永続魔法、ペルソナ・シャッター・レイヤー1を発動
このカードは相手モンスター1体を選択し、そのモンスターと同じ、種族、属性、レベル、攻撃力、守備力、効果、名前を持ったモンスターとして自分のモンスターゾーンに特殊召喚する。
僕はアクアアクトレス・アロワナを撮影・・・」
――カシャ!
カメラ付きの仮面が現れ、小切れの良いシャッター音が鳴り響くと仮面の後ろに像が現れる
その姿は左右が反転し仮面をつけたアクアアクトレス・アロワナそのものだった
レイヤー1(アロワナ) ATK2000
「ただし、選択したモンスターがフィールドを離れたとき、このカードは破壊される・・・」
零羅の使用した相手を完全にコピーするマジックモンスターという、珍しいカードをフトシとタツヤは考察する
「へぇ~どんな強いモンスターもコピーされちゃうってことか・・・結構強いかも」
「いや、それだけじゃないよ
召喚権を使わずにモンスターをだしたからリリースしてアドバンス召喚にも使えるし、相手次第だけど、シンクロやエクシーズにもつなげられる。
おまけに効果までコピーしているから、いろんなコンボが出来るだろうね。」
「バトル・・・レイヤー1でアクアアクトレス・テトラを攻撃・・・」
コピーアロワナの吐いた水流がテトラへと向かうが、それをただで通すアユではなかった
「ちょっと待って!相手の攻撃宣言時にトラップ発動、邪神の大災害!
フィールド上のマジック、トラップカードを全て破壊するよ。」
「えっ?」
穏やかだった海中の中に突如として渦潮が発生し、コピーアロワナを飲み込んで行く
そして、渦潮はいつの間にか大竜巻へと変化し、水そのものを奪い去って行った
「おぉっと!アユ選手の発動させたトラップにより、零羅君のコピーモンスターも破壊!
アユ選手もカードを1枚失ってしまいましたが・・・おぉぅ!?」
ニコはアユのフィールドを見て驚愕する、そこには
グッピー「ピッ!」
ATK600
ピンク色の熱帯魚と
ディノミスクス ATK1200
無数の青白く光る触手を生やした古代生物が鎮座していた
「邪神の大災害発動時に墓地のトラップカード、バージェストマ・ディノミスクスを発動したよ
このカードはトラップカードが発動した時、その発動にチェーンして通常モンスターとして特殊召喚出来るの
さらに破壊された
「なんということだー!零羅選手の攻撃が完全に仇となってしまったー!
手札抹殺もこの状況を作るための布石だったとはー!」
「・・・・・・僕はカードを3枚伏せて、永続魔法、騎士道精神発動
自分フィールド上のモンスターは、攻撃力が同じモンスターとの戦闘では破壊されなくなる。
これでターンエンド・・・」
「私のターン、ドロー
まずはアロワナとテトラの効果発動
デッキからテトラと
そして、グッピーの効果で手札のグッピーを守備表示で特殊召喚」
グッピー「ピッ!」
DEF600
「さらに永続魔法、
このカードの効果で私の水属性モンスターは攻守が300ポイントアップ
さらにアクアアクトレスモンスターは、もう300ポイントアップするよ」
荒れ谷に豪華な城が現れる、まるでおとぎ話の竜宮城の様な外見だが水っ気のないこのフィールドでは古代遺跡の様だ
アロワナ ATK2000→2600
DEF2000→2600
グッピー ATK600→1200
DEF600→1200
グッピー DEF600→1200
ATK600→1200
テトラ DEF300→900
ATK300→900
ディノミスクス ATK1200→1500
DEF0→300
「よし、バトル!グッピー、ダイレクトアタック行ちゃってー!」
グッピー「ピッ!」
「あうっ!」
LP4000→2800
グッピーは宙を舞いながら体当たりを仕掛け、それを受けた零羅はよろめく
一方アユは攻撃が通ったことに驚いていた
(なにも発動させなかった?攻撃反応型トラップじゃないのかな~?
全部攻撃が通ったらライフが無くなっちゃうのに、う~ん・・・)
「まぁ、いいや
バージェストマ・ディノミスクスでダイレクトアタック!」
「うぅ・・・」
LP2800→1300
ディノミクスの触手が鞭のように零羅に襲い掛かるが、それでも零羅は何もアクションをしない
(アクションカードも取りにいかない・・・なら、この攻撃で)
「アクアアクトレス・アロワナでダイレクトアタックだよ!」
「零羅選手、大ピーンチ!このまま終わってしまうのか!?」
「トラップ発動、ペルソナ・シャッター―インスタント
ダイレクトアタックを受けたとき、このカードをその攻撃モンスターと同じモンスターとして自分フィールド上に特殊召喚する。
ただし、バトルフェイズ終了時にこのカードは破壊される。」
――パシャッ!
インスタント(アロワナ) ATK2600
シャッター音が鳴り零羅の場にアクアアクトレス・アロワナが現れるが、その顔の半分はカメラの様な機械がはめ込まれており、異様さを醸し出していた
「むぅ~攻撃力まで、そのままコピーか・・・
じゃあ、私はこれでバトルフェイズを終了するよ。」
「待って・・・バトルフェイズ終了時に速攻魔法、神秘の中華鍋を発動
このカードは自分フィールド上のモンスターをリリースして、その攻撃力か守備力のどちらかの数値の分ライフを回復する
さらにチェーンして、永続トラップ、フォト・フレームを発動
このカードは相手フィールド上の表側表示のマジック、トラップカードと同じ効果になって同じ種類のカードとして扱う。
僕は
――カシャ!
零羅側の岩の壁に水舞台装置の風景が写り込む、壁画の様だがその効力は如実に表れる
インスタント(アロワナ) ATK2600→3200
「えぇー!?っていう事は!?」
「神秘の中華鍋の効果でリリースして攻撃力分のライフを回復する。」
LP1300→4500
「何と零羅選手、アユ選手のカードを利用してライフを大幅に回復!
アユ選手はこのターンの攻撃が全て無駄になってしまいました。」
「へぇ~コピーモンスター、って言うよりコピーデッキか
1枚1枚は大したこと無いその場しのぎだけど、噛みあうと厄介だね。」
「そうね、水属性を全体強化する
「でも、可愛いから大丈夫だ!!」
「おじさん、五月蠅い」
真面目に考察する素良と柚子に対し、アユの父がボケてくるが素良に一蹴される
「もう、パパってば・・・
私はメインフェイズ2でレベル2のバージェストマ・ディノミスクスと攻撃表示のアクアアクトレス・グッピーでオーバーレイ
2体のモンスターでオーバーレイネットワークを構築、エクシーズ召喚
来て、バージェストマ・オパビニア!」
オパビニア「ギシャアアァァァァァ!!」
DEF2400→2700 ORU2
ATK0→300
乾いた地層を割り砕き、百足のような長い躰を持ち漏斗のような口吻に鋭い牙が生えた不気味な古代生物が現れる
この生物を可愛いと感じるものは流石に少ないだろう
「オパビニアの効果発動
1ターンに1度、このカードがトラップカードをオーバーレイユニットにしている時、オーバーレイユニットを1つ使ってデッキからバージェストマトラップを手札に加える
私が手札に加えるのはバージェストマ・ピカイア」
オパビニア ORU2→1
「さらにグッピーの効果で手札のアクアアクトレス・テトラを特殊召喚」
テトラ「フフ」
DEF300→900
ATK300→900
「そしてこのテトラの効果でデッキから
これで私のアクアアクトレスモンスターはモンスターと戦闘を行うときその攻撃力を2倍にするよ
カードを2枚伏せて、ターンエンド」
「僕のターン、ドロー・・・あっ・・・」
零羅がドローしたカードを確認した時、その眼に光が宿った
そして、その顔を上げて一点を見つめる
アユもそれが気になり振り向くとそこに居たのは
(あっ、赤馬社長だ)
赤馬零児が静かに零羅を見つめていた
「僕は手札よりCC隻眼のパスト・アイを召喚!」
パスト・アイ ATK1400
零羅が召喚したモンスターはベルトや針金で岩のような躰を無理やりつなぎ合わせた無機質な物であり、ただ一点、大きな眼だけは生物的であり、不気味さを増長させていた
「なんだ、あのモンスター!?」
「痺れるくらい不気味だぜ・・・」
「手札から永続魔法、
このカードは1ターンに1度、融合モンスターによって決められた融合素材モンスターが自分及び相手フィールド上にそれぞれ1体以上存在するとき、自分フィールド上の融合素材モンスターを墓地に送り、融合召喚を行う!」
「私のフィールドのモンスターのコピーとで融合召喚するの!?」
「レベル6のアクアアクトレス・アロワナを撮影!
そして、撮影したレベル6の水属性モンスターのアロワナと隻眼のパスト・アイを融合する!
鱗煌めく大河の覇者よ!我が目に宿りて、その力を捧げよ!融合召喚!!」
機械的だったさっきまでとは打って変わって感情の宿る言葉で祝詞を叫ぶ
「現れろ!全てを切り裂く水の剣!CCC武融化身 ウォーター・ソード!」
武融化身ウォーター・ソード ATK2400→2700
現れたのは水のように煌めくディスク状の機械の様なモンスター
それには多数の数の宝玉と1本の剣がはめ込まれている
「
「でもでも、私のフィールドには
「ウォーター・ソードは戦闘時、フィールド上のこのカード以外の水属性モンスターの攻撃力を全て加える!」
「なっ!?それじゃ!?」
「今フィールドに居る水属性モンスターはアユのモンスター5体!」
「総攻撃力は5900、アロワナに攻撃すれば
「それじゃ、アユちゃんは・・・」
「行って、CCC武融化身ウォーター・ソードでアクアアクトレス・アロワナに攻撃!」
ディスクの宝玉が光を放ち、設置されていた剣の刀身に水が纏う
その剣はひとりでに浮かび上がり、目標に向かって射出される、だが
――ドコッ!!
「えっ!?」
――ザアアアァァァァァァ!!
その行く手は岩肌を粉砕し流れ込んできた大量の水によって止められた
「トラップカード、ポセイドン・ウェーブを発動させたよ
このカードは相手モンスター1体の攻撃を無効にする。」
ウォーター・ソードの剣を飲み込んでもその水は留まることを知らず、未だに流れ続け、人型を形成していく
「さらに私のフィールドの水族、魚族、海竜族のモンスター1体に付き、相手に800ポイントのダメージを与える!」
「なっ!?」
「言ったでしょ、アロワナに攻撃したら返り討ちって!
4000ポイントのダメージ、受けてもらうよ!いけー!!」
大量の水を圧縮されて形成されていた人型は崩壊し、零羅に津波となって押し寄せる
「ぼ、僕は墓地のトラップカード、ダメージ・ダイエットを除外して効果発動!
このターン、僕が受ける効果ダメージは半分になる!うわああぁぁ!!」
LP4500→2500
「あっ、躱されちゃった・・・」
「うぅ・・・バトル終了、僕は墓地のシャッフル・リボーンの効果発動
このカードを除外し、自分フィールド上の表側表示カードを1枚デッキに戻すことでデッキから1枚ドローする。
ウォーター・ソードをデッキに戻して1枚ドロー
カードを1枚伏せて、ターンエンド
エンドフェイズにシャッフル・リボーンの効果で手札を1枚除外しなくちゃならないけど、僕の手札は0だがら、不発・・・」
「何と言う攻防でしょうか!
零羅選手の必殺の一撃に反撃したアユ選手ですが、零羅選手はこれを最小限のダメージで抑えましたー!」
「そう簡単に勝たしてはくれないよね
私のターン、ドロー
私はアロワナとテトラ2体の効果でデッキからグッピーと
さらにオパビニアの効果、オーバーレイユニットを1つ使ってデッキから、バージェストマ・ハルケギニアを手札へ」
オパビニア ORU1→0
「よし!魔法カード、嵐を発動
自分フィールド上のマジック、トラップカードを全て破壊して、その後、破壊したカードの数だけ相手フィールド上のマジック、トラップカードを破壊する!」
「っ!?トラップ発動!!和睦の使者!
このターン、僕のモンスターは破壊されず、戦闘ダメージも0になる!」
「だったら、効果ダメージはどう?
チェーンしてトラップカード、ダイヤモンド・ダストを発動
フィールドの水属性モンスターをすべて破壊して、この効果で破壊されて墓地へ送られた水属性モンスター1体に付き、500ポイントのダメージを与える!」
アユのモンスターが氷像となって砕け散り零羅に向かって飛散する
「墓地の2枚目のダメージ・ダイエットの効果発動!
このカードを除外してこのターン僕が受ける効果ダメージは半分になる!!うわぁ!?」
LP2500→1250
「う~ん、ダメかぁ・・・嵐の効果で
零羅君の騎士道精神、
互いのフィールドにカードがなくなるが、アユはこれだけでは終わらない
無格好でも勝利を目指し、最善を尽くす、それが師の教えなのだから
「破壊された
戻ってきて、アクアアクトレス・グッピー、バージェストマ・オパビニア!」
グッピー「ピィ!」
DEF600
オパビニア「ギシャアアァァァ!」
DEF2400
「オパビニアが居る時、私は手札からバージェストマ罠を発動できる
私はバージェストマ・ピカイアを発動
手札のバージェストマカード、バージェストマ・ハルキゲニアを捨てて2枚ドロー
そして、チェーンして墓地のトラップ、バージェストマ・ピカイアを通常モンスター扱いで特殊召喚」
ピカイア ATK1200
太刀魚のように長い体をくねらせて、泥の中から古代生物がよみがえる
「さらに手札からトラップカード、バージェストマ・ハルキゲニアを発動
フィールドの表側表示モンスター1体を選択して、その攻守をターン終了まで半分にするよ」
グッピー DEF600→300
ATK600→300
「えっ?自分のモンスターを・・・?」
「そして、墓地のトラップカード、バージェストマ・ハルキゲニアの効果発動
バージェストマ・ハルキゲニアにチェーンして通常モンスター扱いで特殊召喚」
ハルキゲニア ATK1200
針のような脚部に背部に無数のチューブ所の管を生やした生物が水浸しで泥のようになったフィールドから這い出してくる
「アクアアクトレス・グッピーを手札から通常召喚」
グッピー ATK600
「よ~し、私はレベル2のアクアアクトレス・グッピーとバージェストマ・ハルキゲニア、ピカイアの3体でオーバーレイネットワークを構築
出てきて!太古の海に潜む最強の捕食者!バージェストマ・アノマロカリス!!」
アノマロカリス「シャアアアァァァァァァ!!」
ATK2400 ORU3
その体長は優に10メートルは超すであろう巨躯に濃紺の甲殻を持つ太古の食物連鎖の頂点
その2本の爪の生えた碗が獲物を狙う
「さらにバージェストマ・マーレラ発動
デッキからトラップカード、邪神の大災害を墓地に送るよ
さらにこのカードにチェーンして、墓地からバージェストマ・オレノイデスを通常モンスター扱いで特殊召喚」
赤紫の三葉虫がハルキゲニアと同じく、泥中から這い出す
オレノイデス ATK1200
「アノマロカリスの効果、私のマジック、トラップゾーンからトラップカードが墓地に送られた時、デッキの1番上のカードを確認してそれがトラップなら手札に加え、それ以外なら墓地に送る
デッキの1番上は・・・やった!トラップカード、
「レベル2のアクアアクトレス・グッピーとバージェストマ・オレノイデスでオーバーレイネットワークを構築
エクシーズ召喚、バージェストマ・オパビニア!」
オパビニア「シャアァァ!」
DEF2400 ORU2
「オパビニアの効果でバージェストマカードをって行きたいところだけど、オパビニアの効果は1ターンに1度しか使えないから・・・
永続魔法、
アノマロカリス ATK2400→2700
DEF0→300
オパビニア DEF2400→2700
ATK0→300
オパビニア DEF2400→2700
ATK0→300
再び海底となるフィールド、その中を悠然とアノマロカリスが泳ぎ回り、海底ではオパビニアが待ち構える
捕食者だらけの無法の海と化した場に零羅の感じる恐怖はピークに達していた
(兄様にもらったカードがこの子には通用しない・・・
兄様にもらったヒカリがこの子には届かない・・・)
兄、赤馬零児からもらった力であるウォーター・ソードは激流に呑まれて阻まれた
そして今、太古の捕食者たちは、今か今かと獲物である自分を狙っている
(僕じゃ勝てない・・・
僕じゃ負ける・・・
僕じゃ・・・死ぬ・・・)
少年の過去に刻まれた記憶、死と隣り合わせの日常
迫る敗北は死の前兆だと零羅の頭が訴えてくる
「あ・・・あぁ・・・」
フィールドにはもはやカードは1枚もない、手札もない、墓地にあるダメージ軽減カードは使い切った
生きるために模倣をしてきた少年はもはや模倣するだけの材料すらない状況で、迫る敗北に震えるしかなかった
――ガチガチガチッ!
凍えるように寒い、奥歯がガタガタ鳴る、手も震えて言う事が聞かない
その様子を見ていたニコも異常かと声をかけようとするが
「あきらめないで!!」
アユの声が先に響いた
「えっ・・・?」
「負けるのって怖いよね?でも、私はこんな形でデュエルを終わらせたくない」
対戦者、それも今から自分を食らおうとしている捕食者の主である少女からのわがまま
「どうして・・・?」
「だって、あなたとのデュエル、すっごく楽しいんだもん!」
「楽しい・・・?」
少女からの意外な言葉、死と隣り合わせの戦いの何が楽しいのだろうか?
「うん、あなたのカードって見たこともないのばっかりだし、戦い方もすっごくユニークだし、次は何が出るんだろうって、すっごくわくわくするの!」
わくわく?何を言っているんだ、戦いにそんなものいらないじゃないか
「ねぇ?なんで、そんなに楽しそうなの?」
零羅の中に生まれた疑問、それはアユに対する初めてのアクション
嘲りなど感じない、彼女から伝わって来る純粋な「楽」の感情に対する疑問だ
「えっ?あなたはデュエルが楽しくないの?」
「!?」
その瞬間、零羅が理解した彼女と自分の決定的なズレ
彼女は戦いが好きなわけじゃない、彼女は殺しが好きなわけじゃない、彼女は戦争が好きなわけじゃない
彼女は「
これは戦いではない、これは殺しではない、これは・・・戦争ではないのだから
「・・・・・・僕の、ターン!ドロー!」
殺されることはない、死ぬことはない、殺すこともない
それがわかった時、零羅の心は軽くなった
死の恐怖がなくなって、零羅に中に残ったのは「負けたくない」という、子供らしい思いだった
「僕は魔法カード、命削りの宝札を発動
手札が3枚になるようにドローする
ただし、このターン特殊召喚が行えず、エンドフェイズに手札を全て墓地に送る
さらに魔法カード、強欲で貪欲な壺を発動
デッキの上から裏側表示で10枚のカードを除外して発動し、2枚のカードをドローする。
そして、カードを4枚セット!」
「おっと、そうはいかないよ!
バージェストマ・アノマロカリスのもう1つの効果
トラップカードをオーバーレイユニットにしているとき、オーバーレイユニットを1つ使ってフィールド上のカードを1枚破壊する。
この破壊効果は相手ターンにも発動できる
私はオーバーレイユニットを1つ使い1番右のカードを破壊するよ!」
アノマロカリス「シャアアァァァァ!」
ORU3→2
「させない!墓地のトラップカード、ブレイクスルー・スキルの効果発動
このカードを除外して相手モンスター1体の効果をターン終了時まで無効にする!!」
「あう~また、防がれちゃった・・・」
「僕はこれでターンエンド」
「よ~し、このターンで決めちゃうんだから!ドロー!」
「トラップ発動、バトルマニア
このカードは相手ターンのスタンバイフェイズに発動可能
相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターは全て攻撃表示になり、このターン表示形式は変更できず、このターン攻撃可能なモンスターは攻撃しなければならない!」
オパビニア DEF2700→ATK300
オパビニア DEF2700→ATK300
(攻撃強要カード、だったら残りの3枚はミラーフォースみたいなカード!?)
「私はバージェストマ・オパビニアの効果発動
オーバーレイユニットを1つ使いデッキからバージェストマ・オレノイデスを手札に加えて発動
フィールド上のマジック、トラップカードを1枚破壊するよ、真ん中のカードを破壊!」
「ダメ!トラップ発動、
墓地の融合素材を裏側表示で除外して融合召喚する
僕は墓地のCC隻眼のパスト・アイと神竜アクアバザルを融合!
天に届きし水の柱よ、我が目に宿り、力捧げよ!融合召喚!!
再び現れろ!全てを切り裂く水の剣!CCC武融化身 ウォーター・ソード!!」
兄からもらったカードから生まれた零羅を守る盾にして剣、ウォーター・ソードが再びその姿を現した
武融化身ウォーター・ソード ATK2400
「うっ!?そのモンスターは・・・だったら、まずはトラップカードが墓地に行ったから、アノマロカリスの効果発動、デッキトップはダイヤモンド・ダスト、トラップカードだから手札に加えるよ
さらにアノマロカリスの効果発動
オーバーレイユニットを1つ使って、ウォーター・ソードを破壊!!」
「させない!速攻魔法、禁じられた聖杯を発動
フィールド上の表側表示モンスターを1体選択し、そのモンスターの攻撃力を400アップさせて効果を無効にする。
アノマロカリスの効果はこれで無効!」
アノマロカリス「ギャアアァァァ!?」
ATK2700→3100 ORU2→1
ウォーター・ソードに襲い掛かるアノマロカリスだったが、黄金の杯がぶつかりそれを妨害する
「まだだよ!トラップ発動、
私の墓地にアクアアクトレスモンスターが居る時、フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
そのモンスターはターン終了まで、効果を無効にして攻撃力、守備力が100になり、さらに相手のカード効果を受けられなくする!」
「リバースカード発動、速攻魔法、禁じられた聖槍
このターン、フィールド上のモンスター1体の攻撃力を800ダウンさせ、このカード以外のマジック、トラップカードの効果を受けられなくする!」
青紫の玉手箱の中からあふれ出た霧がウォーター・ソードに向かうが、ウォーター・ソードから聖なる力を秘めた槍が射出され、魔力の宿った霧を払う
武融化身ウォーター・ソード ATK2400→1600
「あはは、やっぱり君すごいね!」
もはやアユに打てる手立てはない、次のターンになれば勝利は確実だがバトルマニアの効果を受けたモンスター達をどうにかする手段がないのだ
悔しさはあったが、純粋に相手の力量が上だったのだ
アクションカードを探すという手段もあったが、周囲にそれらしきものはない
探しているうちにモンスター達が待ちきれずに動き出してしまうだろう
「うん・・・私の負けだね・・・
バージェストマ・アノマロカリスでウォーター・ソードに攻撃!」
「ウォーター・ソードの効果!
戦闘時にフィールドのこのカード以外の全ての水属性モンスターの攻撃力を自身に加える。」
武融化身ウォーター・ソード ATK1600→4900
――ザシュ!!
水の剣が太古の海王を両断する
そして、その余波が水圧となってアユへと襲い掛かる
「あうぅ・・・バージェストマ・オパビニアで攻撃!」
LP4000→1800
「ウォーター・ソードの効果!」
ウォーター・ソード ATK1600→2200
――ザシュ!!
オパビニアも同様に切断された
「きゃああぁぁ!!うぅ・・・これで」
LP1800→200
「最後・・・」
ウォーター・ソード ATK1600→1900
――ザシュ!
最後のオパビニアにウォーター・ソードが墓標の様に突き刺さり、ここの勝敗は決した
アユLP200→0
「ふぅ・・・」
勝った・・・しかし、なんだろう、この気持ちは?
疲れが心地よい、まだ体が熱を持っている
「あ~負けちゃった~」
さっきまで対戦していた女の子が近づいてくる、何しに来たんだろう?
「はいこれ、ニコさんが忙しいから渡しておいてくれって」
僕のぬいぐるみ
「このために?」
「う~ん、それもあるけど、君とのデュエルすっごく面白かったから、またやりたいなって、ダメ・・・かな?」
またデュエルがしたい、それが言いたくて来たんだ
なんだろう、胸の奥がポカポカする
またこの子とデュエルをすれば、この気持ちの名前が分るだろうか?
「うん・・・いいよ。」
「やったー!じゃあ、次は負けないからね!
あっ!3回戦は私と同じ塾のフトシだから頑張ってね、それじゃ!」
彼女はそう言って、彼女の仲間の所に帰ってゆく、負けたのに楽しそうだ
「零羅」
僕を呼ぶ声、いつの間にか兄様がスタジアムの入り口まで下りてきていた
僕はすぐさま、兄様の下に駆け寄った
「兄様・・・」
兄様はゆっくりと手を差し出して、僕の頭を撫でてくれる
安心する、僕のヒカリ
「よくやった、その調子だ。」
褒められた、胸の奥が熱くなる
そうだ、思い出した・・・この気持ちの名前は「うれしい」だ
また兄様に褒めてもらおう、そのために勝ち進もう
そして、できれば・・・あの子の言う様に楽しいデュエルをしよう
う~む、ユート最後の攻防、お前の戦術に似てなかったか?
あぁ、赤馬零児があの子に俺たちのデュエルを見せていたのはこのためか?
わからん、そういえば次の試合はあの遊矢とかいう奴らしいぞ
あぁ、俺と同じ顔を持つこの世界の住人か・・・
資料でしか見たことがなかったが、実際のデュエルを見られるのは楽しみだな
あぁ、次回 遊戯王ARC-V Rーe:birth『因縁の歴史』
これは本当にデュエルなのか?
「CC」カード群の効果について
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制作したものをそのまま使用
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後付け効果を削除
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メインに入るカードの後付け効果のみを削除
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EXのカードのみをアニメ寄りにして使用
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完全にアニメカードそのまま