仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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ある意味第二章のターニングポイントです


第10話 侵入!鏡の世界!

 「お先に失礼します。お疲れさまでした」

 

 

 「「「「「「「「お疲れさまで~す」」」」」」」」

 

 

 そんな従業員の声に見送られて、睦月は控え室を出た。

 

 

 あれからまた一週間が経った。その間に変わった事は、睦月のアルバイトが再開したことだ。

 

 

 別に生活費に困ったからではない。お金なら、頼めば親が出してくれるんだからー睦月の父親は、高見沢グループほどでは無いがそこそこ有名な企業の社長だー。ただ、スーパーが本当に人手不足らしく、買い物をする度に忙しく動いているのが目に入ったからだ。

 

 

 その事を二人に話したら、家の事は自分たちに任せてと愛矢となぎさは同意してくれた。

 

 

 また、だからと言って魔女にされた人達を放っておくのも違うと思うので、平日の何日かは朝だけ、土曜日は9:00~17:00とシフトを調整した。向こう側もなぎさと一緒に暮らしているのは知っているので、睦月の我が儘もあっさり通った。本当、良い所に雇われたものだ。

 

 

 そんなことを考えながら帰り道を歩いている時だった。

 

 

 キーン、キーン、キーン、キーン…

 

 

 「! この音は!?」

 

 

 そう睦月が反応した時だった。近くのゴミ捨て場に捨ててあった置き鏡から怪物が飛び出してきた。睦月はとっさに躱し、怪物と距離を取った。

 

 

 それは銀色のイカを逆さまにしたような姿で、そこから手足が伸びていた。そして手には吸盤がいくつもついた鎧のようなものを装着していた。

ミラーモンスター、バクラーケン。

 

 

 「鏡の怪物」

 

 

 睦月はバックルを腰に巻いた。

 

 

 「変身!」

 

 『♧ Open Up』

 

 

 睦月はレンゲルに変身すると、ラウザーを大きく振り回した。初めの打撃がバクラーケンにうまく決まり、モンスターは少し怯んだ。睦月はそれを見逃さず、さらに二発三発と打撃を加えていき、とどめにバクラーケンに突きの攻撃を与えた。

 

 その一撃にバクラーケンは大きく吹っ飛ぶ。

 

 

 「とどめだ」

 

 

 睦月がカードを取り出そうとした時だった。バクラーケンは、自身の側に家屋の窓があることに気付き、その中に入っていった。

 

 

 「なっ!?」

 

 

 モンスターの予想外の退場に睦月は驚き、その窓の側に駆け寄った。

 

 

 「逃げた・・・?この中に・・」

 

 

 と言いながら窓に触れた時だった。

 

 

 突如、自身の体が窓に吸い込まれ、そのまま窓の中に入ってしまった。

 

 

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!」

 

 

鏡、鏡、鏡・・・。上を見ても下を見ても右を見ても左を見ても自身を写す姿見だけ。そんな姿見だらけの道に睦月はただ流されていく。そして―

 

 

 「グハッ!」

 

 

 体制を整える間もなく睦月は窓から投げ出された。

 

 

 睦月は立ち上がり、辺りを見渡した。

 

 

 「ここは―、」

 

 

 始め睦月は元の場所に戻っただけだと思った。しかし実際は違った。窓に貼られていた住民募集のポスターの文字が反転していた。

 

 

 今睦月がいるのは、鏡の中の世界だった。

 

 

 魔女が住む結界や姿見から怪物が出てくる事から鏡の向こうには別世界があると無意識に考えていたが、実際に目の当たりにすると衝撃的だった。

 

 

 小さな物音が聞こえて、ふと音の方向を見ると、先ほどのモンスター、バクラーケンがその場を離れようとしていた。

 

 

 「あっ、待て!」

 

 

 睦月は慌てて追いかけた。ラウザーを振り回して何とか当てようとするが、全て空振りに終わった。

 

 

 「おい待て!逃げんな!」

 

 

 そう叫んだ時だった。

 

 

 「はい、邪魔」

 

 

 バクラーケンがT路路に差し掛かった時、左から蹴りが見えた。思わぬ攻撃にバクラーケンは大きく吹っ飛ぶ。

 

 

 「ほら、今はお前の相手をしてる場合じゃ無いから早くどっか行けよ」

 

 

 そう言いながら左から"何か"が出てきた。いや、"誰か"だ。

 

 

 それは、全身を灰色の鎧で纏い、動物のサイを思わせる見た目をしたライダー、仮面ライダーガイだった。睦月はふと足を止めた。

 

 

 睦月がその姿に気を取られてる隙に、バクラーケンは逃げて、見えなくなった。しかし、今はそれを気にかけてる場合では無かった。

 

 

 「誰だ?お前は…」

 

 

 「俺たちとは違うタイプのベルト…。じゃあ"侵入者"って事で間違いないよね」

 

 

 そう言いながらガイはバックルからカードを一枚取り出した。それは、睦月が持ってるカードとは少し違う作りになっていた。

 

 

 「あの人からは"侵入者"と出くわしたらどうすればいいかは聞いてないから、倒させて貰うよ。討伐クエスト開始」

 

 

『STRIKE VENT』

 

 

 ガイの右腕に先端に角のようなモノを付けた装甲―メタルホーン―が現れた。まるでサイの頭を思わせるような。

 

 

 「行くよ」

 

 

 そう言うとガイは睦月に向かって走り、そのままメタルホーンを突き刺した。

 

 

 「うぁ!」

 

 

 睦月は咄嗟にラウザーで防いだ。

 

 

 「いきなり何するんだ?」

 

 

 「いや悪いね。あんたに恨みはないけどあんたを倒さなきゃライダーバトルが再開しないからさ!」

 

 

 そのままガイは睦月を蹴った。反動で睦月は少し怯む。その隙にガイは再びメタルホーンを突き上げた。今度は受け身を取れず、体が大きく吹っ飛ぶ。

 

 

 「まぁそんな事をしなくても良いってあの人には言われてるんだけどさぁ、俺もあの人の事を完全に信用してる訳じゃ無いから、保険を掛けときたいんだよねぇ」

 

 

 さっきからガイの言ってる事が半分も分からなかった。しかし、このままでは殺されるのは明白だった。

 

 

 「うぉぉぉぉ!」

 

 

 睦月は負けじとラウザーで反撃に出た。しかし、ガイはメタルホーンを巧みに扱い、攻撃を防御したり受け流したりした。

 

 

 「ダメダメ。そんな攻撃じゃ当たらないよ」

 

 

 睦月は今まで、魔女やミラーモンスター達と戦ってきたが、それらは野生動物のように本能のままに攻撃をする相手であった。故に、睦月の攻撃も比較的簡単に当てられたのだが、今回の相手はライダー。睦月と同じ人間だ。戦いに対して知性があるため、睦月の大きな攻撃は簡単に見切られてしまう。

 

 

 まだレンゲルとして戦い始めたばかりの睦月と数えきれないほどモンスターと戦ってきたガイとでは圧倒的に経験値が違う為、睦月の方が圧倒的に不利だった。

 

 

『♧2 STAB』

 

 

 睦月がカードをスキャンしたのを見て、ガイもまたカードを引き、肩に付いた挿入口に投げ入れた。

 

 

『CONFINE VENT』

 

 

 「うぉぉぉぉ!」

 

 

 睦月の渾身の突きがガイの胸部に決まるはずだった。しかし、その攻撃は彼の腕一本で止められてしまった。♧2で強化されてるはずなのに何故かその効果が消えていたのだ。

 

 

 「くっ・・・」

 

 

 「そのまま、そのままだよ」」

 

 

 『ADVENT』

 

 

 すると、家の塀を突き破り、サイのモンスター―メタルゲラス―が横から突っ込んで来た。

 

 

 突然の事で受け身を取れなかった睦月はメタルゲラスの突進を一身に浴び、倒れた。

 

 

 「これでわかったでしょ?お前じゃ俺は勝てない。経験が違う」

 

 

 そしてメタルホーンを構え、ゆっくりと睦月の元に近付いていった。

 

 

 「とどめだ」

 

 

 バサッ

 

 

「羽」の音が聞こえた。

 

 

 バサッ

 

 

 その音はどんどん大きくなっていった。

 

 

 バサッ

 

 

 睦月とガイはその音のする方向を見ると、

 

 

 「なっ!」

 

 

 「あれは…」

 

 

 天使、いや、悪魔、いや、その両方を併せ持ったような、神話に現れそうな存在が目の前にいた。

 

 

 それは真っ白で脚まで届くほど長髪で、前髪は黒く輝く宝石が付いたピンで留めていた。ボロボロの銀色の鎧、(しかもそれが付けられているのは体の左半分だけ)そして腰にはくすんだ灰色のベルト―バックルに異様な模様が彫られていた―を身に付けていたが、割れた鎧から見えるローブは汚れ一つ無く純白で、背中からは右は白、左は黒色の翼が生えていた。顔の右半分には割れた仮面を付けていた。顔が見える左半分を 見ると女性のようだった。鎧の胸の部分に鏡文字で「FAM」と印字されていて、腰より少し上の部分にはこれもまた鏡文字で「2002」と彫られていた。

 

 

 「おいおい、マジかよ。まさかあれがあの人の言っていた力…本当にあったのか…」

 

 

 それを見たガイは、さっきまでの余裕のある表情とはうって代わり、非常に興奮していた。

 

 

 「今日は本当にラッキーだ。パトロールがてら普段来ない所まで来て正解だったぜ!」

 

 

 そう言うとガイは狙いを彼女に変えて、メタルホーンを構えたまま突進していった。

 

 

 「その力、俺によこしやがれぇぇ!」

 

 

 それに対し彼女は、2枚の翼を大きく広げ、それらを一振り。

 

 

 「なっ!? ぐわぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 「くっ! ぐあぁぁぁぁ!」

 

 

 黒と白の風がガイを襲い、その風圧に睦月も巻き込まれた。二人は向かいの家の塀を突き破り、睦月は庭に、ガイはその家の居間の床に倒れた。

 

 

 彼女は先ほどまで二人が立っていた道に降り立ち、ただ黙って二人を見つめたまま、ゆっくりと歩いた。

 

 

 その姿に睦月は、今まで感じた事のない恐怖を味わった。

 

 

 「はぁ…やっぱ俺だけじゃ荷が重かったか。まぁ今はあんたが本当に存在したと分かっただけでよしとしよう。じゃあな」

 

 

 ガイは立ち上がると、近くにあった置き鏡からいそいそと退散した。

 

 

 そして睦月と彼女だけが残された。彼女と二人きり。それだけで睦月は吐き気を催すほどの恐怖があった。

 

 

 自分も早く鏡から出たい。だけど、ガイが使った鏡からは出たく無かった。

 

 

 尚も近付いてくる彼女に対する恐怖を捩じ伏せ、睦月は震える手で2枚のカードを取り出した。

 

 

『9 SMOG』

 

 

 ラウザーを彼女に向けて、紫色の煙を噴出させた。そしてさらに、

 

 

『7 GEL』

 

 

 睦月は自身の体を液状化させ、猛スピードでその場を去った。

 

 

 隙間を縫いって右へ左へ。そして睦月が最初に入った窓を見つけると、そのまま飛び乗った。

 

 

 ふと横を見ると、窓に不動産のポスターが貼られていた。もちろん文字は普通だ。

 

 睦月は変身を解除すると、そのまま崩れ落ちた。

 

 

 ドッと疲れが出た。心臓はバクバクうるさい。あのとき現れた彼女に対する恐怖がまだ消えない。

 

 

 魔女や鏡の怪物、そして今日戦ったガイ。それらとは違う、異様な恐ろしさだった。今回逃げ切れた事も奇跡としか言いようがない。

 

 

 このまましばらくじっとしていたいが、彼女が怪物と同じように鏡から現れるかもしれない。そう考え、立ち上がろうとしたその時だった。

 

 

 パシャッというシャッター音が聞こえた。

 

 

 「えっ?」

 

 

 「おいおい、マジかよ。これは一大スクープだぜ。怪物と戦う黄金のヒーロー、それが俺の知り合いだったなんてよ」

 

 

 そこにはカメラを持った剣持晴人の姿があった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

都内にある某アパート

 

 

 その一室に仮面ライダーガイの変身者、芝浦淳(しばうら じゅん)が戻った。

 

 

 「どこへ行っていた?」

 

 

 「あ? 散歩だよ。ちょっとした散歩」

 

 

 「そんな暇があるのか?お前があれを完成させない限り計画が次に進まないんだ。ふん、まぁ大方、俺たちを信用できず”侵入者”を探しに行ったといった所だろ」

 

 

 「散歩だって言ってんだろ。それも、有意義な・・・・お前らが求めてるモノに会った」

 

 

 「何!?」

 

 

 「あんたらの言ったとおりだったよ。あれは桁外れだ。確かに、あれだけの力があれば願いを一つだけなんてちんけなモノ以上のことが実現できるだろう。これなら神崎士郎も出し抜ける。俄然、やる気が湧いたよ」

 

 

「ならば早くあのシステムを完成させろ。それが俺たち、『パラディ』の要になるんだからな」

 

 

続く

 

 




<キャラクタープロフィール②>
三葉 睦月(みつば むつき)

年齢:19歳
身長:176.5cm
体重:58.5kg
血液型:A型
将来の夢:記者
好きな食べ物:甘味系
好きな場所:自宅
性格:責任感が強い
好きなモノ:トランプ
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