仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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遅くなって申し訳ございません(^ U ^)


第11話 俺、参上!

 見られた。バレた。最悪だ。レンゲルの事は何よりも秘密にしておきたかったのに。

 

 

 「遠出はしてみるもんだぜ。まさか、こんなスクープを見つけられたんだからな」

 

 

 鏡の世界、意味の分からない言葉を発したガイ、そしてあの女性。これらのことで頭がいっぱいだと言うのにここにきて正体がばれるなんて。

 

 

 そんなことを考え、頭が真っ白になっていたのだが、

 

 

 「そんじゃまぁ早速、OREジャーナルさんに連絡しましょうかねぇ」

 

 

 「な!おいバカ!やめろ!」

 

 

 晴人のその一言でハッと目が覚めた。そして、そうなるであろうことも晴人にはお見通しだったようだった。

 

 

 「おっと、ようやく反応してくれたな。ったく、あまりにもリアクション薄いからどうしたもんかと思ったぜ」

 

 

 「・・・・・」

 

 

 「そう睨むなよ。取引しようぜ」

 

 

 「取引?」

 

 

 「何、別に無理難題を頼もうってんじゃない。話は簡単だ。このことについて黙ってほしければ、あの時の頼みを今聞いてくれというだけさ」

 

 

 「あの時の・・・頼み・・・?」

 

 

 そう言って晴人は携帯に入っていたOREジャーナルの記事―最初にレンゲルを撮られたあの記事だ―を見せて言った。

 

 

「この金のライダーについて、朝まで語り合ってくれ」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「ただいま」

 

 

 「睦月! お帰りなさ…」

 

 

 睦月を出迎えたなぎさと彼女に続いて出迎えに来た愛矢は隣にいる晴人を見て怪訝な表情を浮かべた。

 

 

 「睦月、誰なのですか?」

 

 

 「よっ。俺は剱持晴人。ちょっと睦月君に用があって来たんだ。邪魔するぜ~」

 

 

 「あっ、馬鹿オイ!勝手に上がるな!お前はこっちの部屋に入ってろ!」

 

 

 睦月は自分の部屋を指さして言った。

 

 

 「お茶でも入れるから大人しくしてろ」

 

 

 そして晴人を自室に入れ、なぎさと愛矢を連れて睦月は居間へ向かった。

 

 

 「睦月さん、今の人って…」

 

 

 居間に入って早々愛矢は言った。

 

 

 「俺の正体がバレた」

 

 

 「「えっ!?」」

 

 

 二人は大きく目を見開いた。

 

 

 「バイトの帰りにあの鏡にいる怪物に会っちまってな、それと戦って、変身解除した瞬間を見られちまったんだ」

 

 

 愛矢には自分のことを怪物を密かに退治するために結成された警察の特殊部隊の一人だと説明しているので、慎重に言葉を選んで言った。

 

 

 「あいつの写真をばら蒔かれたら、怪物の事までバレて町中がパニックになる。だから、俺が何とか言って口止めをしておくから、お前達はしばらく俺の部屋には近付かないでくれ」

 

 

 「は、はい」

 

 

 「分かったのです」

 

 

 二人は同意した。

 

 睦月は手早く紅茶を入れ―二人に先ほどの事を話す為に咄嗟に言ってしまった事なので仕方なく―自室に持っていったのだが、

 

 

 「なっ…」

 

 

 晴人はクローゼットを開け、ごそごそ家探しを行っていた。

 

 

 「おいお前!何やってんだよ!?」

 

 

 「いや~、ライダーの家にしては普通過ぎるなと思って何か秘密基地に行けるようなスイッチでもあるんじゃないかなってよ」

 

 

 「そんなのあるわけないだろ!いいからやめろ!」

 

 

 「分かった分かった。じゃあ後はここだけ調べさせてくれ」

 

 

 と言い、晴人は机の引き出しに手を掛けた。

 

 

 「あっ!そこは・・・!」

 

 

 「ん?」

 

 

 晴人は引き出しの中身を見て不思議そうな表情を浮かべた。そこにはレンゲルバックルとは別の二つのバックルと、スペード、ダイヤ、ハートのスートのカードがしまわれていた。

 

 

 「何だ?これ?」

 

 

 バックルを宙にかざす晴人を見て、睦月は大きなため息をついた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「それじゃあ話をまとめると、お前は世界を侵略しようとしている怪物と戦うように政府に命令された戦士で、極秘裏にそれを退治しているということか?」

 

 「そういうことだ」

 

 

 ライダーの存在がばれてしまった以上ライダーの存在意義について説明しなければいけない。しかし、だからと言って魔女やなぎさ達の事を明かすのだけは避けたかったので、晴人には愛矢に話したのと同じ内容を説明した。

 

 

 「なるほど、だからOREジャーナルへの投稿はやめろということだな?」

 

 

 「そうだ。秘密がばれると皆パニックになる。だから、今日見たことは無かったことにしてほしい」

 

 

 「そうかそうか。よく分かったよ。それじゃあ―」

 

 

 晴人はそこで一度言葉を切り、こう告げた。

 

 

 「こいつは投稿するで決まりだな」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――は?

 

 余りにも予想外な答えに睦月は、晴人が何を言っているのか理解するまで数秒かかった。

 

 

 「はぁ!?お前何を言って―」

 

 

 「俺は言ったよな?ライダーについて朝まで語ろうって。でも、お前が今語った内容にどれだけ本当のことがあった?」

 

 

 「嘘だって言うのか!?確かに嘘みたいな話だったけど全部本当の事で―」

 

 

 「矛盾点1、本当に政府から特命で怪物を倒すように命令されているなら、OREジャーナルが簡単に記事にできるわけがない。圧力とか掛かるのが普通なのに今のところそれがない」

 

 

 「あっ・・・・」

 

 

 「矛盾点2、いや、これは疑問と言うべきなのか? お前と一緒に住んでいる彼女たちは何者だ?」

 

 

 睦月はその言葉に大きく反応した。一番触れてほしくなかった部分だったからだ。

 

 

 「政府から特命を受けているのなら一般の女の子を二人も巻き込ませるわけないよな?あの子たちがこのバックルを使って戦う戦士ならさっきの場所にいなかったのも不自然だから戦士でもない。なら、彼女たちは一体何者なんだ?勘だが、本当はそれが俺に写真を投稿してほしくない一番の理由なんじゃ無いのか?」

 

 

 二人の間に沈黙が広がった。しかし、本当は睦月も分かっていた。晴人がなぎさ達に興味を持ってしまった以上、本当のことを話すしかないと。

 

 

 「外に行こう」

 

 しばらくして、睦月はそう言った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「魔女・・・?魔法少女の末路?そこから解放されたのがあの子達ってことか?」

 

 

 「あぁ、そうだ。信じられないかもしれないけど、これが本当の真実で、俺が戦う理由でもあるんだ。この世界にいる魔女を倒して、そこから人を救い出すこと。それが俺の目的だ」

 

 

 「なるほどね。しかしピンと来ねぇな。それとライダーの公開を止めさせるのとどういう関係がある?むしろ味方が増えた方がその魔女とやらを捜すのも倒すのもより効率的にできそうだが」

 

 

 「それは、あの子達、なぎさちゃんと愛矢のためだ」

 

 

 「ん?どういうことだ?」

 

 

 「あの子達は、記憶が一部抜け落ちているんだ。なぎさちゃんは魔法少女になるより前の、愛矢については自分が魔法少女で魔女になってしまったことそのものを忘れている。そして俺は、その真実は知らなくてもいいと思っている。お前は見てないから分からないかもしれないけど、自分が魔女だったことを思い出した時のなぎさちゃんの顔・・・あの顔だけはもう二度と見たくないんだよ。俺がレンゲルの公開を止めろと言ったのは、ライダーについて不必要な刺激を彼女たちに与えてほしくないからなんだ」

 

 

 「・・・・・・・・・・・」

 

 

 「それともう一つある。これは今日起きた出来事なんだが―」

 

 

 「もう一つ?」

 

 

 「今日俺は、他のライダーに会った。そいつは俺の事を“侵入者”と言って攻撃してきたんだ」

 

 

 「“侵入者”?」

 

 

 「その意味は分からない。だけど、そのライダーの使ってたバックルやカードの作りが俺のと根本的に異なってたからそれに関係あると思うんだ。とにかく、お前にレンゲルについてこれ以上情報流されると、他のライダーが何をしてくるのか分からない。あの子達にもきっと危害が及ぶ。だから頼む!俺がライダーだってことは黙ってください!」

 

 

 睦月はそう言って頭を下げた。

 

 

 「なるほど。お前の事情は分かった。要するに、ハーレム作りたいから邪魔すんなってことだな?」

 

 

 「はっ、はぁ!!?馬鹿っお前!そんな邪な理由で死線をくぐってたまるか!ハーレム作りたいが為に戦うヒーローなんて聞いたことねぇぞ!」

 

 

 「でも最終的にはそうなるんだろ?最後は誰に的絞るんだ?愛矢か?なぎさか?それともまだ見ぬ少女か?」

 

 

 「ギャルゲーじゃねぇぇぇ!」

 

 

 そう叫んだ時だった。

 

 

「睦月!」 「睦月さん!」

 

 

 愛矢となぎさが睦月の元に駆け寄ってきた。

 

 

 「お前ら、どうした?」

 

 

 「大変なのです!また、あの音が聞こえてきたのです!」

 

 

 「えっ!?場所は!?」

 

 

 「まだ遠いけどあの方向から!」

 

 

 愛矢が指差した方向に睦月は耳をすませた。

 

 

 キーン キーン キーン キーン

 

 

 確かにわずかだが音が聞こえた。

 

 

 「本当だ。すぐ行く!」

 

 

 「オイ待てよ。音って何の事だ?なにも聞こえねぇぞ?」

 

 

 「今は説明してる暇はない!お前と、なぎさちゃんと愛矢は家に入ってろ!」

 

 

 そう言い残すと、睦月は音のする方向へ駆け出した。

 

 

 キーン キーン キーン キーン

 

 

 その音はどんどん大きくなり、ある場所で足を止めた。それは、クインテットから程近い所にある公園だった。幸いにも、時刻は夕方ということもあり公園には誰もいなかった。

 

 

 「ここだ。一体どこから…」

 

 

 「やっぱ聞こえねぇなぁ。俺、聴力には自信あるんだけどなぁ」

 

 

 その声に驚いて後ろを振り向くと、

 

 

 「馬鹿!お前、何で付いてきたんだよ!?」

 

 

 「いや、お前らが言ってる音っていうのがどうにも気になったからな」

 

 

 「だからそれを今から説明…危ない!」

 

 

 睦月はとっさに晴人を突き飛ばした。

 

 

 「痛ッ!おい!いきなり何するん…!」

 

 

 晴人が驚いて見た先、そこにイカ型の怪物、バクラーケンが立っていた。睦月と晴人がいた横にあった滑り台。夕日の加減でそれが姿見のようになっていたのだった。

 

 

 「あれは・・・?」

 

 

 「あの時取り逃がしたヤツか。今度こそ倒す!」

 

 

 睦月は懐からバックルを取り出し、いつものように腰に巻こうとしたのだが、

 

 

 「ギエェェェェ!」

 

 バクラーケンは掌から触手を出し、睦月のバックルを弾いた。

 

 

 「なっ!」

 

 

 落としたバックルを睦月が慌てて拾おうとしたが、バクラーケンは触手でさらにバックルを公園の奥へ弾き出した。

 

 

 そして、それをつい目で追ってしまい、バクラーケンから目を離したことを見逃さなかった。

 

 

 触手を睦月の首もとに巻き付かせたのだ。

 

 

 「しまっ! あぁ…ぐ…」

 

 

 睦月は何とか取りほどこうとしたが、レンゲルになってない状態でそれを行うのは不可能だった。

 

 

 徐々に締め付けられ、息ができなくなる。

 

 

 そして意識が遠くなった時だった。

 

 

 首にあった触手が少しだけ緩んだ。睦月が横目でバクラーケンを見ると、それは晴人に目を向けていた。どうやら晴人は、その辺にあった小石か何かを投げたようだった。

 

 

 「おいそこのイカ野郎。変身してない一般人を殺して楽しいかよ。てめぇら怪物っていうのは案外チープだったんだな。見た目が気持ち悪いだけの木偶の坊かよ」

 

 

 そう言いながら、晴人は"あるもの"を取り出した。それは、睦月の部屋の引き出しにしまっておいた二つのバックルの内の一つだった。

 

 

 睦月は目を見開いた。何であいつがあれを持っているんだ!? そう言えば晴人と外に出たとき、カメラを忘れたと言って一人部屋に戻っていた。あの時に持ち出していたのか。

 

 

 「まさかこんなすぐに使うとは思わなかったよ」

 

 

 バックルにスペードのAを入れ、それを腰に触れた。

 

 

 「知ってるか?俺の祖先はそこそこ名のある武士だったんだぜ?」

 

 

 赤いカードが次々に出て来て腰に巻かれていく。

 

 

 「だから俺は剣の象徴、スペードを選んだ。いや違う。スペードが俺を選んだんだ」

 

 

 晴人は構えを取り、短く言った。

 

 

 「変身!」

 

 

 そしてバックルの横にあるレバーを短く引き、Aの入ったホルダーを裏返した。赤を基調としていて、中央に金色のスペードが彫られていた。

 

 

『♤ Turn Up』

 

 

 レンゲルの時と同様に目の前にカーテンのようなものが現れた。しかし、レンゲルの時と違い色は水色で、中央に蜘蛛ではなくカブトムシの姿があった。

 

 

 晴人はそこを走ってくぐり抜けた。

 

 

 「あっ…」

 

 

 カブトムシを思わせる鉄仮面を付けた全身銀色の鎧を付けた戦士、仮面ライダーブレイドがここに生まれた。

 

 

 「これがライダーってやつか。中々良い着心地じゃねぇか」

 

 

 晴人は腰から剣、ブレイドラウザーを取り出した。

 

 

 「それじゃあ行くぜ!」

 

 

 晴人はまず、睦月の首を絞めていた触手をラウザーで叩き斬った。

 

 

 一気に酸素が来て、睦月はその場でかがみむせる。

 

 

 「てめぇはここでじっとしてろ。あいつは俺が片付けてやる!」

 

 

 そういうと、晴人はバクラーケン目掛けて飛び出した。

 

 

 「うぉぉぉぉぉ!」

 

 

 晴人はラウザーで何度もバクラーケンを斬りかかった。

 

 

 突然の猛攻に成すすべなくただ受けるだけのバクラーケン。しかし、晴人の最後の一撃は、後ろに飛び去ることで何とか回避した。

 

 

 「ほぅ…」

 

 

 晴人はラウザーの柄を開いた。ブレイドでは、カードはそこに保管してあるようだった。晴人はそこからカードを一枚取り出した。

 

 

 バクラーケンは掌から触手を噴射した。

 

 

 『♤7 METAL』

 

 

 すると晴人、もといブレイドの体は硬化し、触手を弾いた。

 

 

 「次はこれだ」

 

 

『♤4 TACKLE』

 

 

 晴人はラウザーを突きの構えをし、そのまま突進した。ラウザーの先端がきれいに当たり、バクラーケンは大きく吹っ飛ぶ。

 

 

 「・・・・・」

 

 

 バクラーケンは、先ほどの勢いとは裏腹に、明らかな恐れが見えた。晴人に背を向け、姿見を探しに飛び出した。

 

 

 「あっ?何だ何だ?逃げるのか?逃げられると思ってるのか?」

 

 

『♤6 THUNDER』

 

 

 ラウザーから電気が放出し、それがロープのように怪物にまとわりついていった。

 

 

 「そんじゃ、とどめといこうか」

 

『♤5 KICK』

 

 

 晴人の右足から熱気のようなものが溢れた。それは、ブレイドの風貌を歪ませる程の温度だった。

 

 

 「はぁ!」

 

 

 晴人は大きくジャンプし、そのまま右足を構え、思い切りバクラーケンを蹴った。

 

 

 怪物は悲鳴をあげながら吹っ飛び、そのまま爆発四散した。

 

 

 「ま、こんなもんだな」

 

 

 晴人はバックルを元に戻し変身解除した。

 

 

 睦月はそれを一部始終見ていた。そして、今日初めて会った時から無意識に感じていた考えが形作られてくように感じた。

 

 

 睦月はゆっくり晴人に近づき言った。

 

 

 「凄かったな。さっきの戦い」

 

 

 「どうよ? 俺の戦い?」

 

 

 「あぁ、凄かったよ。初めてにしては戦いの動きに無駄が無かったし、カードのスキャンもスムーズにやってたしな」

 

 

 「あ? どうしたんだ? 急に」

 

 

 睦月は一度深呼吸した。そして、言った。

 

 

 「なぁ晴人、お前は最初から知ってたんじゃないのか?俺がレンゲルだってこともあの怪物の事も」

 

 

 「・・・・・・・・・」

 

 「これは勘なんだけどな、OREジャーナルにレンゲルの写真を投稿したのもお前じゃないのか?」

 

 

続く

 




<キャラクタープロフィール③>
剣持 晴人(けんもち はると)

年齢:20歳
身長:177cm
体重:58kg
血液型:A型
将来の夢:研究員
好きな食べ物:ドーナツ
好きな場所:研究室
性格:パリピ
好きなモノ:シンプルな機械

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