仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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第16話 エインマドチェンアルスディアマントアウスゲワフルト登場

 7月―。太陽はギラギラと暑く照らし、蝉の鳴き声はうるさく、近所からは風鈴の音が聞こえる夏の季節。

 

 睦月にとってそれの意味することは一つだった。期末試験である。

 

 普段なら―少なくとも1年の時はー普段から講義の復習をやっていたし、期末レポートについてもコツコツと進めてきたから直前になって慌てるということも無かった。

 

 しかし今年は違う。5月22日以降、それまでやってたバイトにプラスして、魔女やモンスターとの戦い、なぎさと愛矢、千翼との生活と、あらゆる出来事があったせいで、睦月は全く期末の準備が出来ていなかった。

 

 「え~!睦月~、海行こうよ海~、夏だよ?日曜日だよ?いい天気だし、海行きたい~!」

 

 「睦月さん、私も、前に水着買ったから行きたい…かな」

 

 「なぎさも行きたいのです!皆と一緒だったら絶対楽しいのです!海に行くのです!」

 

 3人からはそうせがまれたが、

 

 「今日は勘弁してくれ~!今日こそレポートやんなきゃ、勉強しなきゃ単位がヤバいんだよ~!」

 

 「え~!睦月さぁ、単位と海どっちが大事なの!?」

 

 「単位!行ってきます!」

 

 睦月は鋼の意志を持ってそれをはね除け、学校の図書館へ向かった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「おう!睦月!」

 

 駅へと向かう道中、晴人に出会った。

 

 「これからお前に会うつもりだったんだが、どこか行くのか?」

 

 「大学の図書館。期末近いから、勉強だよ」

 

 「お前って、図書館とかで勉強するキャラだったのか?」

 

 「いや、そうではないんだけど・・・もう家はそういう環境とはほど遠くなったというか・・・」

 

 「あぁ~」

 

 晴人は同意した。それもそのはず、この半月―特に舞花が来てから―というもの、クインテットは賑やか過ぎる場所になった。バイトの無い平日は舞花のお喋りや遊びに付き合い、休日は必ずと言っていいほど外出を迫られ半ば強制的にショッピングやらカラオケやら以前行ったスポーツ施設、レントに行かせられるのだ。(以前、お金だけ渡して遊びに行かせた事があるのだが、それを全額使われたので財布のひも係として以降付いていかざるを得なくなった)

 

 ただ、そのお陰で愛矢となぎさはさらに明るく積極的になったので、感謝はしているのだが。

 

 「まぁそれとこれとは別だ。進級を犠牲にしてというのはいただけないからな。今日は真面目にやるぞ。だからお前も、今日は帰ってくれ」

 

 と言って、その場を通り過ぎようとしたのだが、

 

 「はぁ、つれないね~。そんなお前に朗報。今日は図書館やってないぜ?」

 

 その言葉に睦月は立ち止まった。晴人はさらに続ける。

 

 「忘れたのか?今週末は館内の調整とかで休館だって掲示板が出てたじゃねぇか」

 

 「マジで・・・?」

 

 そう言えばそんなことが書かれてあったような気がするが・・・。

 

 「何でこの大事な時期にやるんだ事務さんよ~」

 

 睦月は天に向かって吠えた。

 

 じゃあ何ですか?俺に単位は諦めろとそう言いたいのですか?家に帰ったら絶対また海行こうと迫られるのは目に見えてるし、もうプピぺポパニックじゃないか!

 

 そんなことを考えていた時、晴人は言った。

 

 「そこで提案なんだけどよ、ここから二駅先にも図書館があるだろ?そこに行かないか?偶然にも、今日お前を呼んだのはそこに用があったからなんだ」

 

 「ん?」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「行方不明事件?」

 

 電車の中で、晴人がそんな話をした。

 

 「お前もOREジャーナルを取ってるなら知ってるだろ?人が突然姿を消すっていうあれだ」

 

 「でもそれは、5月22日よりも前から起きていたから関係ないって・・・」

 

 睦月はそう反論した。確かに、その行方不明事件の事は知ってるし、魔女に関係あるのではと思ったことはある。しかし、それが頻発して起こったのは魔女が現れたと思われる5月22日よりも何か月も前から起こっていたので、無関係だと考えていたし、それを晴人に持ち込んだ時もそんな話をしていた。

 

 「それなのに今度は関係あるって、一体どういうことだ?」

 

 「お前がこれから向かう場所、その近くで半月前にモンスターと戦ったよな?その時、魔女のような気配を感じたことをもう忘れたのか?」

 

 忘れるわけは無い。しかし、その反応はすぐに消えたし、移動したのだと睦月は考えていた。

 

 「あれから俺は、そのことがどうも気になってあの辺り周辺を調べてたんだ。そしたら驚いたことに、この近辺でも行方不明事件はあったのだが、俺たちが鏡の怪物と戦った日を境にそれが一切無くなったんだ。ところが、一週間前からまた同じ頻度で行方不明が多発するようになったんだ」

 

 「! おい、ちょっと待て!」

 

 それが意味することは―、

 

 「俺も迂闊だったぜ。行方不明事件がずっと前から起こっていたとはいえ、それら全てが関係ないとは限らない。魔女が原因で起こっていた事件だってあったかもしれないのに可能性を捨ててたんだからな」

 

 「俺はてっきり、そこに現れた魔女はどこかに逃げたんだと思ってたんだが」

 

 「あぁ、俺もそう思ってた。だけど違ったんだ。本当はどこかに隠れていただけだった。ここからは俺の想像だが、あの日は―俺たちの前に3体現れたように―鏡の怪物が多くいた。とすると、その魔女はそれらとドンパチやりあって、それで負傷した体を隠れて回復してたんじゃないのかなぁ」

 

 「なるほど」

 

 確かに筋の通る説明だ。しかし、

 

 「ま、話はそんなところだ。今回の魔女探しは俺に任せろ。お前は予定通り勉強してればいいからよ。見つけたら呼んでやるから」

 

 そうなのだ。魔女の事も気がかりだが、今はなしたのは晴人の推測でしかない。その推測に頼って魔女を街中廻って探すより今は単位を優先したいというのが本音だ。

 

 「というかお前はいいのか?試験1週間切ったぞ?」

 

 「あ?そんなのやらなくても余裕だろ」

 

 

 マジデスカ

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 図書館での勉強はとても集中でき、レポートは終わらせる事が出来た。後は筆記試験の為の勉強をやればひとまず完了といった所なのだが、その時、晴人から着信が入っていることに気付いた。

 

 「魔女がいそうな場所が分かったぜ」

 

 「本当か!?」

 

 図書館のフリースペースに移動した睦月が晴人に掛け直すと、彼は開口早々言った。

 

 「お前と別れてから、行方不明事件の被害者がその日にどういう行動をしたのかを軽く調べてたんだが、皆、共通の場所の周辺へ行っていた事に気付いたんだ」

 

 「共通の場所?」

 

 被害者の足取りとかただの一般人がどうやって調べたんだとツッコミたいが、この際どうでもいい。彼の事だからまた妙な事をしたんだろうと勝手に納得し、(というより彼のやることに一々驚かなくなった)話を進めた。

 

 「正確に言えばルートだな。被害者が最後に目撃された場所を地図に当てはめてみたんだが、すると、この街一帯で一定の法則で行方不明になっているって事が分かったんだ。他の地域は調べてないからハッキリしたことは言えないんだが、こんなことが起こっているのはこの森永市だけだぜ」

 

 「どういう事だ?」

 

 「つまり、この街での行方不明事件はざっと見ると街全体で無作為に起こっているように見えるが実際はここで起こったら次はあそこっていうように一定のルートに従って起こってたってことだ。この事件は魔女が起こしてたと仮定すると、その魔女は老人の散歩みたいにずっとこの街をウロウロして人を拐ってたってことだ」

 

 「だとすると、今いそうな場所も分かるのか!?」

 

 「だからこうして掛けたんだろ?場所は半月前、俺たちと鏡の怪物が戦った場所だ。そこに俺たちが居れば、ヤツは必ず結界を出して現れる。そこがチャンスだ」

 

 「了解」

 

 睦月はそう言って電話を切った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 数分後、睦月は晴人と合流した。晴人は既にそこで待っていた。

 

 「どうだ?」

 

 「まだ何も現れてない。お前も来た事だし、変身しといた方がいいだろう。周りに人はいないようだし」

 

 「だな」

 

 二人はそれぞれバックルを取り出し、腰に巻いた。

 

 「「変身!」」

 

『♤Turn Up』 『♧Open Up』

 

 二人はレンゲルとブレイドに変身した。すると、すぐにあの日に感じた魔女の気配を感じた。

 

 「晴人」

 

 「俺も感じた。行くぞ!」

 

 二人は駆け出した。

 

 「あの魔女は半月前もこうして徘徊してたんだろう。そのまま行けば、次の被害者はあの時鏡の怪物に狙われたあのおっさんだったはずだ」

 

 走りながら晴人は言った。

 

 「だが、その道中で何かと交戦。それでダメージを負った魔女は気配を消して、どこかで休んでたといった所だろう」

 

 「なるほど」

 

 「この角だ」

 

 晴人が路地を指差した時だった。

 

 路地の向かいにあるカーブミラー。そこからガゼルのようなモンスター、メガゼールとギガゼールが飛び出してきた。

 

 「なっ!」

 

 彼らの角や脚が二人に当たり、バランスを崩して倒れてしまう。

 

 「いや~凄いな。香川さんは」

 

 狭い路地から一人の男が近付いてきた。

 

 「"10の怪物"は必ずまた戻ってくるはずだから街を見張れって言われたときは驚いたけど、まさか"侵入者"が現れるんなんて。海老で鯛を釣るをはこのことか。犯人は現場に戻ってくるって言うのは本当だったんだなぁ」

 

 「誰だ?お前は」

 

 立ち上がりながら睦月は聞いた。

 

 「俺は、佐野満(さの みつる)。君たちには恨みはないけど、僕にも生活があるからさ、倒されてくれない?」

 

 そう言いながら佐野はポケットからバックルを取り出した。それは全体の色は茶色く、中央にある紋様は異なっていたが、形状は仮面ライダーガイが付けていたカードデッキそのものだった。

 

 それを目の前にかざすと、どこからともなくベルトが現れ、彼の腰に巻かれる。

 

「変身」

  

 彼はそう言って、ベルトにデッキをセットした。すると彼の体は瞬く間に屈強な肉体を思わせる見た目のライダー、仮面ライダーインペラーに変身した。

 

 「行け」

 

 彼がそう命じると、先ほどのメガゼールとギガゼールは一斉に襲いかかってきた。

 

 二人は咄嗟にラウザーでガードしたが、その横から佐野の蹴りが二人に与えられた。

 

 怯んだ隙に佐野とメガゼールはさらに睦月に追い討ちを仕掛けた。

 

 一方の晴人も、隙を付いて武器を持ったギガゼールの攻撃に対して防ぐのが精一杯。銛のリーチを利用され、モンスターの突きが思い切り決まった。

 

 「晴人!」

 

 「余所見してる暇は無いんじゃないかな」

 

 『SPIN VENT』

 

 佐野の右腕にドリル状のさすまた―ガゼルスタッブ―が装着された。それを振り回し、ラウザーを弾いた。無防備になった懐に蹴りを食らわせる。さらにそこにメガゼールからの銛の一撃、そこに佐野のスピンの突きが決まり、睦月の体は吹っ飛ばされた。

 

 「“侵入者”が二人いるとは思わなかったけど、大したことないなぁ」

 

 佐野と二体のモンスターはそれぞれの武器を構えた。

 

 「これでとどめだ」

 

 その時、一段と空気が重くなった。そして気が付くと、3人と2体は路地ではない全く別の場所にいた。佐野は驚いて辺りを見渡す。

 

 「これは・・・!今まで感じてた気配が近くなった。お前ら!何をした!?」

 

 二人に向き直って言った。

 

 「知らねぇよ。俺たちは何もしてない」

 

 立ち上がりながら睦月は答えた。

 

 「だが、気を付けな。もう俺たちを排除とかそんな悠長なことを言ってる場合じゃないぜ」

 

 晴人は顎でしゃくって佐野に後ろを振り向かせるよう促した。

 

 「魔女のお出ましだ」

 

 そこには、大きな真珠貝があった。貝殻から、その巨大な体に似つかわしくないほど小さく細い脚が生えていて、バランスが取りづらいのか、その体を前後に揺らしていた。

 

 貝殻の魔女 シェルフォール

 

 「今回は頭でっかちな貝やろうか。全く、魔女ってのはどうしてこう気味悪い見た目してんのかねぇ?」

 

 そう言って晴人はブレイドラウザーを構えた。

 

 「それじゃ行くぜ!」

 

 そのまま晴人は突進して行った。

 

 「邪魔!」

 

 ついでに目の前にいたギガゼールを斬り倒して。

 

 「さっきの仕返しだ」

 

 それで佐野は我に返った。

 

 「あぁ!お前、行かせるか!」

 

 「それはこっちの台詞!」

 

 睦月はラウザーを振り上げた。佐野はそれをガゼルスタッブで受け止める。メガゼールとギガゼールは晴人の元に向かって行ったがそれはいい。今は佐野に邪魔されないようにするのが先決だ。

 

 「あれが“10の怪物”って奴か!?神崎士郎や香川さんが言っていた、ミラーワールドを乱してる原因の一つ、魔女って言ったか。お前ら、あいつらとどういう関係があるんだ?」

 

 「何の話だ?“10の怪物”?神崎士郎?」

 

 ガゼルスタッブの攻撃をレンゲルラウザーで防ぎながら言った。

 

 「とぼけるってのか?“10の怪物”とお前ら“侵入者”が、今のこの事態を起こしてるんだろ?どういう関係なんだ?」

 

 「お前がさっきから何言ってるか分からないが、俺らと魔女には何の関係もねぇよ!」

 

 晴人が魔女は異世界から来たと言ったこと、仮面ライダーガイが“侵入者”を殺そうとしていたことから何となく感じていたことだが、ライダー達は魔女も狙っていた。ならば、魔女から解放されたなぎさ達の事も狙ってると考えた方が良い。それだけは何としても隠さなければいけない。

 

 貝殻の魔女が辺り一面に液体を振り撒いた。それが斧を持った人型に変形していき、晴人達に向かっていった。

 

 「使い魔か」

 

 『♤2 SLASH』

 

 目の前にいた使い魔を斬り先に進む。

 

 「おい睦月!そっちに使い魔が行ったぞ!気を付けろ!」

 

 そう言った矢先、ガゼルスタッブとレンゲルラウザーとで攻防を続けていた二人の間に使い魔が割り込んできた。それによって二人は別々に分かれる。さらにそこに多くの使い魔が入り込み、二人に攻撃を仕掛けた。

 

 「兵士みたいなのもいるのかよ。こりゃ厄介だな」

 

 佐野がそうつぶやいた。

 

 「使い魔も出てきたことだし、一気に決める」

 

『♤4 TACKLE』

 

 ラウザーの切っ先を魔女に向け、そのまま突っ込んだ。しかし、その突進は魔女の殻によって防がれた。

 

 「何?止められた!?」

 

 ならばとラウザーで斬りつけようとしたが、

 

 「たー硬ってー」

 

 その斬撃すらも弾かれてしまう。そこに頭を振り上げた魔女の頭突きが襲った。

 

 倒れた所に、メガゼールとギガゼールの武器が頭に向かって振り下ろされた。

 

 「あぶなっ!」

 

 晴人は咄嗟に転がってそれを避ける。二体のモンスターはさらに追撃し、晴人はラウザーで二体の攻撃を何とか防御する。

 

 「うぜぇなこいつら」

 

 魔女は、貝殻から無数の泡を繰り出した。それに気づいた時には泡が晴人と二体のモンスターに近づき、側で弾けた。それには、散弾を思わせるエネルギーが込められていた。

 晴人はその攻撃に膝をつき、二体のモンスターは泡の攻撃に耐えられずに爆発四散した。

 

 その攻撃は佐野と睦月にも届いた。泡の攻撃が全身を打ち付け、そこに使い魔の斧の攻撃が加わる。それは佐野も同じだった。

 

 「クソ!やっぱあれがいる時に“侵入者”を襲うのは無理か。先にあいつを倒す!」

 

 佐野はジャンプして使い魔を飛び越え、上からガゼルスタッブを魔女に叩きこんだ。しかし、その攻撃も防がれ、空中で身動きが取れない所に魔女の頭突きが決まり、佐野の体は大きく吹っ飛んだ。そのまま壁に激突し、彼は倒れた。

 

 その一瞬を側に居た晴人は見逃さなかった。佐野がガゼルスタッブを打ち込んだ場所。そこにひびが入っていたのだ。

 

 晴人は一度後退して、睦月の下に行った。

 

 「おい睦月、生きてるか?」

 

 睦月は立ち上がりながら言った。

 

 「まぁね。あのライダーは?」

 

 「あいつなら結界の端で伸びてるよ。ウザいやつだったが、あいつのおかげで突破口が開いた」

 

 「何?」

 

 「あの魔女、さっきの攻撃で頭頂部の殻にひびが入ったんだよ。そこを狙えば恐らく破れる」

 

 「だけど、あそこにどうやって攻撃を届かせるんだよ?」

 

 「だからお前の所に来たんだ」

 

 「?」

 

 「おい本当にいいのか?」

 

 「構わねぇからやれ!」

 

 「知らねぇぞ!?」

 

 晴人は今、床に置いたレンゲルラウザーの上に立っていた。その状態のまま睦月はカードをスキャンした。

 

『♧2 STAB』

 

 こうして強化されたラウザーを睦月は思い切り振り上げ、晴人を高く打ち上げた。

 

 「そして次は」

 

 睦月はすぐに事前に晴人から貰っていたカードをスラッシュした。

 

 『♤9 MACH』

 

 そのまま近くに来た使い魔を薙ぎ払いながら魔女の下に全速力で駆け寄り、

 

 『♧6 BLIZZARD』

 

 魔女の足元を冷気で凍らせた。

 

 「上出来だ」

 

 空中にいた晴人はそういうと、

 

『♤2 SLASH』 『♤6 THUNDER』

 『ライトニングスラッシュ』

 

 二枚のカードをスキャンし、ラウザーを構え、ひびに向かって振り下ろした。殻は割れ、そのまま中にいた口だけがついた異様な真珠を斬りつけた。

 

 そして中身は爆発四散し、魔女も使い魔も結界も消えた。後にはグリーフシードだけが残された。

 

 「今回は中々手強かったな」

 

 晴人がそう呟いた。

 

 「あのライダーが邪魔してたってのもあったが、魔女自体も攻撃も防御も完璧に近かったからな」

 

 「そう言えば、あのライダーは・・・」

 

 晴人が先ほどまで佐野が伸びてた所に目を向けたが、そこには誰もいなかった。どうやら逃げたようだ。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 二人は家の近くにある廃工場にいた。

 

 「準備はいいか?」

 

 「あぁ、今回は、千翼達は来ないだろう。いいぜ」

 

 睦月はうなずき、カードをスキャンした。

 

 『♧10 REMOTE』

 

 グリーフシードに光がともり、それが一人の少女を形作った。それは黒い長髪に眼鏡をかけ、見た目中学生くらいの少女だった。

 

 程なくして、彼女は目を覚ました。そして彼女は辺りを見渡し、ふと言った。

 

 「私は・・・誰?」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ハァ ハァ ハァ・・・

 

 佐野は、壁を伝いながら引きずるように歩いていた。初めて“10の怪物”を目撃した。その強さは、自身の想像を遥かに超えていた。無限に生み出せる兵士、モンスターを超える攻撃と防御。あんなのが10もいると考えると、それだけで身がすくんだ。

 

 「佐野満さんですね?」

 

 満身創痍の佐野の前に一人の男が現れた。

 

 「あんたは?」

 

 「私は高見沢逸郎(たかみざわ いつろう)。あなたも名前くらいは聞いたことはあるでしょう?高見沢グループ、その総帥ですが、それと同時にライダーでもあります」

 

 そう言って、高見沢はカードデッキを掲げて見せた。そこには黄緑色を基調とし、中央にはカメレオンのマークが彫られていた。

 

 「あなたのことは知っていますよ。佐野満さん。あなたは、ライダーの力を報酬次第で人に貸す傭兵のようなことをやっているのだと。そして今は香川英行(かがわ ひでゆき)や東條悟(とうじょう さとる)らに雇われていることを」

 

 「それがどうした?」

 

 「提案があります。それらとの縁を切ってください。そうすればあなたを、私が作った組織、パラディで雇いましょう」

 

 「パラディ?」

 

 佐野は聞き返した。そんな組織など、聞いたことが無い。

 

 「本当の理想郷を叶えるための組織。今のままでは叶わない願いが無限に叶う世界を目指す組織。そこに入ると言うのなら、詳しく話してあげますよ?この組織の目的も、神崎士郎がそもそもやっていたライダーバトルの真実も」

 

 

続く




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