仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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キュウべえ「暁美ほむらによると、普通の中学生だった鹿目まどか、彼女は魔女が生まれる前に消し去る、円環の理の概念になった。ぼくは魔女について調査中に、世界の綻びを見つけ、この世界にやって来た。そこで行った実験の結果、様々な偶然が重なりこの世界の時空は歪んでしまった。ぼくはそれの詳細な情報を調べるために、隠れてライダー達の事を観察していたんだ。今回、龍騎とナイト、ゲイツの3人を観察して、ぼくは初めて魔女と呼ばれるものの存在を確認するんだけど、それは君たちにはまだ未来の出来事だったね」


EP22 龍騎と龍我 2002

 ―暇だ。

 

 「祈りましょう。ゼイビーに。そして考えるのです。我らの使命を」

 

 かれこれ二時間、ずっとあんな調子だ。神父服を着た水面が偉業な形の像と向き合ったまま、ひたすら祈りを捧げている。見ると、暇そうにしているのは真司だけではなかった。

 

 他にも初体験の人はちらほらいるようで、皆あくびしたり居眠りしたりでとても暇そうだった。

 

 文恵から志保の写真を貰っていたので、この祈りの時間に来ているかと思ったが、どうやら来ていないようだった。

 

 やがて、像から目線を離して真司達に向けると言った。

 

 「皆様、長らくお付き合いいただきありがとうございました」

 

 ガチャっと水面の側にある両扉が開き、水の入ったプラスチックのコップを載せたお盆を持った女性が二人入ってきた。

 

 「ゼイビー様から皆様へのプレゼントです」

 

 そして、一人一人に水を配り始めた。真司の元にもそれは与えられた。

 

 水面もコップを持つと言った。

 

 「さぁ、ゼイビー様への感謝を持ちながら、いただきましょう」

 

 水面はグイッとコップを傾けて飲み始めた。他の人もそれに続く。

 

 真司もそれに習い水を飲もうとコップを傾けた時だった。

 

 「!?」

 

 何かを感じた。モンスターが出てくる時とは異なる違和感。真司はその違和感に覚えがあった。

 

 そう、少し前に相対した羽の怪物と対面した時の感覚。"10の怪物"の一体を目の前にした時と全く同じ感覚だった。

 

 真司はガバッと立ち上がった。はずみでコップを落とし、水が真司の靴を濡らした。

 

 それはお構い無しに、辺りを見渡す。

 

 この場所、まさか―、

 

 「どうかされましたか?」

 

 水面が真司の元に近付いてきた。

 

 「おいあんた、今すぐここから逃げろ!これは罠だ!」

 

 「罠?何を言うんですか?全く、ゼイビー様のご厚意をこんな風にして。さ、代わりの一杯をどうぞ。ゼイビー様は慈悲深い。あなたの事も許してくれることでしょう」

 

 「違う!そのゼイビーっていうのが仕組んでるんだ!それは神じゃない!"10の怪物"の一体なんだ!」

 

 その言葉を聞いたとき、水面の顔が大きく歪んだ。

 

 「ゼイビー様を…我らの神を怪物と愚弄するのですか…許さない。許される事ではない」

 

 そして今まで見たことのない形相で真司を睨んだ。

 

 「泉教の信徒達よ!」

 

 その声と共に真司の周囲にいた人達が一斉に立ち上がった。全員、水を飲んだ人達だ。皆、抑揚のない虚ろな目で、何の表情もなく真司を睨んでいた。

 

 真司はこの光景にも見覚えがあった。羽の怪物と相対した時、その怪物に囚われた人は皆、自殺衝動に駆られ、それを止めようとする真司に襲いかかってきたのだ。

 

 この光景と全く同じだ。ここにいる全員、その時の目をしている。これは洗脳なんてものじゃない。怪物に操られている。

 

 真司は本能的に逃げ出した。

 

 洗脳された人達は一斉にその後を追う。

 

 ただの一般人に力を使う訳にも行かず、真司は右へ左へ逃げた。

 

 そして何とか協会の外まで出られた。

 

 誰も追ってこない事を確認すると、真司はすぐに蓮とゲイツに連絡を取った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「"10の怪物"を見つけたというのは本当か?」

 

 真司からの連絡を受けて、ゲイツが合流すると、そこには既に蓮も来ていた。

 

 「あぁ、どうやらあの宗教がそれに関わっているらしい」

 

 蓮が顎でしゃくりながら言った。

 

 「だが、簡単ではない。どうやらその怪物は巧妙に隠れているようだ。こいつが水に近付くまで気付かなかったと言うのがその証拠だ。その水をどこから汲んでいるのかを突き止める。それが鍵だ」

 

 そして真司、蓮、ゲイツの3人は物陰から泉教の教会を監視し始めた。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「私、弁護士の北岡 秀一(きたおか しゅういち)と申します」

 

 そう言って、北岡は名刺を水面に差し出した。ここは、真司が初めに水面と話した部屋。そこに、弁護士の北岡と、その秘書兼ボディーガードである由良 吾郎(ゆら ごろう)が来ていた。

 

 「弁護士の方が、何のご用でしょうか?」

 

 「こちらの宗教に入信している方の親から、子供を取り戻して欲しいと依頼がありまして。聞けば、少し前までは被害者弁護の会というのもあり、その団体からそちらに息子や娘を返してほしいという訴えが数多く寄せられていたとか。単刀直入にお伺いしますが、この件についてあなたはどのようなお考えなのでしょうか?」

 

 「どのような考えがあるのか、とはおかしな質問ですね。あなたが先ほどおっしゃったことから容易に推察できると思うのですが。確かに少し前まではそのような団体はありました。しかし、あくまでそれは『少し前』のお話です。ここは傍から見れば新興宗教ですからね。あらゆる偏見があり、そのような団体が生まれただけの事です。今では、相互の誤解も解け、訴えも自らの意思でほとんど取り下げられていますよ」

 

 「誤解を解く・・というと、ここで話題の、幸せを呼ぶ水の事ですか?」

 

 「さすが察しが良い。その通りです。ここにはあなたのように被害者弁護の会の方々も訪れましたが、その水の効果を試してもらった所、たちまち自身に非があったことを認めたのですよ。ここは本物であったとね」

 

 「その水、私にも飲ませてもらいますか?」

 

 面白いと言わんばかりに北岡はニヤリと笑った。

 

 「先生!それは・・・」

 

 「大丈夫だよ、ゴロちゃん。もし何かあっても、ゴロちゃんが何かしてくれるでしょ?で、どうなんですか?」

 

 吾郎の静止を振り切り、さらに身を乗り出して言った。

 

 「本来でしたら祈りの儀式を行った後に配るのが常なのですが、良いでしょう。この『金の斧』である私が特別に許可します。少々お待ち下さい」

 

そう言って水面は席を離れた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「あっ!出てきた!」

 

 「あれが水面とかいう教祖か」

 

 「よし、行くぞ」

 

 外で見張っていた3人は、出てきた水面をこっそり尾行した。

 

 水面は一度教会を出ると、ぐるりと周り奥にある「立ち入り禁止」と書かれたフェンスのドアの鍵を開け、その中にある小屋に入っていった。

 

 水面が小屋に入ったのを確認すると、3人も中に入り、小屋に付いている窓から中を伺った。中には小さなシンクが付いているだけで、他には何も無かった。

 

 そして、水面がそのシンクに付いていた蛇口を捻った時だった。

 

 「!」「!」「!」

 

 途端に異変を感じた。それは、真司が水を飲もうとした時に感じたそれと全く同じだった。

 

 「城戸!ゲイツ!」

 

 「あぁ!」

 

 「この感じか。行くぞ!」

 

 蓮の掛け声に二人は頷くと、小屋の中に飛び出した。

 

 「あ!あなた方は…」

 

 「おい!今すぐ逃げろ!これは罠だ!」

 

 「罠って、あなたまだそんなことを!」

 

 「! これは…」

 

 突然の変化にゲイツは言葉を失った。

 

 小屋の中が、異様な空間へと変わっていっていた。蓮と真司のカードデッキ、ゲイツの時空ドライバーに反応し、小屋の中の空間が変化していっているのだ。

 

 その変化は蛇口の中から起こった。中から出てきた透明な水が、虹色になり、それが蒸発したかのように小屋の辺りを包んでいく。小屋という壁に囲まれた事で決して変わる事の無かった面積が変わり、徐々に広くなっていった。

 

 そして蛇口から出ている水は気化することがなくなり、擦ると出てくるランプの魔人のように形になっていった。水の虹色はそのままに、それは段々と人間の上半身になっていき、手にはこれまた虹色の水差し。腹は平たく突き出ていて、水盆の役割をしているのか、そこに水差しから出る透明な水をただ注いでいた。不思議なことに(ここまでで十分不思議だが)水差しの水は一向に減らず、またその水盆の水も溢れることなく、常に刷りきり一杯の水位を保っていた。下半身は蛇口から出てる水の道のまま変化せずに、代わりに蛇口をシンクごと変形させ、人魚のような魚の尾びれに変化した(蛇口の水は止まっていない)

 

 水の魔女 アクリシャス

 

 そしてその気配に、真司と蓮とゲイツ以外にも二人、感じ取った。

 

 「これが"10の怪物"というヤツか。なるほど、確かに"怪物"としか言い表せない程の異形な形をしている」

 

 「怪物!?あなたまで、ゼイビー様を侮辱するのですか!?」

 

 「あんた、何言ってんだよ?あれが見えないのか!?」

 

 「見えないとは何を…」

 

 水面は突然倒れた。

 

 「おいお前!どうした!?」

 

 「いや、大丈夫だ。気を失ってるだけだ」

 

 魔女の体から垂れた水滴が、魚の形になっていった。しかし、ヒレから翼が生えて宙に浮いていたり、四本の足が生えて四つん這いになっていたりと現実ではありえない姿をしていた。

 

 「こいつらは・・?」

 

 「羽の怪物の時と同じなら、こいつらはあの水差しの化け物を守る番人って奴だ。さぁ、行くぞ!」

 

 「お前に言われるまでもない」

 

 蓮と真司は懐にあったカードデッキをかざした。目の前にバックルが現れ、それが彼らの腰に巻かれていく。

 

 ゲイツも時空ドライバーを巻いてそれに続いた。

 

 『ゲイツ』

 

 「「「変身!!!」」」

 

 『RIDER TIME 仮面ライダーゲイツ!』

 

 三人は龍騎、ナイト、ゲイツに変身した。

 

 「はぁ!」

 

 三人は魚の怪物に向かっていった。四方八方からハエの様に纏わりついてくる使い魔を次々と蹴散らしていった。

 

 「こいつら、対して強くないが」

 

 「あぁ、数が多すぎる!」

 

 一匹一匹はパンチ一発で倒れる程のもろさだったが、厄介なのは数とその生成速度だった。魔女の体内を循環している水、その道から外れたものが全て、魚の形をした使い魔に変わっていき、三人に襲い掛かってくるのだ。

 

 その様子はまるでスズメ蜂。要である女王蜂兼ハチの巣はただ働き蜂、もとい使い魔を生み出すだけで何もせず。使い魔はまるで巣を刺激されて怒っているように、巣を守るように魔女には近づかせまいと三人を噛んだり体当たりをしたりしている。

 

 「厄介だな」

 

『時間ザックス! OH NO!』

 

『SWORD VENT』

 

『SWORD VENT』

 

 龍騎はドラグセイバー、ナイトはウイングランサー、ゲイツは斧モードの時間ザックスを持ち斬りつけた。体のもろさが幸いし、一度薙ぎ払うだけで何匹も倒すことができた。

 

 「よし、一気に決めるぞ!」

 

 「おう!」

 

 そう言って龍騎がデッキからカードを一枚取り出そうとした時だった。

 

 「何よ・・これ・・・」

 

 後ろから女性の声が聞こえた。

 

 「――――」

 

 後ろを振り返ると、そこには真司が泉教に来ることになった要因である君真理 文恵の娘、君真理 志保(きみまり しほ)の姿があった。

 

 彼女の姿に気づいた魔女は、使い魔を出して彼女も襲おうとした。

 

 「危ない!」

 

 しかし彼女は少しも慌てず、ポケットからSEALと書かれたカードを取り出し使い魔に向けた。その姿に、真司達は驚かされた。

 

 「あれは、封印のカード!なぜ奴が持ってる!?」

 

 そして、更に驚くような事態が起きた。彼女に向かって進撃していた使い魔の動きが止まったのだ。それどころか、あのカードに恐れおののいているようにも感じた。

 

 「やっぱり、あなたたちにも見えるのね。あれが」

 

 そして彼女の視線は腰のバックルに向いた。

 

 「そのデッキ、なるほど、それであなたたちは。だったら、生かしておくわけにはいかないわね!」

 

 そして彼女はライダー達を指さすと「行け」と言った。

 

 すると、使い魔達が一斉に龍騎たちに襲い掛かって来た。

 

 「なっ?どういうことだ!?」

 

 「あいつらを操っただと!?」

 

 「いや、それよりもまず―」

 

 真司は使い魔と戦いながら志保に向かって言った。

 

 「あんた、全部知ってたのか!?ここにこの怪物がいたことも、皆こいつに操られていたことも!」

 

 「知ってるも何も、そこにいる水面を焚き付けて、泉教を作るように言ったのはこの私よ」

 

 「え―」

 

 「私は泉教を陰から支えてたいわば『銀の斧』。この泉教の本当の支配者よ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 君真理志保は、姉の美保(みほ)と仲良く暮らしていた。しかし、その幸せはある日突然奪われた。浅倉威(あさくら たけし)、彼が美保を殺したから。程なくして彼は逮捕されたが、だからと言って姉が戻ってくるわけじゃない。悲しみに暮れた志保は、その寂しさを紛らわすためによりスリリングな事、結婚詐欺を始めた。警察に捕まるかもしれない、報復を受けるかもしれない。そんな恐怖心があれば、姉の死の事なんか考える暇も無くなる。そう思ったからだ。だけど、そんなことで幸せになれるわけが無い。どれだけの男をだまして、金を盗っても、後には虚しさが残る。そしてそういう日はただ当てもなく歩く。

 

 そして、ある奇跡と遭遇した。

 

 とある路地を歩いていた時の事だ。

 

 子供の泣き声が聞こえた。見ると、転んで怪我をしたようで、膝から血が出ていた。

 

 「大丈夫?」

 

 その子供の姉だろうか?別の子が近付いてきた。私も昔はあんな感じだった。

 

 「待ってて!魔法の水を持ってくるから!」

 

 魔法の水?

 

 彼女は立ち入り禁止のフェンスを乗り越えて、そこにあった水たまりの水を救った。そして溢れないように急いで妹の所に持っていくと、それを膝にかけた。

 

 「チチンプイプイ怪我よ~治れ~!」

 

 子供の遊びかと思った。しかし違った。その傷はみるみる内に塞がっていき、最後は血がこびりついてるだけで傷は完全に消えていた。

 

 「行こ?」

 

 「うん!」

 

 そして二人は去っていった。自分が見ていた光景が信じられなかった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「それから、あの子が使ってた水を色々と調べたの。一見するとただの水だけど、それに触れることで、人体にホルモンが異常に分泌されることが分かったの。飲むことで、それは顕著に表れる。幸福になるっていうのはね、生きるのに必要なホルモンが大量に流れることによる副産物なのよ。ま、それと引き換えに―私はそうはならなかったんだけど―精神が完全にこれに支配されるようだけど」

 

 「お前!そのことを知ってて、どうしてこんなことを!?」

 

 「決まってるでしょ?姉を生き返らせるためよ」

 

 その言葉に、全員が耳を疑った。死者蘇生。神への冒涜とも呼ぶべきその行為ができる可能性をこれが秘めている?

 

 「あなたたちも知ってるでしょ?ここに乗り込んできた被害者弁護の会も泉教に入ったって。元々、この怪物の水にそこまでの強い効果は無かった。だけど、人に飲ませる程に、信徒を増やすほどにその効果は強くなっていったの。元々軽傷を治すほどの力だったのなら、それが強くなれば必ず、最後は死者を生き返らせる事だって可能になる。そう思って私はこの怪物を利用することを考えたのよ」

 

 まず、詐欺師だった水面という男に目を付け、言葉巧みに仲間に引き込み、神父になってもらうことにした。宗教にしたのは、人を集めやすいの他に、お金を大量に集められるという理由もあった。姉を生き返らせるためには、その肉体は必要不可欠だ。それを保存するために、莫大な費用が掛かるからだ。

 

 「そしてようやくここまで来た。私は、私の目的の邪魔をするっていうならどんなことでもやる!」

 

 「ふざけるな!そんなことを理由に他の人を巻き込んだってのかよ!?」

 

 ゲイツは吠えた。

 

 「そんなことって何!?何も知らない癖に!」

 

 今まで動かなかった魔女がここで動いた。体から強力な水圧を込めた水の刀がゲイツに向かって放出される。

 

 「私は、姉を生き返らせるためなら何だってする!」

 

 ゲイツはそれを間一髪で横に逃れてかわす。

 

 「お前の姉だってそんなことは望んじゃいないはずだ!他の人を何人も巻き込んで、命の危機にさらし、心まで完全に支配するなんて」

 

 ゲイツの脳裏に浮かぶのは自身がいた時代の2068年。そこは、オーマジオウが自身の力を思うがままに振るい、2018年の人口の半分を減らした世界。残された人間も、オーマジオウへの恐怖に怯え、ただただ自分や自分の愛する者が殺されない事を祈る世界。彼女がやっていることはそれとほとんど大差ない。目的がどうとかは関係ない。今、君真理志保がやっていることは―、

 

 「お前は、最低最悪の魔王そのものだ!」

 

 『FINISH TIME!』

 

 ゲイツは時空ドライバーを一回転させると、その場でジャンプして右足を魔女に向けた。そして魔女に向かって一直線に「きっく」という単語で作られた道が出来上がった。

 

『TIME BURST!』

 

 そのキックが魔女に届こうとしていた時だった。

 

『SHOOT VENT』

 

 横から砲弾が飛んできた。

 

 「ぐわぁ!」

 

 その攻撃に阻まれて、ゲイツのキックは不発に終わった。

 

 見ると、そこには、緑のスーツに銀の装甲をした、ロボット兵のような出で立ちのライダーがバズーカ―ギガランチャー―を構えていた。

 

 仮面ライダーゾルダである。

 

 「悪いんだけど、そいつ倒すのちょっと待ってくれるかな?そいつの出す水ってのにちょっと興味があるからさ」

 

 仮面ライダーゾルダ。弁護士の北岡秀一が変身するライダーである。彼は、不治の病を患っていた。それを治す為に、永遠の命を願ってライダーバトルに参加した。しかし、現在はライダーバトルは半凍結状態。ただでさえ時間が無いのにその知らせは北岡秀一を焦らせた。

 

 そんなとき、この騒ぎに巻き込まれた。あれが、神崎史郎が言っていた"10の怪物"である事は火を見るより明らか。本当ならすぐにでも退治して、ライダーバトル再開に一歩近づかせるべきなのだが、君真理志保の言葉から思いがけない可能性を得た。彼女の言った事が本当ならば、永遠の命が無くても水があれば病気を克服できるかもしれない。そんな希望が芽生えたのだ。

 

 「と言っても、今この状況じゃ何も調べそうにない。だから、まずはお前らを大人しくさせるよ」

 

 そう言うと今度は、ギガランチャーをナイトと龍騎に向けて発射した。

 

 「ぐわぁ!」

 

 龍騎はその爆発を受けたが、ナイトはジャンプしてそれを躱すとウイングランサーをゾルダに振り下ろした。ゾルダは横にそれて躱し、再び突き出されたウイングランサーを今度はマグナバイザーの側面で受け止めた。

 

 「悪いが、こっちは早くライダーバトルを再開して欲しいんでね。大人しくするつもりはない」

 

 秋山蓮には愛していた人がいた。しかし今はとある理由で昏睡状態に陥っている。連は、彼女を再び目覚めさせるためにライダーになった。もしも、あの怪物の水に彼女を目覚めさせる効果があるのなら、彼はゾルダについただろう。しかし、それは恐らく不可能だと蓮は判断していた。

 

 君真理志保は、怪物の水とずっと接していたにも関わらずそれの洗脳下には無かった。しかし、水面を含む他の全員は、水を飲んだことで洗脳されていた。そして、―これは水面しか確認できていないが―、彼には怪物の姿が見えていなかった。これらを合わせると、あの怪物は、カードデッキを持ってる人にしか認知されないし、それが無ければ怪物の支配されるのではと推測される。

 

 故に、ライダーではない蓮の彼女、恵理を助け出すことは不可能なのだ。彼女を救うためには、やはり従来通りライダーバトルを再開させるしかない。

 

               『NASTY VENT』

 

 ナイトは自身の契約モンスター、ダークウイングを呼び出して、超音波を発生させた。

 

 「グッ!あぁ!」

 

 その超音波によってゾルダは麻痺し、志保も耐えきれなくなってデッキを落とした。その瞬間―、

 

 「#":…/"'@.,#+$¥」

 

 魔女の動きが活発化し、それから放出した水滴が無数の矢となって襲いかかってきた。

 

 「危ない!」

 

 真司は咄嗟に志保を連れて屈んだ。

 

 幸いにも矢は全て当たらずに済んだが、今度は先ほど見せた水圧の刀が一直線に真司に襲いかかってきた。

 

 「真司!」

 

 ゲイツはジカンザックスで受け止めて軌道を逸らす。

 

 「こいつ、明らかにこの女を狙ってるな。それも、暴走気味だ」

 

 水圧の刀と水滴の矢。この2つの攻撃に巻き込まれ、自身の使い魔は全滅していた。

 

 そして次に、魔女は水滴を一つにまとめ、大きくしていた。水で作られた大砲だ。

 

 「あいつ、ここら一帯を全部吹き飛ばす気か!?」

 

 「あれを出されたらただじゃ済まない!一気に倒すぞ!」

 

 「あぁ!」

 

 真司は立ち上がり、ゲイツの横に立った。

 

『時間ザックス You Me!』

 

 ゲイツは自身の武器を弓モードに切り替えた。

 

『STRIKE VENT』

 

 龍騎は自身の契約モンスター、ドラグレッターの頭部を模した武器、ドラグクローを召還し、右手にはめた。

 

『FINISH TIME!』

 

 ゲイツはクローズライドウォッチをジカンザックスに装填した。

 

 ゲイツは弓を構え、龍騎も右手を引き、ドラグクローに炎を溜めた。

 

『ギワギワシュート!』

 

 そしてゲイツは弓を放ち、龍騎は側に来たドラグレッターと同時に火炎弾を放った。

 

 ゲイツの攻撃は青い龍になり、それが赤い火炎と混ざり合って美しい色合いを出した。

 

 それは魔女が放った巨大な水滴をも押し返し、魔女の体に当たり大きく爆発したのだった。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 泉教の教祖逮捕。この記事が新聞一面を飾った。魔女が討伐されたことで、人々の洗脳が解け、その内の何人かが警察に連絡したのだ。家宅捜索の結果、莫大な金額を騙し取っていたことが分かり、水面と志保は逮捕された。

 

 その記事を、コーヒー片手に北岡秀一が読んでいた。

 

 「先生、そろそろ」

 

 程なくして、吾郎が呼びに来た。

 

 「ん、了解。ゴロちゃん」

 

 北岡はコーヒーを飲み干すと立ち上がった。

 

 「先生…その…」

 

 泉教逮捕の記事が目に入り、吾郎は神妙な顔付きになった。それを見た北岡は微笑んで、

 

 「大丈夫だよ、ゴロちゃん。諦めた訳じゃないから。あれは、俺も失敗だった。あの化け物は、とてもペットにしていいものじゃなかった。我ながら、ちょっと焦りすぎていたかもね。ま、これからは神崎史郎が言っていた奴らを見つけ出して、ライダーバトルを再開させることに力を尽くすさ。さ、行こうか」

 

 北岡は吾郎の横を通り抜け、車がある方へ向かった。

 

 そんな北岡の背中を見て、吾郎はポケットからあるものを取り出した。

 

 カードデッキだ。

 

 あの日、警察の取り調べは面倒だと早々に車に戻った時、吾郎は偶然見つけたものだ。それは、志保がナイトのNASTY VENTを食らった時に落としたモノだった。

 

 「ゴロちゃん?どうした?」

 

 「いえ、何でもありません。失礼します」

 

 吾郎はデッキをそっとポケットに仕舞いながらそう言った。 

 

 

続く




キュウべえ「こうして、また一体の魔女が倒された。それにしてもあの魔女、完全ではないけれど君真理志保の制御下に置かれていたようだったね。本来なら魔法少女とその素質がある少女にしか見えない魔女が彼女とライダーと呼ばれるものには見えていた事、そして僕がこの世界に来れた経緯を考えると、魔法少女と仮面ライダー、両者にはやっぱり強いの繋がりがあるみたいだ。だとすると、この状況を作り出した原因は―」
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