仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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睦月「俺の住んでる街の周辺で、魔女と呼ばれる怪物が現れた。仮面ライダーレンゲルの三葉睦月は、魔女と戦い、その正体が魔法少女である事を知る。レンゲルの力で魔法少女に戻せる事が分かった俺は、その力で4人の魔法少女を解放する事に成功し、ハーレムライフウハウハの共同生活を…って誰だよ!この台本書いたの!?」

晴人「その中の一人、徳山愛矢に恋をしてしまった仮面ライダーブレイドの剣持晴人は、睦月とは親友同士。一人の少女を取り合う三角関係に発展していき…」

睦月「お前かぁぁ!勝手に話作るな!」

舞花「何よこれ!?私の名前が全く書かれてないじゃない!」

小夜「私の名前も無いです…仮面ライダーギャレンの天野小夜はってやりたかったのに…」

睦月「いや、前の台本にはちゃんとそういうセリフあったんだけど、どこ行っちゃったかな?」

愛矢「睦月さん!もう時間!」

睦月「えぇ!ヤバいヤバいヤバいどこだぁぁぁぁ!!!」

なぎさ「取りあえず、どうなる第3章!」

睦月「あぁもう、めちゃくちゃだよ~!!!!!」



第25話 Round Zero

 「新しい魔女の居場所を見つけた」

 

 お盆休みを明けた8月23日、家に入ってきて早々に晴人は言った。

 

 「本当か!?」

 

 「おう、見つけた魔女は…覚えてるかなぁ?前に話した自殺支援サイト、Killに関するヤツだ」

 

 「Kill?」

 

 「あぁ、俺はこのサイトを暇な時にずっと調べてたんだが、このサイトに登録してるヤツが皆、同じ場所で自殺を図ってた。そして、このサイトにチャット欄があるんだが、そこに潜り込んであることが分かったんだ」

 

 「あること?」

 

 「管理人が人間じゃない」

 

 「えっ?」

 

 晴人は、睦月のパソコンを起動し、その問題のサイトにアクセスした。

 

 「このサイトに、自殺したいからいい場所教えろって書き込んだんだ。そしたら、管理人から返信が来た。それがこれだ」

 

 晴人が指差した書き込みを睦月は読んだ。自殺をするのに最適な場所、時間が行き方や目印も含めて事細かに長々と書かれていた。ん?行き方?

 

 「その顔、気付いたって顔だな。そう、この書き込みには、俺の家のドアを開けてからの道順が書かれているんだ。これはフリーなチャット。住所なんか教えてないのにだぜ?そして極め付きはこの返信時間。俺が書き込んでからわずか30秒で返信が届いてる。俺の住所を調べ、行き方を考えた上でこれだけの文章量を書き込む。30秒で出来る芸当じゃない」

 

 晴人はそう言いながら、今度は地図のサイトに移動した。

 

 「そして、俺を含めてこのチャットに書き込みをした人間にこいつが薦めてきた場所がここだ」

 

 「ほぉ~この場所が…って遠っ!」

 

 場所は、山奥。しかしこの場所はここからだと片道12時間。とても日帰りで帰れる距離ではない。

 

 「大丈夫だって。ホレ!この場所から30分位歩いた先にキャンプ場があるだろ?ここで一泊すれば良いんだよ」

 

 「嫌、簡単に言うけど…」

 

 「えっ?キャンプ!?なぎさ達も行くのです!」

 

 「はっ?」

 

 後ろから声が聞こえて見ると、いつから居たのかトレーニングから戻ってきた愛矢となぎさが後ろから覗き込んでいた。

 

 「なぎさちゃん、いつから…」

 

 「さっきなのです。ただいまって言ったのに返事が無いから来てみれば、旅行の計画なのですか?」

 

 「いや、そういう訳じゃ…」

 

 「何々?旅行?行くの!?私たちも?」

 

 さらにそこにトレーニング後のシャワーから帰って来た舞花と小夜が割り込んできた。

 

 「いや、皆は留守ばn…」

 

 「私たちも行きたい。連れてって~!」

 

 「ただの旅行じゃないからダメ!危険だし。ちゃんとお土産買って来るからそれで勘弁してくれよ」

 

 「だって~!睦月が夏休み入ってからどっっっっこも連れてってくれないんだも~ん!」

 

 どこも連れてってない?海とか市民プールとかショッピングモールとか結構色々な場所に行ってるような気がするが…

 

 「日帰りじゃなくて旅行がしたいの!遠くへ行って、一泊して、色々な所で遊んで~、そういうことがしたいの!」

 

 思考を読まれた。

 

 「別に良いんじゃねぇの?戦う時だけ一緒に居なきゃ、そんなに危険じゃねぇしよ」

 

 「睦月さん、戦いなら、微力ですが私も役に立てます」

 

 「それどころか、マネージャーの私が付けば、あなたたちの千倍は強いわよ!」

 

 舞花が小夜の肩に手を当てながら言った。

 

 「さぁ、そうと決まれば準備準備!愛矢、美味しいモノをよろしくね!」

 

 「えっ?まだ睦月さんOK出してないけど…」

 

 「いーのいーの!こうやって準備してれば連れてってくれるんだから!なぎさちゃんも行きたいよね?」

 

 「もちろんなのです!」

 

 なぎさも大きく頷く。もう完全に行く空気になってしまった。

 

 もうこうなっては仕方ない。今さら行かないと言っても、舞花辺りが尾行でもなんでもして付いて来そうだし、っと、睦月は皆で行くことを承諾した。

 

 それに、睦月も少しだけ楽しみにしていた。皆で旅行に行くなんて、二人で行くよりもずっと楽しいと思うから。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「睦月、もう一度確認するよ?私たちって元々はどうする予定だったんだっけ?」

 

 「え~っ、危険だから連れていかない予定でした」

 

 「ふ~ん、寝る場所も確保できないような人がよく言えたわねぇ」

 

 戦力外通告。今、睦月と晴人はその通告を受けて地面の上で正座をしていた。キャンプ当日、睦月ら6人は、予定通りキャンプ場に着き、テント(クインテットの物置に置いてあった)を立てるスペースも確保できた。ここまでは良かったのだが…睦月も晴人もテント一つ満足に立てる事が出来なかった。現在テントは舞花と小夜の二人で組み立て、なぎさと愛矢は食事の下ごしらえをしている。

 

 「まさか、お前が不器用だとは思わなかったぜ」

 

 ふと、晴人がそんな事を呟いた。まぁ確かに、今までそういう素振りを見せてなかったから当然の反応だが。

 

 そう、実は睦月は超が付くほどの不器用だ。折り紙ではツルですら満足に折れないし、裁縫をすれば糸は曲がって縫われてしまう始末。料理は、大家さんとのマンツマンによる特訓でようやく様になってるが(そこまで行くのに手がどれだけダメージを受けたかは言うまでもない)、その特訓で作った料理しか出来ず、他はからっきしだった。テント設営は晴人にお願いすれば何とかなるだろうと思っていたのだが…。

 

 「まさかお前も不器用だとは思わなかったよ。研究室ではずっと実験してたって聞いてたから、そういう人は器用なのかと思ってたが」

 

 「おいおい、それは偏見だぜ?実験っつっても一定の作業をずっと繰り返すだけだし、組み立てが必要なヤツは人に任せてたから器用不器用関係なしにちゃんとやってたの!」

 

 「だったら何で前の学校辞めたんだよ…」

 

 「おっ、完成したみたいだぞ」

 

 「マジかよ…」

 

 そんなやり取りをしてる間に舞花はテントの設営を完了していた。

 

 「これ位ちょろいちょろい。どっかの大口君とは訳が違うのよ」

 

 グサッ

 

 「ちょっと舞花さん、もっとオブラートに包まないとダメです」

 

 グサグサッ

 

 「ちょっと二人とも~終わったんなら、こっちの仕込み手伝ってくれない?」

 

 「はいは~い」

 

 「今行きます」

 

 「じゃあ俺たちも」

 

 スッと、舞花は睦月を手で制した。そして、意地の悪い笑みを浮かべたかと思えば、キリッとした表情に変わり、

 

 「ただの料理じゃ無いからダメ!危険だし。ちゃんと私たち4人で準備するからそれで勘弁してくれよ」

 

 グサグサグサグサグサ

 

 めちゃくちゃ低い声色で言われた。

 

 キャンプとか、そういう普段とは違う体験をすることで普通なら見られない一面を見られるというが、この時見られたのは女性陣のたくましさと、男性陣の不甲斐なさだった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「それじゃあ!クインテットの初旅行を祝って!」

 

 「「「「「「カンパ~~イ!!!!!!」」」」」」

 

 パチパチという炎が燃える音、ジューという肉が焼ける音に包まれながら、夜が始まった。全ての準備が終わった頃には既に夕方になっていたため、魔女探しは明日にして、今日はこのまま夜を楽しもうということになった。

 

 結局、ほとんど全てを彼女達4人だけで終わらせてしまった。もしも予定通り2人だけで来ていたら…最悪な夜を過ごしていた事だろう。

 

 「さ、お肉焼けたよ」

 

 「おっ!いただきまーす!ん~!お肉ジューシー!やっぱバーベキューっていったらこれよね~」

 

 「野菜も美味しいですよ」

 

 「なんかいつものお肉よりも美味しく感じるのです」

 

 「山の空気と炭火焼のお陰だろう!この二つに触れてできたバーベキュー串!そこにビール!ベストマッチ!!」

 

 「そんなにお酒って美味しいのですか?」

 

 「おっ?試してみるか?」

 

 「やめなさい!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 ヒュルルルル~パーン!

 

 「おぉ!」

 

 「た~まや~!」

 

 「それ、何なのですか?」

 

 「花火の掛け声みたいなモノよ」

 

 午後10時、良い感じにバーベキューは終わり、6人は花火をしていた。道中で、色々な種類の花火を買ってきたのだ。打ち上げ花火から始まり(なぎさ達は喜んでたが晴人曰く「思ったよりしょぼい」だった)、定番の手持ち花火、吹き出し花火、ねずみ花火と続いた。そして最後のしめは線香花火。一輪の花の様に小さくパチパチと火花を上げる姿を、小夜はただうっとりと眺めていた。

 

 「きれいですね。本当に。睦月さん、私たち、無理矢理付いてきたようになっちゃいましたけど、今日は楽しかったです。ありがとうございます」

 

 「何言ってんだよ。ありがとうは俺の方だって。予定通り晴人と二人で来てたらこんな風に花火を楽しむ余裕なんて無かったんだし。皆が器用で助かった」

 

 口では言わなかったが、小夜も器用に物事をこなしていたのには正直驚いた。彼女は自分に自信が持てないタイプだったので(この性格もギャレンとして戦うようになってから幾らか少なくなったが)、そういう子は不器用だろうと凄い偏見だが漠然と考えていたから。

 

 「私の場合はたまたまですよ」

 

 その睦月の偏見を見抜かれたのか、小夜は言った。

 

 「私、前は医者を目指してたんです」

 

 「医者?」

 

 「はい。私の両親が医者だったので。それで、医者になるには細かい作業もできるようにならないとダメだって言って、小さい時はずっと折り紙とかお裁縫とか、そういうので特訓していたんです。私、元々はすっごく不器用だったので、それはもう熱心にやっていました」

 

 「じゃあもう、それ以降は大活躍だったんだな。キャンプとかではそれこそ大活躍だっただろ?」

 

 睦月は昼の様子を思い出しながら言った。

 

 「いえ、私、それ以外の時間はずっと親に言われて勉強をしていたので、キャンプとか旅行とかは一度も行ったことが無いんです」

 

 「―――――」

 

 睦月は、今まで小夜に戻った記憶の事を聞くのを避けてきた。話したくなったら話してくれれば良い。そう考えていたから。だけど、この時はキャンプの空気のせいか、小夜の考えてる事がどうしても気になってしまった。

 

 「小夜、お前の…」

 

 「睦月、危ない!」

 

 「えっ?うぁぁぉ!」

 

 足元からネズミ花火の大群が接近してきて、二人は思わず飛び上がった。

 

 「へっへ~、ドッキリ成功!」

 

 「なっ…おい晴人!」

 

 花火大会は、睦月の驚きで幕を閉じた。二人の線香花火は驚きの衝撃で種を落としていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「それじゃ、魔女を探しに行ってくる」

 

 「行ってらっしゃいなのです」

 

 次の日、目的の魔女探しが始まった。魔女の捜索は睦月と晴人の二人で行い、他の皆は留守番兼後片付けを頼んだ。

 

 「あの、睦月さん、本当に私は行かなくて良いんですか?」

 

 不安そうに小夜は言う。

 

 「なぎさちゃん達だけを残していくのも、鏡の怪物が心配だからな。お前はその辺の護衛を頼む。それに、片付けには人手があった方が良いだろ?」

 

 「そうですけど…」

 

 「じゃあ頼んだぞ。すぐ戻るから」

 

 「あっ、はい…行ってらっしゃい」

 

 小夜は心配そうにしながら、手を振って見送った。

 

 「上手く言ったな。ああでも言わなきゃ、付いてくるだろうからな。もしかして、不器用なのも演技かだったのか?」

 

 皆が見えなくなってから、晴人が言った。

 

 「そんな訳ないだろ。あれはマジだ。昨日は本当、皆に助けられたよ」

 

 「そこまで気にすること、無かったんじゃないか?言ってみりゃ魔女なんて、魔法少女のゾンビみたいなモノだろ?それに、ずっとそれと戦って来たんだから別に良いじゃねぇか」

 

 「確かにそうかもしれないけど、何となくそうさせたく無いんだよ。あの子達に魔女は、出来るだけ会わせたくない」

 

 片付けには人手が必要だし、鏡の怪物の危険もある。その言葉に嘘は無いが、一番の理由は、魔女と小夜を戦わせたく無かったからだ。魔女は元は魔法少女だった。つまり、小夜にとっては仲間のようなものだ。その仲間同士で戦わせる事は、どうしても了承できなかった。

 

 「着いたぜ」

 

 小夜達と別れてから30分。二人はKillから指定された場所へ来た。

 

 「時間は11時ちょっと前。自殺した人達は大体11時から17時に集中してるから、その間に何かしらのアクションがあるだろ」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

14:00

 

 「ふぅ、あらかた終わったわね」

 

 睦月達と別れて約3時間。鉄板を洗ったりテントを片付けたりで忙しく過ごしていたが、それもようやく一段落付いた。

 

 「皆さん、お疲れ様です」

 

 そう言って小夜は皆に缶ジュースを手渡した。

 

 「ありがとう小夜」

 

 「ジュースなのです!」

 

 皆プルタブを引くと一気にジュースを流し込み、渇いた喉を潤した。

 

 「ふ~、ありがとう小夜。喉カラカラだったから生き返った。気が利くね~」

 

 「そうね。もう舞花マネージャーも形無しかもね」

 

 「私の存在意義~!」

 

 愛矢の冗談に皆が笑った。そんな時、小夜はあることに目を奪われた。

 

 「ん?どしたの?」

 

 小夜の視線に気付き舞花もそちらに目を向ける。

 

 「あの人、何か様子が…」

 

 見ると、スーツを着た一人のOLがフラフラと歩いていた。いつ倒れてもおかしくないような状況だった。

 

 「あの、大丈夫ですか?」

 

 心配になった小夜がそう声を掛けた。

 

 「大丈夫よぉぉ、もう少しで着くからぁぁぁぁ」

 

 喋り方も妙だった。魂が抜けているような、そんな話し方。

 

 「着くって一体どこに…!!」

 

 小夜は女性の首筋を見て驚愕した。

 

 「小夜?ん?この刺青がどうかしたの?」

 

 「これ…魔女の口付けです…」

 

 その言葉に他の皆も驚いた。

 

 「魔女って、睦月さんと晴人さんが今向かってる場所に居るんじゃ…」

 

 「これが魔女の印なのですか?じゃあ魔女が近くにいるのですか?」

 

 「分からない。でも何で…今回は場所も分かってたはずじゃ…舞花さん、すぐに睦月さんを呼んできてください。私は…!!!」

 

 そこまで言った時、小夜は先ほどよりもさらに驚きの表情を上げた。

 

 「小夜?今度はどうしたの!?」

 

 「魔女が…魔女が来ます。皆急いで逃げて!」

 

 しかし、そう言った時には既に遅かった。ただのキャンプ地のある森だった場所が徐々に異形な空間にへと変わっていった。

 

 地面から芽が出たと思えば、それが一気に成長していき、オモチャの兵隊を思わせる見た目の花が咲き誇った。そして、それらが円形に行進し、5人を囲っていった。

 

 それ以外の兵隊は左右に並び、これまた異様な色のラッパを取り出すと、それを吹いた。

 

 ラッパの音楽に合わせ、地面から一本の茎がにょきにょきと兵隊の3倍の大きさはありそうな高さまで伸びていき、次の瞬間その茎から細い糸が何本も延びていって、それが形あるものに形成されていった。太い腕ができ手ができ顔ができ(顔には何も書かれてなかった)、人間の上半身のようなものを作っていった。 そして、糸で作られてた為にしなっていた腕や胴体が、今度は岩の様に黒く、硬く変化していった。

 

 岩石の魔女、ゴールダン

 

 「何…あれ…?」

 

 「あれが…魔女です」

 

 瘴気に耐えられなかったのか、OLが倒れた。

 

 「舞花さん、愛矢さん、この方をお願いします。なぎささんも、二人を手伝ってあげてください」

 

 小夜はバックルを取り出して、中に◇Aを入れた。

 

 「皆の事は、私が守ります。変身!」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 「おい晴人、本当にここで合ってるのか?」

 

 しびれを切らした睦月が尋ねた。

 

 「合ってるはず何だが…」

 

 Killから指定された場所に来てから3時間。魔女が現れないどころか気配さえない。初めの頃はいつ魔女が現れるかという緊張感をずっと保ってきたが、それにも限界がある。魔女が現れなければただ山々が見渡せるだけのただの崖だ。ここで3時間もじっとするのは暇で疲れる。

 

 「ん~、場所はここなんだが…もしかしたら、今日はここじゃ無かったかも」

 

 「今日は?どういうことだ?」

 

 「場所は合ってるんだがよ、指定された日時が違うんだよ。準備とかで思ったより手間取ったからなぁ。日時に特に規則性は無かったから大丈夫だろうと踏んでたんだが…!」

 

 「!!」

 

 突然、魔女の気配を感じた。

 

 「おい、睦月!」

 

 「俺も感じた!でも、ここからじゃなくて…」

 

 気配の方向、その直線上には…

 

 「小夜達が危ない!」

 

 「行くぞ!」

 

 二人は急いでキャンプ場へ戻った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「くっ!はぁ!」

 

 ギャレンラウザーを発砲し、使い魔を何体か倒した。

 

 「こっちです!」

 

 空いた道にすかさずなぎさ達を誘導する(OLは愛矢と舞花で担いでいる)

 

 結界には出口は無い。出るためには魔女を倒すか逃げるほどのダメージを与えないといけない。それは分かってるが、使い魔が次々と襲ってくる状況で、舞花達の側を離れる事はできなかった。

 

 横の茂みから使い魔が飛び出してきた。

 

 「きゃぁぁぁ!」

 

 ギャレンがすかさずラウザーで撃って対処する。

 

 「小夜、このままだと確実にスタミナ負けになる。ジャックフォームになって!短時間で決めるのよ!」

 

 「はい!」

 

 ギャレンはすかさずクイーンとジャックのカードを取り出したが、その隙にゴールダンが磁力で砂を持ち上げ、それを刃にして一気に放った。

 

 「危ない!」

 

 「キャッ!」

 

 それに気づいたギャレンが4人を抱えて横に飛び乗ったが、そのはずみで2枚のカードを落としてしまった。

 

 全刃が躱されたのを見ると、今度は大量の岩を持ち上げ、それを全弾放った。

 

 さらに、岩とは別の方向からは無数の使い魔が。

 

 「皆、この場でじっとしててください」

 

 『♢9 GEMINI』 『♢2 BULLET』

 

 ギャレンは二人に分身し、岩と使い魔、それぞれの方向に立った。そして、BULLETの効果で威力が上がったラウザーの力で岩を砕き、使い魔を倒していった。しかし、所詮は1対多数だ。全てを防ぐのには限界があった。

 

 中々獲物に辿りつけない苛立ちからか、使い魔の何体かが他の使い魔を飛び越え、上から襲い掛かった。予測できなかった攻撃に、使い魔を担当していたギャレンの反応が一瞬遅れた。

 

 「皆伏せて!」

 

 咄嗟に岩を担当していたギャレンがそれらを撃退したが、それはつまり、岩の攻撃から完全に目を放す結果になり―

 

 「小夜!後ろ!」

 

 ギャレン自身に迫っていた岩の砲弾に気付かなかった。

 




 キャンプ場、とある場所

 「魔女が現れたか。予定の場所からはまぁまぁずれていたが、問題ない」

 パラディの一人、高見沢逸郎はゴールダンの現れた方向を見つめ、ほくそ笑んだ。

 「それじゃあ、こっちも準備を始めようか」

 高見沢は、自身のカードデッキを掲げた。どこからともなくバックルが現れ、彼の腰に巻かれていく。

 「変身」

 高見沢がデッキをセットすると、その体はカメレオンを思わせる風貌の黄緑色のライダー、仮面ライダーベルデに変化した。

 「ふん!」

 そして一人、山小屋の窓ガラスの中に入っていった。


続く

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