妙な空間に迷い込み、妙な『蛇』と戦ってから3日。ようやく、何の予定の無い日が来た。本当は、すぐにやりたかったのだが、『蛇』との戦いで疲れ果て一日中眠っていたり、(その日は講義が入っていたが、初めて自主休校した)バイトが入っていたりと時間が取れなかったのだ。
睦月は今、自分が住んでいるアパートのすぐ近くにある廃工場の奥にいる。あることをするためだ。
「変身」
『♧ Open UP』
睦月はレンゲルに変身した。今からやること、それは、カードの確認だ。『蛇』との戦いのときは、相手の攻撃に対して最適なカードを自然に選ぶことができたが、その後、改めて全てのカードを見たのだが、どのカードにどんな効果があるのかがさっぱりだった。ではなぜ、あの時は最適なカードを選ぶことができたのかという疑問が浮かぶが、ひとまずそれは後回しだ。今必要なのは、あの化け物に対抗するための準備だ。
正直、戦いたくない。あんな化け物と何度も命がけで戦ったら、自分の神経がもたない。でも、あの日見た夢に出た男は、世界を救えるのは自分だけだと言った。あれが予言なのか何なのかは分からないが、あれはもうただの夢じゃないことは確かだった。ならば必ず、この力が必要になるときが来る。睦月はそう確信していた。
それに、近所にあれだけの力の持った化け物が潜んでいると分かったのだ。自分の身を守るためにも、自分が今持っている力をしっかりと確認する必要がある。『蛇』から出てきたあの謎の『モノ』も気になるが、こっちの方が優先だ。
まず、♧A。これは変身の時に必要になるカードだ。杖にスキャンして使うのではなく、バックルに入れることでその効果が発せられる。カードに『CHANGE』と書かれていることからも変身に使うための物だと分かる。これは、クローバーに限らず、他のスートについても同様だろう。また、クローバーのライダー、レンゲルについては武器に杖型のこん棒を持つ。普通に杖を振り回して攻撃するでも良いが、先の戦いのように、そこにカードをスキャンして戦う方が効果がありそうだ。カードは、一枚でも十分強力だが、複数枚を同時にスキャンすることで、より効果的な力を発揮させることができることも既に分かっている。
だからこそ、他のカード、2~Kの効果を実際にスキャンして確認する必要がある。まずは、先の戦いで使ったクローバーだ。
『♧2 STAB』: 杖の威力を上げる(試しに振り回したら、うっかり倉庫にあった棚を壊した)
『♧3 SCREW』: 杖の先端に高速で回転する風が付加された。相手の攻撃を弾いたりと何かと応用できそうだ。
『♧4 RUSH』: ♧2同様、杖の威力を高めるが、こちらは主に突きの威力を高めるのに長けていて、その攻撃力で言えば♧2より上だと分かった。(工場の床に大きなへこみができた)
『♧5 BITE』: スキャンと同時に、脚に力が込められていくのを感じた。キック力を増強させるカードだろう。
『♧6 BLIZZARD』: 杖から強力な冷気が出て、辺り一面を凍らせた。『蛇』との戦いのときも、このカードが逆転のきっかけになったので、これからも使う機会は多くなるだろう。
『♧7 GEL』: 体が液状になり、床の中やちょっとした隙間などに入り込むこともできた。もしも逃げる必要があった時、これは非常に役に立つだろう。しかし、このカードで液状になれる時間は5分。使いどころに注意しなければいけないと思った。
『♧8 POISON』: 杖から異様な色の毒液が出た。鉄板すら溶かすことのできる強酸性だ。強力だが、自分に当たってもひとたまりもないだろう。
『♧9 SMOG』: 杖から煙幕が放出された。逃げる時はもちろん、奇襲をしかける時にも、このカードは役に立つだろう。
「次はこれか」
と、睦月は♧10のカード、REMOTEを取り出した。REMOTEは「遠隔」という意味だが、どういう効果があるのだろうか。睦月は、今までと同様にカードをスキャンした。
『♧10 REMOTE』
すると、カードが光り、絵の中央部から一筋の光が伸びた。その光が♧7のカードに届いた瞬間、なんと、カードの中から怪物が現れた。
そして睦月を攻撃せんと飛びかかった!
続く
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。第三話はちょっと短いですよね。というわけで今週は2話連続です。
次の第4話も合わせて読んでください。