仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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第45話 ラッキー・クローバー

 喫茶店花鶏。三葉睦月と百江なぎさは城戸真司、明光院ゲイツに連れられてここに来ていた。

 

 「お前らの知っている事を全て話せ」

 

 そうゲイツに言われたからだ。

 

 ライダーは誰一人信用しないと決めていたが、彼らもまた、パラディと敵対していた事や仲間の一人が裏切り、グリーフシードを奪っていった事から、ある程度は話しても良いんじゃないかと判断した。

 

 また、情報が欲しいのは睦月も同じだった。魔法少女や魔女に関する情報はそれなりに知っているつもりだが、それ以外の、特にライダーに関する情報は、晴人から与えられた物か、彼から教えてもらった愛矢から与えられたモノしか無い。何とか、彼らから離れた所で情報が欲しかった。

 

 二人で晴人達を相手にするのは限界があるとも感じていた。今までの邂逅で、きちんと勝利できた事は一度もない。運が良かったから生き残れたようなモノだ。五対二(先ほどは四人だったが)での戦いは、危険が大きすぎる。それに加えてジャックフォームも没収され、謎の怪物まで現れた。

 

 こちらも、一歩を踏み出さなければ生き残れない。

 

 睦月は自分の知っている事を全て話した。ある日突然ベルトが現れた事、それを使って今まで自分が何をしてきたか、パラディの事。そして、これらを話す以上、魔女についての話も避けては通れない。これは出来る限り隠しておきたかったが、仕方ない。

 

 「"10の怪物"の本当の名前が魔女でその正体が人間…?それも、魔法少女だって…?」

 

 「って言うか、魔法少女ってアニメの世界の話じゃなかったのか?」

 

 魔法少女と魔女についての話はやはり二人にとっては衝撃的な話だった。初めてなぎさに会った時の自分を見ているようだった。

 

 「こことは違う世界ではって話だ。この世界では間違いなくただのお伽噺だよ」

 

 それを言うなら仮面ライダーも十分お伽噺だけどなと睦月は心の中で思った。

 

 「それじゃあつまり、その子は…」

 

 真司は息を飲みながらなぎさを見つめる。

 

 「元は魔女だったって訳か」

 

 そんな彼の言葉をゲイツが引き継ぎ彼女を睨み付けた。

 

 「元が魔女だから何だ?俺たちを倒すか?別に、信用できないってんなら話は終わりだ」

 

 睦月はゲイツの目が気に入らなくてそう言った。同じくゲイツを睨み付ける。話すんじゃなかったと少し後悔した。すぐに出ようと立ちかけると、

 

 「待て待て待て待て!止めろ!俺たちは別に戦いに来たんじゃない!」

 

 それを見た真司が慌てて止める。

 

 「って言うかそもそも…」

 

 真司がなぎさの方をチラリと見た。睦月もそれに従って横を見ると、

 

 「スゥーーー…スゥーーー…」

 

 「(寝てる…)」

 

 なぎさが小さな寝息を立てていた。色々な事があって疲れているのは分かるが、敵か味方かも分からない相手を前にして寝るとは…。

 

 「(まぁ、子供らしくていいか)」

 

 そんななぎさの様子が微笑ましくて、睦月はクスリと笑った。お陰で苛立ちも少し収まった。一歩を踏み出さなきゃと決めたばかりではないか。

 

 彼らは他のライダーと違い、問答無用で襲い掛かって来るような事はしなかった。少なくとも彼らは今まで出会ったライダーと比べたら遥かに増に見える。

 

 睦月は改めて腰を落とした。

 

 「悪い。言い過ぎた。ダメだな俺は」

 

 不安になる。こんな調子でなぎさを守れるのかと。

 

 「とにかく、こっちの知ってる事は全部話した。今度はお前達が話して欲しい。知っている事を」

 

 真司は話した。ミラーワールドと呼ばれる世界があり、そこに住んでいるモンスターと呼ばれる怪物が人間を餌にしている事、ライダーは神崎士郎から受け取ったデッキとモンスターと契約する事で力を奮う事ができ、そんなライダーが元々13人いたこと、そして彼らは、自身の願いの為に他のライダーと戦っていた事。この辺りは睦月も知っている事だった。しかし、その先の話は睦月も知らない事だった。

 

 「神崎優衣?」

 

 「神崎士郎の妹だよ」

 

 真司はカウンターにある写真を指差して言った。

 

 「"10の怪物"―あぁ、魔女って言うんだっけ?―そいつらの親玉になっているらしいんだ。そして、魔女は彼女にエネルギーをあげてる」

 

 「何でそうなったのかは、まるで分からんがな」

 

 ゲイツが横から口を挟んだ。

 

 「それで、真司さんたちは何体かの魔女を倒したのか」

 

 「俺たちが倒したのは二体だ。まぁ、その証は全部蓮に盗られたけど」

 

 「グリーフシードな。盗られたと言うなら、俺たちも同じだ」

 

 睦月がそっと修正する。そして続けた。

 

 「俺たちが今まで倒した魔女は5体。それとは別にパラディは俺たちが知らないグリーフシードを持っていた。そして、真司さん達が倒した魔女が2体…。つまり残りの魔女は2体かさっき出た使い魔の主の1体って事か…」

 

 「いや、2体だ」

 

 ゲイツが再び口を挟むと、ホチキス止めされた資料を睦月に手渡した。

 

 「これは…?」

 

 「神崎士郎が俺たちに渡した資料だ。その魔女とか言うヤツが関わってそうな事件が全てまとまっている」

 

 パラパラと資料を捲り、睦月は驚いた。廃校での自殺、自殺支援サイト、火事…確かに、魔女が関わっていた事件がファイリングされている。

 

 「そして、お前らの話も併せて考えるとまだ解決出来ていない事件は2つ。火事と誘拐だ」

 

 それは、3ページと19ページに書かれた事件だった。

 

 火事とは、「炎のビル」と呼ばれる場所に入った人が皆放火魔になるということで晴人が話した内容と大差無かった。

 

 もう一つの誘拐、これは初めて見た。小学生が次々に行方不明になる事件だった。そしてそれが始まったのが五月下旬。なるほど、確かにこれも魔女が関わっている可能性が高い。

 

 その後、話はゲイツの事になった。時空の乱れにより未来から2002年にやって来た事、神崎士郎が"侵入者"と呼んでいる存在がタイムジャッカーの可能性がある事など、驚きの連続だった。

 

 最後にゲイツは思い出したかのようにこう言った。

 

 「その子が使っていた変身ベルト。あれは、オーマジオウの所の石像にあったのと同じだった。あれは、仮面ライダー鎧武の物だった」

 

 また新たなライダーの名前が出て、睦月は頭が痛くなった。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「ん…」

 

 一定周期の振動を感じ、百江なぎさは目を開けた。

 

 「あれ?なぎさは…」

 

 「お?やっと起きたか」

 

 なぎさは睦月に背負わされていた。辺り一面がオレンジ色に染まっていた。

 

 「ここは…?」

 

 「家に帰る所だよ。少し前に喫茶店を出たんだ」

 

 それを聞くとなぎさはハッとなった。

 

 「睦月!ごめんなさい!敵かもしれないのになぎさ寝ちゃって!」

 

 「良いよ。気にすんな。大変な事は起こらなかった。あいつら―真司とゲイツって言うんだけど―は安全だったから」

 

 「・・・それは、良かったのです」

 

 そう言うとなぎさは再び睦月の背中に頭を乗せた。

 

 まだ眠いのかなと思ったその時だった。

 

 ガズン!!

 

 「うお!!」

 

 突然横から何かが飛んできた。睦月は反射でかわす。

 

 「な…な…な…何なのですか!!?」

 

 なぎさも慌てて飛び起きた。目の前には美しい女性の姿があった。

 

 「ようやく見つけたわよ。仮面ライダー。今度こそ、あなたを潰す」

 

 その姿が徐々に怪人に変貌していく。

 

 蛇髪の怪人。ダイヤのカテゴリーQ、サーペントアンデッドだった。

 

 「お前か…なぎさちゃん、下ろすよ?」

 

 「なぎさも戦うのです!」

 

 なぎさを下ろすと二人は等間隔に並んだ。

 

 「「変身!!」」

 

 二人はライダーに変身した。

 

 斬月は早速バブルバスター―シャボン玉を噴出する銃なのでそう呼ぼうと二人で決めた―を発射。サーペントアンデッドは斧でそれを防ぎながら接近し、レンゲルとぶつかる。アンデッドの斧をラウザーで応戦。

 

 その隙に斬月は二人の頭上を飛び、アンデッドの背後に回り込むと再びバブルバスターを発射。

 

 「あっ!」

 

 背後からのダメージで怯んだ所にレンゲルはラウザーを叩き込んだ。

 

 「あぁ!!」

 

 「これで終わりだ!」

 

 『♧5 BITE』『♧6 BLIZZARD』

 『ブリザードクラッシュ』

 

 そして、冷気を纏った挟み蹴りを食らわせようとする。

 

 「まだよ!」

 

 「!?」

 

 その時、サーペントアンデッドの前に三体のモンスターが現れた。三体共蜂の様な姿をしていて、それぞれ赤・青・黄色と異なる色をしていた。

 

 その三体のモンスターがその場で回転。レンゲルのブリザードクラッシュを弾き飛ばした。

 

 「睦月!」

 

 斬月が驚いて駆け寄る。

 

 「アッハハハ!…これで四対二。不利なのはどっちかしらねェ?」

 

 サーペントアンデッドは体勢を立て直していた。赤の蜂型モンスター、バズスティンガー・ホーネット、青の蜂型モンスター、バズスティンガー・ワスプ、黄色の蜂型モンスター、バズスティンガー・ビーを引き連れていた。

 

 自身が連れていた下級アンデッドはレンゲルに封印された。ならば、他の怪人を下僕にすればいい。それがサーペントアンデッドの考えだった。上級アンデッドはその強さや能力で他のアンデッドを支配する事が出来る。その要領で容易にモンスターを操る事が出来た。

 

 一気に戦況は不利に。バズスティンガー・ビーが弓矢を放った。その弓矢はー、

 

 『ジカンザックス! YOU! ME』

 

 背後から来た弓矢によって弾き返された。

 

 二人は驚いて振り向くと、

 

 「だったら、こっちも二人加勢させてもらう」

 

 「睦月!なぎさちゃん!大丈夫か!?」

 

 そこに仮面ライダーゲイツと仮面ライダー龍騎の姿があった。

 

 「真司さん!?どうして…」

 

 「これ」

 

 龍騎が手を広げると、そこに睦月達の部屋の鍵があった。なぎさを背負う時にうっかり落としたのだった。

 

 「追い掛けて正解だったな」

 

 「しゃぁ!俺も戦うぞ!」

 

 心強い掛け声。睦月となぎさは新たな援軍に心が震えた。

 

 「皆、ありがとう」

 

 仮面ライダー龍騎、仮面ライダーレンゲル、仮面ライダー斬月、仮面ライダーゲイツ。

 

 異なる世界にいた四人のライダーが目的を同じくして今並んだ。

 

 『ジカンザックス! OH! NO!』

 

 『SWORD VENT』

 

 「人数が増えた所で同じ事よ!」

 

 サーペントアンデッド、バズスティンガー・ホーネット、バズスティンガー・ワスプが飛び出した。

 

 バズスティンガー・ホーネットの剣が龍騎のドラグセイバーとぶつかった。つばぜり合いの中、龍騎が蹴りを入れ、怯んだ隙に斬り裂く。

 

 バズスティンガー・ワスプは自慢の毒針をゲイツに突き刺そうとするが、ギリギリの所で屈んでかわし、懐に斧を当てるとそのままズバッと斬り裂いた。

 

 サーペントアンデッドは自身の髪を鎌状に変えレンゲルに迫った。レンゲルは鎌をかわしたりラウザーで受け止めるなどしながら一端距離を取ると、ラウザー柄を長く持ちそのリーチでアンデッドの脇腹を打つと、間髪入れずに次に胴体を打ち付け、アンデッドの体を吹っ飛ばした。

 

 バズスティンガー・ビーが後方から弓矢を射って援護しようとするが、それを同じく後方にいた斬月が撃ち落とし、そのままバズスティンガー・ビーの体に弾丸をぶつけた。

 

 「一気に決めるぞ」

 

 「しゃぁ!」

 

 「今度こそ決めてやる」

 

 「なぎさも!」

 

 『FINISH TIME!』

 

 『FINAL VENT』

 

 『5 BITE』『6 BLIZZARD』

 『ブリザード・クラッシュ』

 

 『メロン・スカッシュ!』

 

 ゲイツ、龍騎、レンゲルの三人が跳び上がった。

 

 その後方から斬月が使い魔を模した大きなエネルギー弾を発射。三人のライダーのキックと重なった。

 

 『TIME BURST!!』

 

 バズスティンガー・ビー、ワスプ、ホーネットの三体はサーペントアンデッドを守るように回転バリアを展開したが、四人のライダーの必殺技を防げるわけは無く、そのまま爆発四散した。

 

 サーペントアンデッドの姿は無かった。どうやら逃げた様だ。

 

 「あいつは逃げたか…」

 

 「でもやったな!俺たちの勝ちだ!」

 

 龍騎が強く肩を叩きながら行った。

 

 「あぁ、皆、ありがとう」

 

 龍騎とゲイツ、二人が来てくれたお陰でまた助かった。彼らは、信用しても良いかもしれない。睦月は心からそう思った。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 時は少し遡る。

 

 花鶏を出る時の事だ。なぎさを背負った睦月はある事を尋ねた。

 

 「そう言えば、真司さんは何でライダーになったんですか?やっぱり戦ってでも叶えたい願いが?」

 

 それはある意味、睦月が一番聞きたかった質問だった。

 

 彼らの物腰が柔らかかったが、彼もまた、神崎士郎という男の作ったデッキを使うライダーだ。ならば、願いがあってもおかしくない。今協力的なのも、神崎士郎から休戦を持ち掛けられただけだと考える方が自然なのだから。

 

 個人に踏み込んだ質問をした。それによって隠されていた感情があらわになる可 能性がある。最悪、それで睦月達が危険に曝される事も。だから今だった。なぎさを背負い、いつでも逃げられる今、それを尋ねた。

 

 しかし、睦月の警戒とは裏腹に真司は言った。

 

 「違う。俺は、皆を守る為にライダーになったんだ」

 

 「・・・・」

 

 「モンスターが人間を餌にしてるんだぞ。それが分かってて、モンスターをどうにかできる力があるのに、人の為に使わないなんておかしいじゃないか。俺は、モンスターと戦う時にしか変身はしない。このライダーバトルも止めたいと思っている」

 

 真司の目に曇りは無かった。今まで睦月が見たライダーは自身の欲望の為に残酷になった人ばかりだった。しかし真司は違う。心底人の為になりたいと思っている。

 

 信じても良いのかもしれないと思った。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 ようやく信じられる仲間を得られた事に睦月は嬉しかった。

 

 「さて、なぎさちゃん、帰ろうか?」

 

 しかし、なぎさは答えない。斬月の姿のまま、左の方向をずっと見ている。

 

 「なぎさちゃん?」

 

 「…来る」

 

 「えっ?」

 

 「みんな!」

 

 その時、地面が爆ぜた。炎柱が上がる。さらに続けて次々と爆発が起こった。今度は見えた。青い火の玉が次々に飛んできて爆発を起こしていたのだ。その爆風に四人が煽られて倒れた。

 

 「何だ?一体!!」

 

 

 

 

続く

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