仮面ライダーレンゲル☘️マギカ   作:シュープリン

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第46話 「誰」が睦月を恨んでいるのか

 のっぺりとした白い皮膚にスプーンですくった様な窪みのある目があるだけなので、顔だけでは判断できないが、スラッと伸びた長い手足に膨らんだ胸。スタイルで女性の怪人だと分かる。白を基調とした体に水色のラインが入っていて、所々に血痕の様な水玉が散りばめられていて、水色の羽衣を纏っていた。

 

 「見つけた…」

 

 彼女は静かに呟くとスッと右手をかざした。そして、青色の火の玉を生成。

 

 「これはマズい!!」

 

 『STRIKE VENT』

 

 真っ先に動いたのは龍騎だった。ドラグクローを召還し、三人の前に出る。

 

 赤と青、双方の火の玉はほぼ同時に発射された。

 

 二人の攻撃は互角…否。彼女の攻撃の方が少し上回っていた。青い火の玉の熱風で龍騎は体勢を崩す。

 

 しかし、龍騎が作った僅か数秒は無駄では無かった。龍騎を除く三人のライダーは熱風をかわすと攻撃に出る。

 

 『時間ザックス!YOU ME!』

 

 ゲイツは自身の武器を弓に変えるとエネルギー弾を発射。その反対から、斬月はバブルバスターを発射した。彼女はかわそうともしなかった。

 

 彼女の体に全て命中。しかし、

 

 「効いてない!?」

 

 彼女の体には傷一つ付いていなかった。

 

 「ぬうおりゃぁぁぁ!!」

 

 レンゲルが正面からラウザーを振り下ろした。しかし相手はそれを片手でキャッチすると、もう片方の手を青い炎で纏い、拳をぶつけた。

 

 「がぁぁ!!」

 

 「許さない…あなただけは…」

 

 「…?」

 

 怪人は倒れてるレンゲルに向け―。

 

 「睦月!!」

 

 『時間ザックス!OH!NO!』

 

 『SWORD VENT』

 

 睦月に注目している隙にゲイツと龍騎が左右から挟み込む様に攻撃。二人を意識していなかった彼女は反応が一瞬遅れた。

 

 「んん!!!!」

 

 体勢を立て直した睦月はカードを三枚スラッシュ。

 

 『♧4 RUSH』『♧6 BLIZZARD』『♧8 POISON』

 『ブリザードベノム』

 

 レンゲルは斬月を飛び越えると、ラウザーの矛先を彼女の懐に向けた。

 

 「!!」

 

 彼女の生存本能から来るモノなのか、彼女は両腕を爆発させて左右のライダーを一掃。その後、レンゲルの渾身の突きをその場で回避。

 

 「はぁ!!」

 

 突きが無理ならとラウザーのリーチで横になぎ払い、彼女に毒と冷気がこもった攻撃をぶつけた。

 

 「・・・・」

 

 今の攻撃はさすがに効いたようだった。毒が彼女の体を侵食していくのが分かる。爆発させた腕も無事では無さそうだった。火傷でボロボロだ。

 

 彼女は羽衣を振り回した。彼女の周りに熱風を生み出すとそのまま姿を消した。

 

 「逃げたか」

 

 「睦月、今のは…」

 

 「あぁ、分かってる」

 

 火の玉を自在に操る怪物、彼女が現れてから感じた気配、そして人の言語を話していた。間違いなく、使い魔が人間に憑依して出来た姿だった。しかも、ヤジロベエよりも強かった事を龍騎とゲイツは感じていた。

 

 魔女が強く、変わりつつある。四人はひしひしとそれを感じていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「・・・・・・・・」

 

 一連の戦いを物陰から見ていた者がいた。ダイヤのカテゴリーQ、サーペントアンデッドのあずみだ。

 

 「今のは…」

 

 突如現れた火の玉を操る怪人。何よりあずみが驚いたのは彼女が発していた気配だった。

 

 「(あれは…統制者と同じだった)」

 

 あずみを含む全てのアンデッドの生みの親であり、バトルファイトを管理している存在。そんな統制者と何故同じ気配を発している者がいるのか?

 

 「・・・・」

 

 思えば、自分が目覚めた世界はおかしな世界だった。自分が従えている怪物はアンデッドでは無いし、そのアンデッド自体、バッドアンデッドとジェリーフィッシュアンデッド以外一体も見掛けていない。

 

 「・・・・」

 

 あずみは熟考する。これまでは、自分を封印したジョーカーの捜索と自分を傷付けた仮面ライダーレンゲルへの復讐を第一に考えてきて、数々の異変は無視してきた。それは、安心していた事もあったから。目覚めた時から漂ってる気配が、バトルファイトが行われていた場所と同じだったから。しかし、それを発していた存在が全くの別物だったとしたら?

 

 アンデッドの存在意義は、自分以外の全てのアンデッドを倒し、バトルファイトの勝利者になること。そして、自身の種族(あずみの場合は蛇)を繁栄させること。

 

 「(少し調べてみるか…)」

 

 あずみは、気配が強くなるポイントを探して歩きだした。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「ほい!完了っと!」

 

 晴人は意気揚々とエンターキーを押し、ウィッチバイザーを手に取った。

 

 「これで集まった魔女は5体!遂に折り返し地点だ!蓮、お前にゃ本当に助かったぜ!」

 

 「別に。お前の為に倒した訳じゃない。たまたま出くわしたから倒しただけだ」

 

 神崎士郎からも言われてたしな、と蓮は付け加える。

 

 「でも、これからどうする訳?」

 

 その場にいた愛矢が口を開いた。

 

 「使い魔が人に憑りついて怪物になるなんて聞いた事も無いし、突然結界にやって来た魔女に近い怪物何て言うのもなおさら。明らかに異常事態じゃない」

 

 「別に、どうもしねぇよ」

 

 晴人はウィッチバイザーを上にかざしながら続けた。

 

 「どれだけ想定外の事態が起きようが、やることは変わらねぇ。俺たちの当面の目標は残りのグリーフシードの回収だ。それさえできれば、後はどうにかなる」

 

 「それが難しくなってるから言ってるんだけど?」

 

 「そうイライラすんなって。だからその為に蓮を連れてきたんだろ?人数が多けりゃ何とかなる!」

 

 「…なら、良いけど」

 

 「そう素直なとこ、嫌いじゃないぜ?」

 

 「寄るな、気色悪い」

 

 愛矢は急ぎ足で部屋から出ていった。

 

 「随分と嫌われているようだな」

 

 「そりゃあな。曲がりなりにも俺はあいつの友達を殺しちまったからな。嫌われて当然さ。だが、俺に付いている。そうせざるを得ない」

 

 「・・・・」

 

 同じだと蓮は思った。蓮も剣持晴人を信用している訳じゃない。ただ彼の掲げる最終目標。それに蓮自身の目的が合致したから手を組んだだけの事。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 蓮がパラディに入るきっかけになったのは、初めて龍騎達と邂逅した時だった。

 

 オルタナティブ・ゼロに変身した晴人はナイトに変身した蓮を相手にしていた。魔女の討伐よりも蓮の相手をする方が優先だと判断したのだ。

 

 スラッシュダガーとウイングランサーを激突させながら晴人は言った。

 

 「ようやく見つけた。ずっと捜してたんだ、秋山蓮!」

 

 「なっ!?お前、何故俺の名を知ってる!?」

 

 「そりゃあ知ってるぜ?何せお前は、あの神崎士郎の研究室にいた小川恵里の彼氏なんだからな」

 

 「!?」

 

 「ライダーになったのも、彼女を助けるためだろう?」

 

 「!!?」

 

 見ず知らずの男から出ると思っていなかった言葉に蓮は大いに驚いた。つばぜり合いが緩んだ隙にオルタナティブ・ゼロはスラッシュダガーを斬り裂く。

 

 「素敵じゃねぇか。愛する者を助けるために命張るなんて。中々できる事じゃねぇ。間違いなくヒーローだ。俺は、そんなお前を助けたいと思ってる」

 

 「何?」

 

 「お前は、神崎士郎の言うとおりにすれば恋人が助かるって本当に思ってるのか?バトルファイトさえ再開すれば願いが叶うって」

 

 「どういう事だ?」

 

 「そんな事じゃ願いは叶わないって言ってんだよ。理想の未来は一生来ない。必ず破滅する。そして、その破滅から救われるチャンスは今しか無い」

 

 「・・・・・・・・」

 

 「少しでも興味を持ったならまた、この場所で待ってるぜ」

 

 そしてそこから先は、言わずもがなだろう。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「お前が持ってきてくれた魔女地図は本当に助かったぜ!」

 

 晴人は地図を広げながら話した。

 

 「神崎士郎の野郎、俺たちには寄越さなかったんだぜ?明らかに選んでやがる…」

 

 「あいつにはお見通しって事だろう」

 

 「そういう事だな」

 

 実は一度、神崎士郎直属のモンスターであるガルドサンダーとガルドストームが襲撃していた。早々にけちらしていたので、晴人らは気にも止めていないのだが。

 

 「さて、これで大体の場所は分かった」

 

 晴人はホワイトボードに地図を張り付けながら言った。

 

 「こいつもやっぱり法則性がある。今はビルを離れちまったが、前はこのビルに近付けば近づくほど火事やらぼや騒ぎが増えていた」

 

 こいつを元にすると、と晴人は使い魔を見掛けた場所の近くに新しく印を付けていった。

 

 「これがここ最近の火に関係のある騒動だ。恐らくだが、この方向のどこかに結界がある」

 

 晴人は斜め上に線を引きながら言った。

 

 「ここを愛矢と一緒に歩けば、必ず魔女本体がいる結界に辿りつける。明日にでも行くぞ」

 

 「その間に城戸達が倒しちゃう可能性は?」

 

 城戸はともかく、ゲイツなら気付きそうだと思いながら言った。

 

 「あぁ、それなら問題ない。お前がこっちに来た以上、もう一人も戦力は落とせないからなぁ」

 

 晴人はニヤっと笑った。連はそれを訝し気に見ていた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「・・・・・・・・」

 

 睦月はそっと背負っていたなぎさをベッドに移して布団を掛けた。

 

 あの後、緊張が途切れたのかまた眠そうにしていたので睦月がおぶって帰って来たのだ。

 

 「・・・・・・・・・」

 

 なぎさの寝顔を見ながら、睦月は一つの事を考えていた。あの羽衣の怪人の事だ。

 

 『見つけた…』

 

 彼女は確かにそう言った。そして、睦月に対して優先的に攻撃をしている様に見えた。これまで会った魔女やモンスターと違う。睦月に対して明確な殺意を持っていた。彼女は一体何者なのだろうか。

 

 彼女の顔が、睦月の頭に張りついて離れなかった。

 

 

続く

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