第4話にて、ラウズカードのカテゴリーJ~Kの効果が違うと指摘がありました。4話ではラウザーにそれをスラッシュしただけでは何も起こらないと書きましたが、実際にはAPの回復の効果があったんですね。この場を借りてお詫びします。
このミスについては、今後の展開に特に重要になるわけではないので第4話を変更する予定はありません。この物語はテレビ本編を意識して書いたと言いましたが、J~Kのラウザーへの直接スラッシュの効果については例外で「効果なし」ということにしといてください(笑)
今後、このようなことがないように努めますが、またこのようなミスを見つけた時は遠慮なく感想欄に書き込んでください。
では、第一章最終話をご覧ください
♧10のカードREMOTE、それはカードに閉じ込められていた怪物を解放させる力を持っていた。故に『蛇』の落としたモノにそれを使った場合、何も起こらないか『蛇』の復活のどちらかだと思っていた。しかし出てきたのは、
「女・・・の子?」
銀色の長い髪を持った見た目小学生くらいの少女だった。
「おっとととと」
睦月は慌てて目の前に現れた少女を受け止めた。少女は小さく寝息を立てていた。眠っているようだ。
「何で・・?」
『蛇』の落とした謎の物体から、REMOTEの力によって少女が出て来た。この少女は一体何者なのか?あり得る可能性は2つ。一つ目は、彼女はあの『蛇』に捕まった被害者の可能性だ。あの空間は睦月もいつの間にか迷い込んでいた。他の人物だって、そうやって迷い込んだ可能性が高い。そして、捕らえた人間は食糧にするために食糧庫に入れられる。つまりあのモノは食糧庫であり檻なのではないかという予想だ。
そして、二つ目は―
「ん・・・」
と少女は小さく声を上げ、瞼を重たそうに持ち上げた。
「んん・・なぎさは…」
睦月は、彼女に目線を合わせて言った。
「目が覚めたかい?良かった。眠っているだけかなとは思ったけど、ちゃんと目が覚めるか心配だったからさ。なぎさちゃんって言うのかい?俺は―」
とそこまで言った時、なぎさは大きく目を見開き、無理矢理睦月の腕から離れた。
「金色の・・・仮面・・・」
「え?あっ・・・」
そうだ。REMOTEのカードを使うために変身をしたままだった。女の子が現れるなんて予想外だったからすっかり忘れていた。しかし、このうっかりが致命的だった。なぎさは自身の頭を抱えながら、
「なぎさは・・あの人を知ってるのです・・。何で・・?なぎさはこの人と会ってお話を・・違う・・この人と戦って・・・いや、食べようとして・・あれ?何で?なんでなぎさはこんなことを・・・動物と契約して・・・お母さん・・魔法少女・・・そして、そして、魔女に・・・なぎさが化け物に、なぎさは・・・化けモノぅぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!」
なぎさはそこまで言うと工場中に響く声で叫んだ。いや、これはもう発狂だ。睦月は動くことができなかった。彼女が何者なのか。それは彼女の言葉と反応で想像に難くなかった。最悪だ。一番考えたくなかった。彼女、なぎさの正体である可能性の2つ目。それは、彼女こそが『蛇』であり、あのモノは『蛇』を封じこめてたモノ、つまり卵のようなものではないかという予想だった。
まずい。とにかくこれはまずい。睦月は急いで変身を解いて彼女のもとに駆け寄った。
「なぎさちゃん、落ち着いて!大丈夫。大丈夫だから!」
と睦月はなぎさに手を伸ばした。しかし、彼女はその手をはたき、拒絶した。
「嫌だ。嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
なぎさはそのまま睦月に背を向けて全速力で駆けだした。睦月は動かなかった。いや、動けなかった。
普通の人間が怪物になる。ヒーローものの漫画ではたまに見る光景だ。だけどその時怪物になった人間はたいてい自身が怪物だったころの記憶は無いものだ。悪者に体を乗っ取られていたとか洗脳されていたとか、そういう展開がお約束のようにある。
だけど今回は違う。原理は分からないけれど、なぎさちゃんは誰かにそうされられたとかではなくただ怪物になってしまった少女だった。しかも、その時の記憶も残っていた。そんな少女に出会って間もない人がどんな言葉を掛けたらいいというんだ。
だけど―
と睦月は考えた。
彼女が何者なのか。自身を怪物だと言った彼女にどんな言葉を掛けるのが正解なのか。それはまだ分からない。だけど、自身の罪を一生背負って絶望して泣き続ける少女を前に何もしない、見て見ぬふりをするなんて、できない。できるわけがない。
睦月はその思いを胸に彼女を探しに飛び出した。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なぎさは走った。別にどこへ行くわけもなくひたすらに。自分が怪物―魔女―になり、人を傷つけてたことに耐えきれなかった。
気が付くとなぎさは、高架線の下にあるトンネルの中にいた。上から電車の音がたまに聞こえる以外、特に人も車も無かった。
「なぎさは、何なのですか」
なぎさは、あることがきっかけでキュウべえと契約をして魔法少女になった。そして、人々に悪いことをしているという魔女を倒していた。だけど、自分も魔女だった。魔法少女になった時点で自分はそれと同類だったのだ。
別になぎさは人々を救いたくて魔法少女になったわけではなかった。なぎさは自分のために、自由への一歩を踏み出す魔法少女になったのだ。だけど、なったからには人の役に立つことがしたかった。魔女を一匹でも多く減らすことが自分にできることだと思っていた。だから、魔法少女の最後が魔女だという事実は耐えられなかった。だって、それだと魔女を倒すために世界に魔女を増やしたことになるんだから。
ーーーーーーーーーあれ?
"ある事"って…何だっけ?
何で魔法少女になって…それで…
思い出せない…完全に空っぽだ。
なら、
今の自分は誰なんだ。
そんなことを考えていた時だった。
キーン…キーン…キーン…キーン…
突然なぎさの耳に、そんな音が聞こえてきた。なぎさはハッとして辺りを見渡した。しかし、誰の姿も見えない。音はいまだに聞こえている。ここにいたらまずい。そう考えてなぎさはトンネルを出たそのとき、
「キィアアアアアアッ!」
という鳴き声と共に、トンネルの近くにあったカーブミラーから赤いイモリのような生き物が飛び出してきた。
「なぎさちゃん!」
と、その時、間一髪の所で睦月がその生き物に蹴りを入れた。思いがけない攻撃にその生き物は体勢を崩す。
「あっ、あなたは・・」
「大丈夫? なぎさちゃん、怪我は?」
「なぎさは・・」
睦月はホッと胸をなでおろした。
「良かった。間一髪だったね」
なぎさはそんな睦月の反応にただ困惑していた。だって、自分はこの人を殺そうとしていたのに。何で心配ができるのか。なぎさが、色々と言いたそうにしていたのは睦月にも分かっていたが、
「話は後だ。まずは、あいつをなんとかしないとな」
と、睦月は先ほどの赤い生き物に目を向ける。二本足で立ち体は赤いが、顔つきや体はイモリそのものだった。そして背中には大きな手裏剣を背負っている。
ミラーモンスター、ゲルニュート。
「なぎさちゃん。君とは色々話したいと思っている。だから、もうどこかへ行っちゃダメだぞ」
そういって睦月はクローバーのAを入れた金のバックルを腰にあてた。紫のカードがベルトのように睦月の腰に巻かれていく。
「変身!」
『♧Open Up』
そして睦月は金のライダー、仮面ライダーレンゲルに変身した。
ラウザーを持ち、相手に打撃を与えようとする。しかし、ゲルニュートは持っていた手裏剣でそれを受け止め、そのまま手裏剣の斬撃を与えた。衝撃で睦月は後ろへ退く。するとゲルニュートは手裏剣を投げてきた。
「くっ!」
なんとかラウザーで受けたが、その攻撃力の高さに表情が歪む。
「あの武器はやっかいだな。だったら―」
と、手裏剣が手元に還ってくるわずかな時間を利用し、睦月はホルダーからカードを一枚取り出した。
『♧3 SCREW』
そして、手元のラウザーに高速で回転する風が付加された。それを気に留めてなかったゲルニュートは還って来た手裏剣を勢いをそのままにもう一度投げた。
「もうそれは通じない」
と、今度は高速の風で手裏剣を別の方向へ弾いた。そして2枚のカードを取り出し、
『♧5 BITE』『♧6 BLIZZARD』
『ブリザードクラッシュ』
睦月は飛び上がり、両脚から冷気を噴射。そしてそのままゲルニュートへ蹴りを―
「はぁぁぁぁ!」
―入れた。そしてゲルニュートは大きく吹き飛び、爆発四散した。
睦月はバックルを閉じて変身を解除し、なぎさのもとへ駆け寄った。なぎさは逃げようとせず、ただ地面を見つめていた。
「なぎさちゃん―」
「どうして?」
なぎさは地面を見つめたまま言った。
「どうしてなぎさを助けたのですか!?なぎさは魔女なのですよ?なぎさは人をいっぱい殺したし、あなただって殺そうとしたのですよ?怖い化け物なのですよ?」
なぎさは一筋の涙を流し、それが地面に落ちる。
睦月は静かに言った。
「今のなぎさちゃんは人間、ただの女の子だと思っているからだよ」
「えっ?」
ここでなぎさは涙で濡れた顔を上げた。初めて睦月の顔を正面から見た。
「確かに俺はその魔女っていうのと戦ったし、何度も殺されかけた。だけど俺は、君がその怪物と一緒だとはどうしても思えなかった。過去の君がどうだったかなんていうのには関係ない。誰がどう思おうと、今の君はなぎさっていうかわいい名前の付いた女の子だよ。そもそも、本当の化け物だったら自分が怪物だってことにいちいち悲しくならないよ」
「まだ初対面の男が何言ってるんだって思うかもしれないけど、何度も言うぞ。君は人間だ。だから守った。それだけだよ」
そこまで言うと、なぎさは大粒の涙を流し、睦月に抱きついた。
「うわぁぁぁぁぁん!!!!」
そしてなぎさは大きな声で泣いた。ただひたすらに、自分の中の負の感情を流そうと泣き続けた。
しばらく時間がたった後、二人は家路についた。本当ならば、なぎさは警察へ届けなければいけないのは百も承知だったが、自分の家のアパートに住まわせようと思った。なぎさの心の支えになりたいと強く思ったからだ。また、今回の一件で睦月はもう一つ、心に決めたことがあった。
あの怪物―なぎさちゃんは魔女と呼んでいたが―は、人間が意図せずなってしまった生き物だった。きっとまだこの世界にいるはずなのだ、なぎさちゃんの他にも。心の奥で涙を流しながら、それでも人間を襲い続けている魔女が。正直、夢で言っていた世界を救うというということはまだ分からない。だけど、苦しんでいる魔女がいて、そこから解放させる力を持っているなら、これからも使う。一人でも多く、魔女になってしまった人たちを一人でも多く救い出す。
家路に着く道のりで、彼はそう心に決めた。
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先ほどまで、睦月が戦っていた場所、高架線の真下を線路の上から腰かけて見ている少年がいた。タイムジャッカーのウールだ。睦月はとっくに帰ってしまったが、ウールはそこを動けなかった。先ほど見た光景にただ困惑していた。
「どういうことだよ?なんであのライダーが・・・」
あれは仮面ライダーレンゲル。オーマジオウの石像にあった仮面ライダーブレイドに連なるライダーで、カテゴリーAのアンデッドの力で変身するライダーだ。株式会社のBOARDが対アンデッド用に開発したシステムだ。
しかし、この世界にはアンデッドはいないし、もちろんBOARDもない。つまり、レンゲルは存在しないはずなのだ。
「彼が言っていた魔女と呼ばれる生き物、契約を交わしてすぐに行方が分からなくなった彼女、これらが全てあの時空の歪みと密接に関係してそうだね」
そう言って、ウールはようやく立ち上がった。
「これは本格的な調査が必要かな」
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ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、ピッ、
某所にあるマンションの一室。そこで深夜にも関わらず電気も点けずにデジカメの写真をずっと眺めてる男がいた。暗いことなど気にならないほど興奮していた。
金色のライダーに変身した男が手裏剣を背負った赤い生き物と戦っている写真。そのライダーのベルトは、今まで自分が見てきたそれと明らかに異なるモノだった。つまりあれが、神崎士郎の言っていた“侵入者”であることは明白だった。
「見~つけた」
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チョコレート、クッキー、シュークリーム、ビスケット、タルト、プリン、マカロン、アイスクリーム
ここにもそこにもあそこにも、お菓子がいっぱいお菓子がいっぱい。でもあれだけが見つからない。大好物なのに見つからない。どこどこどこどこ私のチーズ。
探して見つけたのはチーズじゃなくて、世にも珍し動くお菓子。
チーズでは無いけれど、おいしいのかな?いただきます。
バリバリボキボキバリバリボキボキ
あぁ、なんだ。
チーズよりもおいしいじゃないか
「!?」
そこで、少女は飛び起きた。起きるにはまだ早すぎる深夜だ。顔は真っ青で、体は震えていた。少女はそれを、自身の腕で抱きしめて震えを止めようとする。
「大丈夫ですよね。睦月だって言っていたのですから。なぎさは人間。魔女じゃないのです。大丈夫、大丈夫」
少女は自分に言い聞かせるようにその言葉を繰り返し、再び眠りについた。
第一章 睦月編 完
第5話も読んでいただきありがとうございます。
第一章は普通の大学生だった睦月が戦う理由を見つけるまでの物語でした。
しかし、何かに気付いたウール、撮られてたレンゲル、闇が残るなぎさと問題は山積み。これらに対し睦月はどう行動するのか。今後の展開をお楽しみください。
さて、次の章では、今龍騎の世界がどうなっているのか、また、何故魔女が迷い込んだのか。これらの謎に踏み込みながら、魔女やモンスターと戦う物語となっております。
ついに、ゥ我が救世主もこの物語に登場する第二章 魔女編。こうご期待ください。