紗夜さん、かのちゃん先輩、有咲、リサ姉が推しなんで、彼女たちをメインで書きたいなぁ。
ま、言いたいことはあとがきにあるので、本編の方へどうぞ!
咆哮を上げながら落下していくベヒモスと、共に落ちていく橋の残骸で見失ってしまいそうな二人————悠聖とハジメの姿。
その光景を、階段の前で二人を援護しようとしていた雫と香織は、まるでスローモーションのように緩やかになった時間の中で、ただただ見ていることしかできなかった。
雫は、昨日の夜、悠聖と会う前に香織から聞かされた夢の内容を思い出していた。ハジメが目の前から消えてしまう、と言っていたはずだ。ありえないことだとその時は笑ったが、同じようなことが目の前で実際に起きていた。
次に思い出したのは、香織とそんなことを話した後、香織がハジメのことが心配だと彼の様子を見に行ったため、手持ち無沙汰になったので外に素振りに行った時のこと。
香織が部屋に突撃してきたから、気を利かせて散歩していた悠聖にあったのだ。何か嫌な感じがしたので、彼に戦ってほしくないことを伝えると、自分は大丈夫だと言われた。それでも納得できなかったが、最後に彼と約束した。彼の身に何かが起きても、必ず生きて帰ってくること。
奈落の底へ消えた悠聖を見つめながら、その時の記憶が何度も何度も脳裏を巡る。
確かに約束したのだから、信じなければいけない。でも無理だ。こんな底も分からないような奈落に落ちてしまったら生きて帰ってくることなどできない。
もう二度と彼に会えない。ならばもういっそのこと、彼と共に落ちればいいのではないか。
そう考えて雫は橋の縁に向かって、歩き始める。足元はフラフラとしていてまるで幽鬼のようだ。それを見た天之河が何か言っているが関係ない。
クラスメイトが驚いて見ている中、橋の縁に着いた雫は、悠聖の後を追って飛び降りようとして―――
何か光り輝くものが自分の方へと飛翔して来るのを見た。それは段々自分の方へと向かってくる。
気になって、それを掴むために手を伸ばす。
それは雫の手元に来るタイミングで減速し、伸ばした手のひらに落ちる。
それは、花柄の髪留めだった。香織が付ければさぞかし注目の的になると思えるほど可愛かった。元いた世界では見たことがないので、この世界で手に入れたものかもしれない。
雫が可愛いもの好きなのを知っているのは、大親友の香織と、悠聖だけ。クラスメイトは勿論のこと、天之河だって知らないことだ。そして、自分の誕生日が近いということもある。
そこまで考えて、これを渡そうとしたのは悠聖だということに気づいた。
そこまで考えた雫は、一度忘れかけていた、昨日の約束を思い出す。
悠聖は言っていた。何があっても生きて帰ってくると。ならば、これはその誓いを示しているのではないか。
もしそうであるならば、自分は死ぬ訳には行かない。お互いが生きて会うことを約束した。守らなければ彼に合わせる顔がない。
そう考えた雫は、知らないうちに涙が頬を流れていることに気づいた。
だが、そんなこと構わない。すぐに彼に伝えなければいけないことがある。
ようやく現実に戻ってきた雫が聞いたのは、隣で涙を流しながら叫ぶ香織の声だった。
「離して!南雲くんの所に行かないと!約束したのに!私がぁ、私が守るって!離してぇ!」
飛び出そうとする香織を天之河と坂上が必死に羽交い締めにしていた。香織は、細い体のどこにそんな力があるのかと疑問に思うほど尋常ではない力で引き剥がそうとする。
このままでは香織の体の方が壊れるかもしれない。しかし、だからといって、拘束を緩めれば、そのまま崖を飛び降りるだろう。それくらい、普段の穏やかさが見る影もないほど必死の形相だった。いや、悲痛というべきかもしれない。
「香織っ、ダメよ!香織!」
雫はついさっきまで今の香織と同じ心情だったのだ。自分は悠聖から渡されたもので正気に戻れたが、香織はそうではない。説得したくてもかけるべき言葉が思いつかないが、これ以上香織を刺激しないように、名前を呼ぶことで正気に戻そうとする。しかし、こんなところでも空気を読めないバカ勇者は無自覚に地雷を踏みぬく。
「香織!君まで死ぬ気か!南雲はもう無理だ!落ち着くんだ!このままじゃ、体が壊れてしまう!雫だって、榊のことを諦めたんだ!香織も諦めるんだ!」
それは、天之河なりに精一杯、香織を気遣った言葉。しかし、今この場で錯乱する香織には言うべきでない言葉だった。そのうえ、雫の名前を出したことも仇となった。
「無理って何!?南雲くんは死んでない!行かないと、きっと助けを求めてる!」
香織は落ち着くどころか、さらに暴れ始めた。
雫は深呼吸をし、気持ちを落ち着かせてから未だに暴れている香織に近づく。
訝し気な顔をする天之河と坂上に構わず、問答無用で香織の首筋に手刀を落とした。ビクッと一瞬痙攣し、そのまま意識を落とす香織。
ぐったりする香織を坂上が抱き留める横で天之河が何かを言おうとした途端、後方に吹っ飛んだ。天之河の前に立った雫が前蹴りを放ったからだ。
「な、何するんだ雫!」
呆然とする天之河に
「……なさい」
「な、何だって……?」
「取り消しなさい!」
「な、何をだ……?」
「悠聖は生きているわ。当然南雲君も。だから、2人を諦めろだなんて言うことは許さないわ。取り消しなさい!」
「な、ど、どうしたんだ、雫。俺は香織を落ち着かせる為に……」
「それが逆効果だって言ってるのよ!少しは香織の気持ちも分かってあげなさいよ!」
雫が激昴するのを、誰もが唖然として見つめていた。当然だ、いつもは取り纏め役として奮闘している彼女が、天之河の言葉にここまで怒りを露わにしているからだ。雫や香織と仲のいい女子ですら彼女に近づけない。それほどまでに、今の雫からは気迫が漂ってきていた。
しかし、天之河は雫の言っていることが微塵も理解できないようで、未だに怪訝な顔をしている。
分からせるために、刀でも突きつけようかと思い、腰の刀に手を伸ばし————
(あッ!)
悠聖からもらった髪留めをまだ手元にあったことで、冷静になり、自分が何をしようとしていたのか気づく。
一気に冷静になり、手を柄から離す。深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせ、未だに呆然としている天之河に背を向ける。気持ちの整理がついていない状態で天之河と再び会話すれば、今度こそ斬りかかってしまいそうだからだ。
「ありがとう、ここからは私が支えるわ」
「お、おう」
礼を言って坂上から香織を受け取る。彼もまた、雫の豹変ぶりに驚いているようだ。
香織を背負い、歩き出そうとした雫の元へメルド団長が神妙な顔をしながらやってきた。
「すまない。坊主たちを守ると言っておきながら、前線で戦わせ、その上あんなことにしてしまった。彼女を止めてくれたことにも感謝する」
「気にしないでください。さっきの私を見られたくなかったってのもありましたから。光輝があれなんで」
「そうか……。もう誰一人として犠牲にするわけにはいかない。全力で迷宮を離脱する。……彼女を頼む」
「わかっています」
冷静になったことで周りを見ると、「もう嫌!」と言って座り込んでしまう生徒もいた。それも仕方がない。訳も分からず転移させられ、ベヒモスやトラウムソルジャーに襲われ、あげくには目の前でクラスメイトが二人も死んだのだ。こうなるのは必然だろう。
彼らを連れていくためには、メルド団長だけでは無理だ。彼らが一番頼りにしている天之河の声が必要だ。だから、雫は彼に声を掛ける。
「光輝、何をボーッとしているのよ、あなたじゃなきゃ皆を脱出させられないわ。だから、戻ってきなさい」
その言葉に今までボーッとしていた天之河が復活する。
「あ、ああ。そうだな」
そして、天之河がクラスメイト達に向けて声を張り上げる。
「皆!今は、生き残ることだけ考えるんだ!撤退するぞ!」
その言葉に、クラスメイト達はノロノロと動き出す。トラウムソルジャーの魔法陣は未だ健在で、続々とその数を増やしている。今の精神状態で戦うことは無謀であるし、戦う必要もない。
天之河は必死に声を張り上げ、クラスメイト達に脱出を促した。メルド団長や騎士団員達も生徒達を鼓舞する。
そして全員が階段への脱出を果たした。
上階への階段は長かった。先が暗闇で見えない程ずっと上方へ続いており、感覚では既に三十階以上、上っているはずだ。魔法による身体強化をしていても、そろそろ疲労を感じる頃である。先の戦いでのダメージもある。薄暗く長い階段はそれだけで気が滅入るものだ。
そろそろ小休止を挟むべきかとメルド団長が考え始めたとき、ついに上方に魔法陣が描かれた大きな壁が現れた。
クラスメイト達の顔に生気が戻り始める。メルド団長は扉に駆け寄り詳しく調べ始めた。フェアスコープを使うのも忘れない。万が一にも、これがトラップであることは否定できないからだ。
その結果、どうやらトラップの可能性はなさそうであることがわかった。魔法陣に刻まれた式は、目の前の壁を動かすためのもののようだ。メルド団長は安心から、つい安堵の息をついた。
メルド団長は魔法陣に刻まれた式通りに一言の詠唱をして魔力を流し込む。すると、まるで忍者屋敷の隠し扉のように扉がクルリと回転し奥の部屋へと道を開いた。
扉を潜ると、そこは元の二十階層の部屋だった。
「帰ってきたの?」
「戻ったのか!」
「帰れた……帰れたよぉ……」
クラスメイト達が次々と安堵の吐息を漏らす。中には泣き出す子やへたり込む生徒もいた。天之河達ですら壁にもたれかかり今にも座り込んでしまいそうだ。雫も、彼ら以上に疲れていた。
当然だ。いくら香織が女子とはいえ、高校生だ。気を失っている彼女を一人で背負っていたら、そうなるというもの。ましてや雫も女の子だ。疲労は男子以上だ。
途中、坂上や天之河が背負うのを変わる旨を言ってきたが、大丈夫だと断った。何も心配してはいないが、香織を背負わせることに抵抗があったのだ。
しかし、ここはまだ迷宮の中。低レベルとは言え、いつどこから魔物が現れるかわからない。完全に緊張の糸が切れてしまう前に、迷宮からの脱出を果たさなければならない。
メルド団長は休ませてやりたいという気持ちを抑え、心を鬼にして生徒達を立ち上がらせた。
「お前達!座り込むな!ここで気が抜けたら帰れなくなるぞ!魔物との戦闘はなるべく避けて最短距離で脱出する!ほら、もう少しだ、踏ん張れ!」
少しくらい休ませてくれよ、という生徒達の無言の訴えをギンッと目を吊り上げて封殺する。
渋々、フラフラしながら立ち上がる生徒達。天之河が疲れを隠して率先して先をゆく。道中の敵を、騎士団員達が中心となって最小限だけ倒しながら一気に地上へ向けて突き進んだ。
そして遂に、一階の正面門となんだか懐かしい気さえする受付が見えた。迷宮に入って一日も立っていないはずなのに、ここを通ったのがもう随分昔のような気がしているのは、きっと少数ではないだろう。香織をここまで背負ってきた雫も例外ではない。
今度こそ本当に安堵の表情で外に出て行く生徒達。正面門の広場で大の字になって倒れ込む生徒もいる。一様に生き残ったことを喜び合っているようだ。
だが、一部の生徒――未だ目を覚まさない香織を背負った雫、その様子を見る天之河、坂上、谷口、中村、そしてハジメが助けた女子生徒などは暗い表情だ。
そんな生徒達を横目に気にしつつ、受付に報告に行くメルド団長。
報告することは主に二つ。
一つは、二十階層で発見した新たなトラップ。あれは危険すぎる。石橋が崩れてしまったので罠として未だ機能するかはわからないが報告は必要だ。
そして、悠聖とハジメの死亡報告もしなければならない。
憂鬱な気持ちを顔に出さないように苦労しながら、それでも溜息を吐かずにはいられないメルド団長だった。クラス最強と最弱。他人からしたら後者はそこまで大切だとは思わないかもしれない。しかし、短い間とはいえ、自分が訓練した生徒が死ぬのは嫌なことだ。雫と香織が悲しむ姿を見たのもそれを助長している。
二人が危険なことをしないように注意する必要があるかもしれない。
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ホルアドの町に戻った一行は何かする元気もなく宿屋の部屋に入った。幾人かの生徒は生徒同士で話し合ったりしているようだが、ほとんどの生徒は真っ直ぐベッドにダイブし、そのまま深い眠りに落ちた。疲れ、恐怖、驚きなどがごちゃ混ぜになってしまっているのだ、仕方が無いだろう。
そんな中、檜山大介は一人、宿を出て町の一角にある目立たない場所で膝を抱えて座り込んでいた。顔を膝に埋め微動だにしない。もし、クラスメイトが彼のこの姿を見れば激しく落ち込んでいるように見えただろう。
だが実際は……
「ヒ、ヒヒヒ。ア、アイツらが悪いんだ。雑魚のくせに……ちょ、調子に乗るから……て、天罰だ。……俺は間違ってない……白崎のためだ……あんな雑魚に……もうかかわらなくていい……俺は間違ってない……ヒ、ヒヒ」
暗い笑みと濁った瞳で自己弁護しているだけだった。
そう、あの時、軌道を逸れてまるで誘導されるように悠聖とハジメを襲った火球は、ある人物と共謀した檜山が放ったものだったのだ。
階段への脱出とハジメの救出。それらを天秤にかけた時、ハジメを見つめる香織が視界に入った瞬間、檜山の中の悪魔が囁いたのだ。今なら殺っても気づかれないぞ?と。彼も言っていた。欲しいものを手に入れるためには、手段を選ばなくてよいと。
そして、檜山は悪魔に魂を売り渡した。
バレないように絶妙なタイミングを狙って誘導性を持たせた火球をハジメ達に着弾させた。流星の如く魔法が乱れ飛ぶあの状況では、誰が放った魔法か特定は難しいだろう。まして、檜山の適性属性は風だ。証拠もないし分かるはずがない。
そう自分に言い聞かせながら暗い笑を浮かべる檜山。
その時、不意に背後から声を掛けられた。
「へぇ~、やっぱり君だったんだ。異世界最初の殺人がクラスメイトか……中々やるね?」
「ッ!?だ、誰だ!」
慌てて振り返る檜山。そこにいたのは見知ったクラスメイトの一人だった。
「お、お前、なんでここに……」
「そんなことはどうでもいいよ。それより……人殺しさん?今どんな気持ち?恋敵をどさくさに紛れて殺すのってどんな気持ち?」
その人物はクスクスと笑いながら、まるで喜劇でも見たように楽しそうな表情を浮かべる。檜山自身がやったこととは言え、クラスメイトが一人死んだというのに、その人物はまるで堪えていない。ついさっきまで、他のクラスメイト達と同様に、ひどく疲れた表情でショックを受けていたはずなのに、そんな影は微塵もなかった。さっきの表情と今の表情。まったくの別物だ。
「……それが、お前の本性なのか?」
呆然と呟く檜山。
それを、馬鹿にするような見下した態度で嘲笑う。
「本性?そんな大層なものじゃないよ。誰だって猫の一匹や二匹被っているのが普通だよ。そんなことよりさ……このこと、皆に言いふらしたらどうなるかな?特に……あの子たちが聞いたら……」
「ッ!?そ、そんなこと……信じるわけ……証拠も……」
「ないって?でも、僕が話したら信じるんじゃないかな?あの窮地を招いた君の言葉には、既に力はないと思うけど?」
檜山は追い詰められる。まるで弱ったネズミを更に嬲るかのような言葉。まさか、こんな奴だったとは誰も想像できないだろう。二重人格と言われた方がまだ信じられる。目の前で嗜虐的な表情で自分を見下す人物に、全身が悪寒を感じ震える。
「ど、どうしろってんだ!?」
「うん?心外だね。まるで僕が脅しているようじゃない?ふふ、別に直ぐにどうこうしろってわけじゃないよ。まぁ、取り敢えず、僕の手足となって従ってくれればいいよ」
「そ、そんなの……」
実質的な奴隷宣言みたいなものだ。流石に、躊躇する檜山。当然断りたいが、そうすれば容赦なくハジメを殺したのは檜山だと言いふらすだろう。
葛藤する檜山は、「いっそコイツも」とほの暗い思考に囚われ始める。しかし、その考えは、その場に現れた人物によって中断させられた。
「おいおい、そんなにいじめてやるなよ。かわいそうだろ?」
やってきたのは、先ほど迷宮で自分を唆し、自身も悠聖を殺そうとした人物だった。親し気に目の前の人物に声を掛ける。
「別にいじめているわけじゃない。ただ彼を勧誘していただけだ。それに、キミだって彼と同類だろう?いや、もしかしたらそれよりもタチ悪いかもね。君の指示でしょ。彼の行動は」
目の前の人物の言葉は辛辣だったが、互いの目的を知っている節がある。
厳しい言葉に、彼は笑いながら答える。
「別にいいだろ?自分の目的のためなんだから」
「ふーん、まぁいいんじゃない?ところで、どうするんだい?僕に従うのかどうかはっきりしてほしいな」
そう言って、二人がこちらを見てくる。
それに渋っていると、魅力的な提案をしてくる。
「白崎香織、欲しくない?」
「ッ!?な、何を言って……」
暗い考えを一瞬で吹き飛ばされ、驚愕に目を見開いてその人物を凝視する檜山。そんな檜山の様子をニヤニヤと見下ろし、その人物は誘惑の言葉を続ける。
「僕に従うなら……いずれ彼女が手に入るよ。本当はこの手の話は南雲にしようと思っていたのだけど……君が殺しちゃうから。まぁ、彼より君の方が適任だとは思うし結果オーライかな?それに、こいつも八重樫雫が欲しいから協力してるんだよ」
そう言って隣のクラスメイトを指さす。彼はそれに頷く。
「普段の俺は八重樫の視界に入ってねぇからな。近づくのに手っ取り早いんだよ」
しかし、その魅力的な提案には心惹かれるが、目的が分からない。
「……何が目的なんだ。お前は何がしたいんだ!」
あまりに訳の分からない状況に檜山が声を荒らげる。
「ふふ、君には関係のないことだよ。まぁ、欲しいモノがあるとだけ言っておくよ。……それで?返答は?」
あくまで小バカにした態度を崩さないその人物に苛立ちを覚えるものの、それ以上に、あまりの変貌ぶりに恐怖を強く感じた檜山は、どちらにしろ自分に選択肢などないと諦めの表情で頷いた。
「……従う」
「アハハハハハ、それはよかった!僕もクラスメイトを告発するのは心苦しかったからね!まぁ、仲良くやろうよ、人殺しさん?アハハハハハ」
「ま、これで俺たちはお互いの目的のためにいろいろやっていくわけだが……檜山は俺たちの指示に従っていれば白崎が手に入るぞ」
そう言われると、自分は正しいことをしているのだと思えてくる。
彼らは楽しそうに笑いながら踵を返し宿の方へ歩き去っていく。二人の後ろ姿を見ながら、檜山は、香織が手に入った時のことを考えてほくそえんでいた。。
檜山の脳裏には忘れたくても、否定したくても絶対に消えてくれない光景がこびり付いている。ハジメが奈落へと転落した時の香織の姿。どんな言葉より雄弁に彼女の気持ちを物語っていた。
今は疲れ果て泥のように眠っているクラスメイト達も、落ち着けばハジメの死を実感し、香織の気持ちを悟るだろう。香織が決して善意だけでハジメを構っていたわけではなかったということを。
そして、憔悴する香織を見て、その原因に意識を向けるだろう。不注意な行為で自分達をも危険に晒した檜山のことを。
上手く立ち回らなければならない。自分の居場所を確保するために。もう檜山は一線を越えてしまったのだ。今更立ち止まれない。あの人物に従えば、消えたと思った可能性――香織をモノにできるという可能性すらあるのだ。
「ヒヒ、だ、大丈夫だ。上手くいく。俺は間違ってない……。成功したら、白崎とあんなことやこんなことを……」
再び膝に顔を埋め、ブツブツと呟き出す檜山。
今度は誰の邪魔も入ることはなかった。
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檜山を唆して奴隷とした二人は、暗闇の中で話していた。
「よかったのかい?彼に目的を伝えてしまって」
「構わない。アイツは既に俺の趣味も知っているからな」
「あぁ……強気な女を屈服させたい……だっけ?随分と深いね」
「お前にだけは言われたくねぇよ。ま、最終的にアイツは捨て駒にするがな」
「まぁいいよ。僕も彼が手に入れば満足だし。君たちの結果には興味ないよ」
「それでいい。もともと、そういう関係だったしな」
裏路地に響く声。周りには人っ子一人見当たらないが、万が一を考えて聞こえないように話す。
「そろそろ僕は行くよ。あまり遅いと不審がられるしね」
「あぁ、じゃあな」
片方が闇に溶けるように消えていった。
残された方は、夜空を見上げてつぶやいた。
「待っていろ、八重樫雫。俺はお前を手に入れ、俺に逆らえないように徹底的に躾けてやる。楽しみにしていろよ」
そのつぶやきを聞くものは自分しかいない。それ以外の人物に聞かれることなく溶け消え、また、彼も闇に消えるように姿を消した。
読了ありがとうございます。
まず初めに、アンケートの結果報告から。栄えあるオリヒロに選ばれたのは————
FGOよりジャンヌ・ダルク(白聖女)!
あぁ、ジャンヌゥゥゥゥゥ!
はい、すいませんでした。因みに、結果はこう
1位.ジャンヌ・ダルク【FGO】(197票)
2位.シノン【SAO】(173票)
3位.時崎狂三【デート・ア・ライブ】(144票)
4位.セラ=シルヴァース【ロクでなし魔術講師と禁忌教典】(50票)
です!
なによりも驚いたのが、セラだけ二桁。上位3人はまぁ比較的接戦なのに対してこれは……。結果はジャンヌになりましたが、2位~4位のキャラをメインヒロインにおいて二次小説書けたらいいなって思います(忙しいのに何言ってんだコイツ)。
バンドリ、ありふれ、SAO、デアラ、ロクアカ……書きたい作品が多すぎる……。一応はこの作品をメインに書いていきますけどね。
それと、前話にちょこっと出たキャラはオリキャラなので、タグつけなきゃ……。原作で言う檜山ポジ(ようするにかませ犬)ですね、檜山いますけど。
あとがき長くなってしまい、すみません、また次の話でお会いしましょう!
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