ありふれた世界で一方通行   作:双剣使い

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ども、双剣使いです。前話でソードアート・オンライン書くって言ってましたけど先にこっちできたので投稿します。
一気に長くなりましたがどぞ


それと、この土日で既に43件のお気に入り登録ありがとうございます!dies iraeの力なのか、とあるの力なのか、はたまた10月からアニメのやるありふれの力なのか……謎だ


第1章 オルクス大迷宮
始まりの時


「くあぁ~」

 

 

 鳴り響く目覚ましの音で俺は布団から抜け出した。

 転生してから早くも17年。転生したばかりの時は自分がまだ生まれたてのBABYだったことに驚いたが、17年はあっという間に過ぎていた。

 転生特典の一つである記憶の保持は行われていたのだが、他の二つが表れていないのだ。ばれないように使用を試みたのだが、どちらの能力も発動する兆しを見せなかった。あわや能力は使えないのかと思ったが、そうではないらしい。俺の学校での成績はトップクラス。特に数学が図抜けているので、そこだけ見るなら公式の演算の足掛かりになるのではないだろうか。それだけでは不安なので、近所の剣道道場に幼少期から通い、それなりに戦う力も持っていると思う。まぁ剣道はとある天才に負けてからあきらめてしまったが……

 17年経った今でも自分の転生した世界が分からない。数多のラノベを読み、アニメも見て異世界系に精通している俺が分からないのだ。もしかしたらそれらとは関係のない世界かもしれない。

右も左もわからない世界だが、能力が使えるといいなぁ。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 朝食を食べ、転生について考えながら登校していると、いつの間にか学校の自分の教室に着いていた。

 教室の扉を開けて中に入ると、扉の近くでいつも起きている胸糞悪い場面に出くわした。

 

 

「よぉ、キモオタ!また徹夜でゲームか?どうせエロゲでもしてたんだろ?」

 

 

「うわっ、キモ~。徹夜でエロゲとかマジキモイじゃん~」

 

 

 一体何が面白いのか、一人の生徒を囲んで4人の男子生徒がゲラゲラと下品な笑い声をあげている。

 声を掛けられているのは南雲ハジメ。アニメやラノベ、ネトゲなどについて共に語れる俺の親友。

 そんな彼に声を掛けているのは如何にもThe・モブといったかんじの男子、檜山大介とその取り巻きである……名前なんだっけ?取り敢えずモブ男が4人。

 学校で友達と呼べる数少ない友人を罵倒されるのは嫌なので、やめさせるべく声を掛ける。

 

「おい檜山。お前うるさいし邪魔だから早く消えてくれねぇ?」

 

 

「さ、榊!?いや別にこれはだなぁ……」

 

 

「黙れって言ったの聞こえなかった?」

 

 

「……ちっ、き、今日のところはこれで勘弁してやる。じゃあな、キモオタ」

 

 

 俺が軽く脅しをかけるとモブ男4人はすごすごと引き下がっていった。

 何で檜山たちが簡単に退散したかって?あいつらがウザいから体育の剣道の授業で俺が完膚なきまで叩き潰したからだ。

 

 

「おはよう、ハジメ」

 

 

「あぁ、おはよう悠聖。さっきはありがと」

 

 

「気にすんなよ。俺もあいつら嫌いだし」

 

 

 ハジメはキモオタと罵られるほど身嗜みや言動が見苦しくないし、不清潔なわけでもない。積極的でこそないが、挨拶をすれば明瞭な返事を返してくる彼が、男子から過剰な敵愾心を向けられているのには原因がある。

 それは―――――――――

 

 

「南雲君、榊君、おはよう!今日もギリギリだね。二人とももっと早く来ようよ」

 

 

 満面の笑みを浮かべながらハジメに歩み寄る一人の美少女だ。名前は白崎香織。ハジメとは別の友人の親友だ。

 校内で二大女神と呼ばれている少女で、男女問わず絶大な人気を誇っている。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。まぁそれはハジメに対してであり、俺にはどちらかというと友人として接している。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、薄い桜色の唇が完ぺきな配置で並んでいる。

 そんな有名人である彼女が、白崎に好意を持っているクラスの男子の前でハジメに話しかけるのだ。ハジメを冴えないオタクだと思っている男子たちからしたら気に食わなくて当然だ。

 

 

「あ、ああ、おはよう白崎さん」

 

 

「おはよう、白崎」

 

 

 俺とハジメが挨拶を返すと白崎はさらに笑顔を(ハジメに)向けるため、クラスの男子全員の殺気が俺とハジメに全方位爆撃をしてくる。俺笑顔向けられてないんですけど?殺意に晒されて引き攣った表情を浮かべるハジメ。こちらをチラチラ見て助けを求めてくるので、それに応えて口を開こうとしたタイミングでさらなるダイナマイトが突撃してくる。

 

 

「悠聖、南雲君、おはよう。毎日大変ね。まぁ悠聖はそうは見えないけどね」

 

「香織、また彼らの世話を焼いているのか?全く、香織は本当に優しいな」

 

「全くだぜ、そんなやる気ない奴らにゃあ何を言っても無駄だと思うけどなぁ」

 

 三人の中で唯一俺とハジメに挨拶をしてきたのが八重樫雫。女子の中で一番付き合いの長い友人だ。白崎とは親友の間柄。ポニーテールにした長い黒髪がトレードマークの美少女で、切れ長の鋭い目の奥には柔らかさも感じられるため、冷たいというよりはカッコいいという印象を与える。世話焼きな一面も合わさって、白崎と二人で二大美少女と呼ばれている。

 172センチという女子にしては高い身長と引き締まった体、凛とした雰囲気は侍のようだ。彼女の実家は八重樫流という剣術道場を営んでいる。俺が通っていたのもそこなので、雫とはかなり長い付き合いになる。

 

 

 次に、些か臭いセリフで白崎に声を掛けたのが天之河光輝。如何にも勇者っぽいキラキラネームの上、容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能の完璧超人だ。

 八重樫道場に通う門下生の一人で、俺が辞めた原因でもある。後から始めたのにわずか数日で経験者の俺を倒すという、格の違いというか、才能の差を見せつけられたのだ。やめたくもなるわ。

 

 投げやりな発言をしたのが坂上龍太郎。努力とか熱血とか根性とかそういうのが好きなタイプなので、奴から見たら努力していない(ように見える)俺とハジメは嫌いらしい。

 二人を言い表すなら、イケメン(笑)と脳筋。

 

「あぁ、おはよう雫。」

 

「おはよう、八重樫さん、天之河君、坂上君。はは、まぁ、自業自得とも言えるから仕方ないよ」

 

 

 俺とハジメが雫に挨拶を返すと「てめぇら、何勝手に八重樫さんと話してんだ?アァ!?」という殺気がバンバン飛んでくる。少なくともお前らよりは雫と話してもいいと思うんだが。

 

「おい榊!?俺たちを無視するな!」

 

 クソ之河がうるさいので、黙らせるために口を開く。

 

「あ?無視するなだぁ?挨拶もしてこないような奴にする返事なんてねぇんだよ。なのに何でお前は自分が正しいと思ってんの?うぬぼれるのも大概にしてくんね?」

 

「ぐ……、そ、それよりも南雲、君は自業自得だとわかっているなら直すべきじゃないか?いつまでも香織の優しさに甘えるのはどうかと思うよ。香織だって君に構ってばかりではいられないんだから」

 

 

 俺に言い負かされたクソ之河は逃げるようにハジメに忠告する。こいつの目にもやはり、ハジメは白崎の好意を無下にする不真面目な生徒として映っているようだ。

 ハジメも苦笑いだが、クソ之河は思い込みが激しく、自分の考えが正しいといつも思っているので、暴論だとしても自分が言えば真実なのだ。俺やハジメがどうこう言ったところで聞く耳を持たないのは今に始まったことじゃない。

 

 そして、そんな暴論を叩き潰すのが、女神による無自覚核爆弾だ。

 

 

「?光輝君、何言ってるの?私は、私が南雲君と話したいから話してるだけだよ?」

 

 

 白崎の一言で教室が騒がしくなる。男子からはハジメに向けて呪詛やら殺気やらが向けられている。

 

 

「え?……ああ、ホント、香織は優しいよな」

 

 

 クソ之河の中では白崎はハジメに気を遣ったと解釈されたらしい。めんどくささでハジメが目を逸らして青空を眺め始めた。

 

 

「……ごめんなさいね?二人とも悪気は無いんだけど……」

 

「ま、諦めろ。天之河のあれは今に始まったことじゃない」

 

 

 俺と雫がハジメに声を掛けると、肩をすくめて苦笑いするのだった。

 

 

「それよりもさ雫、俺は巻き込まれてる側だぞ?少しぐらい心配してくれてもよくね?」

 

「何言ってるのよ、光輝は昔からああだったじゃない。悠聖は慣れてるでしょ?」

 

「まぁ慣れてないわけじゃないが……」

 

「なら大丈夫じゃない」

 

 

 そうこうしている内に始業のチャイムが鳴り、担任が教室に入ってきたので、各々席に戻り、授業を受け始めた。

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 4限目が終わり、昼休みに入る。

 自作の弁当を食べようとした時、横から声を掛けられる。

 

 

「悠聖、隣いいかしら」

 

 

 雫はそう言って俺の返事を待たずに俺の机に自分の机を連結させ、自分の弁当を取り出す。ところで、どうして隣に来るのん?正面でよくね?まぁ面倒くさいから言わないけど。

 

 

「南雲君、一緒にお弁当食べよ?」

 

 

 視界の端では白崎が弁当箱を持ってハジメの元へ突撃し、それにハジメが必死の抵抗をしていた。

 

 

「誘ってくれてありがとう、白崎さん。でももう食べ終わったから天之河君たちと食べたらどうかな?」

 

 

 そう言って空になった10秒チャージのパッケージを振る。しかしそれは悪手だったようで、白崎はハジメに追撃をかける。

 

 

「えっ!お昼それだけなの?ダメだよ、ちゃんと食べないと!私のお弁当分けてあげるね!」

 

 

 止めたげて!ハジメのHPはもうゼロよ!俺?俺は雫と苦笑いしながらその光景を見ている。

 

 

 そんなカオスな空間に救世主(笑)が現れる。

 

 

「香織。こっちで一緒に食べよう。南雲はまだ寝足りないみたいだしさ。せっかくの香織の手料理を寝ぼけたまま食べるなんて許さないよ?」

 

 

 爽やかな笑顔でそう言うクソ之河にキョトンとする白崎。少々どころかかなり天然である彼女には、クソ之河のイケメンスマイルやセリフは通用しないようだ。

 

 

「え?何で光輝君の許しがいるの?」

 

 

 白崎の天然発言に俺と雫は「ブフッ」と吹き出してしまう。お茶飲んでたら危なかった。クソ之河はあれこれと白崎を説得しているのだが、彼女には届かない。

 何はともあれ、ハジメの周りには校内の有名人がほとんど集まっているので、視線を集めてしまう。ハジメの表情が死に始めた。

 

 

「ほら雫、出番だぞ。あのバカをどうにかs」

 

 

 ハジメを助けるために雫を送り出そうとした瞬間、俺の目の前、クソ之河の足元に純白に光り輝く円環と幾何学模様が現れた。その異常事態には周りの生徒たちも気が付き、輝く紋様―――――魔法陣を注視する。

 

 え、俺また転生すんの?大丈夫?

 

 

 クソ之河の足元に現れた魔法陣は徐々に広がり、教室全体に広がった。それを見たこのクラスの担任で、未だに教室に残っていた愛ちゃんこと畑山愛子先生が「皆!教室から出て!」と叫んだのと、魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのは同時だった。

 

 数秒か、数分か、光によって真っ白に塗りつぶされた教室が再び色を取り戻すころ、そこには誰もいなかった。蹴倒された椅子に、食べかけのまま置かれた弁当、散乱する箸やペットボトル、教室の備品はそのままにそこにいた人間だけが姿を消していた。

 

 

 

 そうして俺は再び転生することになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございました。

 制作理由を書きますが、原作のネタバレがあるので、読みたくない人は戻ってください。




 さて、Web版を読んだことがある人はわかると思いますが、原作は終わりがハーレムエンドで、ハジメの嫁の中には雫も入っているんです。原作を否定はしませんが、雫は自分の嫁に欲しかったのでこれを書こうと思いました。利己的だと思う人はお気に入りから消してもらっても構いません。


 感想や意見を送ってもらえると嬉しいですので、バンバン送ってください。極力返信します。ではまた次回

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