ありふれた世界で一方通行   作:双剣使い

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どうも、おはこんばんにちわ。大学の一年生だけ参加の研修に行っていたので金曜日に挙げられなかったです。待ってた人ごめんなさい!急いで書いたのでクオリティ高くないかもです。

ではどうぞ。


訓練

「はぁっ!」

 

「セイッ!」

 

 

 俺と雫の振るった訓練用に刃引きされた木剣が激しくぶつかる。これでも元は雫の実家の道場に通っていたのだ。それなりに雫のクセも分かっているのだが……

 

 

「フッ!」

 

「くぅッ!」

 

 

 スランプのせいか、時折攻撃を捌けない時がある。そんな時は技能の並立思考を使って反射している。しかし-----

 

 

「ぐあっ!」

 

 

 今のように天職が剣士の雫の敏捷性に抜かれてこちらが攻撃を受けることもザラだ。もっと早く、正確に演算して反射しなければ戦闘では使うことが出来ない。一方通行のように一瞬で演算できるようになるまではひたすら戦闘で慣れるしかない。

雫が練習に付き合ってくれたこともあってステータスはそこそこ伸びた。どれほどかと言うと

 

 

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榊悠聖 17歳 男 レベル:2

 

天職:学園都市第一位・■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ (■ ■ ■ ■)

 

筋力:290

 

体力:300

 

耐性:250

 

敏捷:240

 

魔力:60

 

魔耐:60

 

技能:ベクトル操作・悪党の立ち振る舞い・剣術(+抜刀術)・気配探知・情報隠蔽・縮地・物理耐性・並立思考・■ ■ ■ ■・言語理解

 

================================

 

 

 こんな感じである。因みに、勇者(笑)である天之河のステータスはオール200。俺を除けばクラス内で一番高い数値だ。技能の総数はあちらが多いが、俺の場合は、全部反射すれば被害はないはずなので、気配探知や縮地などの反射以外の技能を磨くことが多い。

 雫と模擬戦をしているのは、いざという時に躊躇しないようにするためだ。この話を持ち掛けてきたのは雫だ。俺が初日にした話を踏まえ、備えるらしい。勇者(笑)がいないのは、アイツなら「雫がそんなことをする必要はない」と腑抜けたことを言うかもしれないからだ。

 

 

「悠聖、あなたは……忌避感はないの?」

 

 

はっきりとは言わなかったが、それが魔人族を殺さなければいけないことだと分かった。

 

 

「そんなわけないだろ、俺だってできることなら殺しはしたくない。でもそうしないと生き残れなかったり、俺にとっての大切なものが失われそうになったら、それを守るために殺すだろうけどな」

 

「そう……その大切なものの中には私も入ってるのかしら?」

 

「?当然だろ?」

 

「そう……ふふ」

 

 

 なんか雫が嬉しそうだった。どうしたんだろう?

 

 そんなことを考えながら雫と二人で、アリスさんが持ってきてくれた水を飲みながら休憩していると、ハジメがクズ党4人組に連れていかれるのを視界の端にとらえた。

 立ち上がると、対策をすぐさま講じる。

 

 

「悪い雫、ちょっと用事ができた。それと、白崎を連れてきてくれ!アリスさんはもう一人分のタオルと水を用意しといてくれませんか?」

 

「わかりました」

 

「いいけど……ちょ、悠聖!どこに行くのよ?!」

 

 

 受け答えもそこそこに、足裏のベクトルを操作し、ハジメが連れていかれた訓練場から離れた場所へと向かった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

(三人称視点)

 

 

 図書館でこの世界や魔物のことについて勉強していたハジメは、訓練の時間が迫っていることに気づいて訓練場に来ていた。

 訓練施設では既に何人もの生徒達がやって来て談笑したり自主練したりしていた。どうやら案外早く着いたようなので、自主練でもして待つかと、支給された西洋風の細身の剣を取り出した。

 と、その時、唐突に後ろから衝撃を受けてハジメはたたらを踏んだ。顔をしかめながら背後を振り返ったハジメは予想通りの面子に心底うんざりした表情をした。

 

 そこにいたのは、檜山大介率いる小悪党四人組(ハジメ命名)である。訓練が始まってからというもの、ことあるごとにハジメにちょっかいをかけてくるのだ。ハジメが訓練に積極的になれない理由の半分だ。もう半分は、悠聖たちの訓練を見ていると自分の無能っぷりを見せつけられるからだ。

 

 

「よぉ、南雲。なにしてんの? お前が剣持っても意味ないだろが。マジ無能なんだしよ~」

 

「ちょっ、檜山言い過ぎ! いくら本当だからってさ~、ギャハハハ」

 

「なんで毎回訓練に出てくるわけ? 俺なら恥ずかしくて無理だわ! ヒヒヒ」

 

「なぁ、大介。こいつさぁ、なんかもう哀れだから、俺らで稽古つけてやんね?」

 

「あぁ? おいおい、信治、お前マジ優し過ぎじゃね? まぁ、俺も優しいし? 稽古つけてやってもいいけどさぁ~」

 

「おお、いいじゃん。俺ら超優しいじゃん。無能のために時間使ってやるとかさ~。南雲~感謝しろよ?」

 

 

 そんなことを言いながら馴れ馴れしく肩を組まれ、人目につかない所へ連れていかれる。それにクラスメイト達は気がついたようだが見て見ぬふりをする。

 

 

「いや、一人でするから大丈夫だって。僕のことは放っておいてくれていいからさ」

 

 

 ハジメはやんわりと断るのだが、それが気に食わなかったのか、本音を出し始める。

 

 

「はぁ? 俺らがわざわざ無能のお前を鍛えてやろうってのに何言ってんの? マジ有り得ないんだけど。お前はただ、ありがとうございますって言ってればいいんだよ!」

 

 

 そう言って、脇腹を殴る檜山。ハジメは「ぐっ」と痛みに顔をしかめながら呻く。

 

 4人は段々暴力にためらいを覚えなくなってきているようだ。まぁ高校生男子が突然強大な力を手にしたら、その力を使いたがるのは分かるのだが、その矛先を向けられては堪ったものではない。かと言って反抗できるほどの力もないので、ハジメは悔しさに口を噛み締めることしか出来ない。

 

 やがて、訓練施設からは死角になっている人気のない場所に来ると、檜山はハジメを突き飛ばして、訓練と称したイジメを始める。

 

 

「ほら、さっさと立てよ。楽しい訓練の時間だぞ?」

 

 

 檜山、中野、斎藤、近藤の四人に周りを取り囲まれてしまったので、嫌々ながらもハジメは立ち上がる。

 

 

「ぐぁ!?」

 

 

 その瞬間、近藤背後から剣の鞘で殴られる。悲鳴を上げ前のめりに倒れるハジメに、更に追撃が加わる。

 

 

「ほら、なに寝てんだよ? 焦げるぞ~。ここに焼撃を望む――〝火球〟」

 

 

 中野が火属性魔法〝火球〟を放つ。倒れた直後であることと背中の痛みで直ぐに起き上がることができないのでハジメは、ゴロゴロと必死に転がりなんとか避けるがそこを狙ったように、今度は斎藤が魔法を放って来る。

 

 

「ここに風撃を望む――〝風球〟」

 

 

 風の塊が立ち上がりかけたタイミングで腹部に直撃し、仰向けに吹き飛ばされる。「オエッ」と胃液を吐きながら蹲る。

 

 

 魔法自体は一小節の下級魔法だが、現実世界でプロボクサーに殴られるくらいの威力は持っている。王国が勇者一行のためと言って支給している魔方陣によるものだ。戦闘で使うことを目的としているので、威力が高いのも難点だ。

 

 

「ちょ、マジ弱すぎ。南雲さぁ~、マジやる気あんの?」

 

 

 そう言って、蹲るハジメの腹に檜山が蹴りを叩き込んでくる。ハジメは込み上げる嘔吐感を抑えるので精一杯だが、何度も何度も同じようなことを繰り返される。ハジメは痛みに耐えながらなぜ自分だけ弱いのかと悔しさに奥歯を噛み締める。本来なら敵わないまでも反撃くらいすべきかもしれないのだが、ハジメは昔からこのように他人に暴力を振るうのを嫌っていたので、誰かと喧嘩しそうになったときはいつも自分が折れていた。自分が我慢すれば話はそこで終わり。喧嘩するよりずっといい、そう思ってしまうのだ。

 そういう点では悠聖を凄いと思える。彼は昔から喧嘩が強かった。だが、檜山たちの様に他人をいたぶるために使っていた訳では無い。本人曰く、自分の守りたいものを守る時にしかそういうことはしないらしい。現に、ハジメは何度も悠聖に助けられているので、本当だと知っている。

 少しずつ痛みが全身に広がり、意識が朦朧としてきた時、唐突に檜山が「ぐあっ!」と悲鳴をあげて吹き飛んだ。

 何事かと思って残り少ない体力を駆使して顔を上げると誰かが自分を檜山たち4人から守るように背を向けて立っていた。

 

 

「遅くなって悪かった、ハジメ」

 

 

 それは、幼なじみの悠聖だった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 俺は背後で痛めつけられた部位を抑えて蹲るハジメに遅れてしまったことを伝える。

 

 

「遅くなって悪かった、ハジメ」

 

「う、ううん。大丈夫だよ……」

 

 

 どう見ても大丈夫ではないのだが、俺は回復魔法が使えないので、ハジメは不本意だろうが、白崎に任せるしかないだろう。

 そう結論付けて俺は正面に向き直る。そこには、俺に殴り飛ばされた衝撃から何とか立ち上がった檜山の姿があった。

 

 

「おい榊、てめぇ何しやがる!」

 

「何していたのか聞きたいのはこっちだ!どれだけハジメのこと痛めつけやがった!」

 

 

 それを聞いた檜山達は言い訳を始めた。

 

 

「いや、違うんだよ。痛めつけてたんじゃなくて訓練だったんだよ。そしたら魔法の当たり所が悪かったみたいでさ、ちょうど医務室に連れて行こうとしてたんだよ」

 

「そうそう」

 

 

 他の3人も檜山の言葉を肯定するようにうんうんと頷く。けどな、ニヤニヤとした意地汚い笑いが顔に出てるぞ。その程度で俺をだませると思ったら大間違いだ。

 

 

「そうか、訓練だったか……なら一つ聞く。いつから自分たちが他人に訓練できるほど強くなったと思った?もし本当に強くなったというのなら、勇者の天之河よりも強い俺をぶちのめしてみろよォ!」

 

「え、ちょ、ま?!」

 

 

 俺が剣を抜きながら脅すと、4人は目に見えて狼狽え始める。そんな彼らにさらなる追撃が入る。

 

 

「何やってるの!?」

 

 

 

 その声に「やべっ」という顔をする檜山達。当然だ。やって来た白崎は、小悪党4人組が惚れているからだ。

 

 

「悠聖、南雲君、大丈夫?」

 

 

 雫も白崎の後ろから来て声を掛けてくる。白崎だけでは心配だからついてきたようだ。だがその後ろには余分なのがいた。そう、勇者(笑)のクソ之河と金魚の糞である坂上だ。

 雫に何であいつらがいるのかと目線で問うと、勝手に付いてきてしまったのだとこちらも目線で答えた。雫とは目線を交わすだけで互いの考えていることがそれなりにわかるのだ。

 

 

「いや、誤解しないで欲しいんだけど、俺達、南雲の特訓に付き合ってただけで…」

 

「南雲くん!」

 

 

 白崎は檜山の弁明を無視して、痛みをこらえて蹲るハジメに駆け寄る。ハジメの様子を見た瞬間、檜山達のことは頭から消えたようである。ザマァwwwww

 

 

「特訓ね。それにしては随分と一方的みたいだけど?」

 

「いや、それは……」

 

 

 さらに雫が追い打ちをかけていく。俺が大人しく引くように言おうとしたタイミングで横槍が入る。

 

 

「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない」

 

「くっだらねぇことする暇があるなら、自分を鍛えろっての」

 

 

 勘違い勇者と金魚の糞だ。それでも、クラスの中心人物たちから諭された小悪党4人組は誤魔化し笑いをしながらそそくさと立ち去ろうとしたが、俺は一言言っておく。

 

 

「もし次てめぇらがハジメに同じようなことをしてるのを見たら警告無しに攻撃するからな」

 

 

 俺が雫と二人で、高速の剣戟を繰り広げているのを知っている4人は、脱兎のごとく逃げ出した。

 白崎が回復魔法を掛けて、ハジメの傷を徐々に癒していく。

 

 

「あ、ありがとう。白崎さん。助かったよ」

 

 

 苦笑いするハジメに白崎は泣きそうな顔でブンブンと首を振る。

 

 

「いつもあんなことされてたの? それなら、私が……」

 

 

 怒りに満ちた表情で檜山達が去った方を睨む白崎を、ハジメは慌てて止める。

 

 

「いや、そんないつもってわけじゃないから! 大丈夫だから、ホント気にしないで!」

 

「でも……」

 

 

 なかなか納得できない白崎に再度「大丈夫」と笑顔を見せるハジメ。白崎も、渋々ながら引き下がる。

 

 

「南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ」

 

 

 渋い表情をしている白崎を横目に、苦笑いしながら雫が言う。それにも礼を言うハジメ。しかし、そこで水を差すのが勇者クオリティー。

 

 

「だが、南雲自身ももっと努力すべきだ。弱さを言い訳にしていては強くなれないだろう? 聞けば、訓練のないときは図書館で読書に耽っているそうじゃないか。俺なら少しでも強くなるために空いている時間も鍛錬にあてるよ。南雲も、もう少し真面目になった方がいい。檜山達も、南雲の不真面目さをどうにかしようとしたのかもしれないだろ?」

 

 

 俺は開いた口が塞がらなかった。今の出来事をどう解釈すればそうなるのか。クソ之河がご都合解釈と性善説の塊だとしても、さすがにこれはないだろう。ついに頭が沸いたか。

 こいつの思考パターンは、基本的に人間はそう悪ことはしない。そう見える何かをしたのなら相応の理由があるはず。もしかしたら相手の方に原因があるのかもしれない! という過程を経るのである。そのうえ、こいつの言葉には本気で悪意がない。真剣にハジメを思って忠告しているのだ。ハジメは既に誤解を解く気力が萎えたようで、諦めの表情だ。ここまで自分の思考というか正義感に疑問を抱かない人間には何を言っても無駄だろうと。だが、俺は奴に楯突く。ハジメを守るために。

 

 

「ちょっと待てやクソ之河」

 

「ク、クソ之河?!い、いきなりなんだよ、榊」

 

「あぁ、テメェが人を疑わない人間だってことは知ってたけどよォ、さすがに努力してる友人を目の前で貶されるのは気に入らないんでな」

 

「努力しているだって?南雲は訓練の最中もほとんど何もしないで一人でいるじゃないか。それのどこが努力してるって言うんだ?」

 

「それは違うな。ハジメは訓練の時間だって錬成の使い道について考えているし、読書の時間だってこの世界のことについて学んでいるんだ。これのどこが努力してないって言うんだ?」

 

「で、でも、知識があったからと言ってどうなるんだ?別にステータスが上がるわけじゃないだろう」

 

「確かにステータスは上がらねぇよ。それでも知識ってのは戦闘の経験値よりも重い意味を持つときがある。その意味がお前にわかるか?」

 

「だがそれでも訓練をしなければステータスは上がらない。もう少し訓練の時間を増やすべきだ。榊も変なことを言って南雲を困らしちゃいけない」

 

「アァ?!」

 

「ストップ!」

 

 

 一触即発の雰囲気を止めたのは雫だった。俺とクソ之河の間に割り込む。

 

 

「……チッ!」

 

 

 さすがに雫にまで迷惑をかける気はないので手を引く。ただもうやる気がなくなった。

 

 

「雫~、俺今日の訓練でねぇわ。団長にそれとなく言っといてくれ」

 

「ちょ、悠聖!」

 

 

 その場にいた全員から視線が飛んでくるが、無視して自室に引っ込んだ。

 

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 夕食の時間、メルド団長から、今日の訓練をさぼったことについての注意がされた。ただ、誰かが話を通したのか、厳重注意だけだった。そして、そのあとに重要な報告があり、明日から実践訓練のために【オルクス大迷宮】に遠征に行くらしい。ちょっとだけ楽しみだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読了ありがとうございます。私の天之河嫌いが如実に出てる気がする…


アンケートはあと二話ほどで切ります。

ヒロイン強化アンケート~雫Ver.~ 期限は、勇者一行がベヒモスを倒すまで

  • 直死の魔眼
  • 聖遺物「緋々色金」
  • 鬼呪装備:阿修羅丸
  • 七天七刀
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