神器使えや神器使い!   作:おーり

1 / 26
病み上がりなので初投稿です(こいついっつも病んでんな)


神器「ok G●ogle 宿主 転職」

 ――ひととおりの腑分けも済んで、多少理解(わか)ったこともある。

 そう思っているのは俺だけで、実のところ見当違いな見立てをしている可能性もあるが。

 

 悪魔や天使とは、実際のところ人間と大差が無い。

 

 大抵の人外を顕わとする特徴は翼くらいなもので、それらは基本的にそれぞれの性質的特徴にもなる魔力を自ら放出するために発現する器官としての役割しかない。

 日本の怪異で云うところの『正体を明かす』という奴だ。

 魔法だの奇蹟だの仙術だのと呼び方に差異を本人たちは付けたがるモノだが、それはただ使い手が異なっているだけで扱われるエネルギーそのものには大きな差は無く、それこそ本人たちの性質に則って相応の属性を備えさせているに過ぎない(ことわり)なのだ。

 悪魔が扱えば『魔法』となり、天使が扱えば『奇蹟』となり、それぞれに准じこそすれど人間が扱うのは模した技術なので『魔術』となる。

 そして人間のためにとそれらの『術』をグレードダウンさせたうえで教示したのだから、堕天使の扱うモノは『魔術』だ。

 そうして形となる術理は即ち論理的な側面を持つ、どこをどうすればどうしてどうなる、を意識的に再現させる技法なのだから、最終的には科学へと逝き着くわけだ。

 

 まあそんな理屈はさておいて、使い手で技術の銘が変わることは間違いが無い。

 間違いが無いのだから、俺の扱うこれらはやはり『錬金術』と呼ぶべきモノなのだろう。

 

「――ぁ、が……っ、ひ……っ」

 

 ――そんなことを、堕天使の女を解体(バラ)しながらふと思った。

 

 レイナーレと名乗っていたその女は、傍目にはそこいらの女学生と見紛うほどに若い容姿をしていた。

 もういい歳らしいのでそういう印象に見られることはいわゆるひとつの若作り、且つ実際に制服まで用意していたのだからコスプレ的な趣きがあると捉えられる。

 謎の犯罪臭が漂うが、その実やろうとしていたことと言えば若いツバメを引っ掛けることではなく、神器使いが目覚める前に人命ごと刈り取ってしまおうとしていたという普通に刑事事件モノのそれである。

 後々厄介になる種を小物の内に摘んでしまおうという試みは狙いとしても理解できるが、狙われる方からすれば堪った物でもあるまい。

 実際、俺もそういうモノを宿しているので狙われた縁でこうなったわけだが、これが非武装の一般人であればどうよ? と正当防衛を主張しつつ提唱を投げかけるのであった。

 

 しかし困った。

 改めて現状を顧みてみると、犯罪臭はどうにも俺の方から漂いつつあるように思えてくる。

 

 現場は人気(ひとけ)の無い公園。

 恐らくは元より自分が優位の立場に収まらんがために、人払い系の結界的なモノでも張っているのであろう。

 人目が無いことは朗報だが、それがいつまで保つモノかは判別が利かない。

 

 被害者は制服を着た女学生。

 頬と眼窩を赤く腫らせ、左脚は折れて変な方向へ捻じ曲がり、手の甲は踏み潰され肩は砕かれ、腹には大きな致命傷が背中まで貫通しており後数分で息絶える。

 念の為にと喉を裂いておいたので、それ以上声を上げることもできず、掠れた呼吸がか細い悲鳴と漏れるばかり。

 

 加害者は僅かな返り血を浴びた青年。

 血飛沫は微かなモノで、先ほど公園の水道で手も洗ってきたので目立つ程のものでも無い。

 凶器ナシ。おててはきれい。

 ……ふむ。

 

「perfectだウォルター」

 

 思わずインテグラ嬢のように口遊む。

 割と完全犯罪っぽい状況に持って行かせることが可能そうで、俺は今ちょっとばかり気分が良い。

 遭遇当初は後顧の憂いも碌に計算せずに、光の槍を躱しーの奪い取りーのテレフォンパンチで戦意削りーの脚引っ掴んで振り回しーの叩き付けしーの踏みつけて命乞いを聴かずーのトドメは槍で心臓を貰い受ける! みたいな島津流無頼漢殺法を文字通り叩き付けて血に沈めた俺であったが、所詮命を刈り奪る仕事をしておろうが小物狙いでは強くも無かった。

 生き死にに携わるんだから最低限の覚悟くらい備え付けとけ、羽虫狙うのとは違うんやぞ。

 

 問題点はと言えば、例の青田買いモドキをこの女郎(メロウ)は既に他にも決行していたという点。

 どういう文字を使うのかは聞いてないが、アマノユウマなる偽名でヒョウドウイッセーという高校生を誑かし、やることまでやる気だったのかは知らないが最終的には計画通りに殺そうとしていたのだろう。

 このまま女郎の仲間が現れれば、最悪ヒョウドウくんとやらに携わる暇が無いままに遺体は隠され事態も隠蔽されて、一週間後のデートの約束を意味も無くすっぽかされる可哀そうな少年が生まれてしまう。

 少年の心に傷を残すわけにはいかないと、俺は仕方なしに公園付近の電話ボックスへ駆け込むのであった。

 

「あ、もしもし警察ですか」

 

 

 

  ■

 

 

 

 リアス・グレモリーは頭を抱えていた。

 心持ち頭痛を覚えてしまいそうになった原因は、最近報道された猟奇殺人事件に由来するモノだ。

 

 被害者は近隣の高校に通う女子学生で、それが自分の通う駒王学園の生徒では無かったことは救いと言っては救いだろう。

 しかし、駒王町は自分が治めている町だ。

 世の中には一般に知られることなく被害を齎す『ハグレ悪魔』という奴らだっている。

 そういうモノに彼女が引っ掛かったのだとしたら、それを隠匿する暇も無く大々的に報じられたことこそが迷惑の種となるのだろう。

 だが問題点は、そうして大多数の記憶や認識を調整することが難しくなった事態そのものではない。

 その被害者が、知らずこの町に潜伏していた堕天使だった、と朱乃に伝えられた事実。そこに尽きた。

 

「……まずいわね、これが知られてしまうと、堕天使との関係にも亀裂が入りかねないわ」

 

 自分が就任した当初は、この町にもハグレや怪奇事件もたびたび起こっていた。

 元々教会の目も行き届いていない地方都市なので、悪魔には実に棲み易い場所だからだと理解もできたくらいだ。

 ここ最近は静かになっており、ようやく自分の治める土地だということが知れ渡ったのだろう、そう思って平穏な日々をリアスたちは満喫していたというのに。

 

 被害者は左脚を折られ、肩と両手を砕かれて、()()()()()()()()()()心臓を抉り取られて死んでいたらしい。

 顔は判別がつかない、というほどでは無いが、しかし容赦も無く殴られて変形していたと聞いた。

 だが現場に残されていた生徒手帳との照合で、身元の判明ができたらしい。

 

 問題はその後で、確かに学校に通っていた証拠があるのだが、関係者がほぼ現れてくれない。

 被害者遺族すら名乗りを上げない点から、予想外の難航な捜査になってきていると噂になってきていたのだ。

 人間の問題だ、と気に掛けたのも最低限度だったのだが、噂が飛び交う事実に改めて気に懸かり、朱乃に調査を頼んだところで被害者の『種族』が判明したのである。

 戸籍がそもそも偽装されたモノであったのだから、捜査も進まないのも当然の事であった。

 

「というかなんであの堕天使はこの町に居たのよ……、その後も何が起こったわけでもなかったわよね……?」

 

 ハグレ悪魔も姿を見ない。

 この町は酷く平和なままだ。

 堕天使が被害者の猟奇事件以降、他の人間にも気を回しているが、死亡も行方不明も交通事故も無い。

 リアスはただただ面倒そうなことが起こりそうだと、自分の責任で堕天使との関係に今以上の溝が生まれることを危惧して頭を抱えるのであった。

 

 

 

  ■

 

 

 

 公園でひとり、俺は睨むように其処を見つめ続けている。

 黄色いテープが貼られていたこの辺りは今日まで入ることを許されず、事件から一カ月近くが経ってようやく来ることが出来た。

 夕麻ちゃんの、殺された場所に。

 

 歯を食いしばり、叫び出したくなる衝動を呑み込む。

 なんで彼女が殺されなくちゃならなかったのだろうか。

 事件からこれだけ経っても、誰も何も教えちゃくれない。

 

 いや、単なる高校生に教えてくれる警察なんていやしないのはわかっている。

 けれど、一応は恋人だったと名乗りを上げても、俺に其処までの情報が無いことを知ると簡単に追い返された。

 そりゃあ、恋人になったタイミングだって殺されたその日だし、彼女のことを何も知らなかったのも事実だけど……。

 

 其処まで好きだったのか、と訊かれると、自信をもってそうだとは言い切れない。

 でも、この宙ぶらりんな気持ちはそう切り替えられるものでも無い。

 

 一瞬だけだけど、俺だって告白された側だったんだぜ――?

 

『きゃぅっ!』

 

 小さな悲鳴に目を向ければ、ライトグリーンのパンツを捲れ上がったスカートの下に見つけた。

 何に躓いたのかは知らないが、女の子が盛大にすっころんだらしい。

 ……。

 とりあえず、ごっつぁんです!

 

「だ、だいじょうぶか? けがは無い?」

 

 かわいい子であることを願いつつ、ラッキーなハプニングへの感謝を込めて助けに声を掛ける。

 べ、別にナンパってわけじゃねーから!

 心に負っちまった傷を癒すのはエロだって、松田や元浜も言ってただけだからー!

 

『うぅ、どうしてこんなところでころんでしまったのでしょう……』

 

 っ、か、可愛い……!

 

 金髪で小柄な、白人の美少女が其処にいた。

 恰好はなんでか修道服? のそれだし、言葉もわからねーけど、これはお近づきになって損は無いぜ!

 

『……? あの……?』

「っ、ど、どわぁいじょうぶっ!? けがはなかったかなっ!?」

『ぇ、え、あの、す、すみません、わかりません……!』

 

 うぉ、引かれた。

 ちょっと言葉も怪しくなっちまったかな……?

 ――いや、俺は此処から巻き返して見せる! 駒王学園三羽烏の名に懸けて――!

 

『ハァイアーシア、お元気ぃ?』

 

 ――その後、意気込み空しく、颯爽と現れた謎の色黒美女に金髪シスターは掻っ攫われた。

 ……そうですね、挙動不審の男子よりも、知り合いの女性ですよね……。

 

 所詮警察の人にも名乗った途端に、駒王学園(ウチ)の女子から苦情という逮捕要請も上がってきているって注意を受けた変態ですよ……!

 あ、そっちも問題だったんだ。

 もう今日は帰ろう……、帰って松田や元浜とこの問題について解決策を練ろう……。

 

 

 

  ■

 

 

 

 アマノユウマのハニトラ相手、聞き覚えのある名前だと思っていたらウチの先輩だったわ。

 まあ、女子更衣室の覗きや盗撮、下着泥棒なんかの容疑で有名な変態な先輩だし、バイタリティある人だしケアも大して問題ないだろ。

 

 そんなことを思いながら、件の先輩を見送りつつ腕の中の知り合いを見下ろす。

 そんな先輩だから、こういう可憐な小娘を付き合わせたくは無いのですよ。

 思わずイタリア語で捲し立てて追い立てたわけだが、未だ抱きしめられているアーシアは反応が薄い。

 

「? どしたん?」

「――ひょっとして、ソラさんですか?」

「ああ、誰かわかんなかったのか」

 

 というか『向こう』じゃ『ソーリア』と名乗っていたので、その呼び方も正しくは無い。

 まあ愛称と思っているけど、どうにもこの子がそう呼ぶので自分でも定着した節がある。

 こっちでの偽名もそこを捩っての『烏丸イソラ』だ。なんか、落ち着く。

 

 そんな回想に耽りそうになる俺の()を、アーシアはがっしりと鷲掴む。

 おや、何処か目に光が無い?

 

「ど、――どうしてこんなことに!?」

「あっはっは、どうしてだろうねー」

 

 いや、変装でもあるのだけどね。単に。

 とりあえずパッドがズレるからあんまり揉むな。

 




全年齢向け…はいきなりのグロ描写で頓挫したご様子
此奴が絡むといっつもこれだ
でもギリギリR18に傾かないように、と遣って見たくって書きました!

応援してくれると嬉しいです
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。