神器使えや神器使い!   作:おーり

18 / 26
コカビーが軍事云々語ってましたが、当の烏丸は「そうかなぁ」という感じで眺めてました
注釈的に彼なりの内心を加えさせてもらいますと「ソドム&ゴモラは撃ったら相対も何も無いので即終了。でも身バレしてたら事前で躱されるからなぁ」です
個人戦力ってバランスがどうのという話じゃないですよね


前回のあらすじ
ヒーローみたいに参上したイッセー!
でも読者からは不評の嵐だ!
どうする作者!?


サーゼクス「また知らない間に私がディスられてる…。しかも身内に…」

「ア、アゲノ゛ザン゛……! マモ゛ル゛……! オデ、マモ゛ル゛……!」

 

「その声……! イッセーくんですのッ!?」

 

 

 いや、アレ人語忘れかけてませんかね。

 

 朱乃さんの前に立ち塞がり、コカビエルの光の槍を受け止め、獣化ウイルスに汚染されたみたいに朦朧(グルル……!)と喉を震わせるあのひとを。

 当の朱乃さんはどうにも、熱の籠もったような眼差しで見上げています。

 

 窮地を救われて熱を上げる前に、戦地で自分が無様を晒したことについて考えるべきなんじゃないでしょうか。

 私? 私は別に烏丸くんに入れ込んでなんていませんし。ホントですし。

 人妻誑し込んじゃう同級生ですし。普通に考えても無理ですよ。……ホントですよ?

 

 で、その烏丸くんですが、

 

 

「……今、舌打ちしましたよね?」

 

「シテナイヨー」

 

 

 兵藤先輩が飛び出して行ったところを、ややイラついたような眼差しで見ていました。

 今も、返事が棒読みですし。

 

 ……とりあえず、軍事的にどうのだとか、神話的にどうのだとか、コカビエルが色々と説明してくれましたが。

 今は、烏丸くんにキチンと問うべきことがあります。

 

 私は、彼に庇われた位置から、少しだけ身を乗り出して服の背を摘まみました。

 ……彼がロリコンっぽいから身体的特徴を生かして仕草で甘えれば好意的に見てもらえるかもという配慮であってそれ以上では無いですホントです。

 

 

「で。何をどうしたら『ああ』なるんですか」

 

「……。塔城ちゃん、聞くべきことってそれで合ってるの……?」

 

 

 若干、呆れたような顔をされてる気がします。

 

 

「コカビエルがどう謂おうと、烏丸くんが私たちに危害を加えようとしていないことは明白ですから。それよりも『何をやらかしたのか』ということの方が重要です。前科があることを忘れてませんよね?」

 

「わはー、信用なーい☆」

 

 

 言葉振りはさておいて、どうにも嬉しそうな顔をしてますね。

 べ、別にホントにそれだけですしっ。

 コカビエルに良いように謂われたことを傷ついているようだ、なんて思ったわけじゃ無いんですからねっ。

 そんな内心なんて無いんですから見透かされてるように感じるのも勘違いですっ。

 

 

「信用はしているわよ。貴方は事後承諾でも説明をしてくれるものね」

 

 

 今は私のターンです。邪魔すんじゃねぇですよ部長」

 

「小猫!? 私あなたの主なのだけど!?」

 

 

 思わず本音が漏れました。

 

 

「それで、兵藤先輩は何処に隠し持っていたんですか? しばらく見なかったから平和、じゃなかった、清々していたのですが」

 

「言い繕えていないわよ……」

 

 

 失礼、咬みました。

 

 

「うん、まあ、種明かししちゃうとココ」

 

 

 と、見せられたのは、黒々とした一枚の絵画――(以下略。

 

 

「……ひと目でSAN値が限界一杯まで削られましたよ。なんなんですか、ソレ……」

 

「コっ、コカビエルなんかよりずっと害悪な代物じゃないの……ッ! そんなものをどうしようっていうのよ……!?」

 

 

 比較対象が可笑しい気がします。

 今になって思うと、コカビエルは私たちに対してあまり敵意なんて持ってませんでしたよね。

 

 そして、目の前の絵画からは世の全てに対する怨嗟、憎悪、敵意、害意……!

 ありとあらゆるものを滅ぼし尽くさんとする呪いの念が籠められているのが、肌で感じ取れます……!

 素手で抱えていて、良く平気ですね……!

 

 

「コレでどうしよう、なんて気は無いっすよ。イッセー先輩は、今の今までコレの中に居ました」

 

「……ああ。それで『ああ』なっちゃったんですね。納得です……」

 

「いや、それにしたって、あの強化っぷりはレベルの桁が可笑しいよね……?」

 

 

 木場先輩まで近づいてきました。

 ちなみに、話の合間に兵藤先輩はシャァァ!と獣のような唸り声を上げてコカビエルへ吶喊しています。

 

 朱乃さんはヒロインムーヴのままです。

 邪魔になりますからさっさと下がりなさい。

 

 

「んー。まあ折角なので色々種明かししますけど、前にゼノヴィアらが帰った後で、先輩がウチに来たんですよね、鍛えてくれって」

 

「ああ。それで鍛錬を、」

 

「でも俺そういう伝手は無いので、手っ取り早く『強く』なれるように改造しました」

 

「待って」

 

 

 テンポよく、木場先輩の震えた声が烏丸くんの平然とした科白にツッコミを入れました。

 

 でも見ればわかりますよ。

 どう見たって、真面(まとも)な手法で強化されてないじゃないですか、アレ。

 

 

「ちなみに、具体的にどのようにやったのかを訊いても……?」

 

「ふむ。さて此処に、とある現代錬金術師から拝借した『カイゾウニンジャレポート』なる物があります」

 

「先ほどの絵画もそうですがどうやって懐に仕舞ってたんですか。四次元なポケットですか」

 

「ツッコミどころが違うわよ小猫」

 

 

 現代錬金術師風収納術です☆と、イラっとする笑顔で応えられました。

 イラッ☆

 

 

「こちらの筆者の弁に寄るところに依りますと、『薬物投与ナシに大脳新皮質の働きを抑制し、大脳辺縁系を活性化、ホモサピエンスの限界性能一杯一杯まで引き出せる体質と性能とノウハウを備えた一族』というモノが日本にはいらっしゃったご様子で」

 

「……それ、人間の話?」

 

「ですよ?」

 

「人類コワイ……」

 

 

 人類出の木場先輩の言っていい科白じゃないですよ。

 人類コワイ。

 

 

「いくらなんでも一朝一夕でイッセー先輩をそんなもんに換えるのも難しいので、」

 

「出来ないって、言わない辺りが烏丸くんだよね」

 

「難しいので。続けて載せられていた『その中枢神経を生かし、よりアッパーレベルの肉体を構築するために、動植物並びに昆虫類爬虫類の身体機能を人間大に引き上げて組み込む改造換装手術』というモノに注目しました」

 

「このゲス野郎!」

 

 

 まんま改造人間じゃないですか!

 道理で仮面ラ●ダー臭がすると思ったんですよ!

 

 

「ひとの眷属に何をしてくれてるのよ……」

 

「部長、もっと怒るべきです。下手をしたら私たちも知らない間に『何に』されるかわかったものじゃないですよ」

 

「め、珍しいわね、小猫がそんなはっきりと……」

 

 

 この辺りはもう信頼とか信用とかじゃなくて、単純に動物的本能的恐怖に近いです……!

 これだから化生上がりじゃない悪魔は危機意識が足りないって謂われるんですよ……!

 

 

「塔城ちゃんに物凄く怒られちゃったので、今後こういう施術するときは皆さんにも了解取ります……」

 

「そ、そうしてもらえると助かるわ……?」

 

 

 シュンとしてますが、違う、そうじゃない。

 そもそもやろうとするなって話です……!

 

 

「――で、仕舞っておいた理由は、細胞組成が定着する冷却期間みたいなモノですね。ついでに外界の視覚情報を遮断することで思考機能の拡張を促し、自覚的に意識が加速することで自身を見つめ直せる疑似的な『精神●時の部屋』を目論んで封印していたんですがね。仕上げ前に自発的に逃亡するとは良い度胸だ

 

「やっぱり舌打ちしましたよね?」

 

 

 最後、ちいさくボソッと何か口走りましたよ?

 

 

「だって一応は脳機能の拡張も施しましたしぃー、大脳辺縁系は活性化すると本能に基づいた行動にも抑制が利かなくなるから注意の必要があったんですものー。性犯罪者を堂々野に放つ真似を俺みたいな善人が見逃せると思ってるんですか?」

 

「善人とやらは上級生に無免許改造手術なんて施しません」

 

 

 前々から思ってましたけど、このひとひとりで悪の組織みたいな真似しますよね。

 其処に所属する『悪の科学者』って感じです。

 

 

「……やったことは、わかったわ。……上手く納得は出来難いけど……」

 

 

 頭を抱えて言葉を絞り出すリアス部長に、烏丸くんは笑顔で【勝訴】の紙を広げます。

 そんなわけあるか、後で反省文書きなさい。

 

 

「でも、それならそれで、イッセーに組み込んだのはいったい何? コカビエルに匹敵するだなんて……」

 

 

 はたと、思い出して、先ほどから交わされているであろう戦闘現場へと目を向けました。

 

 気が付けば、コカビエルと兵藤先輩は互角に組み合っています。

 何処のΖ戦士かと見紛わんばかりの打撃の応酬。

 お互いにオゥラを迸らせ、獣と戦士の雄叫びを上げながら殴り合っていました。

 

 完全に此処だけ世界観が違う気がするのは、私だけでしょうか。

 

 

「……匹敵、かなぁ」

 

「え?」

 

「いえ。組み込んだのは、神器から抽出した龍の因子ですよ。ドラゴン系神器は大概封印されてるモノだ、って前にレポートで読んだので」

 

 

 それは、何処で出回っているレポートなのでしょうかね。

 

 

「で、でも、『龍の手』はありふれた神器よ? それであれほどの龍が封じられているだなんて……」

 

「コカビエルも誤認してますが、『龍の手』に封じられてる龍って赤龍帝ですよ?」

 

 

 その辺りのことは詳しくないのですが、詳しいであろうリアス部長は一瞬言葉に詰まっていました。

 

 僅かなフリーズの後、声を上げて驚きます。

 

 

「……はぁ!? そんなわけないでしょう!? 赤龍帝が封じられているのは、『赤龍帝の籠手』っていう専用の神器があって……!」

 

「いや、ぶっちゃけ赤龍帝でもない他のドラゴンに倍加の権能なんて無いでしょ? じゃあ、『龍の手』に封じられてる龍は赤龍帝でしょ」

 

「……!?」

 

 

 ……理屈は通ります、が。

 

 

「『龍の手』全部が、って想定してるんですか?」

 

「日本にもあるだろ、本社と分社みたいなのが。アレは、魂とやらを祀るのに各地で分けて祀って、でもその祈願は本霊に習合するっていうやり方だったかな。今風に言うと、サーバを主とするアプリみたいなモノ?」

 

「……そういわれると、納得できそうですね」

 

 

 そしてアップデートで【赤龍帝】にバージョンアップ出来得る、と。

 運営の仕事次第、って感じでもあります。

 

 

「じゃ、じゃあ、この先イッセーの神器は『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』に進化するかもしれない、ってこと?」

 

「……望みは薄いし、望まない方が良いんじゃないかなぁ」

 

「なんでよ!?」

 

 

 腕組んで唸る烏丸くんを、動揺したリアス部長ががっくんがっくん揺らしてました。

 反動で乳が、揺れる揺れるチッ

 

 

「イッセー先輩、一回死んでるのに覚醒みたいなのも()て無いですし、ぶっちゃけ『才能無い』の部類に入りませんかね?」

 

「其処は言わないで欲しいわ……。魔力も無いから、薄々は気づいていたけど……」

 

 

 烏丸くんの両肩を掴んだまま、リアス部長は顔を逸らして目を伏せました。

 

 ですよねぇ。

 この先どういうブートキャンプに放り込んだとしても、命の危機を乗り越えたはずの状況から生還してるのにアレなのでは、正直かなり望み薄です。

 

 何か、神とか運命めいたモノに好かれでもしない限りは、劇的なレベルアップは見込めませんよね。

 まあ悪魔は寿命が長いので、じっくりと時間と適切な手法を掛ければ、どうにかはなるかと思いますけど。

 それでも本人のやる気次第です。

 

 

「で。そもそも赤龍帝ってペンドラゴンの、曳いてはブリテンの守護神ですから。聖剣を折ることを許可する今の政治的背景を注視するペンドラゴンが、復活した赤龍帝を認めると思いますか?」

 

「………………ルフェイに、殺されかねないわね、イッセーが」

 

「ねぇ?」

 

 

 レベルアップ(覚醒進化)することが死亡フラグに繋がっていることまで判明しました。

 なんでこんなギリギリな生存ルート予定されてるんでしょう、あのひと。

 

 あまり尊敬できない先輩(変態)ですが、思わず出荷前の豚を眺めるような眼を向けてしまいそうです。

 多分、運命に愛されてるのかとは思いますが。別ベクトルで。

 

 

「で、やっぱり互角とは言い難いでしょう。取ってつけた改造も、未完成ですからねー」

 

「え?」

 

 

 ゴシャァアアア! と。

 

 コカビエルのアトラスパンチが決まったァーーー!

 兵藤先輩ダウンッ! 立てなぁーい!!!

 

 

「イッセーくん!!!」

 

「――虚は突かれた、」

 

 

 斃れる兵藤先輩へ、悲痛な声で呼びかける朱乃さん。

 それを見ながら、烏丸くんは一歩前へ。

 

 

「が、獣の形振りで勝てると思ったか……!? この程度、戦争を乗り越えた俺には屁でもない!!!」

 

 

「そりゃあ、コカビエルは海千山千の猛者だろうし、技術があるし。勝てるとは思えねぇ。残当ってやつですな」

 

「結構肉体言語で沈めているように見えますが……?」

 

 

 技術とは、どのあたりに。

 

 

 

「さぁ、前座はこのぐらいで良いだろう。出てこい神器使い!! 貴様を下して、俺が神になる!!!」

 

 

 

 ――ん?

 

 

 

「三日天下のフラグが経った(ニチャァ……」

 

 

 

 あっ。

 

 小声で烏丸くんが呟いたことで、僅かな合間の違和感の理由にも納得。

 そして、声高に宣言したコカビエルに聴こえるように、

 

 

 

「今だギャスパー! コカビエルを停めろッッッ!!!」

 

 

 

 ――瞬間、

 

 

 

「――!? 『停止世界の邪眼(フォービドゥン・バロール・ビュー)』の使い手だと――!?」

 

 

 

 誰も居ない背後へとコカビエルは振り向いて――、

 

 

 

「…………!? っ、し、しまっ、」

 

 

 

 即、罠で策だと、気づいたのか、

 コカビエルが再び振り返った其処には、【黒い絵画】を向けて哂う烏丸くんの姿が――……、

 

 

 

  ■

 

 

 

 その時の彼の横顔は、本物の吸血鬼よりもずっと吸血鬼らしい、ぞっとするような笑顔でした。

 ……いや、其処は神器使いましょうよ……。

 




――下に恐ろしきは人の業…

――人を呪わば穴二つ…

――いっぺん、しんでみる?



斃すときは一撃がベスト
斃せない相手でも、地獄送り、みたいな封印系はけっこう有効だよね、っていう話

赤龍帝と龍の手に関しては独自解釈です


それはそうと、
作中で小猫が自分のことを化生上がり、つまり妖怪からの進化的な?と書いちゃいましたが、
基本怨念やら概念やらから派生する妖怪どもですが、この世界線では原作に基づいてワイルドハーフ形式で想定させていただきます
親が妖怪なら子も妖怪、なんかようかい?みたいな
小猫も黒歌も親が居ますし、クノエだったかのフォックスは親子丼ですし

でもこの子たち完全な獣に変化は出来ないっぽいから、化生上がりって自分で描いちゃって既に違和感w
それなのに原作では獣の本能がしっかりと根付いてるっていう謎の設定w
原点がワイルドハーフ系でも育ちはヒトっぽいのに何故こうなってるのw

そんな矛盾に書いてから気づきました
誰か分かりやすい答えを教えてくりゃれ

次回、聖剣編決着!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。