神器使えや神器使い!   作:おーり

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解説回という名のグレイフィア回
物事の理解云々よりも、正直こう書いたために希望があったのだとオモテル

というか前回の締めがアンケみたいな引きになっちまって正直すんませんでした


サーゼクス「だ、誰が寝取られ野郎だ!」

「グレイフィア……、メイド服以外でもやっぱり美人だったなぁ。何を着ていても似合うのは間違えようも無かったけど、人間界で暮らすようになって益々美人になった感じがするし。青少年の若い心を下手に擽らないか、心配だ」

 

「えぇ……、その感想で良いんすか……」

 

 

 このひと、根本的に危機意識足りないんじゃなかろうか。

 兵藤イッセーは訝しんだ。

 

 置いていかれた魔王共々、言い訳を聞き入れてもらえず拗ねてへそを曲げた朱乃に「イッセーくんなんて知りませんわっ! プンっ!」と無駄に可愛らしく置いていかれたイッセーは、連れ立って駒王の街中を歩いていた。

 

 どうにも本来は人間界の様相を物見遊山に、とリアスか朱乃の主従コンビが案内する予定だったらしいのだが、見ての通り(こじ)れたので予定はキャンセル。

 

 というか、学園内で魔法少女のコスプレをした保護者が出たとか、そんな騒動に搔き乱されて予定消化が追い付いていないのが現状だった。

 

 そんな報連相も届いていない彼らは、時間潰しにも似た感覚で街中へ繰り出していた。

 

 「置いていかれた者同士」などとサーゼクスから誘った形だが、人間社会に当て嵌めれば、来日していた諸外国の貴賓がボディガード不在のままフラフラと放浪を始めた感じだ。

 

 イッセーの訝しみの宛先は的が違うのだが、別の意味で意外と的を射ていた。

 本人にも罪状が加算される。

 

 

「ふっ、どうやらキミには大人の恋愛の機微がまだ良く判らなかったようだね。良いだろう、リーアたんに置いていかれたことだし、しっかりと説明してあげよう」

 

「悲しいことを自慢げに語らんでください」

 

 

 目上の立場なのだが、本人が気にしてないので口調はフランクなままだ。

 

 云われたら流石に考え無しの高校生男子だって正すくらいはするはずだが、如何せんサーゼクス本人が自身のことを『魔王らしくない』と自負しているくらいである。

 

 妹の眷属であることも相俟って、『敬意を立てさせる』という貴族社会なればとてつもなく重要な事柄をなあなあのままにしてしまっていた。

 

 何が原因かって云えば、相乗的に同罪である。

 そういうとこやぞ。

 

 

「実はね、グレイフィアが常にメイド服を着ていたのは、彼女の趣味だったんだ」

 

「え? でも、こっちに来てから着てるの、見たことないっすよ?」

 

「そうだろうとも。しかし、僕が言っても決して辞めなかった。流石に休日にまでメイド服では居なかったけど、その時は『ミリキャスの母』という立場を立てていたようだからね。表に陰にと、僕たちを常に立ててくれている。実に有能で、決して自分本位で事を考えたりはしない女性なんだよ」

 

 

 はぁ、と理解の足りない頭で、曖昧にイッセーは頷く。

 とりあえず、自分の母親がそんな風に『休み無し』でフル稼働していたらと思うと、やるせなさの方が強い。

 帰ったら少しは家事の手伝いくらいするべきかな、と頭の片隅で日々の母に感謝した。

 

 

「つまりだね、グレイフィアにはグレイフィアなりの、『僕には明かせない』物の考え方が其処に理由としてあるんだ。そんな彼女が、自分の趣味であるメイド服も着ていない。これがどういうことか、わかるだろう?」

 

「いや、俺馬鹿だから、その辺はよく判んねえんですけど」

 

 

 そもそも、本当にメイド服着用(それ)を趣味にする女性とか居るんじゃろうか。

 似非方言でイッセーは訝しむ。

 

 

「アレは、僕に宛てたメッセージなのさ! メイド服を着ていない、つまり彼に仕えているわけじゃない。彼女の心は、常に僕たちの為を思って今も行動してくれている。僕はそう判断したね!」

 

 

 訝しんだイッセーの心中など微塵も知らず、サーゼクスは興奮した様子で声高に宣言した。

 どうでもいいが街中でメイドメイドと、先ほどから色々どうなのか。

 

 

「……えーと、とりあえずグレイフィアさんみたいな美人さんが、年頃の男子高校生の家に居ついている状態は、気にならないんすか? 俺だったら辛抱溜まりませんが」

 

「ふっ、キミはやっぱり見る目があるね。まあグレイフィアは美人だからね、朱乃くんみたいな彼女が出来ていなければ、キミでさえどうなっていたかもわからないさ」

 

「ふへへ、いやぁ恐縮っす」

 

 

 『どうなっていたかわからない』のはイッセーの処遇に関してである。

 褒めているわけではない。

 

 

「しかしまあ、彼の家にはそもそもフェニックス家のレイヴェル嬢も居候しているのだろう? そんな中で下手に手を出すような考え無しなんているはずも無いさ。それに、仮に手を出されたとしても、僕のグレイフィアがそう簡単に身体を許すはずも無いからね! 何せ僕らの間には『愛』という絆があるんだから!」

 

 

 話題が滑らかに(シモ)にシフトして、『ヤバいモノ』を見る目が増えた。

 だが彼らはそんな周囲の目にも、薄氷の上をダンスっていたことにも気づかない。

 

 しかしダンスっていた張本人、イッセーそのひとはあることに独り、気づく。

 

 

「(アレ? そういや、烏丸(アイツ)ってセフレとか普通にいるくらいモテてなかったっけ? いやまあ、それでもサーゼクス様が其処まで言うんだし、グレイフィアさんが前に言ってたエロエロな許可とかも未然かも知れんしな。黙っとこ)」

 

 

 

  ■

 

 

 

 要するに、悪魔はというか聖書陣営は現状が『追い詰められている』という事実だ。

 

 傍目には好き勝手且つ自由に生きていて、そうは見えないのだろうが。

 『好き勝手に出来る』ということは、敵を作り続けていることに躊躇いが無い、ということに繋がる。

 

 元より侵略を繰り返してきた陣営なだけはあって、それこそ彼らの望むことだろう。

 しかしグレイフィアがかつて懸念した通り、神話と幻想の住人だけでは『人間』には及ばないのである。

 

 生存力が、文化を培う力が、対応性が、繁殖力が、何より、――討伐性が。

 

 聖書陣営が侵略を繰り返した背景に『聖書という神話』が控えていようと、それを支えているのは『人間の数』なのだから。

 

 

「しかし、悪魔らしくない悪魔だよなぁ、魔王様。あそこまで真摯に愛を謳うたぁ、精神的な未熟さとか脆さとかトラウマとかを懸念しちまう。両親に捨てられでもしたのかね?」

 

「サーゼクスの両親は、んっ、どちらも健在です。恐らくは、ぁん、自身の特異性が影響しているのか、と、あっ」

 

 

 グレイフィアは嬌声を上げながら、烏丸に跨っていた。

 メイド服どころか衣服を全部取っ払い、正面から抱き着いている形で、胡坐を掻いた少年にしがみ付いていた。

 仕草は木に登る有袋類(コアラ)のようで文面なれば可愛らしいが、人妻がそれをやると云うのがもうダメだ。

 

 イッセーの懸念は見事に的を射ていた。

 的中率が、パナい。

 

 

「ああ、滅びの魔力が形をとった存在、だとか言われてるんだよな。今日のアレで、危機感キチンと持てたら良いけど」

 

「流石に、あっ、自分の魔力に、んっ、干渉されたことを知れ、ば、分かるかとおもっ、うのっ、ですっ、ぁあんっ」

 

 

 胸板で潰れた乳房が圧迫されたまま擦れ、その度にグレイフィアの言葉は途切れて。

 胎の中を擽られるような感触に、快感が背筋を登る。

 むしろ熱を伴ったソレは、脈打つ心臓が其処に収まっているかのような異物感があるので、ヒトに拠っては拷問にも准えられるのかも知れない。

 

 だがグレイフィアからすればそんなことは無い。

 そのまま新しい命を授からせてもらえるような、宗教家に喩えるならば、神勅を授けられるかのような期待感が強い。

 そのまま罰が当たれば宜しい。

 

 

「いや、流石にそれがわからないわけはないだろ、自分を脅かすモノだよ?」

 

「……今まで、それをキチンと把握していなかったから、心配なのです」

 

 

 グレイフィアの抱き着く腕が、より顕著に烏丸を抱きしめる。

 今となっては愛しては居ないが、それを捨てられるほど割り切れるくらい離れられているわけではないのだ。

 

 そう。

 グレイフィアの身体は、もうサーゼクスを求めるほどに愛してなどいない。

 そのことに、彼女自身も自覚していた。

 それほどになるくらい、彼女は此処で、少年に身体を捧げていた。

 

 

 先にも語ったはずだが改めて。

 グレイフィアがメイド服を常に着ていたのは、彼女がサーゼクスの『下』であることをアピールするための体現だ。

 

 元々【ルキフグス】は【魔王を補佐、あるいは支持する】悪魔だ。

 かつてはその家出身のグレイフィアを手に入れるためにサーゼクスは魔王になることを決意し、経緯は省くが大王に認められるにも至った。

 

 しかし、それで納得しないのがかつての四大魔王の血族だ。

 彼らは自分たちが冥界の中心的な立ち位置から省かれたことに不満を持っているが、元を糺せば悪魔生来の意識と生態から外れるような社会へシフトしていったことが原因でもある。

 当然、それは実力で支配が行き届かせられなかった彼ら自身の自業自得で、彼らは単に自分たちを崇拝させようと無理を通そうとした結果排除されたに過ぎない。

 

 だが、未だ血統を繋いでいる。

 それを裏から援助しているのは、悪魔社会の『かつて』に期待と重要性を抱いている数多くの貴族たち。

 そういう彼らは発言力も家の力も未だ衰えておらず、冥界で反発などを興されれば社会はあっという間に混乱し、その被害を最も負うのは弱い民衆だろう。

 

 グレイフィアの『メイド服』には、そういう『かつての因習を蔑ろにしているのではない』という、彼らへ向けたアピール(意味)があったのだ。

 間違っても、愛でも無ければ、趣味でもない。

 

 

 無言で、烏丸の掌がグレイフィアの肩を撫でる。

 滑らかな素肌を、安堵させるかのように、静かに抱き寄せる。

 

 初めは娼婦のように奉仕していた彼女であったが、今ではもう違う。

 恋人に慰められる生娘のように、愛を欲する妻母のように。

 獣のような愛撫や交合(まぐわい)を求めすぎて、嬌声が溢れた夜も何度もあったが。

 

 グレイフィアは蕩けた眼差しで彼と向き合い、溶け合うような口づけを交わした。

 唇を重ねて、舌を絡め合って、お互いの唾液が混ざり、体温を高め合う。

 次第に再び腰は弾み出し、グレイフィアの身体は悦びながらその衝動を味わった。

 

 

 サーゼクスを脅かすモノはそうそう無い。

 それが彼が【魔王】という悪魔の旗印に選出された最大の理由で在り、冥界を侵犯させない他神話への牽制でもあった。

 

 謂わば、政治を語る前の『準備段階』。

 自身らの民の安全性確保と将来への補償、並びに繁栄のための安寧を得られる生活基盤。

 それを全て守るための『軍事的優位性』。

 

 『平和』とはそうそう容易く手にできるモノではなく、其処に至るために歴史的な血と汗と命を積み重ねて、初めて得られるからこそ尊い、希少なモノだ。

 

 そして、その平和を脅かすモノは『平和な時期』即ち『平時』にこそ常に生まれ得る。

 その代表というわけでは無いが、こうして烏丸が出張って来た。

 グレイフィアは、それにいちはやく気づいてしまった。

 

 気づいたからには、防がなくてはならない。

 魔王を補佐するのだから。

 冥界を守るのだから。

 

 人身御供になることで防がれると、そう彼女なりの価値を示し。

 それを言葉にせずとも通じ合った、類稀なる優しさを顕わとした『危機』。

 

 しかし――、

 

 

「あっあっ、そこっ、そこぉっ」

 

 

 抑えきれなくなった彼女は、悦楽の声を上げていた。

 太腿を相手の腰へと抱き着けて。

 抱き絞めるように乳房を自ら押し付けて、胎を潰すように繋がっていた。

 

 意味の在ることでは、既に無い。

 身体を差し出したことは初め為れど、グレイフィアはもう其処に『理由』や『理屈』を見通していない。

 

 男女だからこそ、身体で繋げてしまえば離れられないと、最初にそう睨んだ。

 それはその通りで、もうグレイフィアは烏丸無しでは居られないように出来てしまっていた。

 

 勿論、天界に繋がりがあるとか。

 他神話からの脅威に備えられる前線的情報集約箇所として成立している、とか。

 本人が齎せる現代錬金術の妙技として、悪魔の繁栄に役立てる技術がある、とか。

 

 色々と理屈は並べられる。

 しかし、其処にグレイフィア本人が出張る必要性が実は無い、とは決して認めようとしない。

 

 『機微が肝要なので情報漏洩を懸念し、表立っては何を説明するわけにもいかない。』

 『本人の立ち位置が天界寄りなので、立場上対立する王の成長を促すわけにはいかない。』

 

 そういう建前の理屈で、グレイフィアはサーゼクスとは馴れ合いの立場に戻るわけにはいかないのだ。

 『魔王』なのだから『愛』ではなく政治を語れ。

 とか思っても居ない。

 

 そして身体で繋ぎ留めることが最初の目的であったからこそ。

 グレイフィアは本日もこうして、烏丸に抱かれることで【信頼】を『造っている』のである。

 

 本当だ。

 

 

「……ひと足早くに帰ったかと思ったら、随分とお盛んですわね。まだ日も沈んでいませんわよ」

 

「あっあっ……あっ。あら、お帰りなさいレイヴェルさん。日中でも活動できるように悪魔が弱点を克服するために『運動』で身体を動かす――、何も問題点などはありません。ですよね?」

 

「無理がありますわ」

 

 

 ぎゅう、としがみ付いた身体をグレイフィアが離さないまま、滔々と語った屁理屈を切って捨てるレイヴェル。

 共に暮らすようになって暫く経つ所為か、彼女は彼女で色々と慣れていた。

 好き者の兄が居たから、それも影響しているのかも知れない。

 

 

「というか、グレイフィア様は私の参観に来ていたのでしょう、建前上は。最後まで付き合ってくださいませ」

 

「すみません。身体が火照ってしまいまして。んっ、あんっ」

 

「最早悪びれもしない……」

 

 

 そして再開。

 怒っているわけではないが、呆れた目を向けざろう得ない。

 

 

「その火照った理由なんかは、やはりサーゼクス様と再会したことが理由に?」

 

 

 呆れたが、ふと気になったのでレイヴェルは質問した。

 元々冥界では最大の恋愛結婚を果たした魔王夫妻だ。

 それがこの場で堂々と不倫してるのだから、ゴシップのネタとして興味本位が強いのかも知れないが。

 

 

「いえ、特にそういうわけでは……」

 

 

 本気で何とも思ってない表情で、息を整えながらグレイフィアが答えた。

 愛とか絆とか、完全に幻想であったらしい。

 

 

「ただ、仕えることがなくなってメイド服もずっと着ていませんね、と返事を最後に答えたことに連想して、ソラ様にご奉仕するのに衣服なんて要らなかったことに行き付いたので」

 

「……日常生活で裸エプロンとかは、止めてくださいね?」

 

「それは要望次第です。……何かコスプレとか必要ですか、ソラ様?」

 

「日頃からコスプレ要求するほど餓えてないけどなぁ……」

 

「……確かバニーとかが好きだと言っておりませんでした?」

 

「いやそれはグレイフィアみたいなむっちりだと王道過ぎて逆にこうアーシアかミッテルトみたいな未成熟系に着させることで生じる背徳感が興奮をそそるなんでもない」

 

 

 レイヴェルの挟んだ質問に、見事に語るに落ちていた。

 この場ほど意味の無い『なんでもない』をレイヴェルは初めて聞いた。

 恐らくは死後数日後の心臓マッサージぐらい意味が無い。

 

 

「あんっ、さらに大きくぅっ!」

 

「なんでも良いんですか貴女は」

 

 

 そしてそんな烏丸に興奮するグレイフィア。

 レイヴェルのツッコミが空しく響いた。

 

 

「……そういえば、そっちはどうだったんだ? 何か進展とか?」

 

「いいえ、特に何も。サーゼクス様は『談合はしない!』とか言って早々にアザゼルさんと別れましたし、そのアザゼルさんは立場上保護者としてミッテルトさんの生活態度なんかを先生へ尋ねて、あとは軽く他の保護者の方とお茶をして帰りましたわ。警戒のために私とアーシア様も付き合いましたけど、ファミレスでドリンクバーフュージョンを楽しんだ程度でしたわね」

 

「そか。アーシアとミッテルトは?」

 

「少々、時間を取ってもらいましたわ。本当は、建前上グレイフィア様にも保護者の方々と交流を図ってもらうのが正しいのでしたでしょうけど」

 

 

 素知らぬ顔で嬌声を上げ続ける人妻に、レイヴェルは呆れたように息を吐いた。

 比較的まともだった堕天使総督と比較すると、悪魔の奔放さがひときわ目立った所為かも知れない。

 

 

「ん? 『取ってもらった』?」

 

 

 そして、平然と行為を辞めない烏丸だが、言葉が気になる。

 

 

「……お気づきになられましたわね。正しくは、ソラ様にお頼みしたいことがあるのですわ」

 

 

 一拍、間を置いて、レイヴェルは語る。

 

 

「――ソラ様、どうか、私を抱いてくださいませんか?」

 

「えっ。良いけど?」

 

「理由は、――えっ?」

 

「え?」

 

 

 あっさりと答えられたことで妙な間が生じた。

 グレイフィアの艶の乗った嬌声だけが、リビングに延々と響いていた。

 




これで説明になっただろうか…

R18にならないように、表現ギリギリです
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