神器使えや神器使い!   作:おーり

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ドン引きですね☆

いえ冗談ですよ。感謝します。けど、相変わらずハーメルン民は変態ばっかりだなぁ(@頑丈な心の棚

全年齢板なので逝き過ぎない表現を、と心掛けているのですが、どうにも聖水プレイはみんなにとってジャブ扱いだったご様子
これ以上を望むと申すか。キタイがオモゥイ!

そんな嬉しい悲鳴を上げつつ一巻分最終話
上手いこと起承転結に基づけたと自負してます


ミッテルト「酷いタグ(白目」

「――というわけで、転入してきたアーシア・アルジェントです」

「同じく北山ミッテルトっす。あ、これアザゼル様からっす、堕天使まんじゅう」

 

「どういうわけなの……」

 

 

 リアス・グレモリーは頭を抱えた。

 デジャヴを感じる。

 

 片方は聖職者とはいえ人間だ。

 駒王町は悪魔が管理している。とはいえ、位置的には人間社会の内側だ。学園は高等学校であり、学力にさえ問題が無ければ、そして政治的な問題さえ含んでいなければ、どのような立ち位置の人間にも門戸を開いている。

 だから、彼女が転入してくることも大きな問題点は無い。

 

 だが、もう片方は、別だ。

 苗字は明らかに取ってつけた適当感が伺えるが、正面から感じるオーラは明らかに人外、堕天使のモノで、事実『神の子を見張るモノ(グリゴリ)』から派遣されてきたと赤裸々に宣言していた。討伐されたいか小娘。

 

 しかし根本的な敵対種族とはいえ、立場を明確に挙げられてしまうと討伐するわけにもいかず、差し出された『だてんしまんじう』と捻った字体でイラストまで入った箱詰め和菓子をリアスは渋々受け取った。16個詰めらしい、黒々とした極光を放つ真白い剣が場違いなイラストで箱の蓋を飾っていた。なんだこれ。

 

 

 詳しく話を聞くところによると、元より駒王町内では『教会』と名乗る野良の悪魔討伐組織が潜んでいたらしく、目の前のアーシア・アルジェントはそれと本家聖堂教会内部の心無い一部からの策略に嵌まり、危うくこの町で命を落とすところであったという。

 目的は彼女の持つ神器が主なのだろう、とは予測されるが、実のところ詳しいことはわかっていない。

 元々世界中を転々と布教活動と共に渡り歩いていた『聖女』なのだが、このまま見通しが悪いままで続投、というわけにもいかない。

 一枚岩ではないことが発覚した教会だけでは彼女を守るに至れない点を指摘され、堕天使陣営の上層部にも掛け合って、とりあえずこの町で3年ほど過ごすことを要請したのだという。

 

 ……知らない間に悪魔陣営も一枚咬ませられていた……。

 教会とグリゴリの間だけででも通せる話に見えるのだが、それをこの町で執り行うということは現場である『悪魔の管轄地』という立ち位置からして強制的に参入『させられている』ことになる。

 何処の策士だ。頭越しに話が付いてしまっていて、今更怒っても駄々を捏ねているようにしか見取られない。

 

 何よりもアーシア自身の『安全のため』という名目で三陣営全体での共同計画を企画されており、下手に話を突っぱねようモノならば『アーシアの信者』が黙っていない。

 悪魔や堕天使との融和にも繋がりそうなこの計画を、潔癖な聖堂教会並びに天界が無視できないのは其処だ。

 何より恐ろしいのは人の数。

 神器に拠る影響が基ではあるが、彼女に救われたことで彼女を支えようという者たちの信仰心は、傾きかけていた一神教の信仰を保持できるほどに膨大になっていた。ジッシツコワイ。

 

 

「話は、わかったわ……。納得は難しいけど……」

「ですよねぇ」

「他人事みたいに言わないで、何より問題視しそうなのは貴女なのよ……!?」

 

 

 ――これはリアスにも知らせられない事実だが、野良の悪魔討伐組織がレイナーレ共々潰れたために、其処に所属していたが生き残れたミッテルトはしかし、そのままグリゴリに易々と所属することを許可されたわけではなかった。

 対立はしても戦争を起こす気は無いアザゼルからすれば、野良の武装集団なんてモノは不和の種でしかない。

 烏丸も知らない点であったが、堕天使だって一枚岩ではないのだ。

 雑魚中の雑魚でしかないミッテルトは、アザゼル本人になど連絡を取れるわけもなく、しかし虚仮の一念でグリゴリに事情と事態と現状と救助を必死で求めた結果、本当に首の皮一枚で生き延びることに成功した。

 その生存と組織所属の第一条件が、今回の顛末となる『アーシア・アルジェントの保護を担う計画の一翼、堕天使陣営の一端として、そのまま駒王町で潜伏調査を続投せよ』という指令である。

 

 そんなわけで、臨死にも似た今際を軽く数回覗いたようにも実感した結果、ミッテルトは緊張の糸が一周廻ってすっかりと寸断されてしまっており、精神的な成長にも似た吹っ切れ具合で差し出された粗茶を啜ってカラカラ嗤っていた。

 仮にとはいえ人間界の街ひとつを所有地とする大貴族なのだから、リアス・グレモリーはミッテルトなんぞ歯牙にも掻けない大悪魔だ。

 それでも平然として居られるのは、ひとえに『どうしようもない事態』を自分以外の別要因で生き延びられたことへの『諦観』である。つまりは大体(D)烏丸の(K)所為(S)だ――。

 

 

 ところで、アーシアの問題って結局政治的な物議が咬んでいるから先に挙がった高校編入への阻害要因として充分に払い落とすことも推挙できそうではあるが、そんなんやったらもちろん信者が物理的には黙っていないのでリアスは泣き寝入りするしかない。現実は非情である。

 

 

「とはいっても、うちも結局は木っ端ですし。馬鹿な真似もしませんので仲良くしませう」

「ぬけぬけとよくも言えたモノね……」

「いやぁ。そちらで堕天使も悪魔化させているご様子を見受けられますし? そう無茶な話とも言い切れないんじゃないかなーって思うんすよね」

 

 

 ちらりと、茶を淹れてくれた姫島朱乃をミッテルトは伺う。

 黒髪の大和撫子が息を呑むことが見て取れた。

 此処で誰よりも豊かな胸部装甲が反動で(たゆ)んだが、それを本能に則って眼福と見做せる人材は未だ不在である。

 

 ()を把握されることは痛手では無いが、其処は朱乃自身が未だに解消できていない葛藤だ。

 デリケートな問題を土足で踏み荒らされることは、リアスだって望んではいない。

 舌打ちしたくなるくらいに腹立たしい態度に、赤髪の女王は歯噛みすることで言葉を呑み込んだ。

 

 それはそれとして、堕天使という点について、もうひとつ解消すべき問題があったことをリアスは問う。

 

 

「――ところで貴女、天野夕麻という堕天使をご存知かしら? 偽名だとは思うのだけど、先日遺体で発見されたわよね、警察に」

「なんのことかわっかんねっす」

「それならせめて目を合わせなさい」

 

 

 ヤベー事件として表沙汰になった人外のことなど語るべきではない。

 語れば藪をつつく羽目にしかならないのだから、死人に口なしとはこのことである。

 

 

 

  ■

 

 

 

 堕天使には、他種族を測れる技術が備え付けられているらしい。

 

 先日の神器使い発見についての質問、それに対するアザゼル総督からの回答がこれだ。

 Yah●o!の質問コーナー並みに雑な回答をされた気もするが、相手がこちらを専門家と見做してい無さそうなので簡潔さを求めるのなら妥当なのだろう。

 

 ある程度、才覚の部分で技術を積んだ人材、例えば戦闘技術なんかを備えた修験者ともなれば、相手の『どうこうを』把握する程度の感覚を備えることも可能である。

 人間にできるのだから、仮にも知識を授けたと宣う堕天使にその技術が積み重ねられている点も納得だ。

 ちなみに俺は出来ない。

 知識と技術と才能で時間と労力と根気を掛ければ、出来る『ようにはなれる』とも思えるが、ぶっちゃけ殴って黙らせた方が手っ取り早いので、手間を懸けることに魅力を感じないのが現状ではあるのだ。

 

 今回の『廃教会を根城にしていた者共』の有していたモノは技術だそうだ。

 堕天使側に払い下げの、まあ要するにスカ●ターの『ようなモノ』で反応の在った人材に総当たりを噛ましていたらしい。ハズレ引いてんじゃねーか。

 

 そしてグリゴリとやらは木っ端堕天使なんぞ見捨てても当然かと思っていたのだが、意外と温情が強いらしい。

 それとも『生き延びられたのだから死ぬまでは働け』と言うブラック企業張りの終身雇用通達の意味合いなのだろうか、公認スパイ兼下っ端としてミッテルトの身柄は俺が所持することとなった。

 何某かの情報を探るためか、若しくは俺との繋がりを保持するためか、彼女への期待はそのまま堕天使の未来より重いが、任命地の関係上、彼女自身の価値は鴻毛より軽い。悲しい。

 

 そんな彼女は才覚を持った武闘家(脳筋)か、技術(パソコン)を持った(ヤカラ)かと分ければ後者だ。

 戦力としてもお察しなので、折角だからと払い下げ品をそのまま使わせて、駒王町を管理するというグレモリー眷属がひとまとめになっているオカルト研究部内を測定させておいた。

 立場という盾で命は守れても、主張という矛が通るかは別問題。

 『元同族が居る』という情報を突けば? と判りやすい弱点があったので、堂々と突かせてもらった。

 

 まあ、それはそれとして、悪魔側にも旨味をぶら下げることも忘れちゃいないが。

 

 

「――それではご清聴願います。『ふたりはプリ●ュア!』」

 

 

 デデッデデ、デデッデデ! と早々に歌い出し、漫画の神様が手掛けた二重人格系アニメのOPかと錯覚してしまいがちな前奏に合わせて声を重ねる。手塚先生が知ったらどんな顔をするのだろうか。意外と好評に受け入れられるのかもしれない。

 

 さておき、ミッテルトと俺とのデュエット。

 ポーズも決めて初代の白と黒を披露する。

 アーシアも参入したがっているが、曲を知らなかったそうなので。ジャブは此処からだ。

 

 

「……なんで女装して来たのかと思ったら、これが理由ですか……」

「へいへい塔城ちゃん目が死んでるぜ。折角のパーティだ楽しもうじゃないか」

 

 

 転入祝い、というわけでクラスでカラオケに乗り出した俺たち。

 程よく盛り上げることが出来た先発を終えて、ステージから白髪仲間のクラスメイトの隣へ舞い戻る。

 本日の主役であるアーシア並びにミッテルトは他のクラスメイトとの交流へ押し出した。主に相手は女子である。高校に上がったばかりの思春期騰がり男子どもは、気恥ずかしさが先走ってどうにも対応が難しいらしい。

 

 

「……正直、烏丸くんのキャラに合わないので困惑してます」

「駒王学園のキュアブラックと呼んで」

「絶対に呼びません。そんな頓珍漢な綽名で日頃から呼んでたら呼ぶ方が莫迦みたいじゃないですか」

 

 

 細けぇことぁ良いからお前も歌うんだよ、このはっぴぃにゅうにゃあってので良いんじゃない?

 あと俺のキャラに関しては然程も言うな。女装もするし、はっちゃけたいときだってある。奏者よ、愛でよ!

 

 選曲して無理にでも背中を押せば、盛り上がる一部クラスメイトら(主に男子。

 何故か妙にしっくりとくるんでんでにゃーんで、という歌い出しは振り付けまで相俟って、あっはっはと哂い飛ばすつもりだったのが完全に裏目である。まあ盛り上がったのならいいや。

 

 

 アーシアは何気に年上だったのだが、学力の点を顧みて1年からリスタートを切ることとなった。

 言葉に関しては烏丸先生のはちみつ授業の成果である。ねっとりと口内を蹂躙することで学ばせてあげた(意味深。

 

 彼女をこの地に留めた主な理由は、先日にも騙った通りご褒美という名目でも合っている。

 しかし、最大の理由は別にあった。

 それは、俺という神器使いの隠れ蓑という、酷く自分勝手な理由である。

 

 基本的に、人外は人間の事なんて気に懸けない。

 そもそも人間と同じように、若しくは人間以上に思考するのならば『自分が特別』な結論に至ることは当然のことだ。

 それを補強するための理屈は捏ね繰り出すが、だからこそ同等か近似値な存在を特別扱いは絶対にしない。

 どのような種族だろうと『自分たちが最優先』。

 野良の堕天使が神器使いを狩ろうと、悪魔からハグレが出て人間を襲おうと、基本的には気に懸けない。

 種として確立するためには人間が必要だろうに、それを無断で利用している時点で彼らの立ち位置は酷く危ういのだがな。緩んだ地盤の上に、砂の城を建設するくらいには危うい。多分施工主は姉歯(ry。

 

 しかし、自分たちが脅かされれば、別となる。

 人間だって、チンパンジーが人間同様のスペックを誇っていれば、おちおち寝ても居られない。ネウロでもそう言ってた。

 

 何処までの人材が『人間が必要』だというその事実を危機として認識しているのかは不明だが、『歯向かえる何か』が出現すれば、現行生存最大神秘の一角としてなりふり構わずに潰しに懸かるのだろう。

 その果てに、どれだけの被害が出るのかも見越した上でも『そうなる』恐れがあるからこそ、俺は俺の神器を出来る限り秘匿するのだ。

 ……ぶっちゃけ、やろうと思えば既存神器のどれもを凌駕する殲滅力を潜在させているからな。こんなん知られたら戦争だろーが。誰だってそうする、俺だってそうする。

 

 アーシアが狙われたことは俺は本当に意図していない。

 しかし彼女を留めるに足るために、適切過ぎる土地が此処しかないことは明白なのだ。

 『悪魔の管理地』という微妙に人間の政治的配慮が届き難い土地である理由は、まあ、過去に色々と不具合というか禄でもない事件が起こって、その忌避感が最大の理由なのだが、今はあんまり関係ない。

 此処である理由とは、管理するグレモリーが人間に対して愛玩動物に抱くような感情を備えているお蔭で、後手に回りながらだが被害が出ることを善しとしない性分であったことだ。

 更に言うと、俺が手作りのパスポートなんかで密入国を果たしても、これこの通り平穏無事に生きていられることも挙げられる。

 

 纏めると、聖堂教会の目が届き難いので籠る限り引き出されずに済み、人間が口出しを憚り難いので迷惑を掛けない程度のルール無視が穏当に罷り通り、悪魔が人間を愛しているので被害は緩やかに抑えられ、誰もが信用していない堕天使が嘴を挟んだことで三つ巴の状況が成立する。

 素晴らしい(ハラショー)

 実に素晴らしい自縄自縛っぷりだ、是非ともそのまま『平和』になっていてくれ。

 

 まあ、無断で隠れ蓑として使ってしまったことは心苦しいので、こうして年頃の少女らしい環境を提供させていただいたのが真相だが。

 堕天使が何処までアーシアを重要視できるかは、やや博打な点もあったのだが、足りない点を補うために俺から神器研究のレポートを幾つか見繕って送っておいたので、ミッテルトが監視兼パシリとして此処に居るのはそういうことなのだろう。

 お蔭で聖女と持て囃されてるのに新興宗教の教祖みたいな立場に成り欠けていたアーシアも、『普通の高校生』として学園入りだ。新学期早々に編入というやや目立つ立ち位置だが、僅差だ僅差、ボッチを脱却できればなお吉。

 

 そんな彼女らの陰に隠れて、俺は平穏な日々を享受できるという寸法よ。

 勝ったな(確信。

 

 

「あ。そういえば、来週からよろしくお願いしますね」

「……ん? 何が?」

 

 

 歌い終え戻ってきた白髪ロリ、塔城小猫に声を掛けられるも、心当たりが無いのでなんとも言えない。

 ややあざとめに小首を傾げてみれば、微かにイラついた表情筋を潜ませつつも、彼女は言葉を続けた。

 

 

「おふたりから聞いてないのですか。立場的な問題でアーシアさんとミッテルトはオカ研に所属することとなったので、関係者の烏丸くんも入部許可を貰っておきました」

「待て」

 

 

 拒否権すらない事後承諾でびっくりだよ……!?

 

 

「いえ、ミッテルトの話では、堕天使の総督に話を付けたのって烏丸さんだって云うじゃないですか。アーシアさんの云うには元々同僚だったとか。じゃあバリバリに関係者ですし、貴方だけフリーになれるわけないですよ」

「あっ、道理だね……」

 

 

 ぐうの音も出なかった。

 というか情報漏洩酷いぞ。

 これが飼い犬に手を噛まれるって事かい……。

 

 とりあえず、我が家のミッテルトは今後自宅では犬耳を備えさせることが決定した瞬間であった。

 




CVイメージ丹●桜(まだ云う

ところでミッテルトさんの中の人は劣等生のあの子だったそうです
そんなことより地の文多いね!書いてて嫌になってきたよ!

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