転生業務課は本日も大忙しです   作:通りすがりのめいりん君@すきょあ

11 / 34
今回は早く書けた!私偉い!褒めて!

そういえば前回、空白を挟みながら書いてほしいって感想を頂いたのですが、実際のところそんなに読みづらいんでしょうか?
本を読んでるときは感じたこと無いんですけど、もしかして横書きだから読みづらいとか?
とりあえず、既に書いている分の都合で今回も詰めて書いてますが、空白入れてほしいって人が多いなら次の次くらいから変えようかと思います。
ちょっと次も走り出しまで書いてしまっているので…。


第四話:世界を管理するいう事らしいです

 ヘンリーをエルラドに再転生させ、これで一段落(いちだんらく)つける。そう思っていた俺に渡された新たなメモ紙1枚。言いたいことは多々あるが、言った所で無駄なのを知っているので我慢してその紙を受けとる。

 紙には対象世界の管理課の名称ともう一つ、仕事に関する内容が書かれていた。ただ一言、

 ―勇者、久々津誠一郎(くぐつ せいいちろう)の処分を求む。と。

「これ、管理部から貰った世界と勇者に関する資料よ」

 メモ紙に目を通し終えると、イナンナは紙束を差し出してきた。束ねられた紙の表紙にはシンプルな字体で『イカニモナと勇者久々津誠一郎について』の文字のみ。

 ぱらぱらとページを(めく)って軽く目を通していく。情報は大事だ。

 イカニモナは2大陸と小さな島々が存在する地球に比べるとやや小さい星で、基本的には資源(リソース)の豊かな星らしい。存在する人は“只人(ただびと)”と呼ばれる人間によく似た種族のみ。獣耳(けもみみ)が生えていたりする亜人(あじん)(たぐい)は無し。生活水準は中世ヨーロッパの暮らしに魔法技術を足した程度で人々は狩りと農業で暮らしている。

 らしい。

 魔法技術ってなんだよ。中世ヨーロッパの生活水準とか知らねぇよ。そんな言葉を飲み込みつつ続きに目を通していく。

 ―勇者が召喚された経緯について。

 イカニモナはその昔、2つの大陸間で大戦争が繰り広げられた。その際に、大量の資源が失われたため、イカニモナ管理課の要請で勇者を転生。結果的に、大きな爪痕は残ったものの勇者の尽力もあって大陸間の和平が成立、現在では大陸諸国間の関係は良好なものと言える。

 しかし、少し前にイカニモナに溜まった負の資源(ネガティブリソース)によって大陸の一部で大雨による大災害が発生。田畑が水浸しになり川和沿いは地形ごと流される大きな被害を受けた。それに対し、諸国王が競技した結果、最も被害の大きかった富国セレブダロウで古より伝わる勇者召喚の儀が行われることとなった。管理課は現界の動きに便乗し、勇者の転生を行った。

 つまりこの久々津って勇者は土地の回復。つまり資源を天界から補充する目的で召喚されたようだ。

 ここまでの記述を呼んだ感想は『至極(しごく)(まっと)うだな』と言った感じ。ただ、これだけだとなぜ、どうして久々津という男を処分、恐らくは殺さなければならないのかがわからない。

 なにかあるとすれば、それは久々津本人の人格等に問題があるのか。

 ―勇者久々津誠一郎(くぐつせいいちろう)について。

 久々津誠一郎は地球出身。農家の家で生まれ育ち、農業学校へ通っていたが、(よわい)17にして事故により死亡。原因は台風の中、畑を見に行き、どぶ川に落ちて水の流れに抵抗できなかったことによる溺死。その後、生きたいという強い思いと農作の知識を買ったイカニモナ管理課が魂をすくい上げ、勇者として転生させられる。

 その際に久々津が求めた能力は、

 風に飛ばされないような強靭な肉体。

 体調を崩しにくく、疲れも取れやすい回復体質。

 人を先導するために必要な人の意識に干渉する能力。

 意識に干渉する能力でなんとなく先が読めたような気がするぞ。と心のなかで呟きながら読みすすめる。

 久々津は地球での姿をそのままに前述の能力を得て、天界での記憶を消去した上でセレブダロウに転生。あくまで肉体を再構成させているので転移ではなく転生である。

 その後、久々津はセレブダロウを拠点に各地の農耕地を再生させていくが、次第に態度が変化。勝手に召喚したことや、被災地域への貢献を理由に地位や女を要求するようになる。また、人の意識に干渉する能力をもってセレブダロウの上層部を洗脳し、好き勝手なことをし始める。

 (とが)めた者。裏で暗殺を画策(かくさく)した者を洗脳した者を使って粛清(しゅくせい)。セレブダロウの異変に気づいた諸国が調査するも、久々津が勇者の力を使いこれを撃退。セレブダロウが大陸きっての貿易中間国だったこともあり、諸国との摩擦(まさつ)が増大し、小競り合いの頻発、ついに戦争へと発展した。

 折角、(おぎな)った資源(リソース)も無駄に消費。また予定している魂の量を超える死者が出たため、管理部の方から看過できない状況と判断。よって勇者久々津誠一郎を処分を求む。

 異世界に言って、勇者と(あが)められ、明らかに他人とは格の違う能力を得て気が大きくなったのだろう。なんとも浅ましい。

「まあ、世の中そんなもんよ。別段、珍しくもないわ。さっきまで居たヘンリーみたいに正義感が強く、世界に尽くしてくれる勇者なんて実はそんなに居ないのよ」

 夢もへったくれも無いイナンナの言葉が静かな部屋に響く。

「今まで知りえなかった状況に恐怖、絶望してしまう者。得た力に飲まれてしまう者。初めから働く気の無い者。大半はそんなものよ。でも、そういう奴らに限って天の力に適応しやすいの。だから転生させたり転移させたりするのだけれど、転生課(わたしたち)は慈善活動家じゃないわ。ただ魂を拾って転生させ、俺TUEEE(チート)させるのが目的じゃない」

「だから使えないなら処分すると…?」

「そうよ。全員では無いけれど、この久々津って助平(すけべえ)みたいに資源の浪費をするばかりで世界を衰退させてしまう勇者を止めるのも管理課の仕事なの」

「でも、管理部、管理課では現界(げんかい)に直接の手出しが出来ないから」

「そそ。転生課(うち)に回されるのよ」

 ただでさえ忙しい方なのに、本来の業務と外れたことまでやらなければならないから更に忙しくなる訳だ。だからイザナミのように業務に不備があったり、ブーティカのように不適切だと解っていながら故意的に問題を起こした神々に(ペナルティ)として雑用をさせて負担の軽減を図っているのか。

 そんな事を考えながら事務作業に忙殺されているブーティカをチラと見る。不満たらたらに仕事をするブーティカは俺の視線に気づくと、キッと睨んできた。そうなっているのは俺のせいでは無いのだが。

 俺はイナンナに見えないようにジェスチャーで“手を止めるな”と伝えると、ブーティカは声には出さずに口の動きで「ばーかばーか」と言ってきた。神のくせに幼稚なやつだ。

「誰が幼稚ですってぇ!」

「ブーティカ」

「はい、すいませんでした」

 俺の考えを読んだらしいブーティカが荒声を上げると、イナンナは冷たい声でブーティカの名を呼んだ。それだけで険しい表情がスンと落ちて真顔になり黙ってしまった。どうやらイナンナには逆らえないらしい。それがイスラから聞いた転生課の持つ権力のためなのか、純粋にイナンナのせいなのかはわからない。

 閑話休題(かんわきゅうだい)

 俺はとりあえず仕事の詳しい内容と段取りを聞くために管理部のイカニモナ管理課へ行くことにした。過去の書類のせいでそう思っているが『処分(イコール)殺す事』だと決め打ちするのは良くない。

 人を殺すなんてあまり考えて良い気になるものではない。天使に成った影響か、天の力を使った影響かは知らないが、殺人に対する禁忌感はそれほど無い。だが、仕事だからといって人を殺したい訳ではないのだ。どんなに久々津がクズで救いようがない人間だとしても殺しても良いだなんて考えに至ることはない。

 天使は確かに死なないのだろう。でも精神が壊れることはある。つい一月前まで人間だった俺に人を殺す行為がどれほどの精神的負荷を与えるか。それこそ俺が“知り得なかった状況に恐怖、絶望”してしまうとも限らない。

 いや、これ以上の考えは無駄か。不安がるのは詳細を聞いてからでも良いはずだ。

「…イカニモナ管理課に行ってきます」

「いってらっしゃい。あそこの責任者はそこのブーティカと違ってまともな奴だから安心するといいわ」

「わかりました」

「わかるなよ!私だってまともに仕事して―」

「―ブーティカ?」

「すいませんでしたぁ!!」

 もはや天丼かと思うようなやり取りに呆れながら転生課を出た。にしてもほんっと懲りないなこいつ。

 管理部へ来るのはこれで2度目。というか昨日ぶりだが、やはり扉の多い空間だなと思った。縦に抜けた空間に並べられた扉が螺旋(らせん)を描きながらどこまでも続いている。徒歩でも移動できる階段があるが、多くの者は真ん中の吹き抜けを飛んで目的地の扉へ向かっているようだ。俺も昨日は歩いたが、もう飛ぶ方を覚えたので躊躇(ためら)いなく吹き抜けへ飛び出す。

 歩くよりは楽とは言え、あまりにも多い扉から目的のイカニモナ管理課を探すのはしんどい。世界がそれだけあるのだから仕方ないっちゃ仕方ないのだが、もう少し簡単に見つけられる方法は無いものか。

 幾多(いくた)ある扉からイカニモナ管理課を探しだした俺は深呼吸をしてからノックする。すると中から気の抜けるような女性の声で返事が返ってきた。

「どちらさまですかぁ?」

 薄く扉を空けながら顔を覗かせたのは一見すると子供のような見た目の女性だった。

 また女性か、などと思わなくもないが今度の彼女は随分と外見が幼い。本当にこの人が管理者だろうか?

「転生課の者です。勇者久々津の処分に関する話を伺いに来ました」

「おー、貴方がイナンナの新しい部下さんですねぇ。イナンナから話は聞いてますよぉ」

 扉を空けて、幼き女性が俺を招き入れる。それだけのことなのだが、なぜか少しだけ背徳感がした。

「私は、転生課所属の智天使(ケルビム)、長瀬啓示です」

 入り口から少し進み、(ひら)けた空間へ案内されてから俺は目の前の女性に名乗った。

「ご丁寧にどうもぉ。私はぁ。イシスって言いますぅ。これでもぉ、イカニモナの管理者なんですよぉ。よろしくおねがいしますねぇ」

「はい、よろしくお願いします」

 どうにもイシスの話し方は気が抜ける。ふわふわとしていて掴みどころがないというか、気の張りようがないというか。声と姿も相まって、本当に子供のようだ。

 頬が緩みそうになる気持ちを抑えながら案内された空間を改めて見る。いくつかの(デスク)が並び、天使達が仕事している様子が見える。入ってきた俺の視線を向けている者も居る。人手があるようで羨ましい限りだ。一人くらい転生課にも分けてもらえないものか。

「今ぁ。お茶を入れるのでぇ、ここに座って待っていてください~」

 イシスはそう行ってスイーっと飛んでどこかへ行ってしまった。課長自らお茶を入れに行ったのに先に座るのもどうかと思ったのだが、ここは好意に甘えて遠慮なく指示された席に座ることにした。

 可愛らしいぬいぐるみの乗った課長席のすぐ近くにある席で、放置された空のマグカップにはネフティスと書かれたシールが張ってあった。マグの柄は麦穂を抱いたイシスに似た女の子のイラスト。似ているというかイシス本人が描かれているのかもしれない。そうやって不審じゃない程度に辺りの物を見たりして待っていると、いつの間にかに俺へ向けられる視線が増えていた。

 俺の勘違いでなければ『男がイシスに何の用があって来たんだ』という視線だと思う。

「おまたせしましたぁ」

 針の(むしろ)になったかのような気持ちになりかけているとようやくイシスが戻ってきてくれた。それだけで先程までの刺すような視線が消える。

 戻ってきたイシスの傍らには別の女性が居て、その女性がイシスの前にマグカップを俺の前にティーカップを置いた。シナモンのような甘い香りとミルクの香りが混ざった飲み物が注がれている。

「マサラチャイって言うお茶ですよぉ。甘くて~ほっこりするんですよぉ」

 マグを両手で持って口をつけるイスラに習って、カップに口をつける。口元へ持ってくるとより香りが強く感じられた。一口飲んでみた感想としては、甘い。これに限る。驚くほどに甘いのだ。とてもではないがごくごく行ける感じではない。とは言え美味しい。お茶というよりお菓子のような感覚があるが、疲れた脳に染みていく気がする。

 お茶を淹れてくれた女性は、俺の座る席に放置されたマグカップを手に取ると、一緒に運んできたティーポットからそのマグカップへ注ぎ、そのまま口をつけた。そして小さく、

「甘っ…。砂糖入れすぎ…」

 そう呟いた。

「も~、ネフティスったらぁ。その甘さが良いんだってばぁ」

「お言葉ですがお姉さま。私はコーヒー党ですので。同じ甘い飲み物でもまだインディアンコーヒーの方が好みです。お客様も甘いのが苦手でしたら普通のコーヒーなどもございますよ」

 ネフティスと呼ばれた女性の言葉に俺はマサラチャイ(これ)で大丈夫だと返した。本音を言えばブラックコーヒーの方が好きだが、先方の好みに合わせていたほうが話もしやすいだろう。

 ネフティスはイシスを“お姉さま”と呼んでいた。もしかしたら二人は姉妹なのかもしれない。にわかには信じがたいが。

 確かに、顔つきは若干似ている。イシスが成長したらネフティスの様になると言われても違和感はない。が、ネフティスは170cmはありそうなほどの長身の上キリッとした端正な顔立ちで、細身ながらも出るとこが出ているモデルのような体型で装飾の施されたワンピースらしきものを着こなしている。それに対し、イシスは小学生高学年、いいとこ中学生なりたてくらいの体型と顔立ちに花柄のワンピース姿。どちらが姉かと聞かれれば十人が十人ネフティスだと答えるだろう。

「…何やら色々と考えているようですが、私がイシスの妹で間違いありませんよ」

「おっと、失礼しました」

 どうにも女神と言う存在はすぐ心を読んでくるようだ。

「確かに変わった姉妹である自覚はあるので構いませんよ。…では、私は別の仕事があるのでこれで失礼します」

 ネフティス本人が戻ったなら席を立つべきかと考えていると、ネフティスはそう言い残して立ち去ってしまった。

「ありがとねぇ。ネフティス~。…よぉし!じゃあケーシさん、お仕事のお話をしましょ~」

 イシスは手を降ってネフティスを見送ると、手に持った紙束を差し出しながらそう言った。

 

 

…To Be Continued




今回から次の世界の話に入っていきます。
ちなみに、世界の名前や国の名前は真面目に考えました。ホントですよ?
本気で3秒考えて思いついたんです。

ちなみにエルラドは30秒くらいで考えました。たまたま考えていたときに料理番組にラードが写っていたので、得るラードなんて。
第一案はラードヌル(ラード塗る)でした。私のセンスってそんなもんです。


では、今回はここまで!次回もよろしくお願いします!

あ、そうそう。感想はいつでも待ってます。あと評価も待ってます。切に。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。