転生業務課は本日も大忙しです 作:通りすがりのめいりん君@すきょあ
そういえば前回、空白を挟みながら書いてほしいって感想を頂いたのですが、実際のところそんなに読みづらいんでしょうか?
本を読んでるときは感じたこと無いんですけど、もしかして横書きだから読みづらいとか?
とりあえず、既に書いている分の都合で今回も詰めて書いてますが、空白入れてほしいって人が多いなら次の次くらいから変えようかと思います。
ちょっと次も走り出しまで書いてしまっているので…。
ヘンリーをエルラドに再転生させ、これで
紙には対象世界の管理課の名称ともう一つ、仕事に関する内容が書かれていた。ただ一言、
―勇者、
「これ、管理部から貰った世界と勇者に関する資料よ」
メモ紙に目を通し終えると、イナンナは紙束を差し出してきた。束ねられた紙の表紙にはシンプルな字体で『イカニモナと勇者久々津誠一郎について』の文字のみ。
ぱらぱらとページを
イカニモナは2大陸と小さな島々が存在する地球に比べるとやや小さい星で、基本的には
らしい。
魔法技術ってなんだよ。中世ヨーロッパの生活水準とか知らねぇよ。そんな言葉を飲み込みつつ続きに目を通していく。
―勇者が召喚された経緯について。
イカニモナはその昔、2つの大陸間で大戦争が繰り広げられた。その際に、大量の資源が失われたため、イカニモナ管理課の要請で勇者を転生。結果的に、大きな爪痕は残ったものの勇者の尽力もあって大陸間の和平が成立、現在では大陸諸国間の関係は良好なものと言える。
しかし、少し前にイカニモナに溜まった
つまりこの久々津って勇者は土地の回復。つまり資源を天界から補充する目的で召喚されたようだ。
ここまでの記述を呼んだ感想は『
なにかあるとすれば、それは久々津本人の人格等に問題があるのか。
―勇者
久々津誠一郎は地球出身。農家の家で生まれ育ち、農業学校へ通っていたが、
その際に久々津が求めた能力は、
風に飛ばされないような強靭な肉体。
体調を崩しにくく、疲れも取れやすい回復体質。
人を先導するために必要な人の意識に干渉する能力。
意識に干渉する能力でなんとなく先が読めたような気がするぞ。と心のなかで呟きながら読みすすめる。
久々津は地球での姿をそのままに前述の能力を得て、天界での記憶を消去した上でセレブダロウに転生。あくまで肉体を再構成させているので転移ではなく転生である。
その後、久々津はセレブダロウを拠点に各地の農耕地を再生させていくが、次第に態度が変化。勝手に召喚したことや、被災地域への貢献を理由に地位や女を要求するようになる。また、人の意識に干渉する能力をもってセレブダロウの上層部を洗脳し、好き勝手なことをし始める。
折角、
異世界に言って、勇者と
「まあ、世の中そんなもんよ。別段、珍しくもないわ。さっきまで居たヘンリーみたいに正義感が強く、世界に尽くしてくれる勇者なんて実はそんなに居ないのよ」
夢もへったくれも無いイナンナの言葉が静かな部屋に響く。
「今まで知りえなかった状況に恐怖、絶望してしまう者。得た力に飲まれてしまう者。初めから働く気の無い者。大半はそんなものよ。でも、そういう奴らに限って天の力に適応しやすいの。だから転生させたり転移させたりするのだけれど、
「だから使えないなら処分すると…?」
「そうよ。全員では無いけれど、この久々津って
「でも、管理部、管理課では
「そそ。
ただでさえ忙しい方なのに、本来の業務と外れたことまでやらなければならないから更に忙しくなる訳だ。だからイザナミのように業務に不備があったり、ブーティカのように不適切だと解っていながら故意的に問題を起こした神々に
そんな事を考えながら事務作業に忙殺されているブーティカをチラと見る。不満たらたらに仕事をするブーティカは俺の視線に気づくと、キッと睨んできた。そうなっているのは俺のせいでは無いのだが。
俺はイナンナに見えないようにジェスチャーで“手を止めるな”と伝えると、ブーティカは声には出さずに口の動きで「ばーかばーか」と言ってきた。神のくせに幼稚なやつだ。
「誰が幼稚ですってぇ!」
「ブーティカ」
「はい、すいませんでした」
俺の考えを読んだらしいブーティカが荒声を上げると、イナンナは冷たい声でブーティカの名を呼んだ。それだけで険しい表情がスンと落ちて真顔になり黙ってしまった。どうやらイナンナには逆らえないらしい。それがイスラから聞いた転生課の持つ権力のためなのか、純粋にイナンナのせいなのかはわからない。
俺はとりあえず仕事の詳しい内容と段取りを聞くために管理部のイカニモナ管理課へ行くことにした。過去の書類のせいでそう思っているが『処分
人を殺すなんてあまり考えて良い気になるものではない。天使に成った影響か、天の力を使った影響かは知らないが、殺人に対する禁忌感はそれほど無い。だが、仕事だからといって人を殺したい訳ではないのだ。どんなに久々津がクズで救いようがない人間だとしても殺しても良いだなんて考えに至ることはない。
天使は確かに死なないのだろう。でも精神が壊れることはある。つい一月前まで人間だった俺に人を殺す行為がどれほどの精神的負荷を与えるか。それこそ俺が“知り得なかった状況に恐怖、絶望”してしまうとも限らない。
いや、これ以上の考えは無駄か。不安がるのは詳細を聞いてからでも良いはずだ。
「…イカニモナ管理課に行ってきます」
「いってらっしゃい。あそこの責任者はそこのブーティカと違ってまともな奴だから安心するといいわ」
「わかりました」
「わかるなよ!私だってまともに仕事して―」
「―ブーティカ?」
「すいませんでしたぁ!!」
もはや天丼かと思うようなやり取りに呆れながら転生課を出た。にしてもほんっと懲りないなこいつ。
管理部へ来るのはこれで2度目。というか昨日ぶりだが、やはり扉の多い空間だなと思った。縦に抜けた空間に並べられた扉が
歩くよりは楽とは言え、あまりにも多い扉から目的のイカニモナ管理課を探すのはしんどい。世界がそれだけあるのだから仕方ないっちゃ仕方ないのだが、もう少し簡単に見つけられる方法は無いものか。
「どちらさまですかぁ?」
薄く扉を空けながら顔を覗かせたのは一見すると子供のような見た目の女性だった。
また女性か、などと思わなくもないが今度の彼女は随分と外見が幼い。本当にこの人が管理者だろうか?
「転生課の者です。勇者久々津の処分に関する話を伺いに来ました」
「おー、貴方がイナンナの新しい部下さんですねぇ。イナンナから話は聞いてますよぉ」
扉を空けて、幼き女性が俺を招き入れる。それだけのことなのだが、なぜか少しだけ背徳感がした。
「私は、転生課所属の
入り口から少し進み、
「ご丁寧にどうもぉ。私はぁ。イシスって言いますぅ。これでもぉ、イカニモナの管理者なんですよぉ。よろしくおねがいしますねぇ」
「はい、よろしくお願いします」
どうにもイシスの話し方は気が抜ける。ふわふわとしていて掴みどころがないというか、気の張りようがないというか。声と姿も相まって、本当に子供のようだ。
頬が緩みそうになる気持ちを抑えながら案内された空間を改めて見る。いくつかの
「今ぁ。お茶を入れるのでぇ、ここに座って待っていてください~」
イシスはそう行ってスイーっと飛んでどこかへ行ってしまった。課長自らお茶を入れに行ったのに先に座るのもどうかと思ったのだが、ここは好意に甘えて遠慮なく指示された席に座ることにした。
可愛らしいぬいぐるみの乗った課長席のすぐ近くにある席で、放置された空のマグカップにはネフティスと書かれたシールが張ってあった。マグの柄は麦穂を抱いたイシスに似た女の子のイラスト。似ているというかイシス本人が描かれているのかもしれない。そうやって不審じゃない程度に辺りの物を見たりして待っていると、いつの間にかに俺へ向けられる視線が増えていた。
俺の勘違いでなければ『男がイシスに何の用があって来たんだ』という視線だと思う。
「おまたせしましたぁ」
針の
戻ってきたイシスの傍らには別の女性が居て、その女性がイシスの前にマグカップを俺の前にティーカップを置いた。シナモンのような甘い香りとミルクの香りが混ざった飲み物が注がれている。
「マサラチャイって言うお茶ですよぉ。甘くて~ほっこりするんですよぉ」
マグを両手で持って口をつけるイスラに習って、カップに口をつける。口元へ持ってくるとより香りが強く感じられた。一口飲んでみた感想としては、甘い。これに限る。驚くほどに甘いのだ。とてもではないがごくごく行ける感じではない。とは言え美味しい。お茶というよりお菓子のような感覚があるが、疲れた脳に染みていく気がする。
お茶を淹れてくれた女性は、俺の座る席に放置されたマグカップを手に取ると、一緒に運んできたティーポットからそのマグカップへ注ぎ、そのまま口をつけた。そして小さく、
「甘っ…。砂糖入れすぎ…」
そう呟いた。
「も~、ネフティスったらぁ。その甘さが良いんだってばぁ」
「お言葉ですがお姉さま。私はコーヒー党ですので。同じ甘い飲み物でもまだインディアンコーヒーの方が好みです。お客様も甘いのが苦手でしたら普通のコーヒーなどもございますよ」
ネフティスと呼ばれた女性の言葉に俺は
ネフティスはイシスを“お姉さま”と呼んでいた。もしかしたら二人は姉妹なのかもしれない。にわかには信じがたいが。
確かに、顔つきは若干似ている。イシスが成長したらネフティスの様になると言われても違和感はない。が、ネフティスは170cmはありそうなほどの長身の上キリッとした端正な顔立ちで、細身ながらも出るとこが出ているモデルのような体型で装飾の施されたワンピースらしきものを着こなしている。それに対し、イシスは小学生高学年、いいとこ中学生なりたてくらいの体型と顔立ちに花柄のワンピース姿。どちらが姉かと聞かれれば十人が十人ネフティスだと答えるだろう。
「…何やら色々と考えているようですが、私がイシスの妹で間違いありませんよ」
「おっと、失礼しました」
どうにも女神と言う存在はすぐ心を読んでくるようだ。
「確かに変わった姉妹である自覚はあるので構いませんよ。…では、私は別の仕事があるのでこれで失礼します」
ネフティス本人が戻ったなら席を立つべきかと考えていると、ネフティスはそう言い残して立ち去ってしまった。
「ありがとねぇ。ネフティス~。…よぉし!じゃあケーシさん、お仕事のお話をしましょ~」
イシスは手を降ってネフティスを見送ると、手に持った紙束を差し出しながらそう言った。
…To Be Continued
今回から次の世界の話に入っていきます。
ちなみに、世界の名前や国の名前は真面目に考えました。ホントですよ?
本気で3秒考えて思いついたんです。
ちなみにエルラドは30秒くらいで考えました。たまたま考えていたときに料理番組にラードが写っていたので、得るラードなんて。
第一案はラードヌル(ラード塗る)でした。私のセンスってそんなもんです。
では、今回はここまで!次回もよろしくお願いします!
あ、そうそう。感想はいつでも待ってます。あと評価も待ってます。切に。