君という星に近づきたくて   作:ソウソウ

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 聞いてくだせぇ………詳細は後書きに乗せます。
 あっ、巴様お誕生日おめでとうございます!!遅れてしまったのは勘弁してくだせぇ。

 では、どうぞ。



-2-『キラキラドキドキ』

 ◇◇◇

 

 とある歩道。

 

「………星だ。それも沢山………」

 

 眩い程に大量の星。

 と昼間から瞬間だけ錯覚させる程に散らばめられた無数の星の形をしたシール。

 ガードレールや電柱、道路。至る箇所にある星シールはまるで彼方へ誘うかのように貼られていた。

 

「何処まで続くのかな………」

 

 僕は何も考えずに導かれていく。

 星のシールを追いかけては道路の角を数回曲がり、ひたすら歩き続けた。その到達点で僕はようやく立ち止まる。

 

 ―――立派な屋敷が眼前に。

 

 古風な家、だろうか。

 玄関にある昔ながらの木製の門を筆頭に、塀越しにそれとなく見えるのは屋根瓦。

 一般家庭育ちの僕にとって、この場所は場違い感がぷんぷんとする。

 

「あれ?」

 

 背後から。僕ではない声。

 僕の背筋が瞬間的に凍った。

 他人の家を離れた場所からジロジロ観察する今の僕は他人から見れば不審者に思われても不思議じゃない。もしもそうなってしまうと、勘違いを正し、穏便に事を済ませなければ。

 恐る恐る振り返ると、

 

「どうしたの?何か用事でもあるの?」

「あっ………いや………」

 

 猫耳少女がいた。

 見たまんまの感想である。嘘偽りは無い。

 信じられないかもしれないが、目の前に猫の耳を連想される髪型をした赤髪少女がいるのだ。

 彼女は首を傾げながら僕を見つめる。

 純粋な疑問から芽生えるその態度の前に僕は返答が詰まってしまう。

 正直に告白すべきか、否か。

 星のシールを辿ったら此処に着いただけで他意はありませんと説明されて、この子は素直に納得するのだろうか。

 そんな小学生並みの理由で通じてしまえば、それはそれで別の問題にもなりかねない。

 

 ―――えぇい!もう後の祭りにでもなってしまえ!

 

「その………その道端にあった星のシールを追いかけていく内にここに来ただけで………特に用事とかは………」

「えっ!?君も!?」

 

 ………君も?………まさかの同族!?

 

「懐かしいなぁ~。此処まで来る間、君もキラキラドキドキした?」

「ギラギラドッキドキ?」

「キラキラドキドキ!!」

 

 めっちゃ目がキラキラしてます。

 そんな期待に胸を膨らまされても僕はただ小さな興味本位だけで動いただけ。その期待には残念ながら答えられない。

 

「えっと………多分」

 

 手当たりのない返事。

 誤魔化しの効かしたそれとなく無難な逃げ道を僕は選んだ。まだ得体の知れない少女に賭けをしていくのは気が引ける。

 

「良かった!なら、これあげる!」

「これは?」

「チケット!今度、ライブするから観に来て欲しいなって。キラキラドキドキする事沢山しちゃうから!」

 

 ご丁寧にわざわざ手渡しで頂いた。

 中身を確認すれば、どうやら本物らしきライブのチケットだった。

 日にちは来週の土曜日。場所は"CiRCLE"というライブハウス。これまで何回か訪れた経験はある。

 

「あ、ありがと………というか、僕なんかが貰っても良いのかな?こういうのは知り合いに渡すやつだと思うけど………」

「全然大丈夫!!私がライブに来て欲しいって思ったから渡したんだよ?ねっ!」

 

 満面の笑顔が返り咲いた。

 少なくとも悪い子ではない。ちょっと押しの強い性格なだけであって自分のやりたい事とかはしっかり見えている。

 ちっぽけな僕に比べ、眩しい存在だ。

 

「そう言えば、君もバンドするの?」

「えっ?何でそう思ったの?」

 

 突拍子のない質問。

 逆に解答権を譲られた彼女は視線を僕の腰辺りへと、正確には僕が肩から掛けている黒のケースに目がいく。

 

「さーやと同じようなタイプのケースを持ってるから!」

「さーや?………友達とか、かな。残念ながら、これの中身は楽器とかじゃないよ。ほら」

 

 僕はケースを少し開く。

 身体の前に移動させ、彼女が覗き込めるようにしてみた。

 

「ふわぁ!!カメラ!?」

「うん。僕、写真部所属だから」

「凄いね!」

「そうかな?」

「うん。私、こんなに高そうなカメラは初めて見たもん」

「確かに………そう易々と買える代物ではないけど」

「でしょ!」

 

 誇らしげにどや顔。

 見事、発言が的中したと自慢したい様子の彼女はどうだと言わんばかりな態度だ。

 ケースの中身は長年の相棒。中学の時、親父に誕生日プレゼントとして貰って以来からずっと愛用している。

 

「君の大事な物を見せてくれたから、私も見せる!」

 

 と、彼女は言う。

 背中に背負っていたギターケースを地べたに降ろす。慣れた手付きであっさり開くと中からはやっぱりギターが登場した。

 赤を基調として全体的に尖ったデザイン。

 素人の目から見ても、普通のギタリストが普段から利用しているとは断言しずらい、独特な癖があるギターのように思える。

 またしても、どうだと表情から語る彼女はずいっとそのギターを持ち上げた。

 

「私のマイギター!ランダムスターだよ!」

「それって………珍しいの?」

「さぁ?」

「さぁ………って」

 

 勘で選んだご様子。恐らく、価値など二の次で考えるタイプだ。

 後でギター好きな友達にその詳細を聞いてみるとして、今は素直な感想を言うべきだろうか。

 

「普通にカッコいいと思うよ」

「ほんと!?」

「うん。形が星みたいだし」

「ランダムスターだからね!」

「あっ、そっか」

 

 楽器は全く分からない。

 

「いっつもこれを見せるとね、初めて見た皆からは変態だ!って言われるから………とっても嬉しい!」

「うん………?変態………?」

 

 何かしらの由来でもあるのかな。

 

「ん?何の音?何か鳴ってるけど」

「あっ!りみりんからだ!」

 

 と、彼女の着ている制服のポケットから、可愛らしいメロディが鳴り響いた。

 取り出したのはスマホ。どうやら誰かからのメッセージが届いたようだ。

 

「いきなりでごめんね!皆を待たせちゃってるから、私、もう行かなくちゃ」

「う、うん。謝るのはむしろこっちの方だから気にしないで」

「ありがとう!それじゃあ私行くからね!あっ、ライブにも来てくれないと怒っちゃうから!ぷんすか!」

 

 そして、彼女は去った。

 去ったのだが、驚く事が一つ。まさかの門をくぐり抜けて家の敷地内へと踏み込んでしまったのだ。

 最初はあの子の実家かと思ってしまったが、大声の「ごっめーん!」が外まで届く。

 よし、違うようだ。一安心。

 

「いや………本当に何?」

 

 不審者扱いどころかまさかの友達認定。

 コミュ力満点の女子との出会いに素直に歓喜極まりたい場面だが、内心はずっと余計な口出しはしないように。

 ひたすらに必死だった。

 

 ―――手に握られた一枚の紙切れ。

 

 もう一度改めて再確認。

 落ち着いた心で見直してみれば、とても重大かつ根本的にヤバイ見落としが判明してしまう。

 

「あの子のいるバンドの名前が分からない………」

 

 因みに―――

 彼女自身の名前も分からない僕であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◇◇◇[おまけ]

 

「遅いぞ香澄!」

「ごっめーん有咲!お喋りに夢中になってた!」

「えっ?香澄以外全員ここに居たけど、誰と喋ってたの?」

「私と同じ人!」

「同じ人?何が同じ人なの?香澄ちゃん」

「星のシール!シールを辿って近くまで来てたから!」

「ま、マジか………問題になる前に剥がすべきなのか?」

「それで、その人はどんな人?」

「えっとね………男の子!私達と同じ年ぐらい!」

「男の子!?凄いね、香澄ちゃん………私だと緊張しちゃうよ………」

「それでそれで?」

「他にはね~………何だっけ?」

「お前まさか、名前すらも分からないとか言わないだろうな」

「聞いてない!」

「さ、流石だね………何処の学校の生徒とかも分からないの?」

「分かんない。あっ、ライブのチケット渡したから来てくれるし平気だよ」

「おんまっ!?チケット渡したのか!?」

「うん」

「色んな人に見てもらえるのは良い事だけど、物事においてやりすぎは良くないよ」

「たえちゃんが………的確な意見!」

「分かった!」

「本当に分かってるのかな~?香澄、その人に関して他に情報はない?もしかしたら知り合いのつて越しに分かるかもしれないし」

「う~ん………写真部ってぐらい?カメラが凄かったよ!!」

「えー、私も見たかった」

「いや、ほんとに誰に渡したんだよ?アタシらの主催ライブチケット………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 -3- へ続く。

 




*作者のぼやき
→8月3日のRoseliaライブが当たりました!!先行抽選なので、当たらんやろと思ってたらまさかの………!!
 初のバンドリライブなので思う存分満喫してきたいと思います。山梨………遠いな。
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