家のメイドが人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

そろそろアルテマとゾディアークまだー?という感想が来そうなので伝えておきますが。

アルテマさんとゾディアークちゃんの登場はまだ多少先です。

2体はシンラくんがソロクリアしてもらう予定なので(ゲス顔)






黒のワルツ3号(グラフィックの使い回し)

 

 

「はいはい、皆さん集合しましたねー」

 

ジェノバは魔晄炉の中心部でパンパンと手を叩いた。

 

目の前にはいつも通りヤズマット。

 

それに加えて部屋の入り口から顔を半分だけ覗かせ、ジェノバが視線を送るとひッ!? と脅えながら隠れるオーフィスがいる。

 

「今日集まった理由は事前の説明の通り、黒のワルツ3号の新しい身体の製作の準備です。2人とも作業に取り掛かって下さいね」

 

それを聞くとオーフィスはジェノバの視界から離れ、手前の部屋で作業を始めた。

 

「ふむ…」

 

一方、ヤズマットはその場で考えいた。

 

黒のワルツ3号という精神体に見合う身体を造る。

 

簡単に聞こえるがその実かなり難しいことだ。

 

なぜなら魂に合った身体を用意しなければならないからだ。

 

魂に適合する身体というモノは数少ない。

 

魂にも個別の形があり、その形は千差万別。

 

適合しない入れ物に入れたとしても拒絶反応を起こして死んでしまう。

 

そんなことを考えていると、ジェノバが赤い液体が入った小さな小瓶を取り出すとそれを掲げた。

 

 

 

 

 

「じゃーん"バラキエルの娘の血液でーす"」

 

 

 

 

 

「ほう、雷光のバラキエルの娘か」

 

雷光のバラキエル。グレゴリの幹部である堕天使だ。

 

幹部と言うだけあり、実力も世界的に見れば上位に食い込むであろう。

 

これはその娘の血液だ。

 

「いやー、ちょっとグレイフィア(お母様)に雷魔法の扱いに長けるモノの血液が少量欲しいと頼んだら用意してくれましたよ」

 

ジェノバが彼女を選んだのはいくつか理由がある。

 

1つ目はバラキエルにはジェノバ細胞の適性は無かったが、娘には適性があったことだ。

 

恐らく、人と堕天使の混血なのが幸いしたのだろう。

 

さらに2つ目はバラキエル自体が雷光を操るために生み出された天使であったことだろう。

 

存在レベルで雷魔法の扱いに秀でているということは黒のワルツ3号の元の身体と魂に適合する条件の1つだ。

 

そして3つ目はあまり強くないことだ。

 

強すぎてもゲーム自体が面白く無くなってしまう。

 

なのである程度の実力で構わないのだ。

 

例えばオメガは機械であるため強さの設定を自由に弄ることが出来る。

 

ジェノバはそれと同じような機能を黒のワルツ3号の身体にも付けようというのだろう。

 

その最小単位がバラキエルの娘と同等の実力である。

 

「それに"探し者"も見つかりましたしね」

 

「探し物?」

 

「僧侶の行方ですよ。中々、面白いことになりそうでしたよ」

 

ジェノバは近い未来を思い描き、クスリと笑った。

 

「ふむ、よく採血に協力してくれたモノだな。ん?」

 

その時、ジェノバのスカートの中から黒いノートが落ちた。

 

題名は"らぶりー愛妻日記part1 私の愛したサーゼクス様"である。

 

「………………」

 

「………………」

 

ジェノバはいつにも増して造ったような笑顔になると、ソレをそっと拾い上げた。

 

それを見たヤズマットの目は若干冷めていた。

 

「汝…エヌオーの母君を揺すっ」

 

「ちょっとなに言ってるかわからないですね。オーフィスちゃん、出来ましたか?」

 

ジェノバは露骨に話を反らすと最深部の部屋から出て、人間が入るほどのサイズのカプセルが大量に並ぶ部屋に入った。

 

そこではオーフィスが蛇を出したり、消したりと作業をしていた。

 

「ま、まだ…」

 

「早くしてくださいねー。あなたは用意出来ましたか?」

 

「ひッ!?」

 

ジェノバはオーフィスを優しく撫でると、ヤズマットへも催促を促した。

 

「ぬ、待っていろ。今、造る」

 

ヤズマットの両掌に魔法エネルギーの源である自然の魔力(ミスト)が竜巻のように発生し、糸を紡ぐように緩やかに圧縮されると小さな金色の淡い光を放つ2個の塊が出来上がり、それは握り拳ほどサイズに成長した。

 

「出来たぞ、"破魔石"だ」

 

それはヤズマットが創造した膨大なミストの力を秘めた魔石だった。

 

魔石と違ってミストを放出するだけではなく、吸収もできる魔石を越えた魔石だ。

 

本来なら、オキューリアの一部しか製造法を知らないハズだ。

 

しかしヤズマットはオキューリアが創造した森羅万象の神たる竜。製造法を知らない方がおかしいであろう。

 

ちなみに片方は完全な球形で、もう片方の形は黒のワルツ3号が持っていた杖の先の三日月と同じ大きさと形をしている。

 

「これがあなたが言っていた破魔石ですか」

 

ジェノバは球形の破魔石を受け取り、自らの魔力を極々少量だけ流すとスポンジのように吸い込まれた。

 

「おー」

 

「要望通り、多少改良してミストだけでなくこの世界のあらゆる魔力も取り込めるようにしておいたぞ」

 

「凄いですね」

 

ジェノバはふと、どこまで魔力が入るか試してみたくなった。

 

「む? やめた方がよいぞ?」

 

「へ?」

 

既にジェノバはかなりの魔力を流し込んだ後だった。

 

破魔石の色は金色から青色に変わり、激しい光と僅かなジェノバの魔力を放ち始めた。

 

「くッ!?」

 

ヤズマットはジェノバから破魔石を取り上げ、考えた。

 

破魔石は魔力の放出と蓄積が出来る万能なエネルギー源だが1つだけ欠点がある。

 

それは"蓄積量が限界を超えると外に向かって全ての魔力を放出する性質"があることだ。

 

つまり大爆発を起こすのである。

 

さらに最悪なことに、放出される魔力は宇宙でも有数の質を持つジェノバの魔力だ。

 

なぜ最悪かというと魔力には質というものがある。

 

例えば数十年を修行に明け暮れた大魔導士と、見習い魔導士。

 

両者の扱う同じ魔法の威力が同じかと言われれば全く違うであろう。

 

それは一重に魔力の質が見習い魔導士より、大魔導士の方が遥かに良いからだ。

 

要するにガソリンの純度のようなモノである。

 

そして上記の通りジェノバの魔力の質は宇宙有数だ。

 

それが蓄積され、今臨界を迎えている。

 

握り拳ほどの破魔石のサイズから想定される被害は…。

 

 

 

"日本と周辺諸国が消し飛び、アジア海が出来上がる程度だ"

 

 

 

最悪である。

 

ちなみにミストならば精々、この市が消し飛ぶ程度の威力であることからこの異常さがよくわかるであろう。

 

ちなみにタイムリミットは後、7秒といったところだ。

 

ヤズマットは考えた。

 

これをどう処理するのが最も得策かを。

 

そして思いついた。

 

「ジェノバよ! あ、と長く発音しろ!」

 

「あ、ですか? あーーー」

 

ジェノバはあー、と言い始めた。

 

ヤズマットは…。

 

 

 

 

 

"破魔石をジェノバの口へ放り込んだ"

 

 

 

 

 

「あぐッ!? 」

 

ジェノバは反射的に破魔石を呑み込み、ヤズマットは家を覆う結界の消音効果を強めた。

 

「なにするんですカッ!!!?」

 

破魔石を呑み込んだジェノバは言い切る前に、魔力爆発特有の音を上げて体内で破魔石が弾けた。

 

だが、なんと被害ゼロである。

 

強いて言えばジェノバの口からモクモクと青い煙が上がっていることぐらいか。

 

「うむ、助かったな」

「助かってませよ!?」

 

ジェノバは口から破魔石を吐き出した。

 

金色の色に戻っているが淡い光は失われていた。

 

魔力を全て放出してしまったたからだろう。

 

「全く………」

 

ジェノバが微量の魔力を込めると破魔石は元の光を取り戻した。

 

ちなみにこれぐらいの大きさの破魔石を限界に達させるには、100人の魔導士が毎日魔力を注ぎ続けたとして数十年は掛かる。

 

「出来た…」

 

とことことオーフィスがやって来てジェノバに1m程の特大の蛇を持ってきた。

 

このオーフィスの蛇はそのままオーフィスの大蛇と言って、オーフィスの蛇を一定時間毎に量産するモノだ。

 

この大きさなら1ヶ月に1つ程度の増産速度であろう。

 

平たく言えばオーフィスの蛇は、ゲームなどでよくあるステータスを一定時間だけ伸ばし、全回復させるアイテムのようなものだ。

 

………そのステータスの伸びはチート級だが。

 

「そうか、余が渡しておこう」

 

「ん…」

 

ヤズマットに。

 

「汝は本当に怖がられておるな」

 

「別にいいですよーだ」

 

ジェノバは少し口を尖らせながらヤズマットから蛇を受け取った。

 

ジェノバ、ヤズマット、とその後ろに隠れるオーフィス。

 

彼女らは中心部に置かれた手術台に集合した。

 

「さてと………」

 

ジェノバは腕から"僧侶の駒"を取り出した。

 

さらに触手を伸ばすと黒のワルツ3号の遺骸を手術台に寝かせた。

 

これで手術台の上には…。

 

 

 

バラキエルの娘の血液が入った小瓶

 

三日月と球形の破魔石

 

オーフィスの大蛇

 

僧侶の悪魔の駒

 

黒のワルツ3号の遺骸

 

 

この5つが揃っていた。

 

「では」

 

小瓶と僧侶の悪魔の駒を手に取り、破魔石2つ、オーフィスの大蛇、黒のワルツ3号の残骸を触手で持ち、全てをおもむろに掲げた。

 

そしてそれらを…。

 

 

 

"喰った"

 

 

 

全ての材料が刹那の時間で消え、ジェノバの口だけが不自然にもぐもぐと動いているので間違えないだろう。

 

一体どんな圧縮率で入っているのかは不明だが、やがて口の動きが静かになり、ジェノバの喉が鳴った。

 

「ウマッ」

 

「おい」

 

ヤズマットが突っ込むのも至極当然だ。

 

だが変化は直ぐに起きた。

 

ジェノバの翼の先端が膨らみ始め、人が入る程のサイズまで膨張した。

 

それは巨大な赤い木の実のようにも見える。

 

最後に突如として破裂するとそこには、木の実の代わりに一糸纏わぬ姿の少女が生っていた。

 

ジェノバは少女を翼から切り離すと手術台に寝かせ、少女に生える一対の翼を撫でた。

 

それは黒のワルツ3号と同じダークブルーの色をした堕天使の翼だった。

 

髪の色も同じくダークブルー。

 

閉じられてはいるが瞳の色はオレンジレッドだ。

 

ジェノバが写真を取り出した。

 

そこには目の前の少女と髪の色と目の色を覗き、瓜二つの悪魔の少女が写っていた。

 

写真を裏返すと"姫島 朱乃"と書かれている。

 

「うーん、見事」

 

「………説明してくれまいか?」

 

「いいでしょう。私がしたことを順を追って説明します。これらは全て私の体内にて行われたことです」

 

ジェノバは出来栄えに満足しながら言葉を紡いだ。

 

「まず、姫島 朱乃(バラキエルの娘)の血液と黒のワルツ3号の遺骸を合成し、限りなくバラキエルの娘に近いクローンを複製しました。限りなく近いというのは黒のワルツ3号の特徴である髪の色、瞳の色、堕天使の翼色以外です」

 

人の複製創造、2種の生物の合成。

 

それを瞬間的に尚且つ同時にやってのけたということだろう。

 

「1つ違うのは心臓の変わりに破魔石を使ったことです。これで立派な魔導生物ですね。次に破魔石にオーフィスちゃんの蛇を絡み付かせました。これでいざと言う時に使えるでしょう」

 

さらに破魔石にオーフィスの蛇量産機。

 

「そして悪魔の駒を使い悪魔に転生させて終了です」

 

まあ、要するにジェノバが造ったのは…。

 

 

第一形態:雷光の魔導人形

 

第二形態:破魔石を使用(金色の莫大な魔力を纏い、さらに全ての魔法攻撃を吸収する)

 

第三形態:破魔石とオーフィスの蛇を使用(ドス黒いオーフィスの力を纏い、全能力を引き上げる)

 

最終形態:破魔石とオーフィスの蛇とジェノバ細胞を使用(怪物へと変体)

 

 

黒のワルツ3号をベースにした四連戦のボスキャラの創造だった。

 

「なるほど…」

 

「………?」

 

「おや? オーフィスちゃんはわかりませんか。まあ、要するに…」

 

ジェノバは見惚れるような微笑みを浮かべながら悪戯っぽく言った。

 

 

 

 

 

 

「"グラフィックの使い回しのようなものですよ"」

 

 

 

 

 

 

無論、ジェノバの悪戯が直撃するのは他ならぬ彼であることを忘れてはならない。

 

ジェノバは更に、翼に生り始めたとんがり帽子、黒のワルツ3号の白いズボンとオックスフォードブルーの服、そして三日月状の破魔石のついた長杖の収穫を始めた。

 

 

 

 

 

 

 




クローン? ははは何をご冗談を…。

FFにはよくあるグラフィックの使い回しですよ。

クレイクロウ並の超上位個体ですけどね。

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