家のメイドが人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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シンラくん戦闘モード


オープニング

 

 

 

私は飛んでくるワールドチャンピオンを腕の"無"で弾いた。

 

するとその瞬間には目の前に、突きの姿勢でアルテマウェポンを構えるヴェグナガンがそこにいた。

 

速いな。

 

ヴェグナガンから突き出されたアルテマウェポンを腕の"無"でガードするため、掌に"無"を集中させた。

 

これなら掌で切っ先を受け止めれるだろう。

 

だが、その刹那、刃が急激に加速した。

 

「"キラースパイク"」

 

アルテマウェポンは私の"無"のガードを貫通し、掌を刺し貫いた。

 

さらにそのまま頬をアルテマウェポンの刃が掠めている。

 

本気か…。

 

たらりと頬から血が流れ落ち、掌からも溢れる。

 

「手加減いたしましょうかぁ?」

 

無用、それにこの距離なら……。

 

俺はアルテマウェポンの貫通している手の"無"を強め、刃を抜けなくし、3つの魔法を同時に詠唱し終えている。

 

避わせまい。

 

赤い魔力が弾けた。

 

"ファイガ"

 

アルテマウェポンの刺さった掌から爆炎が吹き出し、刺さったアルテマウェポンとヴェグナガンを3mほど吹き飛ばした。

 

……一撃で大概の魔物は溶爆するぐらいの威力はあるはずだが…まあ、いい。

 

ヴェグナガンが後方に吹き飛んだことにより出来た僅かな時間で、刺された逆の腕を突き出した。

 

"アトミックレイ"

 

手から極太の赤い光線がヴェグナガンの身体を居抜く。

 

続けて両手を合わせ、魔力を解放した。

 

"メルトン"

 

私の周囲に灼熱の巨大なトルネードが形成され回りのモノ全てを襲い、焼き尽くした。

 

「流石、元世界最悪の魔術師ですねぇ」

 

だが、ヴェグナガンはメルトンの業火を受けながら体勢を立て直し、ワールドチャンピオンを蹴り飛ばす姿勢に入っていた。

「"Odi et amo"」

 

次の瞬間、蹴られたワールドチャンピオンと、蹴った瞬間に生み出された15の巨大な魔弾。合計、16回の攻撃が私を襲った。

 

私はその場から動かず、腕をクロスさせそれを全て受けると、また3つ魔法が完成した。

 

詠唱開始から0.1秒……遅い……昔ならこの10分の1も時間は掛からなかった。

 

"サンダーストーム"

 

私の指先から雷の嵐がヴェグナガンを襲う。

 

これにより、またヴェグナガンの動きが多少止まった。

 

さらに間髪入れずに私の背後から大津波が押し寄せる。

 

"大海嘯"

 

私が地を蹴り、空に退避した次の瞬間、大地を塗り潰す水の巨壁がヴェグナガンを呑み込んだ。

 

私は水の中のヴェグナガンの位置を確認しながら口を開けた。

 

ヴェグナガンは速くも体勢を立て直し、空の私へ跳躍を開始している。

 

口の前に赤黒い魔力球が集まり、それを解き放った。

 

"メガフレア"

 

一直線にヴェグナガンへ向かったメガフレアは空中のヴェグナガンに当り、地上の大海嘯を全て消し飛ばすほど巨大な爆発を起こした。

 

これで多少は堪えるだろう…。

 

「うふふ…」

 

背後から聞こえた笑い声で私は振り向いた。

 

そこにはアルテマウェポンを振り上げたヴェグナガンがいた。

 

あれを避けたか……。

 

降り下ろされた剣撃により、8連続で私は斬られ、最後に蹴り飛ばされたことで、体勢を崩し、地面に落ちた。

 

ヴェグナガンをみ上げると落ちる途中の私にトドメのワールドチャンピオンを私に放つ体勢をとっているようだ。

 

「"テラー・オブ・ザナルカンド"」

 

その言葉の次の瞬間、ワールドチャンピオンと共に私は地面に激突した。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

「エヌオー!?」

 

グレイフィアの目線の先では土煙が上がり、それを眺めながら近くにヴェグナガンが立っていた。

 

エヌオーの魔法の数々は最強の女性悪魔と呼ばれているグレイフィアからしても、究極と言わしめるほど技の1つ1つが完成されており、間違いなく自分以上の暗黒魔導士であることは明らかだった。

 

だが、戦っている相手はそれ以上だ。

 

エヌオーの破軍クラスの魔法を受けながら、それをものともしないヴェグナガン。

 

魔導士にとって最悪の相性の相手だろう。

 

『まあまあ、これからが面白いところですから』

 

悲痛な声を上げるグレイフィアにジェノバが肩に手を置いて諭した。

 

『ほら…』

 

グレイフィアがジェノバの方へ振り向くとジェノバは指を指して土煙の中のエヌオーを示した。

 

その刹那…。

 

 

 

「"ディメンション・ゼロ"」

 

 

 

土煙の中から声が聞こえたとほぼ同時にヴェグナガンに青い爆発が起こり、100mほど後方に吹き飛んで行った。

 

全員が見詰める中、土煙が完全に晴れた。

 

そこには全身が炎のような蒼い"無"で覆われ、その手に赤い長杖を握っているエヌオーが立っていた。

 

 

 

 

『発狂モード入りましたー』

 

 

 

 

そう言うジェノバは心底楽しそうな笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

私は杖の感触を確かめるために数度振るうと、ディメンション・ゼロを完全に受けたにも関わらず、何食わぬ顔で再び私の近くにいるヴェグナガンに向き合った。

 

1つ言っておこう…私は魔術師などという下等なモノではなく、暗黒魔導士だ。

 

「それは失礼しましたぁ」

 

いや、謝るのは私の方だ。

 

杖が青く光り、再び3つの魔法が完成した。

 

漸く"無"が本調子を取り戻した…ここからは本気で行こう。

 

私が杖を小さく振り上げると、ヴェグナガンと私を取り囲むように無数の青い光の魔弾が出現した。

 

"ノーザンクロス"

 

杖を下ろすとヴェグナガンを無数の魔弾が全方向から迫る。

 

ヴェグナガンは魔弾を斬り伏せようとアルテマウェポンで魔弾に触れた。

 

それにより魔弾が弾け、ヴェグナガンの全身に青い炎が引火した。

 

次々とぶつかるノーザンクロスによってヴェグナガンは直ぐに火だるまになった。

 

だが、当の本人には殆ど効いていないようだが。

 

「あらぁ?」

 

残念、それは見た目に似合わず火の魔法だ。

 

そう言ってから再び杖を振るうと空間、全ての温度が急激に落ちた。

 

"サザンクロス"

 

そして、地面から大気まで周囲の空間、全てのモノが凍り付いた。

 

だが、ヴェグナガンは足の表面が少し凍る程度した被害をうけてはいないようだ。

 

だが、ヴェグナガンを覆うノーザンクロスの火も凍り付いている。

 

直ぐには動けまい…それで十分だ。

 

私は"無"と魔力を練り上げると私達を囲むように再び巨大な津波が出現した。

 

だが、今度は水ではなく、私の魔力で形成された大津波だ。

 

そして今、逃げ場はない。

 

"タイダルウエイブ"

 

タイダルウエイブは私をすり抜け、ヴェグナガンだけを呑み込んだ。

 

まだまだ…。

 

私は3つの魔法を完成させる。

 

タイダルウエイブが消えた瞬間、1つ目の魔法を放つ。

 

"フレア"

 

ヴェグナガンの胸の前で、自然界では発生することは有り得ない威力の爆発が発生した。

やはり、魔術触媒があるとないとでは威力が段違いか。

 

2つ目、今度は神聖の巨大な光弾がヴェグナガンに迫った。

 

"ホーリー"

 

ヴェグナガンが吹き飛ぶ、最高位の神聖により、さらに身を焼かれているようだ。

 

最後に上空で魔力が4つの塊になった。

 

"メテオ"

 

魔弾がヴェグナガンへ降り注ぎ、当たる度にこちらにも感じる凄まじい衝撃波がその威力の高さを物語っている。

 

「うふ……ふふ……」

 

それらを全て受け切ったヴェグナガンはワールドチャンピオンを地面に捨てると、片腕の肘から先がカノン砲の銃身と銃口のように変形した。

 

さらに 1対の身体を覆い余りある悪魔の翼を広げると空へと飛び立った。

 

第二形態か……戦法がまるで違うな。

 

「うふふふ…!」

 

そして、空で銃口をこちらに向けた。

 

淡い緑色をし、凄まじく圧縮された魔晄の光が銃口から少し漏れだしていた。

 

さらにヴェグナガンの体内の魔力が集中しているのを感じる。

 

面白い…究極の科学兵器と、究極魔法……どちらが上かな?

 

私は2つの究極の名を冠する魔法と、序でに1つの魔法を完成させ、杖先をヴェグナガンの銃口へ向けた。

 

"アルテマ"

 

杖先が光り、殲滅の光が迸る。

 

「"Memento mori"」

 

それとほぼ同時に魔晄の光が発射され、アルテマの光と正面から衝突した。

 

互いに出力を上げ続けているためか勝負は拮抗。

 

それを見て私は笑みを浮かべると、指を振り、魔法を放った。

 

"クエーサー"

 

動けないヴェグナガンの銃身の真横に多数の隕石群が出現し、衝突した。

 

それにより、体勢を崩し、銃口の向きが俺から明後日の方向に変わり、アルテマの光がヴェグナガンを包み込んだ。

 

アルテマの攻撃が途切れぬ内に膨大なエネルギーを集中させ、魔法を放った。

 

"グランドトライン"

 

ヴェグナガンの周囲の空間を巨大な三角形のエネルギー体が取り囲み、その中の空間内に凄まじいダメージの嵐が巻き起こった。

 

さて…。

 

私は私の中で最強クラスの魔法を3つ思い浮かべた。

 

さて、どれにするか…いや、寧ろ…全部でいいか。

 

私は手を水平に掲げた。

 

カオスを超えて終末が近づく…。

 

次の瞬間、私の背後に数万を越える青い魔方陣が重なり合い、赤い巨大な壁が出現した。

 

そして、全ての魔方陣が赤から青へ変わる。

 

そして、魔方陣の1つ1つに小さな灯りが灯り、再び赤く染まった。

 

そして、手をゆっくりと下ろした。

 

 

"ミッシング"

 

 

 

全ての魔方陣から無差別に全てを破壊する大小様々な光線が放たれた。

 

それは地を削り、雲を貫き、大気を穿ち、ヴェグナガンを幾度も貫いた。

 

さらに私は杖を掲げると、頭上に巨大な聖球が発生した。

 

 

 

"アルマゲスト"

 

 

 

杖を振り下ろすとヴェグナガンへ聖球が飛び、当たる直前で弾けた。

 

核爆発のような聖属性の光が周囲を無差別に飲み込んでいく。

 

止めだ…。

 

私は掌に小太陽のような物体を出現させ、ヴェグナガンの目の前へ瞬間移動した。

 

「素晴らしい……」

 

度重なる魔法により、満身創痍のヴェグナガンは宙に身体を投げ出しながら私を見てそう呟く。

 

受け取れ。

 

私は構わずにそれを解放した。

 

 

 

"ビッグバーン"

 

 

 

瞬間、小太陽が急激に膨張を始め、私とヴェグナガン。そして、周囲の全てを塗り潰した。

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

俺は隕石の爆心地のようになった庭の中心の地面で、膝を付いているヴェグナガンを見た。

 

青い目にはさっきまでの光は無く、完全に停止しているようだ。

 

それを確認すると"無"を消し、それにつられるように手にあった赤い杖も消滅した。

 

今の実力は全盛期の半分……いや、3分の1といったところか。

 

『いやいや、素晴らしい!』

 

ジェノバさんが私の目の前に瞬間移動してきた。

 

『流石、シンラさん! 想像以上の実力ですね! ただ…』

 

昔に比べれば明らかに劣ると?

 

『ええ、そうですね。まあ、元不死の暗黒魔導士の肉体と比べるのが間違っている気もしますが』

 

そうだな。あくまでも悪魔に止まるレベルのこの身体では今はこんなところだろう。

 

『要修行ですか?』

 

基礎修行なんていつ以来だか…それより……。

 

私はピクリとも動かないヴェグナガンを見た。

 

よく見れば全身に亀裂が入り、片腕が吹き飛び、腹に穴が空いている。

 

断面からは人に極めて近い組織が露出していた。

 

だが、細部を見れば人とは違うのがよくわかる。

 

骨は金属、血管はチューブ、そして血は白い、筋繊維も遥かに強靭な物質だろう。

 

機械の人。いや、悪魔か。

 

…………壊れたか?

 

『あー、大丈夫です。ヴェグナちゃーん』

 

するとヴェグナガンの目に再び光が灯り、口を開いた。

 

「"Acta est fabula"」

 

その言葉と共にヴェグナガンの全身の破損箇所が逆再生のように修復され、戦う前の状態まで全回復した。

 

そして立ち上がると、こちらに笑みを浮かべ、ジェノバさんの斜め後ろまで移動し、止まった。

 

『ヴェグナちゃんの本体はあくまでも異界の深淵にいるさっきの巨大なアレです。本体を壊さない限りこの"リダクトA"を殺すことは絶対に不可能です』

 

それリダクトかよ……そして不死身か。

 

『最初にサンドバッグと言ったではありませんか。そういうことです』

 

なるほどな…。

 

「ちなみにAはavatarのAだそうですよぉ」

 

そう言い、今までの事は無かったかのように話すヴェグナガン。

 

………………もっとキツい奴使っときゃ良かったか。

 

『そろそろ戻りましょう。食事が冷めますよ?』

 

ジェノバさんがそう言うので、3人でここから見ると明らかに城であるさっきまで母さん達といた館へ戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄いわシンラ! 流石、私の最愛の人(カレ)!」

 

テラスへ戻ると当たり前だが、私の眷属その他と、母さん達がいた。

 

正面から抱きついてくる奉先は数に加えないとして……ん? 一人足りないな。

 

はて? あの綺麗に皿だけが残っている長テーブルの列はなんだ?

 

よく見ると端の方でオーフィスちゃんが箸片手にもきゅもきゅしていた。

 

………………竜は犬より我慢出来ない…と。

 

さてそろそろ……。

 

私は奉先を引き剥がすと、いつの間にかテラスに増えている人々の方へ目を向けた。

 

一人は黒のワルツと瓜二つの少女。

 

一人は目をキラキラさせた父さんと同じ赤髪の少年。

 

そして最後は父さんと同じ"赤髪の少女"だ。

 

私は最後の少女に身体を向けた。

 

ジェノバさん…?

 

『思っている通りかと』

 

そうか…。

 

私は赤髪の少女に近付いた。

 

「……!?」

 

少女はそれに動揺し、大きく後ずさったが身体を戻し、私をしっかりと見据えた。

 

ふむ、態度はよし。青二才だが、これからに期待といったところか。

 

記憶が戻ってからずっと感じていた違和感。それが今やっと解消した。

 

私の身体の中には"無"の力、悪魔の力、そしてもう1つ小さく弱い力がある。

 

その力をイメージするのならチェスの最強の駒のような形だ。それも普通ではない形の。

 

これも母さんの隠し事か……まあ、それを説明するためにもここに呼んだのだろう。

 

初めましてと言うべきか……私の小さな…。

 

 

 

 

"王様"

 

 

 

 

 

 




やっと原作に沿うぜ!

眷属が増えるよ! やったね! リアスちゃん!

久し振りにクラウド1人旅コマンドマテリア縛りと、アニメるろうに剣心見てたら書きたくなって書きました。

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