家のメイドが人外過ぎて地球がヤバイ   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌or病魔です。

lov3の追加カードで四魔貴族や、アジルスや、蒼先青子が復活して嬉しい限りですね。それにより作者のパーティーも大きく変わりました。

作者のパーティー
ミリア
メデューサ
ソドム
かまいたち
バフォメット(攻撃する度に自身の攻撃力ダウン)
カイネ(時間経過で自身の攻撃力ダウン)
タルタロス(相手を殺す度に自身の攻撃力ダウン)

………………よくよく考えるとなんだこのドMは…?

でも今のところなぜか作者のパーティー最強だったりします。さて……横浜西口のタイトーにでも行くか…(更新してない小説を見ながら)。


精神攻撃は基本

 

 

エヌオーの宴から暫く経った頃。グレイフィアはいつも通りの日常を取り戻しつつあった。

 

あの青い災厄も最近はいつも通りエヌオーのメイドのような何かとして活動しているだけで、鳴りを潜めているようだ。メイドの仕事自体はグレイフィアですら究極と言いたくなるような出来映えのため、最早言うこともない。

 

グレイフィアも幾らか平穏を取り戻し、息子に会えない期間も過ぎ去ったため、寧ろ精神的にはプラスだろう。そして、プラスに考えるのなら息子に最強の護衛が付いているのだが、今の状況も案外悪くないような気がして来るのだ。

 

そんな中グレイフィアは、久し振りに四人の魔王全員がひとつの建物に集まり、職務をこなすことになったため、仕事の資料を個々の部屋に届けているのだった。

 

セラフォルー・レヴィアタンがいる部屋の前で立ち止まり、ノックの後に部屋に入る。

 

「失礼しま…」

 

その直後、中にあるものを見て硬直した。

 

あるものとは部屋の丁度中央に聳え立つ"等身大の魔法少女のフィギュア"のような何かだった。

 

「あ! ありがとー。その辺りに置いといてね」

 

フィギュアの側でくるくると回っているセラフォルーはそう言って机を指差した。

 

「いったいこれは……」

 

「これはね! イベント用に製造された世界で一体のフィギュアなんだよ! ジェノバさんに頼んだら用意してくれたの!」

 

「ジェ、ジェノバ…?」

 

「そう、あの人イイ人だよ!」

 

そう力説しながら語尾の代わりに目に星を浮かべているセラフォルー。

 

「そ、そうですか……」

 

グレイフィアは逃げるように部屋から出た。そして、部屋の外で額に手を置き、アレの魔の手がセラフォルーにまで及んでいることにしたやられたと言った様子をしている。流石に趣味から攻めてくるのは予想外だったのだろう。

 

何とか気持ちを戻しながら移動し、ファルビウム・アスモデウスがいる部屋に入った。

 

「失礼します…?」

 

部屋の中の光景を目にしたグレイフィアの語尾に?が付く。

 

と、言うのも机にはファルビウムではなく、その眷属の一人が座り、部屋のソファーでファルビウムが寝ていたからだ。

 

とりあえず、机に資料を置いたグレイフィアはファルビウムの眷属から今の状況の話を聞いた。

 

それによると突然ファルビウムに呼び出され、普段しないような仕事を押し付けられているらしい。ファルビウムらしいと言えばそれまでだ。

 

だが、グレイフィアは小さな違和感を覚える。本来、この眷属は武官的な立ち位置でスカウトした者でこう言った事務仕事は任せないはずだからだ。

 

そして、ふとファルビウムの枕元にある裏を向いている本に目が行き、それを手に取った。

 

そこにはファルビウムと親しい者のスペックから小さな隠し事や、趣味に至るまでの全てが載っていた。個人情報保護など鼻で笑うような内容である。

 

「これはまさか……!」

 

普通の人ならばただのマル秘ノート程度に過ぎないがこれを受け取ったのが、ファルビウムとなると話が変わってくる。

 

元から眷属などは仕事を丸投げするために集めているため、人材の目利きの上手いファルビウムだが、これに載っているのはファルビウムですら知らなかったような情報だ。これによりファルビウムが眷属に丸投げする仕事が増えたのは言うまでもないだろう。そして、睡眠時間の増えたファルビウムは今も寝ているのである。

 

「は…!?」

 

枕元にそっと置いておこうと、本を閉じた時、グレイフィアは本の表紙に書かれたデフォルメのジェノバの絵を目にした。デフォルメのジェノバから伸びる吹き出しには"丸投げしましょう!"と言っている。

 

またもや、奴の差し金である。

 

グレイフィアは本を置くとそそくさと立ち去った。

 

そして、グレイフィアにまさか……アジュカ様も…と言う焦りが生まれたが、アジュカ・ベルゼブブがいる部屋まで来たところでその考えは止んだ。

 

考えてみれば魔王の頭脳とも言える存在がそう易々とアレに気を許すわけもない。

 

グレイフィアは安堵の溜め息を吐くと部屋に入り……。

 

「失…」

 

「クックック……クァックァックァ!!……ヒーッヒッヒッヒッ!!」

 

見るからに様子がおかしいアジュカを目にした。

 

「………………」

 

直感的にああ、どうせコイツもかと理解するグレイフィアを誰が咎められようか?

 

虚ろな目で部屋を見渡せば床、天井、壁全てにびっしりと何かの数式が書かれ、最早部屋としての原型を止めていない。

 

とりあえず、資料だけ置いて出て行こうとグレイフィアが一歩部屋に入る。

 

「完全な数式を踏むなぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

グレイフィアが溜め息を吐きながら首を傾けると、グレイフィアの首があった場所を魔弾が通りすぎた。

 

「…………失敬、少々取り乱してしまった。資料はそこに置いておいてくれ」

 

「そうですか…」

 

それだけ呟き、床に資料を置き部屋の扉の前に戻るグレイフィア。あれを少々と言うのなら少々なのだろう。きっと、たぶん、メイビー。

 

地雷原を歩くような足取りで資料を取りに来たアジュカ。ふと、部屋に目を向け、変わったものを探せば部屋の隅にうず高く積まれた何かの資料のようなものがある。恐らくそれが原因だろう。

 

「アレはなんですか?」

 

興味本意ではないが、参考程度に聞いておく事にしたグレイフィア。それを聞いたアジュカの肩が跳ね、狂気にも近い笑みを浮かべる。

 

あ、これ地雷だ。と、グレイフィアが思う中、アジュカは話を始めた。

 

「"完全なる素数定理"だ…いや、究極…或いは終点と言っても過言ではない」

 

「は、はい…?」

 

グレイフィアは貴族の出ではあるがぶっちゃけ座学の成績はあまり高い方ではない。故にそれがどれ程大変な物なのか理解が出来ないのだ。

 

「美しい……」

 

アジュカは部屋の中央に立ち、ぐるりと部屋全面の自分が書いたであろう数式を見渡した。

 

「可憐か、醇美か? 妖美、八面玲瓏、清楚、風光明媚、キュート。いかんな、せっかく時間が有り余っていたというのに、もっと詩吟を学んでおくべきだった! この論文を形容する言葉が見つからん!」

 

「………………」

 

「まさかこの歳になって初めて教師と言える存在に巡り会えるとは……クックック……ん?」

 

アジュカが出入り口を見ると、グレイフィアは既にそこには居なかった。それを認識したアジュカはドアを閉める。

 

無論、アジュカが閉めた扉にもびっしりと数式が書き込まれていた。ちなみに案の定、うず高く積まれた論文の表紙にはデフォルメのあの宇宙人が描かれていたりした。

 

 

 

 

 

「………………ぐすん」

 

グレイフィアは目の端に若干の涙を溜め、ふらつきながら自身の夫ことサーゼクスの部屋の前に立っていた。

 

グレイフィアは考える。やはり私のオアシスはサーゼクス様と、エヌオーと、ミリキャスしかいないのだと。後、今日は日記を書く時間を長めに取ろうと。

 

涙を振り払い、いつものような表情で固めると、部屋の中に入っていった。

 

「お帰りグレイフィア」

 

「はい! サーゼ…」

 

旦那が机に座りながら2つの小玉スイカのような大きさの卵らしき何かを撫でているのを目の当たりにした事で、グレイフィアの中で何かが崩れ落ちる音が響いた。

 

「見てよグレイフィア! さっきジェノバさんから届いたんだけど……ティラノサウルスの卵を復元したらしいんだ!」

 

「………………」

 

「ん? グレイフィア? どうしたんだい?」

 

「………………は」

 

「は?」

 

「……はは…………ははは…………うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「グ、グレイフィア!? 室内で力を撒き散らしたらダ……」

 

「アルマゲストォォォ!!!!!」

 

「ウボァー!!!?」

 

 

 

 

 

この日、最強の女王は突如として無差別に暴れまわり、最終的に4人の魔王に押さえつけられて漸く停止した。

 

医者によれば過度のストレスによる精神疲労が原因らしく、彼女には療養と言う名の長期休暇が与えられたようだ。

 

尚、この事件は身内で処理されたため、彼女の社会的な尊厳は守られたと言う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だが、呂布 奉先について話をしよう。無論、私の身近に生えているギャルの事だ。

 

基本的に誰にでも優しく、容姿は私が言うと贔屓目になるかもしれんが上の上、そして人を統べるカリスマもあり、何よりも人間最強クラスの戦闘力を持つ嘘のような存在である。

 

たが、生き物と言うものは良く出来ているモノで、高い能力のあるモノには全てをぶち壊すような欠点があるものだ。

 

例えば鳥は空を飛べる。が、その代償は他の生き物に比べれば折れやすい骨と、軽い頭だ。

 

例えば魚は生存能力を優先した為に大量の卵を産める。しかし、その代償は個々の存在をほぼ捨て、種として存在していると言うことだろう。

 

例えば植物は菌などを除き、生き物で最高の繁殖力を持つ。が、生物的ヒエラルキーは最下層だ。

 

これを踏まえて奉先を観察して見よう。

 

「解んない……解んない解んない解んなーい!」

 

現在、ゴロゴロと転がりながら私にすがり付くように何度も当たっている。

 

中々、ウザいことこの上ないように見えるが長い付き合いで最早、気にする必要すら無い。要するに放置安定だ。

 

ここで奉先の過去のテストでの解答の例を幾つか上げよう。

 

 

Q:What in the world did you do?

 

奉先:お前は世界に一体何をしたんだ!?

 

 

Q:少子化について自由に論じよ

 

奉先:私はシンラの子を可能な限り産むので関係ありませぬ┌(┌^o^)┐

 

 

Q:日本を天下統一したのは?

 

奉先:釘宮病

 

 

Q:三国志について知っている範囲で述べよ

 

奉先:⑨は私

 

 

Q :( )に当てはまる数式を記入せよ。

 

奉先:(´・ω・`)

 

 

Q:好きな漢文について好きなように論じよ

 

奉先: 将進酒の一部

 

原文

君不見黄河之水天上來

奔流到海不復回

君不見高堂明鏡悲白髮

朝如青絲暮成雪

人生得意須盡歡

莫使金尊空對月

天生我材必有用

千金散盡還復來

烹羊宰牛且爲樂

會須一飮三百杯

 

読み下し

君見ずや黄河の水 天上より來たるを

奔流海に到りて 復た回らず

君見ずや高堂の明鏡 白髮を悲しむを

朝には青絲の如きも 暮には雪と成る

人生意を得ば 須らく歡を盡くすべし

金尊をして空しく月に對せしむる莫れ

天 我が材を生ずる必ず用有り

千金散じ盡くせば還た復た來たらん

羊を烹牛を 宰りて且らく 樂しみを爲さん

會ず須らく一飮三百杯なるべし

 

現代語訳

君よ見たまえ、黄河の水が天上から注ぐのを。

激しい流れが海に流れ込むと、二度と戻ってこないのだ。

君よ見たまえ、ご立派なお屋敷に住んではいるが、鏡に我が身を映して白髪を悲しんでいる老人の姿を朝は黒い絹糸のようであった髪も暮れには雪のように真っ白になるのだ。

人生、楽しめるうちに楽しみを尽くすべきである。

金の酒樽をみすみす月光にさらしてはならない。

天が私にこの才能を授けたのだ。必ず用いられる日が来る。

金なんぞは使い果たしてもすぐにまた入ってくる。

羊を煮て牛を料理して、まず楽しみ尽くそう。

どうせなら一飲みで三百杯というくらい、トコトン楽しむべきだ。

 

一言

人生楽しまなきゃ損よ。

 

 

 

ここまで来れば奉先の代償…と言うか欠点はもう見えたも同然だろう。

 

そう、奉先は"ただアホなのである"

 

脳筋なわけではないが、勉学などに置いて継続的な努力の出来ない典型的なゆとり世代等と言われる人間像の鏡のような人間なのだ。

 

いったい、奉先のどの辺りが古き伝説の武将なのかと小一時間問いたくなる。と言うか文官を務めていた事もあったはずだ。それとも世代を1700年程先取った奴なのだろうか? まあ、コイツからその答えが見える頃には太陽が地球を呑み込んでいるだろう。

 

ちなみにオーフィスちゃんの方が成績は遥か上である。

 

「ぶーぶー! ヒドイ言い様じゃない! 未来の奥さんと同じ高校に行けなくて良いの!?」

 

…………それは困るな。

 

「でしょう?」

 

「さて……」

 

私は立ち上がると素手で空間を割り、次元の狭間への扉を造る。

 

空間の奥には天ノ川のように光り輝く道と、周囲の光を取り込むような黒い道が続いていた。

 

さて……どちらから先に攻略すべきか…。

 

「まーたエクスデス先生の無茶振り?」

 

奉先はあの人の事をエクスデス先生と呼んでいる。まあ、家の大体の者はそう呼んでいるのだが……その理由は週五程の頻度で私の家に来て私含む眷属+奉先を相手にエクスデス道場……げふん稽古を付けたりしては帰るのである。きっと暇なのだろう。

 

ふっ……流石にそれは舐め過ぎだエクスデス先生。

 

「と、思っていた時期が私たちにもあったわよね」

 

現実は誰一人勝てませんでした。

 

あの人おかしい。どれぐらいかと言えば一度、ヴェグナがぶちギレて本体を出したのだが、三分足らずでジェノバさんにボコボコにされた時のような状態で墜落するぐらいだ。こりゃ、文句なしで今の世界最強ですわ。

 

昔の肉体の私なら互角以上に戦えるハズだが、この身体ではまだ遠い未来の話だろう。

 

これじゃ、全く経験値が稼げないじゃないか!

 

まあ、そんなエクスデス先生がたまに私に課題のようなものを出すことがあるので今日もそれをやるのである。まあ、大半はラストエリクサーを1ダース取ってこいとかで、どう考えても"無"の研究のパシりなのだが、たまに私の為になるようなものもあるので仕方がない。

 

今回は2つの地点を提示し、そこにいる召喚獣を倒して来いだそうだ。裏ボス級の奴等からラストエリクサーを掠め取って逃げる作業より随分楽に感じるな。

 

問題はオーフィスちゃんにでも教えて貰いなさい。

 

「はーい」

 

机に顎を乗せパタパタと手を振るう奉先に溜め息を吐きながら私は次元の狭間へと足を進めた。

 

 

 


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