※pixivにも投稿してます。
全年齢設定ですが内容的にR-15です(大丈夫かな……)
ある日の源内あおの部屋。
部屋の主であるあおが不在の中、リビングにあるテーブル上に数体のFAガールがいた。
「また私とバトルがしたい、ですか?」
轟雷――今では
「ええ、そうよぉ」
それにマテリア姉妹のシロが答えた。さらにクロが続ける。
「正確には改修した轟雷ちゃんと
「ついでって強調されたのがすっごく腹立つんけど……で、あたしも?」
嫌そうな顔を隠すこともなく、名を呼ばれたスティレットが近付く。
「そう。私たちが初めて出会ったあの日と同じ」
「わたし達姉妹に轟雷ちゃん、スティレットちゃんが相手」
挑発的な笑みを浮かべるシロとクロ。
「だったらその時みたいに返り討ちにしてやるわ!」
「スティレット……」
何故かやる気のスティレットに、轟雷の方が溜息を漏らす。
「ふふふ、スティレットちゃんがやる気になってくれて嬉しいわぁ」
「これからこの顔が、涙と鼻水でぐちょぐちょになるかと思うと……ゾクゾクしてきちゃう」
「ふんっ! 泣くのはあんた達の方よ!」
三人のやりとりに、今の自分に拒否権というものが存在しないのだと轟雷は悟った。
そんな轟雷の心情は御構い無しに、充電くん達もせっせとそれぞれのセッションベースを繋げて準備をしていく。バトルを挑まれた本人が何故か置いてきぼりになっている状況に、彼女はなんとも言えない複雑な心境になっていた。
閑話休題。
「スティレット、準備はいいですか?」
「当然!」
セッションベースに立つ轟雷とスティレット。二人のやる気は十分なようだ。
「轟雷ちゃんとスティレットちゃんがどんな風に泣いてくれるのか……楽しみね、クロちゃん」
「はい、シロお姉さま。きっととても可愛らしい表情を見せてくれるわぁ。うふふ」
互いに抱き合うように立っているマテリア姉妹も準備が出来たようだ。
と、轟雷とスティレットはマテリア姉妹――クロの後ろにある台座にセットされた武器がいつものグラインドサークルではなく、シロと同じビーストマスターソードであるのが気になった。
――クロの武装が違う……?
――一体何を企んでるのか知らないけど、コテンパンにしてやるんだから!
セッションベースが起動する。
「轟雷!」
「スティレット!」
「「マテリア」」
「「「「フレームアームズ・ガール、セッション――」」」」
各々がバトルの開始宣言をすると光が足元から溢れ、バトルステージへの転送が始まる。
◇
バトルステージの構築と同時に、装甲パーツや武装を装着した轟雷改とスティレットの転送が完了された。
「ここは……」
轟雷が周囲を見渡す。そこは偶然にも、初めてマテリア姉妹と戦ったのと同じステージだった。
「あらあら」
「まぁまぁ」
これにはシロとクロも予想していなかったのか、同じように周りを見ながら薄笑いを浮かべている。
「こんな事もあるのね……。ま、ここがどこであろうと関係ないわ! あたし達が勝つのは変わらないんだから!」
「待ってくださいスティレット!」
スティレットは装備している日本刀に手を掛け、単騎で突っ込もうとしたところを轟雷が止める。
「二人が同じビーストマスターソードを装備しているのがどうも気になります」
「そんなの気にしてたら戦えないわよ。いいから轟雷はクロの相手! シロはあたしがやるわ!」
「スティレット! くっ……!」
しかし轟雷の制止も聞かず、スティレットは一人でシロに向かって突っ込んで行ってしまった。止むを得ず、轟雷もクロの方へ攻撃をする。
「あらスティレットちゃん、私たちに一度勝ったからってそれはどうなのぉ?」
「うっさい! 日頃あんた達に遊ばれてる
「まぁ怖い」
そう言いながらも、スティレットの攻撃を受け止めるシロは笑顔を見せるなど、まだかなりの余裕があるようだ。
一方のクロも轟雷に砲撃のチャンスを与えまいと、ビーストマスターソードの刀身を伸ばした蛇腹剣で攻め立てていた。
「スティレットちゃんの援護はしなくていいのかしら?」
「うっ、これはグラインドサークルよりも厄介ですね……!」
「ほらほら、もぉっといくわよ」
――どうにか機動力で
一旦ビーストマスターソードの範囲外に逃れようと後退した轟雷だったが、右手のレールガンをビーストマスターソードに絡め取られてしまう。
「ッ!」
「逃がさないわよ、轟雷ちゃん」
轟雷は
「しまった!」
「まだよ」
「なっ!?」
クロはそのままビーストマスターソードを引いた勢いを利用して一気に轟雷との距離を詰めると、今度は轟雷の腹部を蹴って吹き飛ばす。その衝撃で、右手のレールガンが彼女の手から離れてしまう。
「ぐ、あぁッ!」
蹴り飛ばされた轟雷は背後にあった支柱に叩きつけられた。
「あらあら轟雷ちゃん、改修されたと言ってもこの程度なのぉ?」
近付きながら嘲笑うクロ。
「ま、まだです!」
轟雷は左肩に装備されている
「あら危ない」
笑みを浮かべていたクロは砲撃をひらりと
「く、ぅっ……!」
「これで轟雷ちゃんは丸腰。だけれど動かれると面倒だから――」
「っ!?」
再びビーストマスターソードを轟雷に向けて伸ばすクロ。だがその刀身は攻撃するのではなく、轟雷の身体に巻き付けられる形になった。
「ここで大人しくしてて頂戴」
そこからクロは轟雷の背後にある支柱にもビーストマスターソードを括り付け、その場で轟雷を動けない状態にする。
「これは……クロ! 私をどうする気ですか!」
「どうするって、決まってるじゃない? 楽しい事よ」
そう言いながら縛られた轟雷にニコリとするクロだが、その言葉と表情に轟雷は言い知れぬ不安を感じてしまう。
そんな二人の場所に、
「あら、クロちゃんと轟雷ちゃんの方も終わったのね」
と言いながらシロがやって来た。彼女の片手には、轟雷と同じく蛇腹剣となったビーストマスターソードによって縛られたスティレットが引きずられていた。
「離しなさいよ!」
引きずられながらも暴れていた。
「スティレット……」
そんな彼女の姿を見て、意気揚々と突っ込んで行ってこれですか、と流石の轟雷も呆れる。
スティレットの姿をよく見ると、特徴である背部のブースターユニットや肩と脚に装備されるウイングパーツ、そして日本刀やガトリングガン、ミサイルと言った武装類が全て取り外されていた。
――スティレットも私と同じように武装から破壊されてこうなった、と言うところですか。私はまだ足の
「スティレットちゃんったら、そんな必死に抵抗して……」
「とぉっても似合ってて可愛いわよ?」
「はぁ!?」
まるで芋虫のような状態のスティレットを見下ろすマテリア姉妹。
「それじゃあ、そろそろ始めましょうか。クロちゃん」
「はい、シロお姉さま」
「な、何をするつもりなの……?」
「うふふ。私たちは楽しくて、轟雷ちゃんとスティレットちゃんは気持ちよくなる事よ」
そう言いながら、シロがスティレットに顔を近付ける。
「っ、シロ、クロ! スティレットをどうする気ですか!」
「こうするのよ」
シロの代わりにクロが答えた。
スティレットの顔へ、さらにシロの顔が近付く。と、シロはスティレットの耳に向けて――
「ふーっ」
優しく息を吹きかけた。
「ひゃぁっ!?」
思わずスティレットは
「え?」
それを見ていた轟雷も、今スティレットは何をされた? と何が起きたのか分からずにいた。
「あらあら、可愛い声」
「いい反応ねスティレットちゃん。それじゃあ今度は……」
シロとクロ、左右からスティレットの耳に口元を近付ける。
「「ふー……」」
「ひっ、んんーっ!?」
一瞬、身体をビクッと震わせたスティレットだったが、なんとか声を出さないように下唇を噛んで耐えたようだ。しかし流石に表情までは隠せず、彼女の頬が赤くなっているのは
「スティレットちゃんったら、お耳が凄く敏感なのね?」
「う、うるさい、わよ……」
「まるで
クロがそう言いながら、スティレットの腰にある充電用コネクタを撫でる。
FAガールにとってこの場所は最も敏感な部位であると言っても過言ではなく、充電ケーブルを挿入する時はおろか、触れられるだけでも声が出てしまう程であった。
「~~っ!」
当然、クロにそこを撫でられただけでスティレットは反応してしまう。しかし声だけは出すまいと、彼女は必死に堪えている。
「こっちも忘れちゃダメよぉ?」
今度はシロが言うと、再び姉妹が両耳に顔を近付ける。
「まっ、待って、今両方は――」
「「ふーっ」」
「んんっ!? やぁっ!」
二人が同時に息を吹きかけると同時に、クロはもう一度スティレットの充電用コネクタを撫でた。スティレットが止めようと口を開いたタイミングだった事もあり、彼女は遂に我慢していた声を上げてしまった。
この機会をマテリア姉妹は見逃すはずがない。
「まだまだ」
「お楽しみはこれから」
二人は言い終わるとほぼ同時に、スティレットの耳に口付けをする。
「っ!?」
それも、ただ耳にキスをするだけでない。二人はそのままスティレットの耳を軽く吸う。
「ひぅっ!?」
「キスをしただけでこの反応……」
「これからもっと凄い事をするのに、最後まで持つかしら?」
――もっと、凄い……?
スティレットがシロとクロの言葉を飲み込むよりも早く――
はむっ、れろ、ちゅっ……。
じゅる、ずぞぞ、くちゅ……。
「――~~ッ!?」
突如として二人に両耳を舐められ、吸われ。
スティレットは身体が跳ねて声にならない悲鳴を上げた。彼女の全身にわずかに残っている装甲パーツと、縛り付けているビーストマスターソードが擦れ合ってやや耳障りな音が鳴るが、それに気を向ける余裕はスティレットにはない。
支柱に括りつけられて動けない轟雷も、目の前で繰り広げられている光景に思考が追い付かないでいる。
そんな中で
れろ……じゅるじゅ、はぁ、じゅずず……。
ちゅ、ちゅっ、はむ、ちゅーっ……。
「ひゃぁぁぁっ!?」
両耳から来る音と感覚、それに
しかしシロとクロは彼女が逃げないようにと、ビーストマスターソードを強く掴む。
「ぷはぁ、逃がさないわよぉ?」
「もっともっと気持ち良くなりましょう?」
はぁ……じゅず、じゅるるる、ぐちゅ……。
じゅぷ、くちゅ、れる……ぐぷ……。
まるで頭の中を溶かされて
これに加え、クロが同時に充電用コネクタを撫で回す。外だけではなくメス――コネクタの穴の中にまで指を入れて。
「やっ――あ゛あ゛あぁぁぁぁッ!?」
顔を真っ赤にしているスティレットは、あまりの感覚にもはや絶叫とも言える程の声を上げ、背を弓なりに反らしてしまう。
――なに、これぇ……。
「ふふ、スティレットちゃんは気に入ってくれたみたいね」
「もうクロちゃんったら、
「あらシロお姉さま、そうなったらわたし達でもっと調教すればいいのよ」
「それもそうねぇ」
二人の会話も、スティレットは全く頭に入ってこない。
「……って、あらぁ? スティレットちゃん?」
シロがスティレットの目の前で手を振る。しかし彼女は呆けたままで反応が薄いようだ。
「あらあら、気持ち良すぎてトンじゃったみたい」
「もう、せっかく感度も良くていじめ甲斐があると思ったのに……」
「仕方ないわね。シロお姉さま、スティレットちゃんは
――私もされるのですか!?
姉妹の会話が聞こえていた轟雷は今度は自分の番だと分かり、どうにかこの状態から脱出しようと必死に
――何故スティレットがあぁなったのかは分かりませんが、ここはどうにかして逃げないとダメなのは分かります!
だが、武装がない今の轟雷ではどうやっても身体に巻きついているビーストマスターソードを切り離す事は出来なかった。
――急がないと……!
「轟雷ちゃん」
「逃げようとしても無駄よぉ?」
轟雷が気付かない内に、マテリア姉妹が目の前までやってきた。
「うふふ、普段はあんまりいじめ甲斐のない轟雷ちゃんだけど」
「今回はどんな反応が見られるのか、本当に楽しみね」
二人は轟雷の頭の高さと同じ位置に顔を近付けてくる。
そして――
「やあぁぁぁッ!」
「ッ!?」
突然、声とともに乱入してきたスティレットではない何者かの攻撃によって、マテリア姉妹は轟雷の
「なんなのよぉ……!」
「一体誰が邪魔なんて……!?」
折角の楽しみを邪魔されたシロとクロは、今や自分達の城になったとも言えるバトルステージに侵入してきた邪魔者に目を向ける。
そこに立っていたのはつい先日に轟雷とあお、そして仲間のFAガール達が力を合わせて勝利し、何故かそのバトル以来、あおの家に
「フレズヴェルク!? どうしてここに……」
「どうしてって、決まってるじゃん。轟雷がこんな事でボク以外に負けるのは許さないから」
そう口にしながら、ベリルスマッシャーで轟雷を縛っているビーストマスターソードを切るフレズヴェルクの目から、彼女が本気で言っているのだというのが分かる。
「と、とにかく助かりました」
「いいから轟雷はそこで座ってなよ。すぐ片付けてくるから」
フレズヴェルクは振り返り、立ち上がっていたマテリア姉妹を見やる。
「いくらフレズヴェルクちゃんでも、私たちの邪魔するのは許さないわ!」
「それはボクに勝てるようになってから言いなよ!」
「なっ!?」
二人に向かってフレズヴェルクは突撃していく。そこからは一瞬だった。
フレズヴェルクは両手に持っていたベリルスマッシャーで、シロとクロそれぞれを同時攻撃。
マテリア姉妹の武器であるビーストマスターソードは轟雷とスティレットの拘束に使っている。
「きゃあ!?」
「くっ!」
攻撃をまともに受けたシロとクロ。たった一撃――乱入してきた際にも攻撃しているが――で二人を行動不能にして、このバトルを唐突に、そして強引に終わらせたのだった。
◇
「ありがとうございます、フレズヴェルク。本当に助かりました」
「へへっ、今度から油断しない事だっ!」
得意げに胸を張るフレズヴェルクに、轟雷は思わず笑みをこぼす。
そんな二人の元へマテリア姉妹が近付いてきた。
「まさかフレズヴェルクちゃんが乱入してくるのは想定外だったわ」
「轟雷ちゃんとスティレットちゃんをわたし達の
――そんな事を考えて再戦を申し込んできたのですか……。
「今回は轟雷ちゃんまでは出来なかったけど……」
「スティレットちゃんには
「……あれ、ここは……バトルは……?」
ちょうどスティレットも気が付いたようだ。
「スティレット、大丈夫ですか?」
「ごう、らい……」
「まだ無理そうですね……。そこで休んでてください」
「弱っちぃの」
フレズヴェルクを横目に、轟雷はスティレットをベッド形態に変形させた充電くんに寝かせる。
「轟雷、そんなのよりボクと遊ぼうっ!」
「えっ? ちょっ、フレズヴェルク……!」
轟雷の手を引いて、フレズヴェルクはセッションベースを置いていたテーブルから降りて行った。
「あらあらスティレットちゃん、大丈夫?」
シロが横になったスティレットに話しかける。
「誰の、せいで……こうなったと……」
「自業自得でしょう? スティレットちゃんが轟雷ちゃんとの連携をしないで、一人で私に突っ込んでくるから」
「ぐっ……」
シロが諭すように言う。それはスティレットも分かっているようで、反論の余地がないようだ。
そこへ今度はクロがやってきた。
「それじゃあスティレットちゃん。反省の為にも、今は充電しなくちゃ、ね?」
その手に、充電用のケーブルを持って。
「へっ!? い、いや、反省はするけど、今は別に充電しなくても――」
スティレットの抵抗も
「そーれ」
ぶすり。
「――ん~~っ!?」
クロは彼女のコネクタに、容赦なくケーブルを差し込んだのだった。