Fate/elona_accident 作:セイント14.5
FGOとelonaのクロスオーバー、時系列も設定もふわっふわ。
試験的な投稿です。書きたかったので書きました。
主人公はelonaのPCです。やっとこさゼーム倒したぐらいの、固定アーティファクトがメイン装備な駆け出しです。多分。
「ば、馬鹿な…!」
ローブを纏った男が断末魔を上げて倒れる。相手の完全な死亡を確認した【あなた】は、ひとしきり感慨に耽ったあと、今夜は眠れないな、とつぶやいた。
ついでに妙にこちらを見下してくる不愉快なイケメンを、固定アーティファクトを持っていそうだという理由で滅多打ちにして殺したあなたは、彼らが落とした装備品を拾い上げ、しげしげと眺めて満足そうに息を吐いた。
まだ鑑定していないが、きっとどれも素晴らしい品だ。自分の武器はこの《★大地の大槌》と定めているが、ペットに持たせるにはいいかもしれない。
そうと決まれば帰って早速サンドバッグやその辺の野盗で試し斬りだ。あなたはうきうきしながら自宅を思い浮かべて巻物を開いた。
いつものように時空が歪み、あたりがざわめき始める。あなたは道中で手に入れた装備をどのペットに持たせるべきか、彼らが落とした装備はどんなものかと、すっかり物思いに耽っていた。
そのためかもしれない。あなたは全く気がつかなかった。自分が開いた巻物が【帰還の巻物】ではないことに…
………………………
「え?…何、何これ、誰?もしかして当たったの?」
オレンジ髪の若い女性がこちらを見ている。おかしい。あなたが雇ったメイドは壮年の男性だったはずだ。
「そんなはずは…えっと、さっきの礼装で確か10枚目だったはず…消費した聖晶石で召喚できるのはそれで全部でしたよね?」
その隣には、色素の薄い髪で片目を隠した、マッドサイエンティストのような格好の女性の話し声も聞こえてくる。
「うん。また今回もサーヴァントは誰も来なくて大爆死!…だった、はず、なんだけど…」
少なくとも、ここはあなたの家ではないようだ。読んだ帰還の巻物が呪われていたのだろうか?だとしても牢獄行きになるはずなのだが。
「ええ。それは私も隣で見ていました。その、先輩が…えっと、残念ながら、少しだけ…失敗…したところを、余すことなくしっかりと」
マッドサイエンティストのような白衣を着た女性が、『先輩』と呼ばれた女性を見て必死に言葉を選んでいる。
「見え隠れする優しさが逆に刺さるよマシュぅ〜」
「でも確かに今回も10連は礼装だけだったはず…うう、言うだけでもつらい…私【呪われてる】のかなあ…」
【呪われている】、という言葉にあなたは素早く反応した。『先輩』と呼ばれた女性のすぐ隣まで近づき、【窃盗】スキルを発動させる。
「え、何!?急に動いたと思ったら超近いんだけど!?せ、せめて何か言ってよぉ!!」
動かないで、とあなたは先輩に伝える。先輩は戸惑いながらもその言葉に従ってくれた。
ノースティリスでは老若男女、着ているものが突然呪われることがある。
呪いの効果は様々で、ランダムにテレポートしたり、装備者の生き血を死ぬまで吸い続けることもある。だが最も厄介なのは突然魔物を呼ぶことがある呪いで、これによって分裂する塊の怪物や生物に寄生するエイリアンなんかが呼び出された時には、やむを得ず核爆弾を街中で使用しなければならなくなることもある。というかあった。
そんなことが冒険者駆け出し時代のあなたのトラウマとしてしっかりと残っているので、あなたは道行く人々の装備品の呪いチェックを欠かすことはないのだ。
「何をしているのでしょう…?」
もうひとりの、マシュと呼ばれたマッドサイエンティスト風の女性が不思議そうにこちらを見ている。【窃盗】スキルは、それがバレない限り他人から見れば何もしていないように見えるためだ。
一方、あなたも疑問に思っていた。この先輩の装備は、あなたの知らない効果が付与されている。その上、材質やその形状も、あなたの知っているそれではなかった。
呪われていないことを確認して一安心したのだが、それでも先輩の装備の観察をやめない理由がそこにあった。
魔術礼装。後に知ったその先輩の装備は、特定の魔術の効果を上げたり、詠唱を簡単にしたりする効果があったらしかった。ノースティリスにも魔法の威力を上げたり詠唱スキルを補助するエンチャントはあるが、それが特定の魔法のみに適用されるようなことはない。
「なんか、この人怪しくないですか?先輩のことずっと見て…」
「う〜ん…いやらしい感じじゃないみたいだけど…ここまでじっくり見られるとちょっと居心地悪いかも」
端的に言えば、あなたは興奮していた。と言っても、この先輩にではない。未知だ。知らないエンチャント、知らない装備だ!あなたは未知というものに際限なく興奮していた。ここがどこだか分からないが、これでまた冒険ができる。新たな敵と出会い、新たなアイテムを手にし、知らない肉を食べ、新たな自分を鍛えなおせる!
「やっぱり怪しいです!絶対よからぬ事を考えてます!へ、変態です!!」
そんな妄想に夢中になり、鼻息を荒くしていたのを勘違いされたのか、あなたはマシュという女性に変態認定されてしまった。そう言えば、このマシュという女性もあなたの知らない装備をつけているかもしれない。そう思い、先輩から離れてこのマシュという女性の装備を確認してみよう。
「ち、近づいてこないで下さい!いや、いやぁーーっ!!」
ーーーガコン。
いつの間にか、あなたの視界は地面を舐めていた。意識が遠のいていく。朦朧の状態異常だろう。まずい。やはりここはネフィアだったか。
あなたを攻撃したであろうマシュという女性はマッドサイエンティスト風の衣装ではなく、いつの間にか黒いボンデージのような格好に、見たことの無い大きなシールドを構えていた。彼女はシールドバッシュを覚えていたのか…そんなことを考えながら、あなたは彼女から振り下ろされた再度のシールドバッシュで意識を手放した。
………………………
「やあ、目が覚めたかい?」
意識を取り戻し、自分が死んでいないとこを確認した。極めて意外なことだが、彼女はあなたを殺さなかったようだ。
「セクハラされたら殺すのが普通って…ど、どれだけ殺伐した世界から来たんだい君は…」
セクハラ?ということよりも、一度敵対すればどちらかが死ぬまで闘争は終わらないだろう。それは当たり前のことであるし、魔物や人間、身分すら問わず万人の共通認識だ。今は亡きパルミアの王も、誰かに酒に酔って絡まれるなどしてひとたび傷を負えば容赦なく刃を向ける。たとえそれが愛すべき妻であってもだ。
それが日常であるし、ガードもそれを止めない。当然あなたも止めないし、むしろパルミア王が死ねば高級なドロップ品が得られて儲けものなので妻の方に加勢したくらいだ。
「ええ…」
目の前の女性がドン引きしている。とりあえず、あなたは自己紹介をすることにした。
「あ、ああ…ご丁寧にありがとう。私はレオナルド・ダ・ヴィンチ。ダヴィンチちゃんと呼んでおくれ。君は冒険者なのかい?…ノースティリス?完璧な私でも覚えのない地名だ。なら、架空の存在かな?どこの伝承、伝説なのかは分かるかい?」
伝説?あなたは伝説の登場人物になった覚えはない。
「伝説じゃない?じゃあ実在した人物…?」
実在もなにも、あなたはついさっきまで元気に冒険をしていたのだ。
「これは研究が必要だね…よし、とりあえず君の正体は保留!クラスも含めておいおい調査を進めていくとしよう。サーヴァントとしてパスもつなかってるみたいだし、意思疎通も可能だ。危険性もとりあえず無いと見ていいだろう」
よく分からないが頷いておく。
「それと報告されてたセクハラだけど…私は別の理由があったと見てるんだよねえ。君はどうしてあんな行動に出たんだい?」
あなたは先輩と呼ばれた女性の呪いを確認したところ、見知らぬ装備だったので興奮してじっくり観察したことや、マシュという女性の装備も気になったので見ることにしたら気絶させられた旨を話した。
「それは…なんというか、紛うことなきセクハラだねえ…」
「いくら興味があっても、女の子をそんなにじっくり見て興奮しちゃセクハラ認定されてもそりゃあ文句は言えないよ?」
あなたはセクハラというものが、おそらく他人に不埒な行為を行うことだと察した。であれば殺されても文句は言えないだろう。彼女は娼婦ではないようだったし、あなたと結婚してもいなければ酒に酔ってもいなかったのだから。
逆に言えばノースティリスならそのいずれかの条件を満たしていれば路上で行為に及んでも罪ではないのだが。
「君がいた所は一体どんな世界なんだ…全く興味が尽きないね」
ほう、と息を吐いたダヴィンチちゃん氏を横目に、あなたは扉を開いて外に出る。さあ、新たな冒険の始まりだ!
あなたは胸の高鳴りを抑えきれないまま装備を取り出し、廊下に飛び出した。
「きゃっ」
前方不注意。あなたは部屋から飛び出した拍子に廊下にいた誰かを突き飛ばし、押し倒してしまったらしい。
「…あっ」
あなたは自分が体当たりしてしまったので、相手が敵対してくるならば戦闘を優位に進めるためにそのまま相手に体重をかけ取り押さえておくことにした。
よって、あなたの一連の行動により身動きが取れなくなった相手が、自分が故意に押し倒されたと勘違いするまでにさほどの時間はかからなかった。
「…へ、変態だーーーーっ!!!」
『先輩』と呼ばれた女性の声が、どこまでも響き渡った。
以上になります。読んでいただいてありがとうございました。
続く、続くかな…いや続かんかもしれんわ。自信がないわ。