Fate/elona_accident   作:セイント14.5

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話自体は思いつくんですけど、それを文字に起こすのが難しいところです。みんな、やってみよう!な!俺、読むから!ちゃんと読むから!
まあ冗談ですけど。




ねんがんの

 

あなたは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の下手人を除かねばならぬと決意した。

あなたには政治がわからぬ。あなたは、ティリスの冒険者である。槌を振り、バブルと遊んで暮してきた。けれども歴史に対しては、人一倍に敏感であった。

 

というわけで、あなたは立香の指示に従い、並み居る敵を瞬く間に打ち倒し、困っている人をさっさと助け、特異点を見つけて叩き潰した。

 

「予想外の早さだけど、これで今回のレイシフトの目的は達成だ。お疲れ様!おかげで今日は夜のうちに眠れそうだ!」

 

草原にロマニ・アーキマンという紅髪のマッドサイエンティストの幻像が立ち上がり、どこからともなくその声がする。はじめは驚いたが、そういうものだと呑み込んだ。

 

「小さな特異点だったけれど、何がどこに影響するか分からない以上見過ごすことはできないからね。よく頑張ってくれたよ」

 

レオナルド・ダ・ヴィンチの声も聞こえてくる。労いの言葉をかけているようだ。

 

「さて…」

 

ダヴィンチ女史はひとつ息をつくと、ホログラム越しに視線を下に向け、しゃがみこむあなたを見下ろした。

 

「マスター君。彼をどうすべきか、君の意見を聞いてもいいかな?」

 

「えっとお…あはは…」

 

困ったことになったなあ、と思いながら立香は苦笑いをうかべ、頬をかいた。彼の感情が分からないわけではない。というより、今回は誰が見ても分かるほど分かりやすい。ただ、問題はそれが新しいおもちゃを買い与えられた子供の表情であり、しばらくはその『おもちゃ』を手放しそうにないことだ。

 

「まさか、これに興味を示すとはね…」

 

周囲の視線を集めながら、それを全く意に介さないままあなたは座りこんでひとつの物体を両手にとり、しげしげと観察していた。

あなたの手にあるのは聖杯だ。…そう、★《聖杯》である。

あなたがこの世界に転移してから、初めて手にする固定アーティファクトであった。

 

あなたは鑑定の魔法も道具も持ち合わせていないためにこの輝く杯の詳細は分からないが、立香によりこれが聖杯という名前であることだけは判明した。固定アーティファクトだと分かったのはノースティリス冒険者の本能的な部分によるものだ。

 

特異点の要とかのたまってなんだか偉そうにしていたのを加速と英雄をかけて奇襲したら何度か殴り合ううちにあっさり潰れて、そこに残ったのがこれだ。この世界にはアイテムドロップがないと悲しんでいたところにこんなことがあれば、しかもそれが固定アーティファクトだというのならば、溜め込んでいた蒐集欲が暴走するのは、どうしようもないノースティリス冒険者の性である。

 

「…とりあえず帰りましょう。ここにいてもどうにもなりません」

 

マシュがそう言うと、協議の末になんだかんだでそれがいいだろうということになった。

 

 

 

………………………

 

 

 

草原から帰ってきたところで、ロマニがあなたに対して聖杯についての説明を始めた。

 

「…まあ、かいつまんで話せばこんなところかな。つまり、これは非常〜に魔術的・戦略的に価値の高いもので、換えがきかないものだから、えっと…できる限り、個人が所有することは避けたいんだ」

 

「要は妙なことになる前にさっさとその聖杯を渡してくれってワケだよ、冒険者君」

 

「ダヴィンチちゃんド直球ぅ!」

 

あなたは趣味のパン錬金をしながら長い話を聞いていたが、実際のところその半分も理解できていなかった。ただ、この★《聖杯》が重要なもので、彼らはそれを欲しがっていることは分かった。

 

…欲しいものがある。それを持っている人がいる。とすれば、取るべき選択肢は3つある。

ひとつ、交換を持ちかける。物の価値は人それぞれ。中々手に入らない貴重な装備品を、たくさんの酒やパン、エーテル抗体や神託の巻物と交換した例は両手で数え切れないほどある。

ふたつ、盗む。熟練の盗人は、息をするように、大衆の中で堂々と、そして素早く盗んでいく。着ていた鎧すら盗まれたことに気がつかないのだから恐ろしい。

みっつ、持っている人物を殺害する。固定アーティファクトならこれでも確実に入手できる。相手が自分より強いなら呪い酒なり使ってムリヤリ殺すのもアリだ。必要なスキルも、対価も必要ない、最も手っ取り早い方法で、個人的にオススメだ。

 

「…今回のレイシフトの第一貢献者だし、殺すのはちょっと…っていうかそもそも無理そうだし…なんとか話し合いで解決できない?」

 

「私としては交換が気になったかな。こちらが代替物を提供できれば、その聖杯を手放してくれるってことだろう?」

 

あなたは肯定した。★《聖杯》のことは非常に気になるが、今絶対に必要なわけではない。彼らにとっては違うようだが…見たところ装備品でもないし、タダで明け渡すならともかく別の貴重品と交換できるなら満更でもない。

 

「そうか!何か価値のあるもの…うーん、じゃあ、えっと…」

 

「このダヴィンチちゃんの素敵なイラスト集!なんてどうかな?世界に誇る万能の天才が丹精込めて描いた絵画がなんと36ページみっちり!」

 

「うおっただ暇つぶしに落書きしてた自由帳のハズなのになんだか神々しい!どうして後光を放っているように見えるんだ!」

 

「後ろからフラッシュライトを当てているからだね!」

 

彼女が提示したのは、世界最高のとか接頭語のつきそうな絵画、それを複数だった。

だが悲しいかな。あなたはまだ家具には興味を持っていなかった。

 

「ダメか…売ってもいい値段になると思うんだけれど」

 

「お金や芸術じゃないってことだね。それじゃあ…これはどうだ!」

 

「エミヤ食堂より提供!本日のお昼のメニューをオレがココでキメテヤルゼ券1年分(365枚組)〜!」

 

あなたは食事は自分で作るからいらないと答えた。

 

「…薄々分かってたけどダメか……クッ、仕方ない…これだけは手放したくなかったんだが、これも人類のため…!」

 

「…まさか、アレを出す気かい?」

 

「立香くん達は戦場に出て命をかけてるんだ…だったら僕だって命をかけようじゃないか!」

 

「…本気なんだね。いいよ、存分にやりたまえ!」

 

「おうとも!さあ冒険者君よ見るがいい!これが僕の命!これが僕の…全てだああああああっ!」

 

そこに並んだのは謎のキャラクターをテーマにしたらしいフィギュアの箱、タペストリーや音楽ディスクだった。

あなたはいらないと言った。

 

「…この一面のマギ☆マリグッズ達が…いらないの一言で済まされるだと!?プレミア品だってこんなにあるのに!!フィギュアもCDも未開封なのに!!僕が…僕がどんな気持ちでぇ!!」

 

「まあ、分かってたことだよねぇ。その情熱は買うけどさ」

 

赤色の涙を流しうずくまる白衣の男に、ダヴィンチちゃんは冷たい視線を向ける。

 

「しかし、そうなるといよいよ私達じゃ君が欲しいものはあげられないようだ。こうなると適当なサーヴァントの持ち物と交換してもらったりする必要が出てくるかもね」

 

「……もういいよ…なんでも…終わりだ……全部おしまい……」

 

「さて冒険者君よ。君が何が欲しいのか分からないけれど、とりあえずこの中でめぼしい物を持っている人物はいないのかい?」

 

そう言われて、あたりを見回す。周囲には先程から話している二人とこちらを心配そうに見つめる立香、それを守るように立つマシュ。彼女達はレイシフトを終えて白衣に戻っている。それと妙に際どい格好でナイフをいじる子供と、アッセイアッセイと不思議な掛け声で運動している筋肉質な男。あとは何人か『マッドサイエンティスト』が機械に向かっているくらいだ。

 

あなたは少し考えた後、ここに初めて来た時のことを思い出した。そういえば、立香とマシュはそれぞれ見たこともない装備を持っていた覚えがある。

あなたは、その中でも一番冒険者として心惹かれた『アレ』をくれるなら、対価として★《聖杯》を渡してもいいと答えた。

 

 

 

………………………

 

 

 

「まさか本当に交換するとは…」

 

「…うう…なんでこんなことに…」

 

あなたはほくほく顔で『ソレ』を掲げる。これはきっといい装備だ!そういう確信があった。

 

「あああ!あんまり振り回さないでぇ!」

 

「ぷっ…くくっ…!価値観の違いというものは恐ろしいものだねっ…あははははは!」

 

早速だが、あなたはこの装備の詳細が気になった。しかしながら、鑑定の技術を持たないあなたがすることはひとつだ。

そう、未鑑定の装備をムリヤリ装備し、呪われたりしているリスクと引き換えに装備の情報を得る、いわゆる『漢装備鑑定法』である。

ということなので、あなたはこの、まだほんのり温かい『厚めの黒タイツ』を装備してみることにした。やはり、例のパンツと同じく投擲物のようだ。

 

「ああっ…あんなとこにつけてる…」

 

「っひ〜!お腹痛い!…っ!」

 

漢装備の甲斐あり、この装備品の名前が判明した。どうやら★《みわくの黒タイツ》という名前らしい。性能はまだ分からないが、使っているうちに分かるだろう。多分だが、幻惑属性を持っている気がする。

 

「…ちょっとスースーする…」

 

「タイツ前提のミニスカートだからねえ…どうやら彼の中で、マスター君のタイツは聖杯と同じくらいの価値があるみたいだ」

 

「意味わかんないんですけどぉ〜…」

 

「いつかパンツも取られるんじゃないかい?」

 

「…ホントにありそうだからそんなこと言うのやめてくださいよっ!」

 

「大丈夫です。今回は不覚を取りましたが先輩の絶対領域は私が必ずお守りします!ええ必ず!!」

 

「でも、なんでマスター君のだったんだろうね?タイツなら…ほら、そこにもあったのにさ」

 

そう言って、ダヴィンチちゃんはマシュの足元を指す。その口元はいたずらを思いついた子供のように歪んでいた。

 

「それは…先輩のタイツが、多分魔術的に価値が高かったり…」

 

「君のと素材は同じだけれどね。魔術的な措置も同じ。耐刃加工ぐらいかな。となると…君のタイツより、マスター君のタイツの方が冒険者君にとって価値があった、ってことになるのかな?」

 

「……それは…しかし……いや、でも……」

 

「…ええ…そこ悩むんだ…」

 

「…なんか、負けた気分に…なったような…」

 

「今負けてるのは明らかに私だけどね!?」

 

そんな会話を後目に、あなたは新しい有益な装備を手に入れた満足感とともに、先程パンを作った疲れが襲って来たためその場で横になることにした。

 

「…私のタイツ抱いて寝てる…」

 

「っ…!っあはははははっ!マスター君のタイツがよっぽど気に入ったようだ!!これは写真に残す価値があるよ!いやむしろ私が写実画を描こう!」

 

「ちょっと!やめてくださいよ!ああもうっ!起きてよ冒険者君〜!」

 

「……私の…タイツ…でも先輩のタイツは……」

 

「マシュ!マシュ!早く戻ってきて〜!!」

 

「あははははは!あっはははははは!ひぃ〜っ!」

 

「…マギ☆マリ……きみのこえがきこえる…ああ…」

 

「フゥ〜〜…今日もこの筋肉がぁ…圧政者と戦うために鳴動している…フゥ…」

 

「おかあさん?なんでないてるの?」

 

夜は更けていく…

 

 





かわいい女の子の黒タイツには幻惑属性がついている。みんな知ってるね。

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