Fate/elona_accident   作:セイント14.5

8 / 8

ゲームによると思います(一刀両断)
でも一度は試しますよね?

※誤字修正しました。報告ありがとうございます。


STR極振りビルドは実際強いのか?

 

 

あなたは幸せそうなベッドの上で目を覚ますと、すぐさまベッドを懐にしまいこみ、起きてからの日課である神への祈りのため手を合わせた。

神の声がすっかり聞こえなくなって久しいが、身体に染み付いた習慣というのは中々消えないものである。

 

「彼もまた神に仕える者でしたか。作法は違えど、神に縋る想いは皆平等ですね」

 

無論、あなたの周りには焚火を囲んで野営をしているサーヴァントやマスターがいる。周囲の視線を一身に浴びながら、あなたは祈りを終えた。

 

固く組んだ手を解き、立膝に曲げていた足を伸ばす。おもむろに立ち上がったあなたは…フハハ、と少しだけ笑い、『ポージング』を始めた。

 

まず正面を向き、両腕を軽く浮かせてフロント・リラックスからサイド、リア、そしてサイドリラックスと身体を回すと、今度は反転して同じ動作を行う。筋肉に少しずつ血を通わせることで身体をほぐす。

両拳を握りしめ、くびれのあたりに当てる。正面を見据え、背中を強調するフロント・ラット・スプレッド。そのまま横向きになり、手を後ろに組み足を屈めて上腕三頭筋を強調するサイド・トライセップス。

ひと息ついて、全身に力をこめながら両拳を身体の正面で当たらない程度に突き合わせてモスト・マスキュラー。もちろん全力の笑顔を添えて。

その流れのまま、ゆっくりと息を吐きながら二の腕を地面と平行に上げ、拳は肩の上へ。にっかり笑い、フロント・ダブル・バイセップス。

身体全体で筋肉の呼吸を聞く。筋肉がゆっくりと目覚めていくのを感じ、新たな筋肉の朝日がのぼる。今日この日、ここフランスにて、あなたは素晴らしき筋肉の爪痕を残した。異邦人となった今日も、愛すべきあなたの筋肉はすこぶる快調だ。残念なのは、神の筋肉アドバイスが聞こえないことのみ。

フハハンと息を吐くと、またフロント・リラックスへと身体を戻す。

あなたにとって、これもまた、欠かすことのできないルーティンだった。

 

「……すごい……」

 

「動きに無駄がありません…いえ、ポージング自体が無駄な動きと言うこともできますが…」

 

「ふぅ〜む………なるほど………」

 

フゥ〜〜〜ン………と、ひときわ大きなため息をつき、情熱的な目線を送る男が一人。

 

「……まずは君に賞賛を送ろう…なんとも素晴らしいポージングであった。戦闘のため、美しく洗練された君の筋肉の奏でる音楽を聞かせてくれたことに感謝を……」

 

スパルタクス。召喚によって呼ばれた彼は…筋肉(マッスル)であった。

 

「……そして……ああ、しかし……なんて悲劇だ!!」

 

「聞こえる、聞こえるぞ。君の筋肉の泣き声が聞こえる…君の筋肉の嘆きが聞こえる……!私にはっ!!君の筋肉の金切り声がっ!!…激しい剣戟、猛獣の遠吠え、戦士の咆哮、そのどれよりも強く!!聞こえてくるのだ!!……心が引き裂かれそうだ……孤独にあらねばならないその圧政から開放してやらねば…そう、思うわけだ…」

 

「…言葉などなくとも分かっているのだろう…?君の筋肉は求めている…切望している…!!孤独に奏でる筋肉独奏(マッスル・ソロ)ではなく、二人で!三人でっ!…大勢で!それぞれの人生(マッスル)を背負い、情熱(マッスル)を抱き、かき鳴らされるっ…むくつけき男達による!筋肉(マッスル)オーケストラを!!」

 

筋肉オーケストラ。その言葉の意味をあなたは知らない。筋肉とは常に孤独であり、筋肉とは誰かを打ち倒すためのものだったからだ。しかし…

 

しかし、ではこの心のざわめきは何だ?まるで初めて固定アーティファクトをやどかりの死体から拾い上げた時のような興奮…!

 

気がつけば、あなたはスパルタクスの目の前まで足を踏み出していた。

 

「今はまだ二重奏(デュオ)…だが、筋肉は無限大(マッスル・インフィニティ)だ。感謝しよう…この稀有な機会を与えてくれた…この舞台の立役者である…いずれ圧政者となるべきマスターに!!」

 

「いや私巻き込まないでくれる!?」

 

「さあ始めよう!世よ御照覧あれ!筋肉と筋肉がぶつかり合い、求め合う…筋肉の伝説(レジェンド・オブ・マッスル)は!!今日!!ここから!!始まるのだ!!!」

 

 

―――筋肉が、嘶(いなな)いた。

 

 

………………………

 

 

「……終わった?」

 

「…動かなくなりましたね…」

 

あなたとスパルタクスは、激しくポージングをとり、筋肉を競い合うように見せつけあった。

その途中に襲いくる猛獣を弾き飛ばしながら…。

時にして約3時間。異様とも言える光景は、しかし誰にも口出しができないほどの迫力がこもっていた。先を急ぐ旅であることを、その時だけは誰もが忘れて…

 

「…やっと、終わりましたか?」

 

否。忘れては、いなかった。

二人の筋肉が子供のように無邪気に戯れあう様を、奈落の底のように冷ややかな目線で見据えていた…聖女。

彼女に筋肉の良さは分からない。いや、理解はしても、それは聖女としての役目よりも優先するものではないのだ。

 

「時間がありません。手早く準備を」

 

これ以上の言葉を交わす意思などない。はっきりとした拒絶が、目の前に物理的に存在すると錯覚するほどの心の壁が、あなたとスパルタクスの前に立ちはだかった。これはいかに強力な筋肉でも打ち砕けないだろう。

 

「あの、えっと、ごめんなさい…」

 

「止められなかった我々に責があります。申し訳ありませんでした」

 

「あなた方の文化です。それを否定するつもりはありませんよ」

 

「いや違いますけど!?」

 

「発言の撤回をお願いします!!アレは我々の文化なんかじゃないです!!」

 

二人が今日一番の大声で、全力の否定をする。その迫力は、先程までの筋肉に勝るとも劣らないものであった。

 

「そ、そうですか…」

 

「え、えっと…それで、これからどこへ向かうんですか?」

 

「…オルレアンへ。もちろん、直接乗り込むのは難しいでしょうが、周辺の街や砦から情報を集められるかもしれません」

 

一行は、あなたとスパルタクスに荷物持ちを(無理矢理)任せ、一路オルレアンへ向かうこととなった。

 

「おお……圧政者よ!!」

 

圧政にいきり立つスパルタクスを、ベルトで叩きながら(マスターの命令である)。

 

 

………………………

 

 

「もうすぐラ・シャリテです」

 

「ここでオルレアンの情報が得られない場合、更にオルレアンへ近づかなければいけませんが…なるべく、そうならないように済ませたいですね」

 

途中、高速で移動するサーヴァントの反応を拾い、急ぎながらラ・シャリテへたどり着いた一行は、しかしそこで凄惨な光景を目にすることとなる。生体反応もなく焼けた街、生ける屍、死体を貪る怪物…

 

「…これをやったのは、恐らく私なのでしょうね」

 

そして、この光景を、人の生命を、尊厳を踏みにじるようなこの空間を、【ジャンヌ・ダルク】が生み出したという確信を得る。

 

「どれほど人を憎めば、このような所業を行えるのでしょう」

 

「私には、それだけがわからない」

 

『サーヴァントの反応だ!こちらに気づいたみたいだ、向かってくる!』

 

ロマンの声が、一行の意識を現実に引き戻した。

 

先程発見した複数のサーヴァントが、こちらに向かってくる。戦力的な不利を悟り逃走を提案するロマンの声には従わず、聖女はその場から動かない。

 

そこで、聖女は―――

 

「―――」

 

「―――なんて、こと。まさか、まさかこんな事が起こるなんて」

 

―――聖女に、出会った。

 

 





話が全然進みませんでした。なんでだ…
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