【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義20 ハジケ対決二番勝負

『さあ、見せてもらおうか! 君のハジケを!!』

「ああ、いくぜ」

 

 首領パッチが宣言したと同時に、首領パッチソードを天に掲げる。

 

「オラァ!!」

「へぶっ!?」

 

 それをユエの顔面に投げつけてから、首領パッチはハジケ始めた。

 

「カジキマグロには何でツノある? 何でツノある? その秘密を教えてあげちゃうよ♪」

 

 歌いながら踊る首領パッチ。その様はまさにミュージカル。

 そして首領パッチは懐から黒のボールペンを取り出し、地面に植えはじめた。

 

「始まったばっかだけどちょっとハーフタイム入りまーす! 黒のボールペン植えなきゃ……。植えなきゃパパが醤油かけすぎ罪で無期懲役喰らっちゃうよ……」

 

 しかし、首領パッチは植えている途中のボールペンを上に放り出し、いつの間にか近くにあったカジキマグロのツノを手に取る。

 

「でもそんなもんどうでもいいわボケェ! もうお前はパパじゃなくて、たまに会うお小遣いをくれるおじさんだ!! ママが再婚したんじゃあ!!」

 

 そのままツノをへし折り、狂気を含んだ笑みでミュージカルを再開した。首領パッチはツノを振り回しながら、歌い続ける。

 

「だーかーらーぼーくはー、ツノを手にするよー。そーのーたーめーのー、カジキマグロさっ!」

 

 首領パッチはツノを巧みに振り、自分で植えたボールペンを切り裂く。その結果、切り裂かれたボールペンからインクが漏れ出し、迷宮の床を黒く染める。

 すると、ツノをへし折られたカジキマグロが暴れ出し、インクがこぼれた床にまで撥ねながらやってきた。

 

「どうして!? どうしてそんなに暴れるのパパ!? そんなことしたってママはもう新しいパパを選んだんだよ!? お願いだから刑務所で大人しくしてよ!!」

 

 首領パッチは必死に説得するが、カジキマグロは意に介さないどころかさらに暴れまわる始末。しかし、首領パッチにはその行動の意図が見えた。

 

「そうかい……。パパはどうあっても新しいパパを殺すんだね……。じゃあ――」

 

 首領パッチはカジキマグロを持ち上げ、

 

「行ってこいよ!!」

 

 そのまま投げつけた。

 

「ぐはぁ!!」

 

 投げつけられたカジキマグロは天の助を貫き、そのまま後ろの床に突き刺さった。

 

「これで終わったんだ……。じゃあ、もうこれは必要ない……」

 

 最後に首領パッチは、持っていたツノをへし折る。それと同時に、ツノとカジキマグロに青い炎が付き、最後には灰も残さず消え失せた。

 そうして残ったのは、倒れ伏すユエと天の助、余りのハジケっぷりに思わず拍手をするハジメ、唖然とするシア。最後に、もうハジケ終わったとばかりにミレディの方に視線を向ける首領パッチだった。

 一方、ミレディは満面の笑みで両手をサムズアップさせながら判定を下す。

 

『ん~~~~~~~~~~~~~~~~~、合格っ!!』

 

 ミレディの言葉と同時に、地響きが起こる。やがて地響きが鳴りやむと、そこには一面にねと書かれた車が現れた。

 

『はい、じゃあこれに乗ってね。次のステージにイクゾー』

「デッデッデデデデ!(カーン)デデデデ!」

「カーンが入ってる。+114514点」

「唐突なRTA要素」

「待て!」

 

 ハジメ達は特に異論もなく、ねの車に乗り込もうとするのだがそこに待ったをかける者が一人。誰かは当然決まっている。天の助だ。

 

「オレはねの車なんて認めねえ! そんなのに乗る位なら、真面目にこの迷宮を攻略してやるぜ!! なあ、皆もそうだろ!?」

 

 天の助のねに対する強い敵意が、叫びに乗って一同に伝わってくる。

 

「いや、ねの車に乗るけど……」

「そもそも何でそんなにねを嫌っているんですか?」

 

 だが女性陣には天の助の気持ちを意にも介さず

 

「そんなに乗りたくないなら一人で行ってよ」

「行くのじゃ。TOKORO‐BOYよ」

 

 バカ二人に至っては、天の助をペットボトルロケットに括り付けて天の助を排除しようとする始末。

 

「ハジメ、発射しろ」

「ハッ。提督!!」

「あああああぁぁぁぁぁぁ……!」

 

 そしてペットボトルロケットは打ち出され、天の助は正規ルートでライセン大迷宮に挑むことになった。

 

「じゃ、僕らも行こうか」

 

 一方、ハジメ達は大人しくねの車に乗り込み、出発した。

 

 


 

 

 ねの車に乗り案内された次の場所は、茶道の際客を招きもてなす為の施設である茶室だった。

 

「なんで迷宮内に茶室を……?」

「茶道はハジケリスト達の嗜みだ。ハジケリストは茶室でのみリラックスできる。恐らくここはこの迷宮の休憩所だ」

「でもハジケリストは茶道に始まり茶道に終わるからね。今回は休憩所じゃなくて、ハジケ勝負の場と見た方がよさそうだ」

「な、成程……」

 

 首領パッチとハジメのいつになく真面目な解説に、シアが感心しながら茶室の戸を引く。そこでシアが見たものは

 

「おう、遅かったなお前ら」

 

 四メートル程に巨大化していた天の助と

 

「ええやろ、なあ……。ちょっとだけやからさあ……」

「や、やめろ! 俺とお前は敵同士なんだ!!」

 

 コーヒーカップに無理矢理迫るティーカップの姿があった。

 

「絶対休憩出来ませんよここじゃ!!」

「ところでティーカップ×コーヒーカップっぽいけど、ボーイズラブのタグ付けないと駄目じゃない?」

「僕の観察眼によると、コーヒーカップは女性だから大丈夫だよ。いわゆる俺っ娘って奴」

「文字じゃ伝わらないですぅ!!」

「絵があっても伝わらねえだろ」

 

 シアの叫びが茶室を揺るがす。その間に天の助は元の大きさに戻り、コーヒーカップはティーカップを茶室の壁に五寸釘で張り付けにしてから、ハジメ達へ体を向ける。

 

「板垣死すとも自由は死せず……ガクッ」

「ティーカップ死んだ――――――――――っ!?」

「よく来たなお前ら! 俺はこの休憩所の番人、コーヒーカップだ! 俺と茶道勝負して勝てばボス戦までショートカット出来るぜ!」

「予想してた通りだね。ならここは僕が――」

「いいや、ここはオレが行こう」

 

 ハジケ勝負に挑もうとするハジメを、今度は天の助が引き留める。その言動にハジメは怒りを見せた。

 

「あのさぁ! さっきから何で僕のハジケパート盗ろうとする訳!? さっきはそっち(ボーボボキャラ)がハジケたんだから、次はこっち(ありふれキャラ)にハジケさせてよ!!」

「何で……だと……!?」

 

 ハジメの怒気に天の助は一切怯むことなく、それどころかハジメ以上の怒りを見せて応戦する。

 

「ありふれ側のお前ら最近出番取り過ぎなんだよ!!」

「ええ!?」

「奥義14とか見返せよ! 帝国兵と戦ってる時、ハジメとユエが好き勝手やってる間オレと首領パッチ完全に裏方扱いじゃねえか!!」

「いや、確かに最近ユエが出張ってた感はあるけど……。でもそっち原作終了後じゃん! 立場的には四部の承太郎みたいなものじゃん!! そっちは多少すっこんでてもいいでしょ!?」

「クロスSSだぞこれ! 互いの原作を平等に扱えよ!! 蹂躙クロスとか地雷扱いだろうが!!」

「雰囲気はボーボボ一色だよ! 読者の九割九分がこのSSはボーボボSSだと認識してるよ!!」

「シナリオはありふれだからバランスは取れてるって!!」

「え? そう!?」

 

 ヒートアップしていく二人の口論。しかしそこにシアが、冷や水の如き一言を浴びせる。

 

「正直どっちでもいいんで、早く話進めませんか?」

「え、いやオレら今大事な話してんだけど……」

「あんまり長々メタ発言する方がよっぽどアレなんで」

「あ、はい。そうですね……」

 

 決して荒くないシアの言動。しかしなぜか抗いがたい恐怖を覚えた二人は、大人しく口論を止め、じゃんけんでどっちがコーヒーカップと勝負するかを決める。結果は天の助となり、ハジメは悔しさのあまりUNOを用意し始めた。

 

「ハジメさんあんまり悔しがってませんね!?」

「こっちはオレが出る」

「そうか。じゃあ、始めるぜ!」

 

 コーヒーカップの宣言と同時に、ハジメ、ユエ、首領パッチの三人は茶室の戸を引き外へ出て行く。

 

「出て行くんですか!?」

「ハジケリストの茶道対決の時は、ツッコミスト以外は茶室に入ってならない、って家庭科の教科書に書いてたから……」

「家庭科!?」

「じゃあ私達はUNOやってるから」

「え、ちょ、私もUNO混ぜてくださ――」

 

 シアの言葉は最後まで紡がれること無く、戸は無情にも閉まり、天の助とコーヒーカップの茶道対決が始まるのだった。

 

 ―茶道対決 開始―

 

 ハジメ達が茶室から出て行き、天の助も後ろに続く。

 なぜならそれが勝負の作法。招き入れられることからハジケられなくて何がハジケリストか。

 ということで茶室内はシアとコーヒーカップの二人きり。コーヒーカップは一心不乱にお茶を点て、シアは黙って見ている。ぶっちゃけ、シアは凄く気まずい。

 

「失礼します」

 

 シアが早くしてくれませんか、と内心で呟いていると外から天の助の声。

 

「どうぞ」

 

 その声にコーヒーカップが返答する。

 と同時に、機動隊の装備を身に付けた天の助が、後ろに同じ格好をした幾人かを従え戸を蹴破り茶室に突入してきた。

 

「何で機動隊!?」

 

 そして銃口をコーヒーカップに向け、脅しをかける。

 

「お茶だ! お茶を出せ!!」

(やってることは強盗だ――――――っ!?)

「はい、ただいま……」

 

 慌ててお茶を点て、そそくさと天の助に出すコーヒーカップ。

 コーヒーカップが出したものは、マグカップの中に湯気を上げながら並々と入っているココアだった。

 

「初手お茶じゃない!! というかさっき点てたお茶は!?

「ふむ、中々のお手前……。なら次はこちらが」

 

 コーヒーカップのココアに舌鼓を打った天の助は、お返しとばかりにお茶を点て、コーヒーカップに差し出す。

 

「どうぞ。ところてんドリンクです」

「何ですかそれ!?」

「バカな……。薄味にも拘らず何だこの不愉快な味は……!?」

「不味いんですか……」

 

 コーヒーカップがところてんドリンクの味に恐れおののいた所で、攻守を交代。

 

「攻守!?」

 

 今度は天の助が最初から茶室に居て持て成す側にとなり、コーヒーカップは持て成される側となった。

 

「失礼します」

「どうぞ」

 

 天の助の了承の声と同時に、モヒカンのカツラを付け火炎放射器を構えたコーヒーカップが戸を蹴破り、天の助に火炎放射器を向け凄む。

 

「ヒャッハー! 水だ! 水を寄越せ!!」

「北斗のやられ役みたいになってる!?」

「フッ」

 

 コーヒーカップの脅迫。しかし天の助は短く笑うのみ。

しかし天の助が笑うと同時に、コーヒーカップの足元の床が開き、奈落へと落ちていく。そして底にあったものは

 

「喰らえコーヒーカップ! 半径二十メートル、ところてんスプラッシュを!!」

 

 奈落一杯に埋め尽くされた、大量のところてんだった。

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

「最早新手の地獄絵図です―――――――っ!!」

「三日前から仕込んでおきました」

「そうなんですか!?」

 

 奈落の底でところてんに溺れるコーヒーカップ。彼女の身体は口はもとより、コーヒーを入れるべきである御椀の部分もところてんに浸食された。

よって彼女はもうコーヒーを入れられない敗残兵。ならば彼女の末路は一つ。

 死だ。

 

「死ぬの!?」

 

 コーヒーカップがところてんの中で無念に息絶えると同時に、茶室の壁が開かれ奥からトロッコが現れた。

 

『よくぞコーヒーカップを倒したね。ならばそのトロッコに乗るがよい!』

「いきなり出てきて何キャラですかミレディさん」

『果たしてトロッコの先に待ち受ける物とは!?』

「ミレディさんは知ってますよね」

『次回に続く!!』

「無視ですか」

「おいミレディ!」

 

 いきなり現れ、画面越しに力技で締めに掛かるミレディ。しかしそれに待ったをかける声が。

 

「ウゼェ」

 

 声の主は首領パッチだった。

 首領パッチはミレディが映る画面に向かってミサイルランチャーを叩きこむ。

 

「くたばっちまえ―――――――――――――――っ!!」

『ぎゃあああああああああああああああ!!』

「だから何で映像越しにダメージが!?」




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