【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義55 グダりにグダって後は魚雷が吹っ飛ばして

 フォルビンが地方巡業の大切さをハジメ達に示した翌日、彼らは次の迷宮であり、シアの故郷であるハルツィナ樹海を目指すべくアンガジ公国を出発した。

 それから二日後、つまり前回の話から三日後、ハジメ達は道中の街道にて――

 

「ラーメン食べたら、腹筋六回!!」

「タンメン伸びたら、鉄筋六階!!」

「アスファルトタイヤを切りつけながら、暗闇走り抜ける!!」

 

 車に乗りながら、腹筋をしていた。

 正確に言うなら、ハジメ、首領パッチ、ティオの三人が腹筋をすることで、乗っている車を動かすエネルギー『フッキンデハッセイスルンダー』を発生させていたのだ。

 これはガソリンを使わないクリーンなエネルギーとして、ボディビル業界から注目されている逸品である。

 

「いや説明の意味分かんないですぅ」

 

 シアが腹筋をしているティオの足を抑えながらツッコミを入れている。

 すると、盗賊に襲われている隊商の姿がシアの目に入った。

 盗賊は数十人ほど。対し隊商は十数人ほどしかいない。今はまだ隊商も抵抗しているが、このままでは盗賊にやられてしまうだろう。

 それを知ったハジメの決断は早かった。

 

「よし、助けに行こう。皆これを着て!」

 

 そう言ってハジメは他五人にあるものを渡した。

 

「これを……どうしろと?」

「今の服の上でいいから、それ着て。絶対に」

 

 ハジメの有無を言わせない言動に、なぜか逆らう気も起きず素直に従ってしまうシア。

 そうこうしている間に、車は隊商の元にたどり着く。

 そしてハジメの目の前では、声からして女だと分かるものの、フードをしているせいで外見が分からない人が二人の盗賊に襲われそうになっていた。

 

「み、水……。それをよこせ。それも一台や二台ではない……全部だ」

「水!?」

「ガハハハハハハ! お前はわしのカキタレになるのだぁ~!!」

「カキタレ!?」

「待てっ!!」

 

 フードの女が盗賊二人にツッコミを入れる中、ハジメ達が彼女を助けにやってきた。

 

「赤レンジャイ!」

 

 ハジメは全身に赤いタイツを纏って

 

「も、桃レンジャイ!」

 

 シアは桃色のタイツを

 

「赤レンジャイ!」

「赤レンジャイ!」

「赤レンジャイ!」

 

 首領パッチ、天の助、ユエはハジメと同じ色のタイツを

 

「ノーパンしゃぶしゃぶ!」

 

 最後にティオは普段通りの和服を着て、しゃぶしゃぶの入った電気鍋を持ち現れる。

 そして六人は一斉に決め台詞を叫んだ。

 

「「「「「「六人揃って、ゴレンジャイ!!」」」」」」

「「いやいやいやいやいやいやいやいや!!」」

 

 その結果、盗賊とフードの女は同時にツッコむのだった。

 

 


 

 

ユエさんの豆知識

 

 女教師風なスーツを着て、眼鏡をかけたユエが教鞭を手に立っている。

 すると空から黒板が落ちてきて轟音を響かせるも、ユエは特に気にすることなく、黒板に書いてある文字に教鞭を差し、解説を始めた。

 

「今日教える単語はカキタレ。これは芸能人やお笑い芸人とセックスだけの関係の女性のこと。まあ、要約するなら芸能人のセフレみたいなもので覚えればいい」

「はいオッケーでーす!」

 

 説明を終えたユエにハジメが終了の合図を出した。

 するとユエは憤怒の表情を示し、教鞭を投げ捨ててハジメの首根っこを掴んでから、底冷えするような声で言う。

 

「ハジメ、何このコーナー」

「いや、何って言われても……」

「読者が知らなそうな単語を解説するだけなら脚注でいい。なのにわざわざ私が解説する意味、ある?」

「それは……その、ちょっと一回仕切り直したかったっていうか、閑話休題……みたいな?」

 

 ユエに詰問にしどろもどろになりながら答えるハジメ。しかしユエは二つの意味で手を緩めない。

 

「そもそもセフレみたいな単語をボーボボの二次で出していいと思ってるの?」

「いや、原作でもSMプレイとか出てたし……この小説でも大分前にエロ同人って単語出しちゃったから……まあいいやって」

「そう」

 

 ハジメの必死の返答にも、ユエは眉一つ動かさず淡々と流す。

 だが次の瞬間、ユエはハジメを地面に投げ、見下しながら問う。

 

「でも私はそもそもありふれのメインヒロイン。ハジメみたいな汚れ役と違って、あんまりキャライメージを崩壊させないで欲しい」

「イメージはもう手遅れじゃない?」

 

 ハジメの一言でユエの怒りが一気に限界突破し、長い間叫んでいたが、ここは本編とは関係ない幕間なので、そこは省略する。

 

 


 

 

 ハジメ達は盗賊の目の前に一列に並ばされて正座させられて、説教を受けていた。

 

「なあ、お前らなんなん? おかしない? ちょっと、もう一回名乗ってくれへん?」

「「「「「「六人揃って、ゴレンジャイ!!」」」」」」

「いやもうおかしいやん! だってお前ら六人やもん!!」

 

 盗賊が入れる当然のツッコミ。それにハジメはおずおずと反論する。

 

「いやあの……僕ら、現在六人チームなんですよ。でもゴレンジャイだからって五人でやったら、一人ハブになってイジメみたいで嫌ですし、かといってロクレンジャイ! って名乗るのもなんか違うな、と思ったので今の形なんです」

「まあ、確かにロクレンジャイは語呂悪いな。んでハブりも確かによろしくはない。うん、それはええわ」

 

 ハジメの反論に納得がいったのか、うんうんと頷く盗賊。

 しかし次はそうはいかなかった。

 

「でも流石にこっちはおかしい言うで。まず、黒髪の坊主名乗ってみい」

「赤レンジャイ!!」

 

 盗賊の指名に応え、ハジメは威勢よく名乗る。

 その名乗りには特に反応せず、次はシアを指さして言う。

 

「じゃあ次は兎人族の嬢ちゃん」

「も、桃レンジャイ……」

 

 シアは恥ずかしそうに応えた。正直、彼女はさっさと普段着に着替えたかったのだが、完全にタイミングを逃していた。

 それはそれとして、盗賊は満足気だ。

 

「まあ、お前らはええわ。それで次は金髪の嬢ちゃんと、そこのよく分からん奴二匹、名乗ってみい」

 

 続いて指名されたのはユエと首領パッチ、天の助の三人だ。

 三人は自信をもって応えた。

 

「「「赤レンジャイ!!」」」

「いくら何でも赤フォーカードはないわ!!」

 

 盗賊は思わず吠えた。そのまま叫びは続く。

 

「赤四人って被りすぎやろ!! 麻雀やったら完全にカンしとるで!!」

「待ってくれ」

 

 盗賊は吠えたてているが、天の助はそれを押しとどめて反論した。

 

「オレ達はぶっちゃけビジュアルで区別できる。だからこそ色くらいは皆それぞれ好きにしようと決めたんだ」

「ビジュアルバラバラなら色も分けろや!! 逆に混乱するねん!!」

 

 天の助にツッコミを入れまくる盗賊。

 しかしここで今度は首領パッチ達が口を挟んできた。

 

「なりてえんだよ! オレも煉獄さんみてえな熱い男になりてえんだよ!! だから赤選んだんだよ!!」

「猗窩座の声優はあってないかな? って一瞬思ったけど、原作の最期とか考えるとあの人が一番だと思う」

「お前ら鬼滅の映画見に行っただけやろ!?」

「というか首領パッチさんはオレンジ色の要素がメインなんですから、タイツ脱いだ方が煉獄さんに近くないですか?」

「――はっ!?」

 

 シアの指摘に思わず膝を打った首領パッチは、慌てて赤色のタイツを脱ぐ。

 その状況を尻目に、盗賊の視線は普段着に鍋を持った状態のティオに向かった。

 

「んで、最後にそこの着物の姉ちゃん」

「ノーパンしゃぶしゃぶ!!」

「お前もうただ鍋を抱えた女やからな? 微塵も仲間に溶け込めてないからな?」

 

 盗賊の呆れたように言った台詞。しかしティオは不敵な笑みを浮かべてこう返す。

 

「ふっ……見くびるでない。妾はきちんと、下着を脱いでおるぞ」

「力の入れどころがおかしいねん!!」

 

 ティオのあんまりな言葉に盗賊は今日最高潮の大声を出した。

 そのまま盗賊は叫び続けるが、シアは無視してふと空を仰ぐ。

 

「シアどうしたの?」

「いや、何か聞き覚えのある声がしたような……」

 

 シアの言葉に釣られて今度はユエが空を見る。

 すると、何かが空を飛んでいるのが見えた。

 

「お……けはゆ……な……」

 

 シアと同じく聞き覚えのある声が聞こえたユエは、思わずハジメと首領パッチ、天の助の三人へと視線を移す。

 すると、三人もユエと同じく空を見て何事か呟いていた。

 

「鳥?」

「飛行機か?」

「いや、あれは……」

 

 ハジメと首領パッチは飛行する何かの正体に見当がつかなかったが、天の助だけは気付いたのかその場から逃げようとする。

 しかしそれより早く“何か〟は凄まじい勢いで地上に降ってきた。

 

「あれは、魚雷先生だ!!」

「おふざけは許さない!!」

「「「「「「「「ぎゃあああああああああああああああああああ!!」」」」」」」」

 

 そのままその場にいるフードの女以外の全員を吹き飛ばし、魚雷ガールはそこに在る。

 彼女は天の助に向かって指を突き付けてこう言った。

 

「アナタまたふざけてたわね! 何その全身タイツ!?」

「いや待ってください先生! この格好はオレだけじゃ――」

 

 ない、と繋げようとしながらハジメ達の方へ顔を動かす天の助。

 しかし視線の先には、いつの間にか普段着に戻っている仲間達の姿があった。

 

「着替えてる――――――!?」

「ふざけすぎ!!」

「ぎゃあああああああああ!!」

 

 哀れ。天の助は魚雷ガールに吹き飛ばされた。

 

「あとレディを無理矢理カキタレにしようなんて卑劣な真似は許さないわ! なぜなら私は魚雷だから!!」

『ぎゃああああああああああああ!!!』

 

 ついでに盗賊集団も吹き飛ばされ、彼らは戦闘不能となった。

 

(雑に壊滅したですぅ――――――!!)

「僕ら結構長々ゴレンジャイやってたから、そのツケが来たね」

 

 さらっとハジメが尺調整のミスを語る一方、ハジメ達の中で唯一魚雷ガールと面識のないティオが、首領パッチに彼女の紹介を頼んでいた。

 

「あやつは、一体何者じゃ? 唯者ではないオーラがビンビンしゅるのおおお……!!」

 

 訂正。ティオは紹介を頼みながら興奮していた。

 首領パッチは答える。

 

「あの人は魚雷ガール。オレ達の先生でボケ殺し唯一の生き残り。そして武器廃止を訴える平和主義者なんだ」

「ボケ殺し……なんと恐ろしいのじゃ……」

「いやあの人武器廃止訴えてるんですか!? 自分も武器なのに!?」

 

 シアが魚雷ガールの持つ衝撃の事実にツッコミを入れていると、フードの女がハジメに近づく。

 そしてハジメに向かって礼を言いながら頭を下げ、再び頭をあげたと同時にフードを取り、顔を見せる。

 彼女の外見は金髪碧眼の美少女で、年齢はおそらくハジメよりも下だろうか。そんな彼女はハジメの目を見てこう言った。

 

「お久しぶりです。南雲さん、首領パッチさん、天の助さん」

「誰?」

「ハジメさん達のお知り合いですか?」

 

 フード(元)の女がハジメ達に挨拶するも、ユエもシアも彼女を知らないので疑問を呈す。

 しかし――

 

「「「……誰だっけ?」」」

「えぇっ!?」

 

 ハジメ達も覚えておらず、フードの女は心底驚愕した。

 

「という感じで次回に続く」

「おっと、忘れておった。ここにノーパンしゃぶしゃぶのウィキペディアのページを貼っておくからの。知りたい人は見るのじゃ」

「丸投げ!?」

「どんなおふざけも許さないわ! 魚雷の名に懸けて!!」

「「ぎゃあああああああああああああ!!」」

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