【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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奥義58 降臨! 非情の天使ノイント!!

前回までのあらすじ

 

ハ伴「納豆の扉(マメンズ・ドアー)! 体を納豆に変える!!」

首領パッチ「ぎゃあああああああああ!!」

 

 ハ伴のスタンドの効果で納豆になった首領パッチは顔がにちゃにちゃになりながら開く。

 そこにはこの文が

 

『あけましておめでとうございます!!』

 

天の助・ユエ・ティオ「今年もよろしく!!」

シア「私ハブですか!?」

 

 


 

 

 魔人族の軍勢を退けたユエとシア。しかしここからのありハジはハジメ達へと視点を移す。故に――

 

「時を戻そう」

「この小説、たまーにこういうネタしますよね」

 

 ここからハジメサイドが始まります。

 

 


 

 

 時はユエ達が王都に到着した直後くらいまで遡る。

 ハジメとティオは、魚雷ガールに縛られ空を飛んでいた。

 すると三人の視界に王都近くにある高い山と、その頂上にある建物が目に入る。

 それはハジメ含むクラスメイト達が召喚された時に出発点にして、光輝達が魔人族と戦うことを決めた神山であるが、外から神山を見たことのないハジメからすれば、なんか山の上に建物があるな、くらいの気分だった。

 

「投下シマス」

「えっ?」

 

 ハジメが呑気に神山を見ていると、魚雷ガールが何を思ったのかいきなり持っている縄を放す。

 これにより、ハジメ達二人は重力の檻に囚われ一直線に神山へと落ちていく。

 そしてそのまま二人は神山の屋根を貫き、中にある一室に落下した。

 

「こ、ここは……?」

 

 先に顔を上げたティオは辺りを見回す。するとそこで見たものは、木製のベッドにイスと小さな机、そしてむき出しのトイレという酷く簡素な部屋で、なおかつ鋼鉄で作られ窓も嵌め殺しとまるで牢屋のような部屋だった。

 一瞬、ここは本当に牢屋かと思ったティオだったが、部屋の住人を見て考えを改める。

 

「ティオさん!?」

「愛子殿!?」

 

 なんと、この牢屋みたいな部屋にいたのは愛子だった。

 ティオはそれに驚き、また愛子はいきなりティオが降ってきたことに驚く。

 

「なぜこんなところにいるのじゃ?」

「いや、それこっちの台詞ですが……というか、その、ティオさんの下……」

 

 愛子が恐る恐るといった具合にティオの下を指さす。ティオが愛子の指先に合わせ視線を動かすと、視界には彼女の下敷きになったハジメの姿が。

 ティオは慌てて起き上がり、ハジメを心配する。

 

「すまぬ! ご主人様は大丈夫か!?」

 

 ティオの焦った問いかけに対し、ハジメは未だ縛られながらも凄くさわやかな笑みを浮かべながらやさしくこう言った。

 

「堪能させてもらった。巨乳おっぱいFレベルだ」

「うむ、大丈夫そうじゃな」

「だ、ダメですよそういうの破廉恥なのは!!」

 

 ハジメの返答に安心するティオとは対照的に、愛子は頬を赤らめ恥ずかしがりながらプリプリ怒る。どうやらハジメの言動をセクハラと捉えたようだ。事実その通りである。

 そしてセクハラを許さないレディがここにもう一人降臨する。

 

「あなたはなんでそう変な方向にばかり思い切りがいいのよ!!」

「ぎゃああああああ!!」

 

 魚雷ガールがハジメを吹き飛ばしながら、空から部屋に入ってくる。

 一方、吹き飛ばされたハジメはノーバウンドで部屋の壁に叩きつけられ、地面に倒れ伏した。

 

「だからよ、止まるんじゃねえぞ……」

「ご主人殿がまた死んでおられるぞ!」

 

 ハジメがまた死ぬが、よくあることなので流れに乗ってネタに走るティオ。それに対し愛子は、教え子が死ぬという普通に考えたら衝撃映像に反応するかとティオは思ったが

 

「あ、あの。魚雷ガールさんですか?」

「そうよ」

「サインください!!」

 

 なんと、愛子は魚雷ガールに向けて色紙とペンを差し出し、サインを求めていた。

 

「私、魚雷ガールさんのファンなんです! 魅惑レディーを毎号シマリスと一緒に並んで買っていました!!」

「あら、嬉しいわね」

(シマリスと……?)

 

 愛子の発言に内心でツッコミを入れるティオ。

 ちなみに魅惑レディーとは、作中時間で数年前に一時期シマリスの間で大ヒットしていた雑誌のことである。魚雷ガールともう一人、彼女に匹敵する女、横浜の純子が紙面を飾る、なんだかよく分からない大人の女性向けファッション誌である。でもメインヒット層はシマリスだった。

 

「ま、マズイ……」

 

 あまりに予想外な光景にティオが放心する中、蘇生したハジメがヨロヨロと立ち上がりながらある危惧を懸念する。

 

「このままじゃ、僕らがツッコミに回ってしまう」

「それは大変じゃな……」

 

 二人の内心が一致し、とりあえず状況を打破するためにハジメは話を変えることにした。

 

「ところで、先生はどうしてここに? 攫われたって聞いたんですけど」

 

 ハジメの何気ない問い。しかしそこにティオが割り込む。

 

「ダイエット、じゃろ? この密室なら余計な誘惑に惑わされず、運動も節制も思いのままじゃからな」

「そうか! それなら辛いダイエットも楽勝だ!!」

「違います」

「話の邪魔!!」

「「ぐばぁ!!」」

 

 ティオとハジメは魚雷ガールに蹴り飛ばされた。

 それを尻目に愛子は話を始める。

 

「私がここに居る訳は――」

 

 ティオの問いに愛子は素直に答える。以下は愛子の話を要約したものである。

 

 謎の銀髪女、現る。抵抗したけどダメでした。

 気づいたらここに。脱出もできずなう。

 なお、攫われた理由は『今真相を明かされたら困る』から、らしい。

 

「大体こんなところです」

「三行でOK」

「三行じゃぞ」

「!?」

 

 愛子の話を聞いて理解した三人は、その上でどうするか話し合い始めた。

 

「とりあえず、ここから連れ出さないといけないよね」

「でもどこに連れ出すのじゃ? 銀髪の女が何者かは知らぬが話を聞く限り、王国はもう信用ならんじゃろ」

「ハウリア族に匿ってもらうのはどうかしら?」

 

 魚雷ガールの言葉にティオは思わず手を叩いて感心するが、ハジメは微妙な表情を見せる。

 一方、愛子は魚雷ガールのアイデアに否定的だ。

 

「だ、大丈夫でしょうか? 亜人族は人間族に奴隷として扱われていますから人間に否定的でしょうし、私を匿うなんてしてもらえますか?」

「それに関しては、僕か魚雷さんが頭を下げれば引き受けてもらえますよ。縁も恩もありますしね。ただこれだけは覚悟しておいてください」

 

 愛子の不安を言葉で解消するハジメ。しかしここで彼は愛子の両肩に両手を置き、真剣な眼差しで彼女を見つめながらこう言った。

 

「安全は保証しますが、気が休まる瞬間なんてものだけは、期待しない方がいいです」

「すみません。ハウリアってどういう一族ですか?」

「そういえば妾も知らぬの。シアしか面識がないのじゃ」

 

 愛子とティオの質問に、ハジメと魚雷ガールは凄まじく気まずげな表情で互いに顔を見合わせてから、それぞれこう言った。

 

「アサシン系厨二病集団」

「どうしてああなったのかしら? 本当はもっと愛と強さを兼ね揃えた戦士にするつもりだったのに……」

 

『お前も鬼にならないか?』

 

「その人愛ありますか!?」

「鬼になる前は間違いなく愛も強さもあったじゃろ」

 

 こうして愛子はハウリアに匿ってもらう方向で話が纏まったところで、新たな登場人物がエントリーされる。

 

「貴様ら、愛子様の部屋にいつ入った!?」

 

 それはこの神山に常勤する見張りの騎士だった。神山に侵入者が来たことを知った彼は、ハジメ達が騒がしい愛子の部屋へと今まさにやってきたのだ。

 むしろなぜもっと早く来なかったのかという疑問がハジメ達を支配する中、騎士は職務を果たそうと行動しようとする。

 

「とにかく他の騎士に知らせな――」

「引っかかったなこのバーバリアンが!」

 

 その前にハジメが騎士に向かって攻撃を仕掛けた。

 

「納豆真拳奥義、シャークパンチ!!」

「がはぁ!!」

 

 ハジメは虚空からサメを呼び出し、ヒレの部分を手に持って騎士を殴り飛ばし、そのまま気絶させた。

 しかしサメはハジメに使われる人形ではない、意志がある。

 サメは己の糧として愛子をターゲットにさだめ、宙を舞い襲い掛かった。

 しかし

 

「弱い者いじめは許さない! なぜなら私は魚雷だから!!」

「シャアアアアアク!?」

 

 魚雷ガールの鉄拳制裁が炸裂し、サメは吹き飛ばされそのまま騒ぎに気付いてやってきた他の騎士諸共気絶させていく。

 この光景に対しティオはハジメに叫ぶ。

 

「ご主人様。このまま見張りを無力化してステルスで脱出しようぞ!」

「分かった!」

「この光景にどこにステルス要素が!?」

 

 ハジケリスト達の言動に思わずツッコミを入れる愛子。

 そして二人は彼女の問いにサムズアップしながら、それはそれは良い笑顔で返答した。

 

「「見張りを全員ぶちのめせば実質ステルス」」

(何という荒っぽいステルス!!)

 

 ハジケリストの結論に愛子が内心で叫ぶ中、ハジメ達三人は脱出ルートを作るべく愛子の部屋から出ていこうとするその瞬間。

 ボバッ!! と外で音がしたかと思うと、愛子の部屋の外壁がいきなり粒子となり、高所ゆえの強風によって飛んでいく。

 

「い、一体何が……!?」

「狼藉はそこまでにしてもらいましょうか。イレギュラー共」

 

 愛子の怯える声に呼応したのか、ハジメ達に話しかける声が響く。

 彼らが声のする方に顔を向けるとそこには、ドレス甲冑に腕と足、そして頭に金属製の防具を身に付け、背中に銀光の翼を生やした銀髪碧眼の女が宙に浮かんでいる。

 彼女の姿が視界に入った瞬間、自身を攫った人物だと気づいた愛子は銀色の女を睨みつけようとするが、彼女の殺気が愛子を怯えさせた。

 怯え震える愛子を背に庇いながら、ハジメは目の前の女に問う。

 

「お前が先生を攫った奴だな。何者だ?」

「私の名はノイント。主であるエヒト様の盤上に図々しくも居座る、不要な駒を排除しに参りました」

「そっちが勝手に呼びつけた挙句、予想外には即興(アドリブ)も満足に利かせられないのか。とんだ吟遊GMだな」

 

 ノイントの言葉に皮肉で返すハジメ。

 彼女の言う盤上とはトータスのこと。そしてトータスでエヒトを倒そうとしているハジメ達は、駒の分際でゲームマスターに歯向かう不遜な存在、といったところ。

 そして不要な駒であるハジメを力技で排除しに来たと言うノイントに対し、彼はそんな風にしか自分に対処できない時点で三流のゲームマスターだと煽る。

 その煽りは正しくノイントに通じた。故に彼女の殺気は更に膨れ上がり、ハジメ達に襲い掛かる。

 

かみのしと ノイントが 

しょうぶを しかけてきた!       ▼

 

「今何か変なメッセージウィンドウ入りませんでした!?」

 

ハジメは どうする?

→たたかう たたかう

 たたかう たたかう

 

「南雲君の殺意も負けじと高い!?」

「さあ、始めましょうか」

 

 ノイントは言葉と共にどこからか、長さ二メートル程のハリセンを取り出し、そのまま両手に装備する。

 

「ハリセン!?」

「ふざけすぎ――――――!!」

 

 今まで黙って聞いていた魚雷ガールがここで遂にキレ、ノイントへと向かって一直線に突撃していく。

 しかしノイントは魚雷ガールの突撃を読んでいたかのように躱し、代わりに懐から取り出したVRゴーグルを掛けさせた。

 すると、ゴーグルを掛けられた魚雷ガールの様子が一変する。

 

「ソ、ソフトン様――――――――――!!」

 

 なんと、彼女はいきなり叫んだかと思うと急にどこかあらぬ方角へと飛んで行ってしまったのだ。

 これがノイントの用意した魚雷ガール対策。

 彼女は以前、魚雷ガールと遭遇し雑に倒された。その時から彼女は対策を練る為魚雷ガールを調べ、ある方法を考え付く。

 それは魚雷ガールが懸想する男性、ソフトンが十二人の義理の弟として登場するVR乙女ゲー『バビロンプリンス』を開発し、プレイさせることにあった。

 そしてノイントの想定通り、一旦ゲームが始まってしまえば魚雷ガールはしばらく夢中になり、こちらに手出しをしなくなる。

 事実その通りになったノイントは内心でほくそ笑み、そんなことは露とも知らないハジメとティオは彼女に恐れおののいた。

 

「魚雷殿を一瞬で無力化するとは……」

「新年早々、とんでもないのがやって来たね」

 

 バカ二人の恐れる様子を見てどこか満足気なノイント。

 彼女は二人に向かって冷たく宣言する。その様はまさしく、神の裁きを告げる残酷な天の使いそのものだ。

 

「さあ、消えなさい。イレギュラー」

「どうしてイレギュラーは発生するんだろう?」

「プログラムのエラー。電子頭脳の故障。妾達レプリロイドの高度な情報処理能力の、いわばツケじゃな」

 

 しかしその程度でハジメもティオも諦めたりはしない。

 今ここに、ハジメとティオ対ノイントの戦いが始まった。




なお、以前に感想返信で魚雷とノイントの関わりはもうない、と言ったにも関わらず今回はこんな展開ですが、大人はうそつきではないのです。まちがいをするだけなのです。
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