【完結】ありふれたハジケリストは世界最狂   作:味音ショユ

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ボーボボ二十周年に間に合いませんでした


奥義62 いろんなものが増える日。天使とかつける必須タグとか

前回までのあらすじ

 

天の助「では、その時のことを話してください」

鈴「エリリンガ……スズヲ、ルラギッテ……ウワアアアアアアアア!!」

首領パッチ「カットカット! 一旦カメラ止めて!!」

雫「何これ!? ドキュメンタリー!?」

 

 こんな感じだった。

 

 


 

 

 突如現れたハロンオニ。

 彼は奥義39に登場したクリムゾンと同じく、かつては裏マルハーゲ四天王の一人だった。

 裏マルハーゲ帝国とは、様々な理由でマルハーゲ帝国から闇の世界に追放された者たちが集い、マルハーゲ帝国に対抗するために作られた集団である。

 彼ら裏マルハーゲ帝国はかつて、地上にある本来のマルハーゲ帝国に代わって地球を支配する為、五十年に一度行われる次期皇帝決定戦に乗り込んできた。だがマルハーゲ帝国を潰す為に同じく決定戦に乗り込んできたボーボボ一行と決戦となり、紆余曲折の末に裏マルハーゲ帝国は敗北した。

 なお、ボーボボが裏マルハーゲ帝国を滅ぼすより先に、マルハーゲ帝国の皇帝ツル・ツルリーナ四世が裏マルハーゲ帝国の王、ハイドレートを恐れ逃亡してしまったのでマルハーゲ帝国も同時に滅亡。世間にはこの部分だけが伝わっている。

 その過程でボーボボ一行と戦い、最終的に首領パッチに倒され、その後になぜかコパッチに転生したのがハロンオニである。なぜコパッチになったのかは誰も知らない。

 

「まあこんな感じのことがあったわけよ」

 

 という説明を。天の助は事情を知らないクラスメイト達にしていた。

 その話を聞いた一同は驚愕に染まる。何せ知人が、特に勇者パーティにとっては一年以上友人の少女がマルハーゲ帝国の暗部に関わっているかもしれないのだ。彼らが受けた衝撃は他のクラスメイト達に比べて一入だった。

 しかし当の恵理はそんな彼らに目もくれず、人型をとったハロンオニをただ睨みつけている。

 

「お久しぶりです……ハロンオニ様。それで、これはどういうことでしょうか?」

「見たままさ。今の僕はハイドレートの部下じゃない。首領パッチおやびんの部下、ハジケ組のコパッチだ」

「そうですか。じゃあ――」

 

 そしてハロンオニの返答を聞いた恵理は、瞳から一切の感情を消し、虚無と言ってもいいほどの何も感じさせない目をしながら告げる。

 

「死ね」

 

 それだけ言って恵理は手をハロンオニの方にかざし、そこから黒いオーラを放つ。

 

「ぐはぁ!!」

 

 撃たれたハロンオニは必死に躱そうとするも、あえなく直撃を受けてしまった。

 

「「え?」」

 

 このことに動揺したのは恵理と首領パッチ。

 ハロンオニはクリムゾンと同じく闇拳が使えるので、恵理の今の攻撃程度ならどうとでもなるはずなのだ。にも関わらずハロンオニは成すすべもなくダメージを受けている。

 

「あ、喰らってる」

 

 ちなみに天の助は同じ光景を見てもなお、どうでも良さげに反応するのみだった。

 

「こんなことになるなんて……アタシ聞いてないわよジェニファー!!」

「へぶっ!?」

 

 焦った首領パッチは思わず香織に向かって首領パッチソードを投げつける。その光景を見た鈴は驚いた。

 

(鈴、いつの間にかジェニファーの役降ろされてる!?)

「役あったの!?」

 

 鈴の内心に今度は雫が驚く中、恵理はハロンオニを問い詰める。

 

「どうして、どうしてボクの攻撃を防げない!? あんな挨拶替わりの一撃を成すすべもなく受けている!?」

「僕はもうハロンオニじゃない」

 

 激情を隠そうともしない恵理に対し、ハロンオニは淡々と返答する。

 

「首領パッチおやびんに倒されたあの時、ハロンオニとの僕は死んだ。今こうしてハロンオニの姿に変身できるのは一時的なものだ」

「……つまり?」

「言うならば、今の僕は元ハロンオニのコパッチだ」

「元ハロンオニ!?」

 

 衝撃過ぎるワードに恵理が叫ぶ中、役を下ろされたショックから立ち直った鈴は恵理に向かって殴りかかる。

 

「エリリン、こんなことはモウヤメルンダ!!」

「ぐはぁ!?」

 

 しかし、鈴が殴っていたのは恵理とは姿形はおろか性別も位置取りも違う筈の檜山だった。

 

「えぇ――――――――――っ!?」

「ここまで出番のなかった檜山君が遂にダメージを!!」

 

 いきなり殴られる檜山を見てツッコむ雫と香織を尻目に、鈴は必死に拳を振るいづけている。

 

「お願いエリリン! 目を覚まして!!」

 

 ジリリリリリリリリリ

 

 遂には拳ではなく目覚まし時計を取り出す始末。

 ここでリリアーナが鈴を羽交い絞めにしながら必死に止め始めた。

 

「鈴。あなたが殴っているのは恵理ではなく檜山さんです!!」

「――本当だ!?」

 

 リリアーナが止めたことで現状を正しく認識した鈴は恵理の方へ向き直る。いくらハジケリストがノリで味方を攻撃することが多くても、今はそんなつもりじゃなかったのにこうなったのだ。これはもう原因が恵理の方にあるとしか思えない。

 そして鈴の考えは正解である。ただし正解発表するのは恵理ではなくハロンオニだ。

 

「そうだ。あれが恵理の持つ“偽装闇拳〟だ。偽りの認識を植え付け、他者の欺瞞をエネルギーにする闇拳」

「――術式の開示!」

「本気だね」

「ボクが明かしたわけじゃないんだけど。別に隠すつもりもないからいいけどさ

 

 闇拳が明かされたことで本気具合を察する鈴と首領パッチに対し、恵理は呆れたように嘆息するだけだ。

 だが次の瞬間には嗜虐的な笑みを浮かべ、首領パッチ達に宣戦を布告する。

 

「まあいいや。ここからはボクが首領パッチ達をここで殺す」

「そんなことはさせないですぅ!!」

 

 恵理の言葉を遮るかのように、クラスメイト達でも首領パッチ達でもなく、リリアーナでもない第三者の声が。

 この声の主をこの場で意志を保っている全員が知っている。これは、ハジメの仲間であるシアの声だ。

 この声の直後、今皆がいる場所に、人が乗れそうな程巨大なモルモットが現れる。

 

(モロ流行りに乗ったの出てきた―――――――――――!?)

 

 そしてモルモットの中からある二人組が降りてきた。

 

「すみません。来て早々ですがどういう状況ですか!?」

 

 とりあえず止めたものの、今一つ現状を理解していないシアと

 

アオォォォォォ(アンデッドは全て封印した。)ォォォオオオン(お前が最後だ、ジョーカー)!!」

 

 狼だ。

 

「何ですかこの狼!?」

 

 突如現れた狼に対し、至極真っ当なツッコミを入れるリリアーナ。そんな彼女に対し、シアは気まずげに視線を逸らしながら返答した。

 

「……ユエさんです」

「どういうことですか!?」

「ユエさんは、ぼっ〇・ざ・ろっくのアニメ化決定が嬉しすぎてこんな姿に……」

「違うけど」

「「!?」」

 

 シアの説明を遮り、ユエが土中から現れながら訂正をする。

 その返答を聞いたシアとリリアーナの二人、いやこの場にいるほぼ全員がこう思った。

 

(じゃあこの狼、何?)

アォォォン(それじゃ、あっしはこれで)

 

 狼はこの場にいるほぼ全員が突き刺す疑問の視線を一身に受けながらも、特に疑問を解消することなくこの場を走り去っていった。

 

(何だったのあの狼……?)

「待たせたね! 真打登場だ!!」

 

 雫が未だに疑問を引きずる中、今度は空からハジメの声が。

 皆が一斉に上を見ると、そこには――

 

「ぎ、銀の翼に希望(のぞみ)を乗せて!」

「灯せ平和の青信号!」

「ボケ殺しの魚雷ガール、定刻通りにただいま到着!!」

”あれ? 妾の台詞がないのじゃが……?〟

 

 愛子、ハジメ、魚雷ガール、ティオの順で口上をあげながら降りてくる四人の姿があった。

 なお、ここでティオは人間の姿に戻っている。

 

「私はどこの勇者よ――――――――!!」

「ぼくらの勇者王―――――――――!!」

「ハジメさん。それ違う作品です」

 

 そしてそのまま魚雷ガールに吹っ飛ばされるハジメと、ツッコミを淡々と入れるシアにクラスメイト達は呆気に取られている。しかし、恵理だけは違った。

 彼女は魚雷ガールを視線に収めた途端、それまで首領パッチと天の助に向けていた以上の殺気を叩きつける。

 しかし叩きつけられている当の魚雷ガールはどこ吹く風とばかりに無視し、おざなりに恵理に向かって問いただす。

 

「ぶしつけに殺気を向けてきて、私に何の用かしら?」

「首領パッチにところ天の助のみならず、まさか魚雷ガールまでいるなんてね……! 絶好の機会だ。ここでボクがお前をぶっ殺して――」

「そこまでにしておきなさい」

 

 殺意を全開にし、臨戦態勢を完璧に整えた恵理に対し、冷や水を浴びせるような制止の声が聞こえる。

 恵理のみならず皆が視線を上にあげると、そこには翼を生やした天使のような何かの姿が。天使はゆっくりと恵理の元へ降りてくる。

 天使の姿は、少し前にハジメ達が倒した神の使徒、ノイントとほとんど同じものだった。だが一点違うところがある。それは――

 

「イシュタル。……何その姿?」

「これは偉大なるエヒト神様が創られた神の使徒と一体化した姿です。まあ、分かりやすいよう顔だけは元のままにしてありますが」

 

 体も服装もハジメが倒したノイントと同様だが、顔だけは聖教教会の教皇、イシュタルのままだった。

 

「「キモっ!?」」

「何これヤバイ」

「雑コラかな?」

 

 上から鈴と首領パッチ、ユエ、ハジメの順に酷評されていくイシュタル顔の神の使徒。その声にイシュタル自身は不満気だったが、恵理は大いに同意した。

 

「早く顔も同化しなよ。見ててキモいからさ」

「仕方ありませんね……」

 

 渋々と言わんばかりに、顔を本来の物からノイントに変えるイシュタル。その光景を見たハジメはある可能性にたどり着き、慄きながらユエに尋ねる。

 

「……ユエ。イシュタルさんが女の体になったってことはさ――」

「何?」

「これ、性転換の必須タグつけなきゃいけないかな?」

「何を心配してるんですか!?」

「一応入れとく?」

 

 ハジメとユエ、シアが裏でそんな会話をしている一方、ティオは強気だった。

 

「ふむ、神の使徒が一体増えたようじゃな。じゃがその程度で妾達が止められるとでも?」

 

 誰だか知らない老人がいきなりノイントと化したのは驚いたが、三人がかりでさっき倒した相手である。フルメンバー揃っている今ならそう苦戦はしない、と彼女は考えていた。

 しかしその考えはあまりにも甘い。

 

「そうですね。確かに私一人では無理でしょう。ですのでこうします」

 

 そう言ってイシュタルが指を鳴らすと、新たな神の使徒が空に現れる。

 一体、二体、と徐々に増えていき、最後には空を覆うほどの数、百を超える神の使徒が宙に浮かんで佇んでいた。

 

「我ら聖教教会一同、真なる神の使徒として生まれ変わりました」

「……随分一杯いるのう」

「これが、セット販売……!」

「お得! まとめ買いでお得なのね!!」

「ところてん抱き合わせ商法とかできねえかな」

 

 空を覆う神の使徒にティオ、ハジメ、首領パッチ、天の助が思うがままにコメントする一方、イシュタルは恵理の手を取り空へ昇っていく。

 そこに待ったをかける鈴。

 

「ま、待ってエリリン! どこに行くの!?」

「イシュタルと一緒に、とりあえず魔人族の所かな?」

 

 鈴の問いにどうでも良さそうに返す恵理は、そのままクラスメイト達に向かって一方的にこう告げる。

 

「それじゃあ鞍替えしたかったら次の機会で。それまでは精々、戦うか怯えるか好きに考えていればいいよ。南雲達以外は」

「存分に策を練り、戦力を集め、抗い、そして敗れ去りなさい。貴方達の無様な敗北談こそが我らの神が望むところなのですから」

 

 それだけ言ってイシュタル達は空の神の使徒を引き連れていずこかへ去っていく。

 誰もがその空気に飲まれかかっている中、首領パッチはハジメに聞く。

 

「ハジメ、あの新感覚天使は何だ? アイドルか?」

「そういえばノイントについては僕らしか知らないじゃん……」

 

 ハジメは、これからしなければならない説明の多さに頭を抱えるのだった。




性転換のタグを追加しました(赫怒)
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