なんとなく思いついた異世界転移ものの設定。ダークファンタジー風味?

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開拓組合(闇)

 所謂(いわゆる)冒険者ギルドのこと。組合前の看板には現地語で【開拓組合】、日本語で【冒険者ギルド】、英語で【冒険者ギルド】と書かれている。

 入口から入って正面には依頼案内板が配置してあり、入って左側には依頼受付を行う職員が配置されている。

 職員の中には日本語と英語を理解した翻訳人がおり、組合に入ってきた人が「冒険者ギルド」と日本語または英語で話しかけた場合翻訳を行う。

 組合に入ってきた人間が「冒険者ギルド」と言葉を発した場合、都合のいい駒として扱う為に、最低限の現地語習得を習わせる。その後研修期間を経て、開拓組合の中でも高難度の依頼を率先して回される。逆に組合に入ってきた人間が「開拓組合」と言葉を発した場合、丁重に扱い、駒の様な荒い扱いを行うことは無い。依頼も難度の低いものを率先して回されるし、依頼を受ける開拓者の力量に合わない依頼を(すす)めることもない。

 開拓組合の実態は(ひど)(いびつ)なもので、街を作り街道を作り防壁を作りと人の居住や流通経路を整えた結果、人の平均寿命が延び、出産率が桁違いに上がったことに(ともな)う資材の不足をどう(おぎな)うかが問題になった際に、自分たちとは関係のない者達に出来るだけこちらの情報を与えず、行動や知識をこちらで上手くコントロールして使える手駒(奴隷)として使役するという非人道的な行為を実現させるために生まれたものである。

 看板を見て無知で常識知らずな異界の者は組合に入って「冒険者ギルド」と言う言葉を発し、その言葉を発した者を異界の者と認定し、こき使うという非道なことを行っている。

 これは組合全体が協力して行っていることであり、それ故に心の清いものはこの所業に耐え切れず仕事を辞めることもしばしば見受けられる。

 心優しい現地人は進んで開拓組合に向かおうとする異界人に声を掛けるが、如何(いかん)せん異界人は現地の言葉を知らない為、一番最初に目に付いた同郷の言葉を扱っている開拓組合に(すが)る様に、(また)は欲に目がくらみ飛びつく様に入り込んでいく傾向(けいこう)が強い。

 組合を辞めた心清い者が異界の言葉で警告を発したとしても、警戒心を持たぬ者はその者の言葉を一笑(いっしょう)に付し、自ら死地(しち)へと(いさ)みゆく。その先にあるのは実力の不足による当然の結末か、或いは多大なる実力を認められたが故の飼い殺しの奴隷かの二択であるにも関わらず……。

 唯一現状を正しく認識し、周囲を観察し、状況を正確に把握出来る観察眼と用心深さを兼ね備えた異界人のみが心清き者の言葉を受け入れ、危険を回避することが出来る。



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