おしかけサーヴァント   作:袈裟山

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もっとかっこいい文章書けるようになりたいなぁ……







10 話

 

 

土日の繁華街は平日に比べて人が多い

俺みたいな出不精の人間は貴重な休みをわざわざ人混みに揉まれに行こうとは思わないので買い物は大抵通販サイトで済ませるのだけど、さすがに急を要する場合は通販よりも直接買いに行った方がいい

 

先日から急に居座ることになってしまった同居人との共同生活を快適にするためにも最低限必要なものを揃えなければいけない

 

あの快活な美少女の無防備すぎる言動に振り回されてすっかり忘れてしまっていたが今後共に生活していくための準備を進めなければ胃に穴が空きかねない

俺の家に転がり込んで来た時には財布も携帯も自分の着替えすら持っていないのだから困ったものだ

今までどうやって生活していたのだろう

 

「こんなものか」

 

アストルフォ用の食器、洗面用具、衣類(タオル等)を一通り購入した俺は一息ついてショッピングモールのベンチに座っていた

 

今までは1人分しか持っていなかった日用品がもう1人分増えるというのはなんだか感慨深いものだ

 

仕事疲れで重くなる足を休めていると離れた所から声がした

 

「マスターー(」≧∀≦)」」

 

俺の視界の先には大きく手を振りながら駆け寄ってくる美少女が映る

 

「すごいねマスター!ここってなんでも売ってるんだね!右を見たら雑貨屋に本屋でしょ、左を見れば美味しそうな香りが漂うレストランだよ♪あとね5階には映画館があるんだって、ねぇはやく観にいこうよ٩(ˊᗜˋ*)و」

 

はやる気持ちを抑えきれないのだろうか俺の手をグイグイ引っ張り急かしてくる

ちなみに今日のアストルフォは今まで着用していた俺のパーカーと半ズボンではなく、先程購入したイマドキの若者が好みそうな服を着ていた

上は白のセーターに下は短めのスカートを履いて生足をさらけ出している

 

「ちょっと待って……頼むからもう少し休ませてくれ、あと俺のことをマスターって呼ぶな、色々と目立つから」

 

それでなくても既に目立っているのに(主にアストルフォが)この上さらに注目を集めるような言動は控えて欲しかった

 

「じゃあなんて呼べばいいんだい?」

 

「そりゃあお前……」

 

なんて呼ばせればいいんだ?

一応形式上は遠い親戚って名目だから……

 

「……叔父さんとか」

 

「おじさんかぁ……なんかしっくりこないなぁ、マスターはそれでいいの?」

 

「よくはないけどマスターよりは健全な気がする」

 

同居している時点で健全ではないけどな

 

「ご主人様♡とかどうだい?」

 

「却下で」

 

「じゃあアナタ♡とか、あるいはダーリン♡とかもあるよ」

 

「…以前も説明したが、俺とお前の関係は遠い親戚(設定)なんだからそういう呼び方はおかしいだろ」

 

「マスターのその意見に異議を申し立てまーす!」

 

元気よく手を挙げて俺に迫る

 

「なんだ、いきなりどうした?」

 

「そこは親戚じゃなくてもっと親しい関係になればいいんじゃないでしょうか!」

 

「?」

 

「つまり恋人同士になっちゃえばマスターが気にしてる世間体的な問題が万事解決ってことさ( *¯ ꒳¯*)」

 

「お前がもう少し世間体を気にした行動ができれば俺の悩みは万事解決なんだけどな」

 

一件落着と言いたげな満足気なドヤ顔を披露している

なんだかコイツを見ていると俺の悩みなんて大したことないものなんじゃないかと錯覚してしまう

 

「俺とお前はそういう関係になれないしなるべきじゃないんだよ、それこそ世間が許してくれないだろうさ」

 

「でもさ」

 

一息置いてアストルフォが続ける

 

「マスターが色々なことを考えているのは分かるんだけど考えてばかりじゃなんにも進まないじゃないか」

 

そう言うとアストルフォは俺の腕をぐいっと引っ張って身体を密着させてきた

それこそ傍から見れば恋人同士だと思われかねない程の密着具合だ

 

「まずは行動してみようよ!周りがどうこうじゃなくてマスターがしたいことを全力でやってみよう(≧∀≦)ボクはね今マスターと恋人同士みたいにデートしたいんだ」

 

このコミュ力化け物め、距離の詰め方が半端じゃないな

 

「これでボクはマスターの恋人だよ」

 

俺がやりたいことは一刻も早く買い物を済ませて家に帰りたいことだよ……とは言えんなぁ

嬉しそうにはしゃいでいる姿に水を差すのも本意ではないし、世間体とか言っておきながら悪い気もしないし

1つ問題があるとするなら周囲から刺さるような視線が注がれていることくらいか……

 

「わかったよ…今日はお前のわがままにできるだけ付き合ってやる」

 

「本当に?やったー・:*+.\(( °ω° ))/.:+」

 

余程嬉しいらしい

まぁ週末まで極力外出を控えさせていたから久々に羽を伸ばせて嬉しいのだろう

 

「そうと決まればさっそく映画館にいこう٩(ˊᗜˋ*)و」

 

「なんか観たい作品でもあるのか?」

 

「あるある!昨日CMで流れてた【呪殺の村】っていうのが気になってたんだよね((o(。>ω<。)o))」

 

ピタリと足が止まる

 

「それってもしかしてホラー映画じゃないか?」

 

「そんなのタイトルからも分かるとおり、もしかしなくても確実に完全に明白にホラー映画に決まっているじゃないか(* 'ᵕ' )☆」

 

「…………」

 

なかなかその場から動くことのできない俺をアストルフォは急かすようにグイグイ引っ張る

 

「どうしたんだいマスター?はやくはやく!公開時間まであと10分しかないんだよ」

 

「いやぁちょっとその映画はなぁ…他のやつにしないか?」

 

「えーやだぁ!この映画がいいんだよぉ、あ!もしかしなくてもマスターってこういう系苦手なのかい?」

 

取り繕っても仕方がないので素直に白状する

 

「実はあんまり得意じゃないんだよ、昔からこの手の映像作品は最後まで見れたことがない」

 

「そうかそれは仕方ないね」

 

「わかってくれたか」

 

「でも安心してくれ!今日はボクが隣についてるからどんなことが起きても無問題さ( *¯ ꒳¯*)」

 

あ…ホラー映画は見るんだ

他のやつに変えてくれたりはしてくれないんだ…

 

「怖くなったらボクの手を握ってくれよo(`・ω´・+o) そしたら大丈夫だよ〜って頭をナデナデしてあげるぜヾ(・ω・`*)」

 

その図がもはやホラーだろ

ていうか男として情けなさすぎる

 

「どうしても嫌なら違うのにするけど?」

 

「……う…うーんそうだな」

 

俺が本当に嫌そうな顔をしていたことに気付いたのか妥協案を提示してくれた…気遣いからか笑顔ではあるが残念そうな表情だ、

女の子にこんな顔をさせてまで我が身かわいさを優先させていいものか、答えは否である

 

「いや大丈夫だ…ホラー映画くらい余裕で観れる、それに今日はお前のわがままに付き合うことにしたんだ、いまさら前言を撤回したくない」

 

グッと拳を握り込み、これから襲ってくるであろう恐怖体験に備えるべく物理的にも精神的にも重くなった足をなんとか前に進めた

 

「一世一代の決意表明中に水を差すようだけど映画を観るだけだよマスター」

 

「冷静なツッコミどうも、あとマスターって呼ぶな」

 

「じゃあご主人様♡」

 

「やめんか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ〜すごい迫力だったね(*>ω<*)」

 

「……ウン…」

 

「あの呪われた村は実際に存在した集落を元に制作されたらしいよ(*>ω<*)」

 

「………ソウダネ……」

 

「だからあんなにリアリティがあったんだね〜(*>ω<*)」

 

「…………ソウカモネ………」

 

「大丈夫?(੭ ᐕ))」

 

「……もうちょっと待ってくれ、今殺していた心を取り戻そうとしている最中だ」

 

映画は面白かったのかもしれない、後半からはもうストーリーを楽しむ余裕すらなく、いつ襲ってくるかわからない恐怖に身を固めて恐怖心から脱却するべく余所事を考えていたがそれも映画館の大音量によって霧散していった

 

「マスター途中から小声で数字を羅列してたよ」

 

「あれは素数を数えてただけだから気にするな」

 

「いや気にするよ、映画よりそっちの方が怖かったよ(´・ω・`)」

 

「すまん、鑑賞の邪魔をした」

 

「まぁ気を取り直していこうよ٩(ˊᗜˋ*)وそろそろお腹も空いてきた頃合いじゃあないかな、ほらさっきのレストランで美味しいもの食べたら嫌なことも忘れるってもんさd(≧▽≦*)」

 

う…年下の若い女の子に気を使わせてしまってるのがなんとも心苦しい、もっとスマートにエスコートしたかったなぁ

 

「そうだな腹も減ったし適当に食べてから今日はさっさと帰ろう…と、その前にトイレ行ってくるわ」

 

「わかったーじゃあボクはあそこのベンチで待ってるね(。・ω・)ノ゙」

 

「おう」

 

映画を観終わるとやたらとトイレに行きたくなるのはなぜなんだんだろう…ちなみにこの尿意は恐怖心とは別である

 

トイレを済ませて手を洗いながらふと思ったのだがアストルフォは男を自称しているけれど公共のトイレはどっちを使うのだろうか、あの見た目で男子トイレに入ったら軽い騒ぎになるだろうからやはり女子トイレか…いやぁなんとなくは気づいてきたのだが

アストルフォは本当に男なのかもしれない

先日一緒に風呂に入って身体を洗ってやった時に男性特有の骨格というか感触だった……それが未だに手に残っている

あと初日にヤツの半裸状態を目の当たりにした時にどことなく少年のような体付きをしていたのだ

そこまで確認しておいて俺はなぜアストルフォを男性だとみとめられないのだろうか…

もしかすると俺はアストルフォを女性だと思いたくてそうであって欲しいと願っているのかもしれない

 

本人が男性を自称するのを頑なに認めないのはそんな俺の偏った願望の押しつけに過ぎないのかも…だとすればなんとも身勝手な感情だろう…昨今の傾向としてこの手の問題は非常にデリケートだというのに、今度改めてアストルフォの素性を確認したうえで俺の認識が間違っていたのなら正式に謝罪しよう

 

そんな決意を固めながらトイレを後にしてアストルフォの元へ戻ると

 

「ねえ君かわいいね、もしかして芸能人?」

 

「この後暇?よかったら俺達と遊ばない?」

 

見知らぬ男2人がアストルフォに話しかけている

 

「…えーと」

 

珍しく動揺しているのだろうかオロオロと困ったようにあたりを見回していた

 

「ごめんね、怖がらせるつもりはないんだ」

 

「そうそう、ただあんまりにも君がかわいいからさぁ、名前は?どこから来たの?」

 

「な……名前はアストルフォで…家は…」

 

「あすとるふぉ?…外人か?」

 

「日本語上手いねぇ俺らより上手じゃん!」

 

ケラケラと笑い合う男二人とは対照的に明らかに怯えているようにも見える……いかん!冷静に観察している場合じゃなかった

さっさと助けなければ

 

「おいアストルフォ!」

 

咄嗟に声を掛けてやると俯いて暗くなった表情がパッと明るい満面の笑みへと変わった

そして両手を広げて俺の元へ駆け寄ってくる

 

「あ!ご主人様ーー!ヽ(*゚∀゚*)⸝︎︎」

 

『ご主人様!?』「ご主人様!」

 

見知らぬ男2人が驚きのあまりハモる

それに追随するように俺も声が出る

 

「ご主人様ぁ(((´。•(•ω•。`)スリスリ♡」

 

俺の腰に抱きつきコアラのようにホールドしたかと思えばスリスリと頬擦りしだした

 

「お前!公共の場でその呼び方はよくない!非常によくない!あと抱きついて擦り寄るな!」

 

「だってぇ〜怖かったんだもん:(;>д<):ご主人様に待てを命じられたからボクいい子にしてたよ、だから慰めて?ボクをたくさん甘やかしておくれよ〜ヨヨヨ(´•̥ω•̥`)」

 

こいつ…わざとか?わざとなのか?

 

「わかったから一度離れろ!あとご主人様って呼ぶな!」

 

「ひどい!昨日は一緒にお風呂にも入ってくれたのに今日のご主人様はドSなんだねヨヨヨ(´•̥ω•̥`)、けどそんな待遇を受けてもボクはご主人様にこの身を捧げるよ」

 

わかった…こいつわざとだわ

嘘泣きだもん、やってるわ

 

「なんかただならぬ関係じゃね?」

 

「あぁ…俺達がつけ入る余地全くねぇな」

 

先程まで女の子を引っ掛けようとしてた2人も唖然というかもはや呆れてしまっているではないか、そしてさらに周囲からの視線が刺さること刺さること…ショッピングモールのど真ん中でサボテンになっちゃうよ

 

「ご主人様ぁ今夜は一緒の布団で寝ようね(((´。•(•ω•。`)スリスリ♡」

 

「……お仕置タイムが必要らしいなぁ…アストルフォ」

 

「ご主人様(-ω-;)アレ?」

 

どうやら俺を本気で怒らせたらしい

こいつの度が過ぎた行動は今日で見納めだ

今後の生活のためにも俺の社会人生活が一定の水準を下回らないためにもこれは必要なことだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




アストルフォのセリフに顔文字を付けてみました
感情豊かになったので個人的には満足です
読みにくかったらごめんなさいm(._.)m
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