おしかけサーヴァント   作:袈裟山

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文章の長さが一定しないので長かったり
短かったりが目立ちますがご容赦を。









3 話

有り合わせで作ったチャーハンは思いの外アストルフォから好評をもらうことができた

異性に料理を振る舞うのは初めての経験故に口に合うか不安だったけど、彼女の食べっぷりを見るあたり杞憂だったらしい。

少しばかり多めに作りすぎたであろうチャーハンはあっという間に彼女の胃袋へと飲み込まれてしまった

 

「ごちそうさま。美味しかったよマスター♪」

 

「そうかい、そりゃなによりだ」

 

言いながらコップに注いだむぎ茶を差し出した

「ありがとー♪」と快く受け取るとそれを一気に飲み干した。

 

「もしかして食べてなかったのか?」

 

「なにが?」

 

「食事だよ、朝飯も昼飯も食べてなかったのか?」

 

「うん、そうだよ」

 

彼女はなんてことのないようにそれが当然であるかのように返事をした

なんだか無性に腹が立ってしまった

満足に飯を食べさせてやれない程にこの子の保護者は保護者であることを放棄しているのかと、それを思うとやり場のない怒りが心の底からふつふつと沸き上がってきた。

彼女がどんな環境で育ってきたのか会ったばかりの俺には当然分かるわけがない、だけど今の現状を良しとして受け入れることなんて今の俺にはできそうになかった。

 

「今度はマスターにボクの料理をご馳走するね♪」

 

「今度ってお前はいつまで俺の家に居座るつもりなんだよ」

 

「え?ずっとだよ。マスターはボクがいるのが嫌なのかい?」

 

「嫌とは言わない、困りはするけどな」

 

「なんでさ?」

 

「その理由をお前が理解していないのが一番困るんだよ」

 

「わかったマスターはボクに欲情してるんだ!」

 

「…」

 

「だからお風呂にも一緒に入ってくれないし、帰ってきてからずっとそわそわしてるんだね!」

 

「……」

 

「大丈夫だよ♪ボクはいつでも受け入れ体制OKさ!マスターのリビドーを真っ向からぶつけてもらっても全然構わないよ♥️」

 

「さぁて風呂でも入ろうかな」

 

一つ理解した。

こいつと話していると精神を削られる

会話の噛み合わなさが異常すぎてなにも言えなくなってくる

 

「聞いてマスター!ボクはね世界の全てが好きなんだよ!もちろんマスターのこともね♪だから例えばマスターがボクの事を慰みものみたいに扱っても絶対に嫌がったり怒ったりしないのさ」

 

その言葉を聞いた時俺の中で再び怒りの感情が沸き上がった。

 

「いい加減にしろ」

 

「…マスター?」

 

突然低い声で静かに怒る俺に若干気圧されたのかアストルフォは伺うような声色で俺の顔を覗き込む

 

「その発言がどれだけ危うくて悲しいものなのか今のお前には分からないかもしれないけどな。そんなことを言われて喜ぶような奴はクズだ!俺はそこまでクズな人間じゃない、二度とそんな発言はするなよ」

 

「……」

 

「わかったか?」

 

「…うん…わかったよ」

 

「よろしい」

 

怒り方としては少し大人げなかったかもしれない

だって俺が本当に怒っている相手はこいつではなくて彼女にこんなことを言わせた保護者に世間に対して憤慨しているから

どちらかというと彼女は被害者なんだ

だから彼女に対して怒りの矛先を向けるのはお門違いもいいところ彼女からすればいい迷惑だったのかもしれない。

けれど言わずにはいれなかった

俺は感情の起伏に乏しい人間だと自負していただけに考えるより先に口が動いたことに自分で驚いたりしている。

 

アストルフォはリビングに残し一人風呂に入った

いつも通り体を洗って髭を剃り歯も磨いて湯を溜めていた浴槽に浸かる

心なしかいつもよりいい香りが漂っている気がするけれどあまり気にしすぎてはいけないと思い湯に顔を沈めた

 

コンコンとノックの音がした

湯船から顔を出して音のした脱衣場の磨りガラスのドアを見やるとアストルフォがドアの前に立っているのがぼんやりと分かる

 

「マスター?」

 

「なんだ?」

 

いつの間にか彼女からマスターと呼ばれることに対してなんの抵抗もなくなってしまって普通に返事をしてしまった

マスターってなんだよ普通ご主人様とかじゃないのか?

いや、ご主人様も普通ではないな。

 

「…まだ怒ってる?」

 

「…もう怒ってないよ」

 

なるべく優しい口調で言ってやった

間を空けたのは先程ガチで怒った手前少し恥ずかしいというのもあるからだ。

 

「あのねボクねマスターを怒らせようと思ったわけじゃないんだよ」

 

「わかってるよ…さっきのは俺も少し言い過ぎた。別に悪いのはお前じゃないのに八つ当たりしちまった…すまん。」

 

「ううん、ボクこそごめんね配慮が足りなくて」

 

「あのな俺は一応大人でお前はまだ子供なんだよ…配慮とか変に気を使わなくていいんだ。」

 

 

先程まで溢れていた怒りの感情は気づけば何処かに消えていたみたいだ

彼女の申し訳なさそうな声を聴いてしまってはこれ以上怒るのは違うだろ…それにもう言いたいこともなくなってしまったし。

 

 

「あまり気にするな、今風呂から上がって布団敷いてやるから待ってろ」

 

「えーもう寝ちゃうのかい?ボクはまだ眠くないよ?」

 

急に元気な声になったな…

 

「俺はもう眠いんだ。今日は多方面に気を使い過ぎたせいで特に精神的に参ってるんだよ」

 

「じゃあじゃあボクがマスターの布団に入って添い寝してあげるよ」

 

そういうとこそういうとこ俺が疲れる元凶はあなたですよぉ

 

「マスター聞いてる?ボクが添い寝してマスターの体と精神を癒してあげるから楽しみにしててね♪もちろん手を出してもOKだよ♪」

 

「はぁ…」

 

お風呂でため息を吐くと狭い浴室によく響く

体と心のケアは今この時に済ませてしまってこの後も続くであろう口論のために栄木を養うとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇねぇマスタードキドキする?ボクはねドキドキもするしワクワクもしてるよ♪」

 

「そうかい俺はワクワクどころかソワソワしてしまいそうだよ」

 

 

結論からいうと俺とアストルフォは同じ寝床で寝ている

 

誤解してほしくはないので先に言い訳しておくと決して下心から彼女の申し出を受けた訳ではない

二人分あると思った布団は先月実家にもって帰ってしまっていたのをすっかり忘れてしまっていた

故に俺の部屋には布団は一人分しかなかったのだ

俺がソファーで寝るという選択肢もあるにはあったが掛け布団も一人分しかないので体が冷えて風邪を引くこと間違いなしだったのでそれも難しい

となれば残った選択肢は一つの布団を二人で使う以外になかったのだ

これは仕方のないことだと何度頭の中で繰り返し言いきかせただろうか、一方のアストルフォはなにやら嬉しそうに俺が貸してあげた寝間着に着替えていち早く布団に潜っていやがった

すりすりと俺が毎日使う布団に頬擦りしながら「マスターはやくはやく!」と布団の袖をめくり上げて俺を誘っていやがる。

 

「いいですか万が一俺があなたの体に触れたとしてもそれは事故だと思ってください」

 

「マスターなんで敬語なの?」

 

「気にするな。とにかく俺はなるべく向こうを向いているから布団を持っていかれない程度に俺から距離を取れよわかったな?」

 

「大丈夫だよぉボクはマスターの布団を取ったりしないから安心して♪」

 

「うんもうそれでいいや、とにかく俺からなるべく体を離してくれたらそれでいいです」

 

 

しばらくは眠れそうにないだろうけどなるべく意識を壁に向けて後ろ見ないようにすればそのうち眠りにつくだろう

アストルフォに与えた寝間着はもちろん俺用のサイズなのでブカブカだ

見えちゃいそうで見えないような、いやこれもう見えてるわ

 

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