帝征のヒーローアカデミア   作:ハンバーグ男爵

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ヒロアカのSSは耳郎メインの話多くて好き…
個人的には病んでる耳郎とか純愛耳郎とか好き、作者様末永く書き続けて?

ともかくこっちは体育祭編始まるよ!








体育祭なにがし
10 体育祭、序章


USJ襲撃事件から休みを挟んで、私達は雄英高校へ登校し、朝のHRが始まる5分前。

世間はまだヴィラン襲撃の話題で持ち切りだ、当然クラス内でも話はそればかり。お喋りな上鳴は早速響香とお喋りしてる。

 

「いやーテレビはまだUSJの事で持ち切りだな!」

 

「そりゃそうだ、プロヒーローを輩出する雄英がヴィランに襲われたんだよ?」

 

「龍征さん、精密検査から1日経ちましたけどお身体の具合は如何ですか?」

 

「…眠い。」

 

「それはいつもの事ですわよね…?そろそろHRが始まりますわ。ホラ起きて。」

 

「ん~…クソドロは悪い文明…」

 

「なんの話ですか?」

 

私は案の定フレと半徹だ、イベントの最終日でドロップ率3倍だから仕方ないね。

オカン百に揺すり起こされて、渋々顔を上げたら、何故かこっちを凝視してる轟と目が合った。

 

「どした轟、私の顔になんか付いてるか?」

 

「…なんでもねえ。」

 

話し掛けるとぷいっと顔を逸らす、轟の癇に障る事なんてした覚えは無いんだけど…

今までの経験だと、あの類の睨まれ方は放課後急に呼び出されて気付いたら20人位に囲まれてるパターンだ。背中には気を付けよう。

 

チャイムが鳴って少し、今日も委員長絶好調の飯田が皆を席に着かせた直後、入って来たのは全身包帯塗れのミイラマンだった。

 

「「「「相澤先生復帰早ッ!?」」」」

 

「俺の事はどうでもいい…」

 

クラスの総ツッコミも軽く受け流し、先生はつらつら言葉を紡ぐ。

 

「新たな戦いが始まろうとしている、それは…」

 

 

 

体育祭だ

 

 

 

「クソ学校っぽい行事来たアアアッ!!!」

 

 

 

本当にアップダウンの激しいクラスだ。

ヴィラン襲撃があった直後に?との不安も当然あるだろうが、逆に開催する事で雄英のセキュリティを世間に見せ付ける算段らしい。

警備も去年の5倍。雄英の警備、遂に首相官邸を超える。

 

「因みに…プロヒーロー達もこの大会を通してお前達を見定める。

将来を見据えるなら、よく考えて大会に挑め。

…焦れよ、お前ら。」

 

個性が発現し、それまでスポーツの祭典だったオリンピックは形骸化。代わりに注目を集めたのが雄英体育祭だ。

個性使用可能の体育祭、毎年話題性もバツグンで、毎年全国ネットで生放送してる。プロヒーロー達からは次世代のヒーローを見出すスカウトの場としても活用され、先生曰く大会後の職場体験にも影響する大イベント。ヴィラン襲撃などで中止していいものでは無いらしい。

 

「体育祭…イベント…」

 

ん…?待てよ、そう言えば私、この手のイベント初めてじゃね?

小学校は才子先輩の付き人で付きっきりだったし、餓鬼道ではイベント自体が禁止されてたから言わずもがな。不良共に軽々しくイベントを与えると暴走するからね、過去にPTAから滅茶苦茶文句言われてやらなくなったって聞いた。

 

人生初の学校イベントが雄英体育祭とか、豪華だなオイ。

 

「…楽しそう、なんて言ったら除籍かな。」

 

「プロヒーローの方々に私たちの日頃の成果を見てもらう場、なら…頑張らなければ!」

 

百はやる気満々、クラスの皆も各々闘志を燃やしている。私も内心ウッキウキだ。その中で、何故か轟だけは切羽詰まったような表情で何か考え込んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ヤオモモside◆

 

昼休み

 

「あ、そうだ百と響香。忘れないうちにコレ渡しとく。」

 

そう言って帝さんが私と耳郎さんに手渡したのは小さなタッパー、その中にはショートケーキが入っていました。

 

「帝さん、これは…?」

 

「この前、私が病院で検査受けてる間2人にブラウニー達の面倒見てもらってたでしょ?そのお礼。

店の新しいメニュー用に幾らか試作品作ったんだけど、余ったからあげるよ。」

 

「え…帝がコレ作ったの?」

 

「…?そうだけど。」

 

「えっ」

 

「えっ」

 

なんですか耳郎さん、その意外そうなお顔は。かく言う私も帝さんの意外な一面に驚いてますが…

綺麗に形の整えられたフルーツケーキ、てっぺんにはちょこんと苺が乗っていて、カットされたスポンジの断面からはマンゴーやキウイ等の色鮮やかな果物が覗いています。かなり手間を掛けて作られたのでしょう。

私の個性は脂質を消費しますので、こういったカロリーは大歓迎です!体育祭もある事ですし、今日も特訓が捗りますわ!

 

「帝さん、お菓子作りお上手なんですね。びっくりしましたわ。」

 

「喫茶店の料理は殆ど私が作ってるからな。店長の分の食事も作るし、大抵の料理はできるぞ。」

 

「帝の意外な一面だ…うまッ!下手にお店で食べるヤツより美味しいじゃん!」

 

お箸で御自身の分をつまみ食いした耳郎さんが頬を綻ばせているのを見て、お弁当を食べる前にも関わらずついつい一口フォークで切り取って食べてしまいます。

…美味しい。

スポンジケーキに包まれたフルーツの甘みとほのかな酸味がくどすぎない生クリームとマッチしていて、口当たりも最高ですわ。

 

「とても美味しいです、帝さん!」

 

「そーか、良かったな。」

 

「ヤオモモと耳郎ちゃんケーキ!?どしたのコレ!」

 

騒ぎを聞きつけたのか、芦戸さんと葉隠さんも此方に近寄って来ました。

 

「帝から貰ったんだよ、2人も一口食べる?」

 

「葉隠さんは私の分を一口どうぞ。」

 

「わーい!

…美味しっ!帝ちゃんお菓子作り上手だね!」

 

「今度私達にも作ってよー!」

 

「じゃあ次の新作は2人に味見して貰おうかな。」

 

「「やったー!」」

 

「けろっ。帝ちゃん、意外な一面ね。」

 

「ふっふっふ、惚れ直したかい梅雨ちゃん。

じゃあ私は食堂行って食べるから。あ、タッパーは私の机に置いといて。よろしくー。」

 

冗談交じりにそう言って翼竜達に缶詰を与えた帝さんは、そそくさと食堂へ言ってしまいました。

 

「帝ちゃんってさ、普段気だるそうにしてる割に、なんだかんだ面倒見がいいよね。」

 

「だねー、流石不良を取り纏めてた生徒会長なだけはあるよ。」

 

「それ関係ある?」

 

「面倒見がいい、というのは彼女の個性である翼竜達もそうですわね。USJの一件、私達はザッハトルテさんの援護が無ければ大怪我をしていたかも知れません。」

 

先のUSJ襲撃、私の飛ばされた山岳エリアでは人質になった上鳴さんを救い出し、そのまま皆さんの居るエントランスまで案内を務めて下さいました。

帝さんの命令に従い、自立する4匹の空飛ぶ翼竜は、彼女の目指すレスキューヒーローに大いに役立ってくれるでしょう。

 

「それなヤオモモ!

あん時龍征の翼竜居なかったらマジヤバかったよ!」

 

「上鳴、放電して役立たずだったもんね…ぷくくっ…」

 

「うっせ!その前まで役立ってただろが!」

 

私が電気を遮断する布で耳郎さんと自身を守り、上鳴さんの放電で一網打尽。あの時は上手くいって良かったです。

 

「救助活動において、帝ちゃんの翼竜達は強力だわ。空から救助者を捜索できるし、あの子達は人を1人運べるくらいの力があるもの。私と峰田ちゃんも相澤先生を運んだ時、みんなの所へ戻るまでに何人かのヴィランに出くわしたのだけど、ガトーちゃんが追い払ってくれたわ。」

 

「ぼ…俺は肩を掴まれてオールマイト先生の下まで猛スピードで運ばれたな。」

 

「山で遭難者の捜索とか、凄く役に立てそうだよね!」

 

話が盛り上がる中、私は缶詰の中身を貪り食っているザッハトルテをちらりと覗きました。

強力な個性…人を助けるに余りあるそれを、ひとたび傷つける為に使われたとしたら…

USJで見せたように、ヴィランに向かって炎を吐き、牙で噛みつき、爪で掴んで放り投げる。そんな単純ゆえに恐ろしい『力』を4つも彼女は保有している。

 

帝さんは、どんな気持ちで彼等を使役しているのでしょう…

 

クルルル…?

 

あっ、ザッハトルテさんがこっちを向きましたわ。

最初は少し怖かったですけれど、面倒を見ているうちに愛着が湧いてしまいました。よく見れば愛嬌のあるお顔をしています。

命を救ってもらいましたし、あの子には今度何か御礼を考えておきましょう。

帝さんは缶詰を食事に出していますから、やっぱり缶詰をあげると喜ぶのかしら?如何せん私は缶詰の種類には疎くてよく分かりませんが、この間すし〇んまいの重役の方が持ってこられたお中元があったはず…

確か黒い箱に入っていて妙に物々しい感じの缶詰でしたけれど、お父様に言って1つ分けて頂きましょうか。

 

ザッハトルテさん、喜んでくれると良いのですけど…

 

 

 

 

 

 

 

◆心操side◆

 

 

 

「よ、スーパー人使くん。今日もボッチか。」

 

「ボッシュートされねえぞ、俺は。

つーか今日に限ってはお前もボッチだろ。耳郎や障子はどうしたんだよ。」

 

「響香は今日弁当だから教室でクラスの子達と食べてる。障子は…トレーニングじゃない?体育祭あるらしいし、それに向けてさ。」

 

騒がしいいつもの食堂。今日も龍征は俺の向かいの席にやって来て、話し始めた。

 

「もークラス中体育祭の話で持ち切りよ。」

 

「そりゃそうだ、オリンピックに代わる日本の一大行事だからな。」

 

「それにしたってウチのクラスは血の気が多い、流石倍率300倍の面子だよ。全員我が強くて強くて、こないだなんてさー…」

 

話を続けながらカツ丼の大盛りを物凄いスピードで口に放り込む龍征。

入学してから数ヶ月、既にヒーロー科は数え切れ無いほどの経験をしてる。戦闘訓練やレスキュー訓練、そしてイレギュラーではあるがヴィラン襲撃に伴う実践戦闘。

俺のいる普通科とは比べ物にならない密度で経験を重ねていた。

 

同じ雄英でもこれ程に違うのか

 

選ばれた者とそうでない者の差を見せつけられているようで辟易してしまう。

それでも目の前の憧れは、気にしないと言わんばかりに俺の傍に現れて、こうして世間話しにやってくるんだ。

 

「そう言えば心操、筋トレしてる?

なんか最近筋肉質になってるよね。」

 

「…入学してからは身体鍛えるようにしてる。俺の個性は対人戦が基本だからな。」

 

流れるように肩を触ってくるあたり、この女には男女の距離感というものが存在しないのか。耳郎が頭を抱えていたのも頷ける。

 

「心操の個性強いのにな、入試がロボじゃ相手が悪い。」

 

「だがまだヒーローになれないと決まった訳じゃない。体育祭の成績次第じゃヒーロー科に転入できる可能性もある、俺は諦めねえ。」

 

「心操がヒーローかぁ…イレイザーヘッド並みに対人戦の鬼になりそう。相澤先生の怪我が治るのを見計らって、色々教えて貰ったらどう?

戦闘スタイルも似てるし、いいアドバイス貰えるかもよ。」

 

「いいな、それ。その為にも、先ずは体育祭で結果を出さなきゃな…」

 

ぐっと拳に力を込める。

入試の日、あの時から卑屈になるのは止めた。俺は俺の個性に自信を持って、ヒーローを目指す。

洗脳の力を受けて、それでも「ヒーローになれる」って言ってくれた馬鹿に後押しされて。

 

だから…

 

「放課後、A組に邪魔するからな。」

 

「…?」

 

Plus ultra(更に向こうへ)、踏み出そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後

 

 

さて、今日も1日お疲れ様です。今日の授業のハイライトは英語の時間に寝てた私を響香がイヤホンで無理矢理起こして、授業中に変な叫び声上げちゃった事かな。

 

「寝てるアンタが悪いよ、ノートをガナッシュ達に取らせてるとか狡過ぎ。」

 

「こ、これも個性制御の訓練だから…」

 

「おいウチの目を見て話せ。」

 

授業中急に思いっ切り起こされて「ぴゃあああああっっ!!」ってデカい声で叫んでしまったぞ恥ずかしい。それにびっくりしたマイク先生が英文の音読中に舌噛んで授業の後半悶絶してる姿はかなり面白かったけど。

 

「全く反省していない!」

 

 

それはともかく!

体育祭も迫ることだし、先生から許可取って訓練所で個性の練習とか、早く帰って自主練とか、そういう事したい人も多い今日この頃。

 

「…帰れん。」

 

「なんなのこの人の波!?」

 

A組の前には渡り廊下いっぱいに人が溢れてて、教室から出るのもままならない状態だ。当然私達も帰れないので、クラスメイトからも抗議の声が上がってる。

 

「なんだよ帰れねえじゃんか!」

 

「私たちすっかり有名人だねー。」

 

叫ぶブドウ、気楽な透。

多分先日のヴィラン襲撃事件が原因だろう、入学後1ヶ月足らずで経験してしまった『実戦』は他のクラスの人間にも少なからず衝撃を与えたようだ。それにしたって集まり過ぎでしょ、物見遊山で眺めに来た感じじゃなさそうだし、敵情視察みたいなもんかな?

 

「緑谷ぁ、アンタの超パゥワで道作ってよー。君の腕1本と引き換えに私たちは救われるからあ。」

 

「ええっ!?むむむ無理だよ龍征さん!

あとサラッと僕の腕犠牲にしたよね!?」

 

「頑張れって感じの君なら大丈夫!Plus ultra!!」

 

「都合のいい時だけここぞとばかりに校訓を!?」

 

「じゃあお茶子、私浮かせて。廊下の上通って帰る。」

 

「駄目だよ帝ちゃん!パンツ丸見えになるよ!?」

 

「いいじゃん下着の1枚や2枚…」

 

「帝!またはしたない事言って!」

 

セコム響香に怒られてしまった…じゃあどうやって帰ろうか…

取り敢えずほとぼり冷めるまでソシャゲの周回でもするかなあ。

 

「常闇くーん、モンス〇周回しーましょ。」

 

「む、龍征か。何処を回る?」

 

「ツクヨ〇かなあ、ラック80だからもうすぐ運極なのよね。書庫回ろ。」

 

「…フッ、いいだろう。」

 

『ヤッテヤンゼ!』

 

頭が烏に似てる常闇踏陰君。彼、なかなかのヘビーユーザーだ。この前たまたま1人でやってる所を見つけて仲良くなった。

端末2つ持って黒影(ダークシャドウ)と一緒にやってるとこ見たら声掛けずにはいられないでしょ、どんだけぼっちのレベル高いのよ。

 

「おっ!モン〇トやんの?俺も交ぜろよなー!」

 

「興奮して電気漏らすなよ上鳴ぃ、スマホ壊したら弁償だからな。」

 

「止めろよォ!それ昔やっちまって軽くトラウマなんだよ!」

 

「常闇と上鳴の野郎、ちゃっかり女子と仲良くなりやがって…あんな近くでミカドっパイを…」ギリギリギリ

 

「峰田ちゃん、素直に気持ち悪いわ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

教室を囲む野次馬はまだ居なくならない。

もうスタミナも全部使っちゃったし、いい加減帰りたいと思っていたその時、今まで机でぼうっとしてた爆豪がカバン掴んで立ち上がり、徐ろに人集りの方へ歩いてった。

…嫌な予感がする。

 

「意味無ェことしてねえで、退けやモブ共!!」

 

いやモブて。

 

突然の暴言に騒然とする廊下、緑谷の顔がどんどん青ざめたり、委員長が「知らない人の事取り敢えずモブって言うの止めたまえ!」とか嗜めてるが、全く意に介さない。流石クソを下水で云々の男。

 

「爆豪っていつもこうなの?」

 

「かっちゃんはこれがデフォルトなんだ…あはは。」

 

「なんか高校になった途端ヤンキー気取ってるイキリ野郎みたいな言動だな。」

 

「り、龍征さん!?」

 

『ぶっ!?』

 

もう慣れた、と言わんばかりに笑う緑谷に続く私の発言でクラスの何人か吹き出した。

上昇志向強いんだろうね。話じゃ爆豪が学年成績一位だったらしいし、実力はあるんだろうけど…どうも普段の言動が母校の腐ったミカン共を彷彿とさせる。

戦闘訓練の言動見る限り、なまじ実力があるから周りからちやほやされたんだろうなあ…()()()()()()()()()()()()

ああいうのはおっきーさんに言わせれば『俺様系総受け』…だっけ?普段は威張り散らしてるけどいざとなったらなんだかんだ押しに弱いそうな。おっきーさんの趣味はよく分からないや。

 

「聞こえとるぞクソ金髪!燃やされてえのか!」

 

「つーか要らん敵作ってどうすんのよ、余計帰るのが遅くなるでしょ。」

 

「知るかっ!んなもん…」

 

「随分と偉そうだな、本当にヒーロー志望かよ。

…正直、幻滅だ。」

 

「あ''あ''ん…?」

 

聞き覚えのある声が聞こえたと思ったら、人混みを掻き分けて見慣れた顔が現れた。爆豪が殺さんばかりの眼力で睨みつけるも心操これを華麗にスルー。

野次馬達が眺める中、静かに睨み合う爆豪と心操。

 

「知ってるか?ヒーロー科落ちた奴はそのまま俺みたいに普通科に入ったのもいる。

けど、体育祭のリザルト次第でヒーロー科へ編入が可能なんだ。」

 

その逆も然り

 

‘体育祭で体たらくを見せるようならヒーロー科から落とされる’

 

言うねえ心操、大胆不敵に宣戦布告ですか。

食堂で言ってたのはこれの事だったのね。

 

「要は舐めてっと足下掬っちゃうぞって事。…まあ、アンタはヴィランの才能の方がありそうだから心配は無用だろうけどな。」

 

「ンだと殺すぞデコモブがァ!!」

 

あー不味い不味い、爆豪の怒りが天元突破しそう。心操煽り過ぎだよ、宣戦布告が自殺志願になっちゃうぞ。

 

「はいはい二人ともその辺にしときな。

爆豪、アンタが喋るとA組全員にまでヘイトが溜まるんだよ。」

 

今にも掴みかからんとする爆豪の間に入って仲裁してやる、ホント喧嘩っ早いんだからコイツは。

 

「うっせェ!んなもん上に上がりゃ関係ねェだろが!」

 

「じゃあ下にいる間くらい静かにしてな。」

 

「んだとこのクソ金ぱ…ふもがっ!?ーッ!!ーッ!!」

 

喚く爆豪にガトーをあてがって、翼で口を塞がせる。なんかモゴモゴ喋ろうとしてるが無視無視。爆破してもこいつら火炎耐性高いから効かないゾ。バランスを崩したところをすかさず残りの3匹も飛びかかり、寄って集って爆豪の顔をベロベロ舐め回す。これでちょっとは大人しくなるでしょ。

 

「心操もらしくないじゃない、煽り過ぎだよ。

確かに爆豪はクソを下水で三日三晩煮詰めて汚泥ぶちまけた腐葉土にもならない性格してるって出会って1ヶ月足らずの私でも分かるけど、アレでも一応筋は通してるから。流石にヴィランは言い過ぎよ。」

 

「いやお前の方が語彙力溢れる罵倒してる気が…」

 

「とにかく今日の所は帰んな、教室前塞がれちゃ私達も帰れないし。」

 

「…まあ、言いたい事は言ったからいいか。邪魔したな。

なあ、龍征。」

 

「んー?」

 

「体育祭、負けねえぞ。」

 

「おうっ。」

 

スタスタ帰っていく心操を皮切りに、満足したのか野次馬達も去っていく。しかしその目は険しい者も多い、完全にマークされたなコレ…

 

「おうおうおう!俺ァ隣のB組のモンだけどよォ、さっきの話聞かせてもらったぜ!

襲撃事件の話聞いとこうと思って来たが…随分と偉そうな事言ってたじゃねえか!」

 

続けて現れたのはB組?お隣さんじゃん。

すげえ目元の男子だな…

 

「偉そうなのはソコで窒息しかけてる爆発頭だけ、私達…特に私は超謙虚でお淑やかな模範生徒だから。ソコ勘違いしないで。」

 

「お、おうマジか…一言文句言ってやろうかと思ったけど調子狂っちまうな。」

 

「私達もいい加減帰りたいのに廊下前に人が集るから飽き飽きしてるの。

USJの話は明日幾らでも話してやるから、今は大人しく帰らせて。いい?」

 

「そっか分かった!話はまた聞かせてくれ!」

 

随分素直な奴だなこいつ…チンピラっぽいけど悪いやつじゃない。

 

「じゃ、そゆことで。

今日はもう閉廷!解散!ホラ散った散った!」

 

手を叩くと今度こそ廊下前の人集りは完全に消え去って、A組前に静寂が戻った。

やっと帰れる…

 

「済まない龍征君!本来ならクラス委員長である俺がやらなければならないのに…!」

 

「気にすんな委員長、私もいい加減邪魔だったし。大体爆豪のせいだ。」

 

「その爆豪君は君の翼竜達に顔を舐め回されているんだがな…」

 

そう言えば爆豪を黙らせるよう差し向けてたな。おーい帰るぞー。

 

「あわわ…かっちゃんが涎まみれに…」

 

「爆豪wwwべっちょべちょじゃねえかwww」

 

「アアアアアクソ翼竜共がァッ!!」

 

思ったより顔がベッタベタでテカってる爆豪は無視して、さっさと帰ることにしよう。

あー後ろから悪鬼の叫び声がするなー幻聴だろうきっと。

 


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