帝征のヒーローアカデミア   作:ハンバーグ男爵

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ご都合展開満載の体育祭始まるゾ






11 疾駆怒涛の体育祭予選:前

相澤先生から体育祭開催のお知らせがあってから約2週間、あっという間に過ぎ去った。

2週間の間、クラスメイトは各々実力を伸ばす為にグラウンドを借りて特訓などをしていたらしい。将来が掛かってるんだ、当然と言えば当然か。

 

かくいう私も、夜の公園とか周りに燃えるものがない場所で炎の制御の練習をしたり、翼竜の調教、救助関係のマニュアル読んで勉強などなど仕事の合間にちまちま努力してる。

 

「もうちょい強火の方がいいかな…」

 

今だってそうだ。夕食を作る傍ら、火力調節の練習をしてる。

べぇーっと舌を出して息を吐くと、口から出た炎がガスコンロの火に吸い込まれていって、更に煌々と燃え上がった。

これも個性制御の練習だ。けっして「お?もしかして私の炎、料理に使えるじゃーん?」なんて動機で始めた訳では無い。私の炎使うとチャーハンがご飯パラパラになって美味しく作れるから、なんて事はないのよ?(念押し)

 

慣れた手つきで手首のスナップ利かせながら中華鍋を引くと、中のお米が宙を舞う。店長は濃いめの味が好きだけど、血圧の気になるお年頃なので塩分は控えめにしてっと…よし、かーんせー。

卵と刻んだタマネギ、人参、ピーマンで炒めた炒飯の出来上がり。あとは野菜をサクッと切ってサラダにして、昨日のコーンスープが残ってるから汁物はそれで。

 

「ん、こんなもんか。

…で、パイセンなんで此処に?」

 

「明日は雄英体育祭でしょう?その前乗りで私だけ先に此方へ来たの。お父様は明日直接いらっしゃるわ。」

 

料理してる途中で気付いたんだけど、何故か才子先輩がビデオカメラ片手にずっとこっちを撮影してる。赤いランプ光ってるから録画してるの?何故に?と、私が聞いても上手いことはぐらかされてしまうので最近はもう気にしない事にした。

 

「夕飯は?」

 

「勿論頂きます。聖愛(向こう)の料理は美味しいけれど、マナーやら立場やらカッチリし過ぎて肩が凝りますもの。貴女の料理が恋しいわ…」

 

「多めに作っといて正解だったッスね。じゃー配膳手伝って、そっちの戸棚。」

 

「はいはい。」

 

私が指示を飛ばしブラウニーが向かいの戸棚を開くと、才子先輩はハンディカメラを懐にしまい棚の中から食器を次々取り出して食卓へ並べていった。

因みにこの間まで力加減が分からず取っ手を噛み砕いていたので、かなりの進歩と言えよう。ふはは。

3人分の炒飯とコーンスープを取り分けて、食卓の真ん中に山盛りのサラダの入ったボウルをどかんと置けば配膳終了。

 

「ン〜…良い匂いがするネ〜。」

 

ちょうど店の閉め作業が終わったらしい店長も合流したので、3人で夕飯にしよう。

 

 

 

 

……

 

 

 

「ご馳走様でした。」

 

「はーいお粗末さまー。」

 

「洗い物は私がやっておくから、2人は先にお風呂入っちゃいなさい。」

 

「はいよー。」

 

「…!ありがとうございます、叔父様。」

 

才子先輩が居る時、風呂は必ず私と一緒に入る。

我が家のお風呂は大きいので2人一緒に入った方が効率がいいのもあるが、昔から才子先輩が「一緒に入る」と頑として譲らないのだ。

「貴女は私の付き人なのだから、常に一緒に居るのが当たり前なのよ。」とお嬢様は仰せで、出会ってから今まで才子先輩が傍にいる時は2人で入らない日はない。

 

「なーパイセン。ずっと前から思ってたんだけど、この歳になってまで一緒に入る必要ある?」

 

「あるわ。」

 

「でも…」

 

「あるのよ。」

 

「アッハイ」

 

金持ちには敵が多いからね。護衛も兼ねてるからお風呂が一緒でも仕方ない…はずだ。

 

 

 

 

2人でお風呂に入ってさっぱりした後、お互いの髪を乾かし合う。

決まって私が先に才子先輩の髪を乾かし、その後は私がしてもらう番。

明日は早いので今夜はゲームをする暇もないなあ。寝る前にログボだけ貰っとくかな。

 

「そういえば、お父様が貴女と私宛に縁談を持ち掛けて来たのだけど、写真と一緒に破って捨てておいたから。」

 

「安定の事後報告…

今年入って5回目ですね。」

 

「全く…ヒーローになろうというのに許嫁なんて取っている暇なんてない。なのにあの男ときたら…

相手は皆企業の御曹司で年も20は離れてるのよ?女を何だと思っているのかしら。」

 

「はは…」

 

私の髪を梳かしながら恨めしそうにブツブツ呟く才子先輩。

要は政略結婚的なアレだ。超常世紀が始まってからは『個性婚』なんてのも問題になったらしいけど、私達に来る場合は単純に印照家に取り入りたいが故のお見合いだろう。

印照財閥の金とか地位とか、一部の大人が大好きな話題は興味が無いからその辺は才子先輩に一任しているが…なんで先輩は兎も角私にまでお見合いの話が来るのよ。私は印照家にお世話になってる側だから私とくっ付いても権力もクソもないぞ。

 

「先輩は兎も角、なんで毎回私にも縁談来るんですかねぇ…」

 

「貴女…自分の容姿を鏡で見てからものを言いなさいな。」

 

「?」

 

はっはっは、何を仰るお嬢様。

何だかんだ私の言ってる美少女云々はあくまでも()()だ。

自分で言ってるだけならタダだし?醜美の感覚なんて人それぞれだし?

そもそも私みたいな炎と汗と喧嘩に塗れた化け物女になんて誰も興味無いでしょ。

 

「私に興味のある男なんているのか…?」

 

「中学校の時、2ヶ月に3人のペースで告白を受けた女の台詞とは思えないわね。」

 

「アレはパイセンが適当にはぐらかして保留にしとけって言ったからそうしたら、自然消滅したじゃないっすか。

やっぱみんな途中で自分の勘違いに気付いてなし崩しになったんでしょ。」

 

「…ええそうね。」

 

告白って、その場の雰囲気とか一時の感情でつい言っちゃうこともあるんだよって前読んだ雑誌に書いてあったしきっとそうなんだろう。

 

告ってきた相手は決まってその後数日間消息不明になって、帰ってきた頃には私を避けるように一歩引いて話す様になるのだ。きっと勢いで告白しちゃって恥ずかしくなっちゃってるんだろう。

餓鬼道は出席率もめちゃくちゃな不良達ばかりだからね。ある日突然放浪の旅に出る奴とか良くいるしフツーフツー。

 

「本当に、貴女は私の言うことをよく聞いてくれるわ…」

 

ふふふ…と笑う才子先輩の目は妖しく光っていた。まーた悪い事考えてるな。

 

「はい終わり。帝の髪は綺麗な金髪なんだから、毎日キチンとケアしてあげなさい。」

 

「へぇい。」

 

「まったくやる気が感じられない…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…帝。」

 

「ん。」

 

「貴女の望んだ学校生活は楽しい?」

 

「うん。」

 

「なら良いわ。体育祭、全力で頑張りなさい。

貴女ならきっと、誰より人を救える。貴女は私のヒーローだもの…ねえ、私の帝。」

 

 

〝私の帝〟

 

聞きなれた優しい声。

 

才子先輩が私をこう呼ぶ時は、決まって『期待』している時だ。

たかが体育祭とはいえ勝負の世界、先輩が見ている前で手抜きなんてしようもんなら後でなんて言われるか分かったものじゃない。

 

「……分かってますよ()()()。」

 

期待には応えなきゃ。それが()()()()()()()()()()()()()()()

 

背中に当たる先輩の温もりを感じ、眠気に誘われ目を閉じた。

その日はいつもより気持ち良く眠れた気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねえ…やっぱりこの歳になってまで同じ布団で寝るのはどう…」

 

「いいのよ。」

 

「でも客間もあるのn「これがいいのよ」アッハイ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日

 

 

 

 

「龍征、緑谷、ちょっといいか。」

 

「んー、どうした轟。」

 

「轟くん、どうしたの…?」

 

 

此処はA組選手控え室、開会式が始まるまで待ち時間暇だったので響香にFG〇のリセマラを頑張らせていたら突然私と緑谷は呼び止められた。大会が始まるまでもう数分も無いんだけど…

 

「いやこんな時にウチにリセマラやらせる帝もどうかしてるよ?」

 

「ヘ〇クレス出るまで燃える街を眺め続けるがいいふはは。」

 

文句言ってもなんだかんだリセマラ頑張る響香を背に、私を睨む轟の方へ行く。

ここんところずっと轟からは睨まれっぱなしだ、かと言って闇討ちやリンチ等の暴行を匂わせる気配も無い。でもあの目はなぁ、「お前を憎んでるぞ」って感じなんだよな。私アイツの恨み買うような事したかなー?

…まさか大会中に私を討ち取る腹積もり?

あとなんで緑谷と一緒なんだろ。

 

「…実力云々は別として、緑谷、龍征、お前達2人には負けねえ。それを伝えとく。」

 

まさかの身内から宣戦布告である。私嫌われ過ぎでは…?

 

「緑谷、轟に何したの。」

 

「ぼ、僕は何も!?」

 

「別にお前らに恨みがあるとかじゃねェ。

…緑谷、お前オールマイトに目ぇ付けられてるだろ。」

 

「?」

 

「…ッ!!」

 

緑谷の表情が変わった。

確かにここ最近オールマイト先生が緑谷をお弁当に誘ってる姿を何度か見たけど…ああ先生が特定の生徒1人を贔屓してるとも見えるし…それに轟は嫉妬した…?

 

「…痴情の縺れ?」

 

「龍征さん、絶対違うよ…」

 

クラス最強が宣戦布告。その報は控え室をどよめかせ、注目が一気に集まった。見かねた切島が止めに入るも、轟は「仲良しごっこやってる訳じゃねェ」と一蹴。理由はともかく、轟は本気だ。

 

「…轟君、体育祭に掛ける気持ちは僕も同じだよ。皆全力なんだ、僕にだって負けられない理由がある。

だから、僕も本気で取りに行く…!!」

 

そう言う緑谷の目は本気だった、覚悟完了って感じの緑谷だ。いつもオドオドふわふわしてる癖に、こういう時はシャキッとしてるのね。

 

「龍征もだ。お前の『炎』には絶対負けねえ。俺が勝つ。」

 

「ここ数日、アンタから謎の視線受けてた理由はそれなの?」

 

「睨んでたか…悪いな。」

 

「無意識か、アンタも闇が深いねえ…まあいいけど。

いいんじゃない?宣戦布告。

けど、やるからには本気出すからさ。後悔させたげる。」

 

この私に喧嘩ふっかけた事をね

 

そう優しく睨み返すと、轟はぴくっと反応したので、まあ意趣返しは出来たでしょう。

それどころか注目してた他の奴らまで反応したよ、なんなのさ。

いかんな、初めての学業イベントでテンションが上がってる。いつもの感じを保たねば。

 

「A組集合だ!全員外で整列したまえ!」

 

ばーんと勢いよく扉を開いて委員長がやってきたので、一足お先に出ちゃおう。おっさきー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後悔させたげる、私に喧嘩ふっかけた事をね

 

 

 

そう龍征に睨まれた時、動けなかった。

ルビーのような紅い瞳が俺を射抜く。言葉にできない恐怖が全身を引き攣らせ、縫い付けられたように足が床から離れない。

 

「君達もだ、キビキビ全員で移動しよう!」

 

ハキハキ喋る飯田に釣られ、固まっていた連中も1人また1人と控え室から出ていく。

 

USJで見せたオールマイトが放つ重圧に似た、押し潰されるようなプレッシャーに呑み込まれた。気が付けば握っていた拳が汗でじっとりと濡れている。

 

「気圧…されたのか、俺は。」

 

紅い瞳に、龍征帝に。

戦闘訓練では『熱』だけだった、USJで見せた黒い炎…

龍征が炎を使う度、憎いアイツの面影が頭をよぎる。龍征と奴は違うと頭の中では分かっていても、気持ちが着いていかない…情けねぇ…

 

「似てるなら尚更、超えなきゃいけねえんだよ…」

 

お母さんの力だけで俺は…クソ親父をッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「凄かったな、龍征。」

 

「それな!俺ゾワッとしちまったよ!」

 

「あの迫力なら、不良だらけの餓鬼道を纏めてたってのも頷けるな。」

 

「強者の貫禄…」

 

「本気には本気で…男らしいぜ緑谷に龍征!龍征は女だけど!」

 

 

 

「…ねえ、さっきさ。

ほんの一瞬…一瞬だけだよ?普段ダラダラしてのんびり屋なのにウチ…帝が『怖い』って、思っちゃった。」

 

「正直な所、轟さんに返事した時私も一瞬だけ恐怖を感じました。

…脚を竦ませるようなプレッシャー。それだけ彼女も本気で体育祭に望んでいるということです。」

 

「帝ちゃんも本気なのね…けろっ。」

 

「うちも負けてられへん…!」

 

 

 

 

「あぁ…ゾクゾクした…こういうのもアリかも…」

 

「峰田が変な趣味に目覚めてんぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

開会式だよ全員集合。

ヒーロー科、普通科、サポート科、経営科、1年生全員が集まる事なんて滅多にない。会場は大歓声に包まれて、カメラのフラッシュがバッシャバシャ光る。ポリゴンショックって知ってるか?目に悪いぞどうしてくれる。

真ん中に整列した私達は壇上に立つ18禁ヒーローミッドナイトに従って、選手宣誓を行う運びとなった。

誰がするかって?

 

学年首席だ。

 

すなわち、爆GO。

 

名前を呼ばれ、ズカズカと壇上へ上がる彼の後ろ姿を見ながら、隣の百と響香に無言の目配せをした。

 

(嫌な予感がする…)

 

二人とも無言でコクリと頷いた、多分色々察してるんだろう。

 

 

『俺が1位になる』

 

 

やりやがったぜ

 

 

『他の奴ら、せいぜハネのいい踏み台になれ。』

 

 

更にガソリンを注いでいくゥ

 

 

選手からブーイングの嵐が吹き荒れる。

スポーツマンシップなど爆発四散させた暴言にA組一同騒然だ。そんで他のクラスから冷たい視線が矢継ぎ早に浴びせられた。

あのボンバーマン…宣戦布告の時はフォローして治めてやったと言うのに。後日、鉄哲他B組の生徒に質問攻めにされたの私なんだぞ。

 

しかし大人の女性ミッドナイト先生はこれを華麗に受け流し、早速第一種目の説明を始めた。

スタジアムの巨大スクリーンにどでかく表示されたのは…

 

「障害物競走?」

 

『コース内なら何をしてもOK!

早速選手はスタート地点に着きな!』

 

ミッドナイトのふるうムチの先には、スタート地点らしき出口がある。ただし生徒の人数に比べて明らかに横幅が狭い。

天井は高いが…ああ、そういう事ね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『それでは位置について!』

 

各々スタート地点に着き、目の前の狭き門を一心に睨みつける。

私は結構後ろの方だけどまあ大丈夫か。

というかスタートしたら()使()()()()()()

 

 

『スタート!』

 

競技用のランプが赤から緑に変わり、一斉に選手が狭い通路に走り込んだ。

案の定、通路の中はすし詰め状態。後ろから眺めててクラスメイトが何人か巻き込まれてもがいているのが見える。緑谷とかブドウとか。

その途端に冷気が吹き荒れて、先頭集団が悲鳴を上げてるのが聞こえた。多分轟が足下を凍り付かせて妨害したんだろう。

先頭を走る轟は言わずもがな、爆豪は50m走の時に見せていた両手で爆破を使い、その反動で飛ぶ技を使っていち早く人混みから抜きん出た。他にも百や切島なんかもスタジアム外へ抜け出してる。

クラスメイトが奮起する中、私はと言うと…

 

『オイオイ最後尾の奴、まだストレッチしてんぞ?ありゃお前ん所の生徒だろイレイザー!』

 

はい、ストレッチしてます。準備運動って大事じゃん?怪我の元にもなるし。

 

『龍征…真面目にやれ。』

 

解説の相澤先生から静かなるお怒りの言葉を頂いたので準備運動はこのくらいにして、炎を吐いて脚に回す。そのまま混雑する最後尾を飛び越えるように思いっきりジャンプした。即座に脚の炎を足裏に圧縮させて小さな爆発を起こせば、推進力が生まれて私の身体は前に吹っ飛ぶ。他の生徒ひしめく下界を見下ろしながら、足裏で小さな爆発を繰り返して進んだ。

傍から見ればまるで空中を歩いているように見えるだろう。ONE P〇ACE読んでる時に思いついたこの技、暇な時に練習しておいて良かった。

私の炎はエンデヴァーのように身体中から吹き出せるわけじゃない、口から吐いた分だけだ。だから爆豪みたいに何度も爆発させて浮き続ける事はできないけど、このくらいの距離ならなんとか…

 

「やっぱ爆発を起こすと炎の消費激しいな…」

 

飛んでから2回くらい爆発させた所で、脚に回した分がなくなった。けど十分空中で距離は稼いだので、私は難なくスタジアムの外へと到達できる。

 

『ウオオオ!?最後尾だったA組龍征、たちまち先頭集団と並んだア!

なんでアイツだけ六式使ってんの!?』

 

『炎を足裏で圧縮させて起こした爆発を使い飛ぶ…混雑する集団を抜けるには一番合理的だが、思いつきでできるほど簡単な事じゃねえだろうに。』

 

スタジアムの外へ出たはいいものの、相変わらず轟の冷気が地面を凍らせて足下がスケートリンクみたいになってた。これは宜しくない。

 

「邪ぁ魔だ…ッ!」

 

着地と同時に地面に向かってブレスを吐いて、足下の氷を溶かす。

 

「龍征…!」

 

「来ましたわね帝さん!!」

 

「テンション上がって来た…!」

 

今度こそ着地、氷を溶かしたせいで若干地面がぬかるんでるが問題なし!

 

響香は少し後ろ、百は殆ど横並び、心操は…早速洗脳でラクしてるじゃん。

試しに手を振ってみると一瞬躊躇ったがちゃんと振り返してくれた。ツンデレかよ、カワイイ奴め。

 

 

『先頭集団に躍り出たA組龍征、轟のスケートリンクを熱で溶かしながら猛進中だァ!

だが易々と先に進めると思うなよ!』

 

いきなり通路が広がった。少し先は広場になってる様だけど、あのデカい影はまさか…

 

『第1関門、ロボインフェルノ!』

 

「入試の時の仮想ヴィラン!」

 

「何処からお金出てるのかしら…」

 

「そういうのは言わないお約束だぞ。」

 

入試で私が吹き飛ばした0ポイントも居る、小さいのも含めて数は50を超えてるぞ!

 

《ターゲット、大量…ブッコロス!ブッコロス!》

 

「ああっ!?峰田くん!」

 

緑谷が叫ぶ。考えてる間にブドウが犠牲になった、お前の事は3秒くらい忘れないよ…

 

「ウッソだろ…ヒーロー科は入試であんなのと戦ったのかよ…」

 

誰かがボソリと呟いた。

古今東西、入試試験でロボットと戦わせるのなんて雄英くらいのもんだろう。他の学校のヒーロー科はどんな試験してるのか知らないけど、少なくとも聖愛にいる才子先輩に実技試験の内容話したらちょっと引いてた。

雄英は良くも悪くも『自由』なのがウリだから…仕方ないね。

そう思ったのもつかの間、突如として0ポイントヴィランの一体が氷のオブジェと化し、地面に崩れ落ちる。

 

『トップをひた走る轟ィ!入試の0ポイントヴィランを凍結させ難なく通過だ!』

 

『轟にはあんなもん障害にもなってねえな。』

 

つーか崩れ落ちた先に誰か居なかったか?

あ、切島と鉄哲が這い出てて来た。轟の奴無茶するなあ。

 

「轟のヤロー、俺じゃなかったら死んでたぞ今の!」

 

「ぬがぁっ!!

轟といい爆豪といい…A組は嫌な奴ばっかりだなぁ!」

 

それでもデカブツは続々やって来て、3体ほど私の前に立ち塞がる。

 

「ちょうどいいや。鉄哲、切島、手ぇ貸しな。」

 

「おう!?龍征か!この前は色々聞かせてくれてサンキューなあ!」

 

「なんか策でもあんのか!?」

 

「あるよ。

取り敢えずアンタ達、硬化して私にぶん投げられろ。そんで真正面から叩き潰す2人の好きそうな正面突破だ。1発ヤってみる?」

 

「「よし乗った!任せろ!」」

 

ノリが良くて助かるわー。

 

「左右は任すよ、真ん中は私が潰す。」

 

先ずは切島。硬化した手を握り、右脚を軸にしてハンマー投げの様にぶん回す。

 

「行くぞ切島、漢気見せな…!」

 

「うぉらあああああああッッ!!」

 

いいタイミングで投げた切島は0ポイントヴィランの顔面に飛んでいき、勢いのままぶん殴った。結構な速度出てたから仰け反ったヴィランはそのまま後ろに倒れ込み、行動不能。切島も無事着地したみたい。

 

「次弾装填、行くよ!」

 

「よし来たァ!!」

 

今度は鉄哲。さっきとは逆回転でぶん投げて、捻りを効かせた為ライフル弾みたいに回転しながらヴィランの腹を貫いた。

 

最後に残った目の前の奴。振り下ろされた拳をひらりと躱し、そのまま腕を走って頭まで辿り着く。んでぇ…

 

「下の人、危ないから退いてなさいよ!」

 

思い切り足を振り上げ、ロボの脳天に踵落としを御見舞してやった。

 

ゴシャアっと鈍い音がした頭部はクレーターができるほどぐちゃぐちゃにへしゃげ、バランスを崩し勢いのまま胴体が地面に叩き付けられ戦塵を巻き上げる。

 

一丁上がりっと

 

『おおおおおおッ!!?A組龍征、硬化した切島と鉄哲を使い0ポイントヴィランを大量撃破!

なんちゅー怪力してんだァ!?』

 

「A組の奴が巨大ロボをぶっ飛ばしたぞ!」

 

「おっさき〜。」

 

「流石ですわね龍征さん…私も!」

 

ちらりと後ろを見れば、百は大砲を創造してデカブツを撃破してる。道は開けたし私は先に進むとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『第1関門をいち早く抜け、トップは轟!それを追う爆豪、飯田、塩崎、龍征。さっき人間砲弾にされた切島と鉄哲も後を追うゥ!

そして向かうは第2関門…』

 

私の前には断崖絶壁が広がっていた

 

『死にたくなけりゃ這いつくばりな!ザ・フォール!』

 

 






後編はなるべく早く纏めて上げる予定ゾ…
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