帝征のヒーローアカデミア   作:ハンバーグ男爵

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未だに設定がふわっふわしてるヒロアカ二次はじまるよ~





8 解:物理で殴れ

◇とある平和の象徴side◇

 

USJ、中央エントランスにて。

龍征少女の連れていた翼竜に肩を掴まれ校舎まで飛んできた飯田少年からUSJのヴィラン襲撃を知らされた。

私はいてもたってもいられずに他の先生方より一足先にトップスピードで施設に突っ込み、なんとかボロボロの相澤君を救う事は出来た。騒ぎ立てる木っ端ヴィランなどものの数では無かったが、この騒ぎの中心実物ともいえる3人、特にこの脳無と呼ばれる大男だけは別だ。ショック吸収という厄介な個性を持っている。

 

「ぐうううううッッ!!」

 

そうとは知らずバックドロップで脳無を地面に叩き付けたと思ったら、霧のような男のワープ個性で逆に私の身体は拘束されてしまった。

 

Shit!脳無に古傷を掴まれ、折角のおろしたてのシャツが血で真っ赤になってしまったじゃないか!

下半身をワープの中に抑え込まれ、そのまま閉じられてしまえば如何に私がNo.1ヒーローとてただでは済まない。オール/マイトとか言われてしまうよHAHAHA!

…冗談言ってる場合じゃないな、何とかしなければ…!

 

「黒霧ぃ、このまま真っ二つにしろ。脳無はしっかり掴んどけ…ははっこれでゲームクリアだッ!!」

 

ぐぅ…なんという力っ!

 

 

「オールマイトおおおおッ!!!」

 

「緑谷少年!?」

 

突如飛び込んできたの緑谷少年…!?駄目だ!こちらに来てはワープが…

 

「浅はかですね…」

 

緑谷少年と私の間に黒い渦が開き、飲み込もうと口を開けた。このままでは…

 

 

「邪ァ魔だデクうッ!!」

 

突如、罵倒と共に爆破が黒モヤを焼き尽くし、爆豪少年がモヤの実体を掴む。それと同時に地を這う冷気が脳無を凍らせ、熱線が奴の手首を貫いた。

力が緩んだ!今ならばっ…

 

「くうあッ!!」

 

脳無の手を引き剥がし、跳躍して距離を置く。氷は轟少年、熱線は龍征少女か!二人とも私に危害が及ばないよう個性を調節している…日頃の訓練の賜物だな!

 

「すまない轟少年、龍征少女!」

 

「平和の象徴はアイツらごときに殺らせねえよ…!」

 

「先生がお楽しみの所悪いんですが、まだお昼だし未成年の見ている前なんで邪魔しました。続きは夜にして下さい。」

 

「楽しんでないよ!?龍征少女、何か酷い勘違いをしてないかい?」

 

「大丈夫です。私にそういう趣味はありませんが、需要というものは何処にでもあるものなんで。

ワープ男、脳味噌丸出し男とオールマイトのガチムチレスリングにもきっと需要が…」

 

「よーし、この戦いが終わったら少し話そう龍征少女!君の誤解を解かないと後でえらいことになりそうだ!」

 

龍征少女がとんでもない勘違いをしているな!?そういう本、昔興味本位でエゴサしてて見つけちゃってから軽いトラウマなんだよ!自分を題材にしたBL本とか勘弁して欲しい!

 

「で、誰かこの状況説明してもらえます?」

 

龍征少女、落ち着いているな…初めて見る筈の凶悪なヴィランを前にして、驚く程の冷静ぶりだ。

彼女の事は校長からいくらか聞いている。ヒーロー公安委員会監視対象の餓鬼道中学校からやってきた入学生、不良校で育ったとは思えないほど真っ直ぐで、レスキューヒーローを目指す志を有した生徒だと。

戦闘訓練で見せた翼竜の操作と彼女自身の身体能力は目を見張るものがある。きっと緑谷少年や他のクラスメイトと共に立派なヒーローに育ってくれるだろう。

そんな彼女は誰も自分の問いに答えないのを見ると気だるそうに溜め息を吐いた。

 

「取り敢えず爆豪はそいつ抑えといてよ。」

 

「命令すんなクソ金髪、言われんでも分かっとるわ!

動くんじゃねェぞワープ野郎…俺が抵抗したと判断すればスグに爆破するッ!」

 

「ヒーローの言う台詞じゃねえ…」

 

ワープヴィランの隙を突いて拘束した爆豪少年が随分と恐ろしい事を言っているが…この際気にすまい!非常事態だからね!

 

ぐぅッ…掴まれた傷が…

 

血が抜けていくのがハッキリと分かるな…かなりの出血だ。マッスルフォームも限界が近い、早いとこ勝負を付けなければ…

 

「脳無、黒霧を助けろ。」

 

手のヴィランがそう呟いた直後、大男が動く。不味い!あの速度では爆豪少年が…!

 

「ッッ!?がっ…」

 

踏み出そうと力を込めた直後、古傷から全身に痛みが走った。僅か一瞬、脚が止まる。コンマ1秒にも満たないその隙は、致命的だった。

 

脳無と呼ばれた大男の焦点の合わない瞳が黒モヤを抑える爆豪少年を捉え、彼の反応できない速度で迫る。

すべてがスローモーションの様に過ぎていく、脳無の腕が爆豪少年の頭を吹き飛ばそうと伸びて…

 

 

「あっ…」

 

 

直後に間に入ってきた何かが爆豪少年を突き飛ばす、代わり脳無に殴られて吹き飛び、蹴られた石ころの様に雑なバウンドをしながら近くにあった壁に叩き付けられた。ぶつかったコンクリートの壁はいとも容易く崩れ去り、砕け散った欠片からもうもうと煙が上がる。

 

 

 

 

瓦礫の隙間から、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

「なっ…」

 

「なんだクソッ……は?」

 

「かっちゃんなんで!?避け…ぁ…」

 

一番最初に真実に辿り着いた緑谷少年の顔がみるみる青くなっていく、続いて切島少年、轟少年が気付いてしまった、そして爆豪少年も何が起こったのか理解し瓦礫の山を呆然と見つめていた。

 

「嘘…だろ…」

 

「龍征さんッ!!」

 

緑谷少年が思わず叫ぶ。

爆豪少年の代わりに脳無に殴られたのは龍征少女だった。

私は見てしまった、脳無が腕を振りかぶる寸前に、私より一瞬速く動いた龍征少女が爆豪少年と入れ替わるように彼を突き飛ばし、代わりに頭を殴られた場面を。

 

 

「龍征少女ォッ!なんという事だ…ッ!!」

 

 

相澤君が手も足も出ずにやられ、私と張り合うような力の持ち主だ。コンクリートの壁をビスケットの様に破壊する力、それが女性に振るわれたらどうなるか想像に難くない。

傷によるほんの一瞬の隙を突かれ龍征少女を…

私は…私はァ…ッッ!!

 

 

「は…ははははっ!先ずは1人だオールマイト!

お前は生徒を守れなかった!

正義だのなんだの語っておきながら、結局お前は肝心な時に役に立たない。お前は只の暴力装置だ!」

 

ヴィランが嗤う声が響き、脳無の目がショックで呆然と佇む生徒達の方へと向かう。動けないのも無理はない、ヒーロー志望とはいえ齢15の少年達にこの惨状は早すぎる!ましてやクラスメイトがああなった後では……ッ。

傷が痛む、マッスルフォームももうあと僅か、だが…ッ!!

 

「これ以上やらせるものかアアアアアアッッ!!」

 

「さあ次だ脳無…オールマイトを殺」

 

 

 

 

 

「いったあああああああいッッ!!」

 

 

 

 

 

 

……は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いったあああああああいッッ!!」

 

埋もれた瓦礫を吹とばし、帝は何事も無かったかのように立ち上がった。ヒーローコスチュームに僅かに汚れが着く程度で、外傷は一切無い。脳無に殴られた頭も首と繋がっているし、健康体そのものだった。

突然の復活に緑谷達は思わず目をぱちくりさせて、狼狽えている。

 

「り、龍征さん!?さっき吹っ飛ばされたのに…あれぇ!?」

 

「いたた…殴られたよくっそ…

女の顔平気で殴るとか畜生かよこのドグサレがァーッ!!」

 

「龍征少女!?なんで無事…」

 

「私は頑丈なんですよ!」

 

『頑丈!?』

 

豪語する帝に総ツッコミが入った。

実際、オールマイトとタイマン張り合うような化け物に殴られて無傷なんて頑丈のレベル超えてるだろう。

 

「M134で蜂の巣にされた時より痛かったぞちくしょう…絶対許さんからな!」

 

周囲が呆気にとられる中、瓦礫を蹴飛ばし、何事も無かったかのようにずんずんと歩いて来る。

 

「君が何故機銃に撃たれた経験を持っているのか私とっても気になるが、無事でよかった龍征少女!今は早く逃げ…」

 

「だが断るッ!!」

 

「ええッ!?」

 

突然の大声に固まるオールマイト、だがヴィランはそれを許してくれない。脳無が再び龍征を捻り潰そうと迫り、巨腕を叩きつけた。が、彼女は手首を捻ってそれを受け流し、勢いを利用し背負い投げの要領で逆に投げ飛ばす。

ヴィランの巨体はぽーんっと放物線を描いてあらぬ方向へ飛んでいき、凍らされた手足ではろくに受け身も取れず地面に直撃した。

 

「あー頭クラクラする。あの脳味噌野郎思いっ切り殴りやがって…絶許だぞ。」

 

「な…投げた…」

 

「龍征少女、君は一体…」

 

「オイクソ金髪ッ!!何しやがったァ!」

 

唖然とする緑谷、オールマイトの言葉を遮り、爆豪が食ってかかる。命を助けられたというのに、随分御立腹のようだ。

 

「助けてやったのに随分な物言いじゃない、突き飛ばすんじゃなくてもっと優しく助けてほしかった?」

 

「俺を助けんじゃねェ…!」

 

「なんだよ、爆豪は死にたかったの?だったら助ける必要無かったじゃん、私の献身を返せよ。」

 

「テメェに恩なんざァ…クソがッ!!」

 

キレてはいるものの自分が命を救われた事は自覚しているらしく、歯軋りしながら龍征を睨みつける爆豪。視線で人が殺せそうだ。

 

投げ飛ばされた脳無が立ち上がる、同時に轟が凍らせて砕けた手脚はみるみるうちに復元され、何事も無かったかのように再び襲いかかった。

 

「この私を殴ったんだ。腕の一、二本は覚悟しろよ脳味噌筋肉野郎!」

 

指をバキボキ鳴らし、怒れる帝の口から漏れる炎が次第に黒みを帯びていく。吐き出された炎は宙を舞い、彼女の両手を覆う様に纏い漂った。

 

「な、何だあの黒い炎!?訓練の時は赤かったよな!?」

 

(両手の黒手袋に炎を纏わせて…

戦闘訓練で見せた熱はああやって補給しているのか。)

 

「ウチの卒業生誑かしといて、生きて帰れると思うなよ…ッ!」

 

脳無と肉薄し腕に触れた瞬間、赤と黒が弾けた。

帝の両手に籠る熱が更に上昇し、放たれた爆炎が触れた肉ごと焼き切ったのだ。

切断面はまるでバーナーに炙られた様に黒く焼け焦げ、肉の焦げる臭いが緑谷達の鼻まで届く。切断された脳無の左腕は高熱に焼かれ一瞬で炭と化し、地面に落ちた衝撃で崩れ去った。

 

「それだけじゃねえ。龍征の奴、脳味噌野郎の動きを先読みして攻撃を躱してやがる。筋肉の動きや視線を察知して相手よりも一瞬速く行動し、先手を打つ…これで爆豪を助けたのか。」

 

「助けられてねェよ半分野郎ッ!!」

 

「だから戦闘訓練で俺達常に不利だったのか!?」

 

「それとはまた話が別だろ。」

 

(対人戦の基本、相手の初動を見抜き常に先手を取る…クソ親父が言ってたな。実際にやってる奴を見ちまうと、嫌でもアイツが正しいと分からされるな…クソッ。)

 

腕を焼き切られた脳無は叫び声を上げるわけでもなく、不思議そうになくなった右腕を眺めている。無論、いつまで経っても腕は生えてこない。

 

(…もしかして超再生は死んだ細胞を身体から完全に切り離さないと発動しない?轟君の氷が効かなかった理由を龍征さんは気付いて、高熱で焼いたんだ!切断面が焼け焦げて付着したままだからそれが蓋をして超再生は発動できない!)

 

「炎を圧縮して両手に纏うなんて、一体どれだけ個性の訓練を積めばそんな事ができるんだろう…凄いや龍征さん!」

 

 

 

 

 

 

「戻れぇ、脳無!」

 

このままでは不味い。そう感じた死柄木の声に従って脳無はくるりと踵を返し、彼の傍へと舞い戻った。

がりがりがりがり、首元を掻き毟る死柄木の目には、憎いオールマイトと殴っても死なない謎の女が写る。

 

「なんだよ…オールマイト用だって言って寄越してきたのに、話が違うじゃんか()()!」

 

「落ち着きなさい、死柄木弔。

あの雄英生がイレギュラーだっただけです、流石に脳無の腕を焼き切るとは思いませんでしたが…」

 

まるで子供のように取り乱す死柄木を宥める黒霧。しかし彼も心做しか身体のモヤの揺れが大きくなって、少なからず動揺しているようだ。

 

「チッ、逃げやがった。

次は腹に風穴くらい空けてやろうかと思ったのに…」

 

「物騒過ぎるぞ龍征少女、後でお説教だからね!

それはともかく、よくやってくれた。後は先生に任せなさいッ!!」

 

「……わかりました、お願いします。」

 

「その顔は明らかに納得してないな!」

 

ぶつくさ文句を垂れる帝の手から熱が引いていく、それと同時に再び飛び出した脳無がオールマイトと取っ組み合い、壮絶な殴り合いを繰り広げ始めた。

 

「クソッ!クソッ!

途中まで楽勝だったのに…腕が再生してりゃオールマイトなんて…」

 

焦る黒霧の予感の通り、片腕を失った脳無はオールマイトの拳に着いていけず、徐々に押し負けていく。そしてそのまま、ラッシュで一瞬だけ身体が浮いた脳無の腹に一段と重いオールマイトの一撃が食い込み、USJのドームを突き破って空の彼方へ殴り飛ばされた。

 

「全盛期なら5発で済んだのだが…100発近く打ち込んでしまった。昔の様にはいかないな…HAHAHA!」

 

血を吐きつつも笑顔を絶やさないナンバーワンヒーローの本気の力。風圧により滅茶苦茶にめくれ上がった地面が戦いの激しさを物語る、その光景に爆豪たちは唖然とする他無かった。

 

「ショック吸収を力で上から捩じ伏せた!?

究極の脳筋かよ…」

 

「これがプロの世界か…」

 

「先生、余韻に浸ってる所悪いですが、ヴィランが逃げますよ?」

 

「何ぃ!?」

 

驚いたオールマイトが見つけた時には、既に半身をワープゲート呑み込まれ、消える直前の死柄木の姿が。

死柄木は顔を引き攣らせながら、オールマイトと帝を睨みつける。

 

「オールマイト…次は殺してやる!

そこの女もだッ!計画を邪魔しやがって、必ず殺して…」

 

「殺す殺す五月蝿えぞ手のオバケ、口だけは達者な小悪党だな。」

 

「ッ!?このヤロ…」

 

挑発的に中指立てて嗤う帝。

激昴する死柄木が何か言う前に、ワープゲートは完全に閉じた。黒霧がこれ以上ボロを出さないように配慮したのだろう、英断である。残るは有象無象のヴィランのみとなり、事態を聞き駆け付けた雄英教師陣の到着も相まって、事態は無事収束していった。

ワープ個性を持つ黒霧によって各地に飛ばされたA組生徒達は、互いに奮闘しヴィランを撃退したのか目立った外傷もなく、制御出来ない自身の個性によって指の骨を折った緑谷とオールマイトはリカバリーガールの居る保健室へ、脳無に叩きのめされ意識不明の重傷を負った相澤、黒霧との戦闘により半身に重度の裂傷を受けた13号は、救急車によって病院へ搬送される運びとなった。

 

警察による現場検証と、残ったヴィラン達の確保が雄英教師陣同伴の元行われている間、A組の生徒は皆USJ入口に集められ、点呼と軽い事情聴取が行われている。

そんな中…

 

「嫌だあぁああああああッ!!」

 

「いいから来なさいっての!」

 

我らが主人公龍征帝は警官5人を引き摺りながら、雄英校舎へと向かうバスに乗ろうとズルズル歩を進めていた。

 

「私は元気です!この通りピンピンしてます!たかが一発殴られたくらいでどうして病院まで行って精密検査なんですかぁ!」

 

「君の場合は殴られた相手が相手なんだよ!オールマイトに匹敵する力を持ったヴィランに殴られてるなんて、普通なら死んでもおかしくないんだぞ!?」

 

「大丈夫!私は頑丈なので!」

 

「痣ひとつも無いのは逆に異常だよ!?早く救護車両に乗るんだ!」

 

「うおおおおぉこの子力強いな!?

誰か!早く増強系の奴連れて来い!」

 

「やだあああ病院嫌い!薬の匂いで鼻がぴりぴりするから行きたくない!」

 

 

 

「「「「子供かッッ!!」」」」

 

 

 

170cm越えの金髪美女が喚きながら警察に引き摺られる姿は正直かなりみっともない。

クラスメイト全員に総ツッコミを受けた帝は、最終的には見かねた耳郎の説得(物理)により渋々病院へ搬送される事になった。因みに翼竜達は耳郎と八百万が帝の精密検査が終えるまで面倒を見る事になり、完全に解放されたのは日が傾いた頃になる。

 

 

 

 

 

 

かくして、USJヴィラン襲撃事件は幕を閉じた。

 

 

 

 

 

 

◇とあるデクside◇

 

 

 

「ごめんなさいオールマイト…僕、何も出来なくて…」

 

「いいんだよ、緑谷少年。

君は咄嗟の機転で蛙吹少女と峰田少年を危機から救った、自己犠牲こそヒーローの本質さ。

情けない話だが、正直私も龍征少女の援護が無いとやばかったからね。」

 

オールマイトと2人、リカバリーガールの下へ送られた僕は保健室で治療を受けた後、オールマイトの友人である塚内警部からクラスメイトや相澤先生の安否を聞いて一安心していた僕は、自分の不甲斐なさを彼に吐露してしまった。

あのヴィラン達との戦い、受け継いだワン・フォー・オールを使いこなせていれば、脳無は倒せないにしても、ワープゲートのヴィランは拘束出来ていたかもしれない。実際の所、かっちゃんが割り込んでなかったら僕は今頃…

 

「本当に君は…自己嫌悪の日本代表かよ!HAHAHA!

でもね、過ぎたことをいつまでも引き摺ってしまうのは良くない事だ。受け止めて、抱えながらでもいい、前を向きなさい。」

 

「…はい。

あの、ところでオールマイト。少しだけ、聞きたいことがあるんですが…」

 

「んん?何だい緑谷少年、なんでも言ってみな。」

 

「オールマイトと戦ったヴィラン…脳無は本当に貴方と同等の力を持っていたんですか?」

 

「…そうだね、実際に殴りあったんだから間違いないよ。奴のパワー、スピードは私と同等だった。

龍征少女の攻撃で片腕を失っていなければ、もっと早くに活動限界を迎えていたかもしれない相手だ。」

 

そう考えてぞっとした。

あの場でオールマイトの活動限界は僕達の命の終わりを意味する、それに加えてヴィランはまだ二人いた。

 

「龍征さん…かっちゃんを助けた時、脳無の動きに対応していました。オールマイト並の速度て動いたヴィランを先読みして代わりに自分が殴られて…」

 

「本当に、彼女には感謝しきれないよ。

あの一瞬、古傷を抉られた激痛に脚が竦んでしまった。No.1ヒーローが聞いて呆れる、生徒1人満足に守れないとは…」

 

「そんな事…

龍征さん、オールマイトと同じパワーで殴られたのに、なんで無傷でいられたんですか?それに彼女は複数の個性を持っているように見えます。」

 

頑丈だからの一言で片付けられる話じゃなかった。彼女の頑強さはそれこそ人外だ。他にも口から火を吹いたり翼竜を操ったり、複数の個性を発動させている。

複数、と聞いて僅かだけどオールマイトの表情が曇った。本当に少しだけ、眉根が動いた程度だったけど。

 

「複数の個性、それについては近々彼女から直接聞こうと思っているよ。

色々誤解も解かないといけないからね…」

 

彼女については私に任せなさい、HAHAHA!

 

そう笑うオールマイトはどこか遠い目をしていた。…誤解?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇手のオバケside◇

 

 

「クソ…クソッ!!

クソクソクソクソ!!話と違うぞ先生!脳無はオールマイトを殺せる戦力じゃなかったのか?餓鬼どころか女ひとり殺せてない!」

 

『そうかい、おかしいなあ。確かにあの脳無はオールマイトの100%の力を参考にして作られた筈なんだが…ドクター?』

 

『儂との共作を疑うのか?間違いなく対オールマイト用に調整した個体じゃよ。

回収出来ていれば原因も分かろうが…』

 

「申し訳ございません、脳無はオールマイトに吹き飛ばされた後見失ってしまい…

正確な位置座標が特定できなければ探す事も…」

 

『まあ、仕方ないさ。

それにしても…オールマイト並の速さの子に、オールマイト用に調整された個体が殴っても傷一つ付かない少女か、とても興味があるねぇ。』

 

『じゃな、どちらもいい素体になりそうじゃ。』

 

「……先生、俺はどうしたらいい?どうやったらあのチート野郎を殺せる…ッ!」

 

『精鋭を集めよう、じっくり時間を掛けて。我々は自由に動けない、だから君の様なシンボルが必要なんだ。

死柄木弔、次こそ君という恐怖を世に知らしめろ…!』




USJ終わり!閉廷!解散!




仕事疲れで何もする気が起きないんじやあ^~

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