関ヶ原円舞   作:紅夜猫

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こんにちは。紅夜猫です。
昨日、活動報告で斉桓伝を書き直すと言った矢先に
これを書いてすみません。
でも、これと平行する形で斉桓伝も書きたいと思いますので
今しばらくお待ち下さい。
ただ、こっちの方が斉桓伝より書きやすいので更新スピードは
こっちが多分早いです。


第1章 転生それから仕官
義に殉じた男


慶長5年(1600)9月15日 美濃・関ヶ原。

今、ここに戦国の世は幕を引こうとしていた。

徳川率いる東軍750,00と西軍92,000が15日の明け方に激突した。

当初、西軍は小西、宇喜多勢の活躍。そして、地の利によって東軍を圧倒していた。

しかし、戦に勝つまでには至らなかった。理由としては島津義弘率いる島津勢1,500及び

小早川秀秋率いる小早川勢15,000が動かなかった為だ。

小早川は勝つ方に味方するのが見えているが、島津は分からない。佐吉が詰問に向かったが

「島津は手を加えてきた者だけを迎え撃つ。」

としか言わなかったそうだ。ああっ、なんとも惜しかな島津殿。

しかし、それは昼までの話であった。昼過ぎ、戦の大局は動き出した。

なんと、徳川が松尾山山麓に陣を構えし秀秋に銃撃を加えたのだ。

徳川は戦に勝つためには手段を選ばないらしい。全く、これだから八丁味噌ばかり食ってる

高血圧の狸爺は嫌いなんだ……。だが、この銃撃は小心者の秀秋にとっては十分なものだろう。

さて、どうやって7倍以上の兵を防ごうか。城攻めであればまだ、防ぎようがあるが

残念ながらここは関ヶ原。平地である。野戦となると必然的に数の多い方が有利であろう。

一応、小早川が裏切った時の備えとして赤座、朽木、脇坂、小川の4将を配置してあるが

少し心許ない。念のため私も動くとしよう。

 

ー小早川秀秋ー

松尾山山麓の我が陣に徳川殿から催促の鉛弾が飛んできた。

今のは敢えて外したのだろう。恐らく、

西軍を裏切らねば内通していると見なし発砲する。

と言っているに違いない。……どうしよう、私は三成には関白と上方2か国を約束され

徳川殿には美作、備中55万石が約束されている。どちらの条件も良かったが

致し方無い自分の命を優先だ。三成……悪いが私はお前を裏切らせてもらおう。

「稲葉!平岡!今より小早川勢15,000は大谷勢に強襲する!軍を整えろ!」

家老の稲葉、平岡を呼び出し命令した。

 

関ヶ原の戦ここに極まれり。

 

ー大谷吉継ー

「戸田、平塚の2将はいるか?」

私は自身が信頼する2将を呼んだ。

 

「「ここにござます。殿。」」

 

戸田、平塚の二人は気づいたらいた。というより、最初からいた様にしか見えない。

そこを指摘しても仕方ないので用件だけ伝えることにした。

 

「よく、来てくれた。これより我が大谷隊1,800は小早川への備えとする。良いか。」

 

二人は頷いた。昔から変わらない。彼らは正しいと思った事は何も言わずに付いて来てくれる。

そこに、青い顔をした伝令が駆け込んできた。

 

「もっ、申し上げます!小早川勢12,000!裏切りました。」

 

やはり、裏切ったか……。しかし、裏切ったにしては数が少ない。

私は伝令に1つ尋ねた。

 

「小早川勢の中に裏切りに反対したものはいたか?」

 

伝令は驚いた顔をして、固まった。しかし、私の考えが分かったのかすぐさま言った。

 

「松野重元殿が、裏切りに反対し、兵を率いて無断撤退致しました。」

 

松野殿のお蔭で幾ばくか楽になったが劣勢は変わらない。

私は天を仰ぎ、

 

「ご苦労であった。暇を出す。幸せに暮らすがよい。」

 

と伝令に伝えた。しかし彼は

 

「殿、私の幸せは殿の為に働くことです。なので、暇など戴けません。」

 

と言った。ああ、ここにも一人忠臣が居たか。だが、私は死地に忠臣を連れて行きたくなかった。

 

「これから、死地に向かうのだぞ。それでも、私の為に働くと言うのか?」

 

「愚問ですな。死地であろうと、火の中であろうと私の忠義は変わりませぬ。」

 

やはり、彼は忠臣だ。しかも、覚悟を決めている。その様な奴に暇を出すなど無駄か。

ならば、1つ言っておかねばな。

 

「よいか。私の死に様を見たら直ぐに逃げろ。それを私への最後の奉公としてくれ。」

 

伝令……いや、勇者は泣きながら

 

「ならば、私は殿を守り死にましょう。それを持って奉公といたします。」

 

ふむ、やはり私の隊はバカ揃いだな。バカだが、忠義が人一倍強い。

仕方ない、こうなったら死んでも負ける訳にはいかぬな。

 

「伝令……お前の名は?」

 

「はっ、私は島崎でごさいます。」

 

「よしっ、ならば戸田!平塚!島崎!大谷隊の全兵力を集めろ!」

 

「「「承知!!」」」

 

さて、これからだ。いくら、兵力で劣っていても、士気次第で変わる。

それをこれから証明してみせようではないか。

 

四半刻後、私の前に全ての兵が集まった。私は兵士一人一人に告げるように言った。

 

「我々はこれより、死地に向かう!しかし、皆の働き次第では生きて帰ることも出来よう!

皆のもの、生きたいか!それとも死にたいか!」

 

私がそう尋ねると兵たちは皆、口々に生きたいと言った。そうだ、それでよい。

 

「ならば、各々よ。剣を!槍を!弓を取れ!そして、多くの兵を倒せ!

生きたければ、この地を紅く染める修羅となれ!」

 

「「「「「オオオオオオオオ……!!!!!」」」」」

 

今、関ヶ原の地に盲目の鬼才が率いし修羅の声が響く。

 

ー小早川秀秋ー

「松野様が無断撤退致しました!」

 

私は伝令の報告を静かに聞いていた。重元の撤退は痛いが兵数の有利は変わらない。

しかし、なぜだろう。兵はこちらが多いのに恐怖を感じる。重元が残した捨て台詞が重々しく響く。

 

「いらぬ事をすると、痛い目を観ますぞ。」

 

今も重元がいるかのように聞こえてくる。だが、重元が抜けたとはいえ、こちらには大谷勢の7倍近い兵がいる。これだけあれば大谷勢と言えども一溜まりもないはずだ。

 

「総員、大谷勢目掛けて突撃!」

 

私は全軍に号令をかけた。

 

ー大谷吉継ー

小早川勢が我が隊に突撃を仕掛けてきた。先程までの私たちならば雲霞の如く押し寄せる人の波に恐れを成しただろうが、今は違う。あれだけの大軍を見ても獲物が飛び込んでくるようにしか見えない。

 

そう、我らは天下無双の修羅となったのだから。

 

前方より剣戟の音が聞こえる。どうやら、先鋒の戸田勢と小早川勢が交戦を始めたようだ。

焦りはない。我らは愚かな小早川勢に血の雨を降らせる。ただそれだけをすればよい。

 

小早川の軍が潰走して、松尾山に逃げるのがよく、見えた。

取り敢えず、第一波は防げたようだ。しかし、秀秋の青二才は藤堂と組んでまた、攻めてくるだろう。しかし、その時はその時だ。

 

小早川の襲撃から一刻が経っただろうか。島崎が頭から血を流し、矢を突き刺したまま入ってきた。

 

「もっ……申し…上げ…ます。小早…川の備……えとしていた、……4将が寝が…え…り。」

 

島崎の言葉はそこまでだった。しかし、言葉から推測するに4将が裏切り……

まさかっ!我らに攻撃してきたと!?

 

しかし、それまでだった。私の耳には西軍の瓦解する音が響いていた。

 

ー小早川秀秋ー

「秀秋様!赤座、朽木、脇坂、小川の4将が寝返り、大谷勢と交戦中との模様!」

 

「伝令!伝令!藤堂勢、大谷勢と交戦中との模様!」

 

私は床机に座り報告を聞いた。近くに控えていた、稲葉、平岡の両将が口を開く。

 

「殿、今より大谷勢を攻撃すれば容易く撃破出来ますぞ!」

 

「そうです!更には徳川殿の覚えもめでたいものとなります!」

 

どちらも正論なのだが、先程の大谷勢を相手にしなくてはと思うと気が沈む……。

しかし、生き延びる為にはやらなくてはなるまい。致し方無し。

 

「再度、大谷勢へと強襲する!全軍…突撃ぃ!」

 

ようやく、東軍の勝利の足音と未来への栄光が……

 

ー大谷吉継ー

「赤座、朽木、脇坂、小川の4将が寝返り我が隊の側面を突いています!」

 

「東軍・藤堂勢、我が隊に攻撃とのこと!」

 

「小早川勢10,000、我が隊に攻撃とのこと!」

 

私は次々とくる伝令を静かに聞いていた。小早川の裏切り、4将の寝返り。そして、藤堂勢の猛攻。

最悪の事態となった。そこに追い打ちをかけるように伝令がきて、

 

「戸田勝成様、御討死!」

 

「平塚為広様、御討死!」

 

信頼する両将の戦死を伝えた。私は輿の担ぎ手に

 

「ここで、降ろしてくれ。」

 

と言った。担ぎ手達は黙って指示に従った。そして、私は側近の湯浅五助を呼び

 

「よいか、五助。私はここで自害する。決して首を敵に渡すな。」

 

とだけ伝えた。私は着物を諸肌脱ぎにし、

 

「秀秋ぃ!我、この怨み末代まで忘れはしない!お前の血族を3代先まで祟ってやる!」

 

私はこう叫んだ後、腹に脇差しを突き立て供の者に介錯させた。




さて、改めて斉桓伝を差し置いて書いてしまった
関ヶ原円舞いかがでしたでしょうか。
何気に戦国時代は資料が多いので書きやすいです。
この1話目は主人公の吉継とキーパーソンである秀秋の話です。
秀秋は多分吉継が生まれ変わった世界でも高頻度で出てくる予定です。
さて、1話目にして吉継は死にました。2話目でどうするかは決めてません。登場させる人もですが。
でも、なるだけ決まったら早く更新するのでどうかお願いします。
それでは、また次の話で……
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