関ヶ原円舞   作:紅夜猫

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さて、幕間です。

この話は簡単に言うと・・・第一次毛利征伐前後のお話になります。

3人の人物が遠征に当たって自分の隊を率いますがその際に片腕となる人物を探します。

因みに最初は吉継ですが、彼の一の家臣は伝わっていなかったので例の人を投下してみました。


幕間 一の家臣
一の家臣 吉継の場合


暑い……。

 

天正5年(1577)、私は隣国若狭の後瀬山のとある屋敷を訪ねていた。

 

「頼もう!!」

 

門を叩き、大音声で中に告げた。

 

すると、門の脇の小脇門が開き一人の男が顔を出した。

 

「どちら様で……って、また貴方ですか。」

 

中から顔を見せた男は私を見るなり嘆息した。

 

「何度も言ってますよね?私はどこの家にも仕官する気はないと。」

 

「島崎殿、それは嘘であろう?」

 

島崎。と呼ばれた男は少し苦い顔をして門の内側に顔を引っ込めた。

 

(あぁ……今回も失敗か……)

 

今回で島崎邸を訪ねるのは5回目だった。

 

転生したらいの一番に召し抱えようと思っていたが……本人は頑なに仕官を断った。

 

奇妙な事と感じた。あの日、関ヶ原の戦場を走り回って私の指示を伝えて回ったのは紛れもなくあの、島崎だ。

 

この世界の島崎は若狭の一豪族。しかし、転生前の世界では一人の伝令にしか過ぎなかったはずだ。

 

それが何故、豪族の家に生まれ変わっているのだろうか……

 

私が門の前で物思いに耽っていると、門の閂が外されていて……内から島崎が覗いていた。

 

「先程から……何をしているのですか?」

 

熱の籠っていない言葉を掛けられた上に、冷たい目で見られた。

 

もう・・・諦めて死んでいいよね・・・

 

私はその場に手と膝を付いて落ち込んだ。

 

「さっさと入ってください……寒いですし……周囲から興味の籠った目で見られたくもないですし……」

 

島崎に促されるように私は立ち上がり門を潜った。

 

潜った後、門を閉められ閂まで掛けられた。なるほど……警備は確りしているな。

 

相変わらず変な所で感心してしまう。

 

「どうぞ、御上がりください。何も無い家ですがお茶位は出しますので。」

 

「気遣い無用だ……今の私は客人。貴方とは対等な関係に有るのだから。」

 

(ちっ……)

 

舌打ちが聞こえたが聞かなかった事にしよう。

 

「それで……今回はどんな用向きで?」

 

島崎が口を開いた。

 

「勿論、仕官の話だ。」

 

私はいつも通りの答えを述べる。

 

「仕官の話は断る・・・が、5度もこんな土豪の家を訪ねてくれたんだ。仕えるに値するか判断させてもらってもいいよな。」

 

「あぁ、構わないが。」

 

「なら、問おう。お前は私を召し抱えて何をする気だ?」

 

なんとも……平凡な問いが来た。しかし、私は汗が止まらなかった。

 

機会は一度きり。

 

ここで相手の満足のいく答えを出来なければ島崎を失うことになる。

 

私は深呼吸をして伝えた。

 

「私は大名になる。そして、お前には自分の領分で出来ることを行ってもらい大谷家を発展させる助けをしてもらう。」

 

私はこう告げて……相手の顔を見た。

 

島崎の顔は鳩が豆鉄砲を食らったように驚いていた。

 

そして、冷静さを取り戻した島崎が口を開こうとすると

 

「クックッ……面白いですね」

 

すると、縁側より声を殺した笑い声がし、一人の青年が表れた。

 

「父上、返答はよろしいのですか?」

 

青年は表れるなり、島崎に返答を促した。

 

「はぁ……お前と言うやつは……

 

大谷……殿でしたかな。貴方の答えは私に仕官を持ちかけたどの人間とも異なり面白いものでした。

 

しかし、この島崎 貴治めは仕官を断り続けてしまい歳を取ってしまいました。

 

貴方とあと8年早く会えたら戦場で大暴れ出来たと思うと悔しい限りでございます。

 

私への仕官のお話はお断りいたしますが……倅の忠直めを召し抱えて戴けたら幸いかと存じます。」

 

「島崎殿……いえ、貴治殿はまだ十分に若いではありませんか……」

 

「ハッハッハッ……私めはもう50近い爺ですぞ?」

 

「なっ!?」

 

私は驚きを隠せなかった。目の前の若々しく見える人が50近いだって?

 

冗談も程ほどにしてほしいと思った。

 

しかし、貴治殿の目を見て冗談だとは思えなくなった。

 

「本当は……ここで暗殺して……仕官の話をキッパリと潰そうと思っておりました。」

 

突然、さらりと物騒な事を言う貴治翁。

 

「笑えませんね……」

 

私も引き笑いで応じた。

 

「ところで……大谷殿。兵は集まりそうですかな?」

 

「どういうことでしょうか?」

 

貴治翁がこれまた突然切り出してきたので不思議に思い聞き返してしまった。

 

「近々、筑前殿が毛利を征伐すると聞きましてな。密かに筑前殿の背後を突こうかと考えていたのですよ。

 

ですが、あなた様と会い、考えが変わりました。

 

そこで、善意からの申し出ですが大谷殿に兵が集まりそうになければこの島崎一門衆200と大飯衆150の計350名を連れていってくれませぬか?」

 

ありがたい申し出だが・・・

 

「大谷殿、受けるべきですよ」

 

忠直も勧めてくる。しかし、私はある条件を付けさせてもらった。

 

「貴治殿、ありがたい申し出ですが……1つよろしいでしょうか?」

 

「何ですかな?」

 

貴治翁は微笑み問い返してきた。言うなら今しかない!そう、決意した私は告げた。

 

「貴治殿に大谷隊の軍師をしていただきたい。」

 

貴治翁は相変わらず驚いていたが……突然笑いだした。

 

「ハッハッハッ、分かりました。この老骨、大谷家……いや、大谷殿の為に忠誠を誓いましょう。」

 

「もちろん、私も大谷殿に忠誠を誓っていますよ?」

 

忠直が心配になって口を挟んできたが……子どものようで可愛らしかった。

 

「さて、この島崎貴治・忠直親子。本日より大谷 吉継殿の家臣として忠誠を誓わせていただきます。」

 

「あぁ、頼りにしているぞ!」

 

私はこの時、500石の俸禄から忠直に150石、貴治翁に100石を与え、長浜へ帰還した。

 

この時、私の両隣には後の大谷家の「影の副将」と「軍師育成主任」が居て、大谷隊の中核を為した350名の兵が続いていたのであった。

 

 

 




さて、吉継の一の家臣は島崎親子と為りました。

補足をすると島崎 忠直が関ヶ原の時に伝令を勤めていた人物で……貴治さんは大谷家にはいませんでした。

また、忠直は後に吉継の名を一文字賜って島崎 吉直と名を変える事となります。

また、この後瀬山衆は後に新訳関ヶ原の戦いで大暴・・・ゲフンゲフン・・・

少し、話が過ぎましたね。

さて、次回ですが次回も幕間です。三成さんです。三成さんの荒業召し抱え術の発揮時です。

それではこんな駄文を読んで下さった皆様に感謝して締め括りとさせて頂きます。

それでは次回もお楽しみに待っていてください。
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