俺の親友は前世は男だったけど、今は幼女になった 作:ボルメテウスさん
魅力的なキャラクターは多いけど、少ないなぁと思った結果、暴走してしまった。
それぐらい面白かったので、ぜひ皆様も
ターニャSide
「こいつが神の医者と呼ばれた男か」
その日の任務は神の医者と呼ばれる者を護衛するという任務だった。
この世界において、まさか神が付くような奴がいるとは思わなかったが、噂を聞いている限りでは、本人ではなく周りがその名前を言っているらしい。
この世界ではあり得ない程の技術を持っており、どのような状態の患者も救い出す事ができる医者という事もあり、両国はその医者を取る為に様々な事を行っているらしい。
「まぁそのお医者様のおかげで私も楽をできているのだがな」
今回の任務は数々の激務を耐えてきた事もあり、危険地帯でも護衛できると判断され、私達は目的地に向かっていた。
神の医者の性格は噂で聞く限りだと聖人に近いとされており、彼が通った道でどのような患者に対しても分け隔てなく治療を行っており、金を取るのは裕福な貴族達のみで貧困の者達からは一切金を受け取らないらしい。
まさに絵に書いたような奴で私は笑ってしまう。
「そういえば、あいつはそういう医者を目指していたな」
この世界に転生する前の世界において、私の親友がよく言っていた。
前世で友という存在はなく、いるのは親友のみという人生だったが、奴はよく暇を見つけては手に持っていた漫画の人物を進めていた。
からくりサーカスという漫画で医者が子供を庇うシーンなど、奴はその漫画に出てくる医者に強い憧れを抱いて、勉強をしていた。
そして結果的には、驚く事にテレビでは出ないが、それでも誰もが知る有名な医者となっていた。
そんな風に私のような合理主義ではなく、真っすぐで感情的な奴で、正反対の私達だったが、気の合う親友として、共に過ごした。
「いや、違うな」
今考えると、私は親友に対して、友情を感じていなかった。
別に奴の事が嫌いではない、むしろ好きな部類だ。
そう、好き、つまりは愛していた。
この世界に転生させられて、自身の感情に気づいたが、それはある意味、前世では気づかなくても良かった事であった。
「私はホモではないからな」
「中佐、何を?」
「なんでもない」
そんなくだらない考えなど捨て、今は目標へと向かうだけだ。
まさか、こんな所で親友を思い出すとはな。
「見えました、あの人物です」
報告を受け、見てみると、この時代では珍しい古びたフードを持っており、バッグを片手に歩いている奴がいた。
私達はすぐにその男を囲むと、医者は驚いたように見ていた。
「おほんっ、貴殿が神の医者で合っているか?」
「神の医者?
また、その名前か、別に俺はそんなの名乗った覚えはないがな」
「そうか、だが、私達は貴殿に用があって来たのだ。
すまないが、抵抗せずに、付いてきてくれると、嬉しいのだが」
「別に良いけど、俺はこの先で依頼人を待たせているんだ。
そいつに会ってからでも良いか?」
「心配するな、おそらくは、依頼人までの案内が私達の護衛だ」
「そうなのか?
まぁ良いけど」
それにしても、あっさりとしている。
こういう時には多少動きを見せるが、奴からはそれらは感じない。
何よりも奇妙な事だが、私はこの男を知っているような気がする。
「あぁ、すまないが一つ聞きたい事がある」
「なんだ?」
「貴殿はからくりサーカスを知っているか」
「えっ?」
その言葉を聞き、驚いた顔をしていた。
周りは何を言っているのか驚いている様子だが、もしかして
予想が正しければ、奴が一番に好きなのは
「ジャック・ランタン」
「なんで、それを」
その言葉を聞き、驚いたように目を見開いて、こちらを見つめていた。
まさか、私の予想が当たっただとっ!!
本当に存在Xに対して恨みしかなかったが、ここで少し変わった。
メアリーSide
お兄様は生まれた頃から変わった人物だと言われていた。
家族の中でも一際大人びており、いつも難しい本を読んでいた。
お父様でも読むのに難しい書物の意味を理解しており、将来は有望な医者になると、家族で騒いでいた。
また、お兄様には変わった趣味があった。
お兄様が好きな物は人形だと言い、普通ならば女の子のような人形を思いつくのだけど、お兄様が持っている人形はなんというか不気味だった。
材料は細い木に糸、それに紫色の布に、大きなカボチャ。
それらを組み合わせた人形で、お兄様は「ジャックランタン」と言って、いつも部屋に飾っていた。
なぜ、そんなのが好きなのか分からなかったけど、私にとっては、今ではジャックランタンはお兄様との大事な繋がりだと思える。
お兄様はその後、戦争によって重傷を負った人が街で流れ着いた時、ジャックランタンにいつも仕舞いこんでいたナイフなどを使って、その人の命を助けた。
とても子供とは思えないような冷静な判断と技術でその人の命を繋ぎとめていた。
それ以来、私の目にはジャックランタンは命を救う道具を持つ人形、そしてお兄様は人の命を救う聖人に見えた。
お兄様の噂を聞いたのか、次々と大きな怪我を負った人が担ぎ込まれ、その全ての人を助けた。
数多の奇跡を見ているようでいて、感動していたが、ある日お兄様は旅立たれた。
「この世界にはまだまだ俺程度でも助けを求める人がいる。
その人を助けるのも、俺の使命かもな」
そう言って、お兄様はジャックランタンを置いて、旅に出た。
寂しい思いを紛らすように、私はジャックランタンの手を握り締めながら、お兄様の活躍を聞いた。
世界各地で不可能を可能にしてきたその腕は我が祖国だけではなく、敵である帝国まで尊敬されており、お兄様を狙う者はほとんどいなかった。
武器を使わず、その身だけで成し遂げた偉業は私にとっては誇りであり、寂しい気持ちだった。
幼少期は遊んでくれたお兄様が遠ざかるようで寂しく、素直に喜べなかった。
だけど
「私はいつか、お兄様と肩を並べる程の軍人になりたい。
そして」
そして、また家族で一緒に暮らす。
その為にも
「倒さなければ帝国を。
お兄様を奪った帝国を」
私はそう言いながら、新聞に書かれた文章と写真を睨みながら言う。
そこには
【神の医者婚約!!その相手はラインの悪魔!?】
ヴィーシャSide
「世の中って、どうなるのか分からないんだな」
「えっえぇっと」
現在、私はとある人物と一緒に歩いてるのだが、その人物はその、とても死にそうな目で遠くを見つめていました。
噂で聞いた神の医者と呼ばれる程の人物ですが、どんな人物だと思い、緊張していましたが、聞いてみると私よりも年下で可愛らしい所があります。
ですが、その人物がなぜ死にそうな目になっているのかと言うと
「まさか、ここまでになるとは」
「あはは」
もう苦笑いしか出ませんでした。
あの日、護衛をする事になって来てみると中佐は驚きの目で彼を見つめており、彼も中佐の事を見ていました。
最初は何が起きているのか予想はできませんでしたが、どうやら昔出会った事があったらしく、二人は仲良く話していました。
話の内容は私を含め、全員が分かりませんでしたが、これならば安心と思ったのですが
「まさか、襲われるなんてな」
「まっ、まぁそうですね」
安心した翌日、中佐は彼と性交したと言い、そのまま責任を取るという形になり、とんとん拍子で結婚する事になった。
年齢的には少し無理もあった為、正式には婚約者という事になっているが、帝国は彼の医療技術を独占する為に、この話を利用するつもりです。
戦争中なので、それは仕方ない所もあるのですが
「そっその元気を出してください、お医者様」
「いや、別に俺はお医者様と呼ばれる程の人間じゃないよ」
「えっでは、なんと呼べば」
「あぁそういえば名乗ってなかったな。
ターニャとの話で盛り上がっていて、つい」
そう言い、彼は私に向けて手を伸ばす。
「俺の名前はしろがね・リー」
「しろがね・リーさん。
なるほど、よろしくお願いしますリーさん」