俺の親友は前世は男だったけど、今は幼女になった 作:ボルメテウスさん
これからもよろしくお願いします。
レルゲンside
「また、このような事に!?」
私は今朝届けられたばかりの新聞を見ながら、自身の胃が痛くなるのを感じながら見つめる。
内容は私にとっての悩みの種であるターニャ・デグレチャフが結婚するという内容だった。
普通は少女という事もあり、驚きはするが、それ以上に驚くのは、その結婚相手だ。
彼女の結婚相手はしろがね、私が知る限りでは最も優秀である人物。
敵であるはずの連合出身でありながら、数年前には多くの人々を死に至らしめる病魔の特効薬の開発、我が国でも不可能と言われる程の手術を成功させる。
その偉業の数々はあの戦闘狂とは正反対であり、実際に私もそれによって助けられた事がある。
敵であるはずの私にも手を伸ばしたその姿は安直だが、聖人とも思ってしまった。
そうして、その功績からも考え、英雄と考えられている。
なので、私の中では、この二人はまさに対極の存在であったが、結婚する事になるとは。
「まだだ、彼の為にも、もっと相応しい人物を」
幸い、奴は少女、結婚までには至らない。
だからこそ、今は時間との勝負となる。
ターニャside
「それにしても、まさかお前と結婚する事になるとはな」
そう言いながら、しろがねは不思議そうな顔をしながら、その手に持っているコーヒーを飲みながら驚いている。
「なに、私もいつ死ぬか分からない。
安全な後方勤務を行うには、結婚を行っていれば、女性の身だからこその考え方だ」
「そういえば、お前って、そういう考えをする奴だったな」
その言葉を言いながら、奴は苦笑いをしながら答える。
奴としては、私の性格をよく把握しており、私がこの世界において、生き残る為の手段の一つとして、考えており、何の気兼ねなく話せる相手として選んだ相手だと考えているだろう。
「まぁ実際には違うがな」
奴自身は私が本気で愛していると考えているとは考えておらず、信頼できる相手だと考えて、選んだと考えているんだろう。
実際に友情だと勘違いしていた時期だったら、その可能性があるだけに、笑いは止まらない。
「それにしても、貴様も存在Xと会っていたとはな」
「まぁな、神さんだろ」
奴も私と同じく存在Xと出会ったようだ。
「そういえば、お前は私のように存在Xと呼ばないんだな」
「まぁな。
本人が神と名乗っているんだったら、そう言うと考えている。
それに、あいつらが言うように、神というのは合っていると思うからな」
これは驚いた、まさか奴が存在Xの事を神と考えているとは
「私にとっては皮肉に聞こえるか」
「ターニャは俺が好きな漫画を覚えているだろ」
「あぁからくりサーカスだろ」
アニメになった時の奴の驚く顔は今でも覚えている。
「その中で自動人形達が作り出した奴の名前を」
「フェイスレスか?」
「あぁ自動人形にとってはフェイスレスは神のような存在だろう。
だとしたら」
「あぁ、なるほどな」
その意見を聞き、私は笑みを浮かべる。
なるほど、奴の目からしたら存在Xはフェイスレスという訳か。
キャラクターとしては人気のある奴だが、現実にいたらその存在は邪悪としか言えない奴で倒すべき敵だ。
それを考えれば、神と言うのは
「それならば、合っているな」
私は笑みを浮かべる。
特にフェイスレスのあの笑みは存在Xと同じく、おぞましく、憎むべき敵だと分かる。
やはりしろがねは私の思考をよく分かっており、これ以上にない相棒であり、恋人だ。
この身になって男ではなくなった事が、これ以上感謝する事になるとはな。
「さて、翌日も仕事があるだろう」
「まぁそれは変わりないが、これはやっぱり外せないな」
「当たり前だ。
一応は婚約相手とはいえな」
そう言いながらしろがねの腕には手錠があり、外れない事に少し不満そうな顔をしている。
帝国の判断としては、しろがねを逃さない為に、常に手錠を付け、治療時以外には外さないように指示が出ている。
それは夜の睡眠時にも変わらずだ。
本来の人間ならば、それだけで嫌悪の表情を出すが、奴の精神構造は読んでいたからくりサーカスの影響もあって、常に笑みを浮かべていた。
奴自身も驚くべき事だが、彼が言う所には劣化版才賀 勝らしい。
その才能は高く、一度見た事は大抵覚えられるのもあり、しろがねの医療技術は、確実に世界ではトップレベルだ。
神の医者と呼ばれるだけあるが、しろがね自身はそれをあまり思っていない。
「救えた命だけが、大きく取り上げられているだけで、救えなかった命もあるさ」
もしも存在Xに少しでもしろがねの優しさがあればとは思ったが無駄な話だ。
奴としろがねでは大きな差がある。
「ほら、さっさと寝るぞ、こっちに来い」
「あぁ」
そう言い、奴は私の元へ来て、そのまま寝てしまう。
医者という仕事は帝国に来てからも変わらず、命懸けで救うこともあり、その疲労は私よりも濃い。
その為、寝るのは驚く程に早い。
なので
「お前は本当に気づかないなぁ」
夜に、私がこうやって、奴の身体を動かし、奴の身体を堪能するように抱かれるのを。
生前では味わえなかった、奴の体温を私は味わえる。
「もう、貴様を離すつもりはない」
そう言い、私はゆっくりと瞼を落とし、眠りの世界に入る。