俺の親友は前世は男だったけど、今は幼女になった 作:ボルメテウスさん
内容に関しても変更点は多数ありますが、これからもよろしくお願いします。
また異世界かるてっと編はパスワードを設定させてもらっています。
パスワードは1913924とさせてもらいます。
私と親友の間には友情などなかった
「こいつが神の医者と呼ばれた男か」
その日の任務は神の医者と呼ばれる者を護衛するという任務だった。
この世界において、まさか神が付くような奴がいるとは思わなかったが、噂を聞いている限りでは、本人ではなく周りがその名前を言っているらしい。
この世界ではあり得ない程の技術を持っており、どのような状態の患者も救い出す事ができる医者という事もあり、両国はその医者を取る為に様々な事を行っているらしい。
「まぁそのお医者様のおかげで私も楽をできているのだがな」
今回の任務は数々の激務を耐えてきた事もあり、危険地帯でも護衛できると判断され、私達は目的地に向かっていた。
神の医者の性格は噂で聞く限りだと聖人に近いとされており、彼が通った道でどのような患者に対しても分け隔てなく治療を行っており、金を取るのは裕福な貴族達のみで貧困の者達からは一切金を受け取らないらしい。
まさに絵に書いたような奴で私は笑ってしまう。
「そういえば、あいつはそういう医者を目指していたな」
この世界に転生する前の世界において、私の親友がよく言っていた。
前世で友という存在はなく、いるのは親友のみという人生だったが、奴はよく暇を見つけては手に持っていた漫画の人物を進めていた。
からくりサーカスという漫画で医者が子供を庇うシーンなど、奴はその漫画に出てくる医者に強い憧れを抱いて、勉強をしていた。
そして結果的には、驚く事にテレビでは出ないが、それでも誰もが知る有名な医者となっていた。
そんな風に私のような合理主義ではなく、真っすぐで感情的な奴で、正反対の私達だったが、気の合う親友として、共に過ごした。
「いや、違うな」
今考えると、私は親友に対して、友情を感じていなかった。
別に奴の事が嫌いではない、むしろ好きな部類だ。
そう、好き、つまりは愛していた。
この世界に転生させられて、自身の感情に気づいたが、それはある意味、前世では気づかなくても良かった事であった。
「私はホモではないからな」
「えっとどうか、なさいましたか?」
「なんでもない」
そんなくだらない考えなど捨て、今は目標へと向かうだけだ。
まさか、こんな所で親友を思い出すとはな。
「見えました、あの人物です」
報告を受け、見てみると、この時代では珍しい古びたフードを持っており、バッグを片手に歩いている奴がいた。
私達はすぐにその男を囲むと、医者は驚いたように見ていた。
身長からして、私よりも少しばかり上だと思われる男であり、白髪で眼鏡をかけている所を見ると、前世の自分と似た共通点があって、まるで鏡を見ているような感想だった。
ただ違いがあるとすれば、薄気味悪い事に常に笑顔を絶やさない事だった。
見た目からしたらあまり笑わないタイプに見えたが、まるで皮肉を言っているように笑みを浮かべており、こちらを見下しているようにも感じる。
眼鏡の下には医者の癖に、いや情報を聞く限りだと、ここに来るまでの間とてもではないが人間がこなせるとは思えない程の仕事量なので、それに見合ったとも言うべき目の下には隈ができていた。
「あなたが、神の医者ですか」
「・・・まぁ本名は別にあるけどね。
俺としては自分で名乗っている通り名の方を広げたかったけど」
「自分から偽名を名乗る事を進言するとは、また大それたことを」
「別に本名を名乗っても良いけど、なんというか、その名前で言われる程、俺は大した人間ではないから」
「では、ぜひとも本名を教えて欲しいのですが?」
「まぁ良いけど、アスクレピオス・スー。
親しい人はアスクと呼ばれている」
その名前には聞き覚えがあった。
確かギリシャ神話に出てくる奴の名前で、医学の発展の為に様々な事を行った結果、神によって殺されてしまったという英雄だったはず。
生前は特に思ってはいなかったが、こうして考えてみると彼はある意味私の先輩ともいえる存在で、存在Xに理不尽な理由によって殺された。
社会に貢献してきた結果、存在Xに殺されるとは、もしも本人に会ったらぜひとも一緒に存在Xを殺す計画を立てたいものだ。
「まぁこっちの名前は故郷で呼ばれているから、どうでも良いけど」
「それでは、もう一つの名前を教えてくれませんかね?」
「しろがね、それが俺が名乗りたい名前だ」
「えっ」
その名前を聞いた時、私の中には電撃を打たれたような衝撃が走った。
確か、奴は尊敬していたのはアスクレピオス、そして好きだった漫画は
「しろがねですか、それは一体どのような名前なんですか」
「ここから遠い国の言葉で白い銀と書いてしろがねだ」
「えぇ、そうなんですか、お医者様は様々な事を知っているのですね!!」
「・・・別にそれ程でもないよ。
俺は知っている事だけしか語れないから」
そう言った彼は恥ずかしそうに笑みを浮かべた。
「そう言ってもらえると、嬉しい。
嬉しい出来事があると、やっぱり笑いやすくて、俺も嬉しいから」
「笑顔ですか?」
「あぁ心の病気に勝てるのは案外笑顔だからね。
つらい時や苦しい時に涙が出るかもしれないけど、それ以外の時は笑うべきだと、俺は教えられた」
その最後の一言を聞いて、私は既に埋まりそうになっているパズルのピースを当て嵌めながら、ゆっくりと息を吸いながら、しろがね尋ねる。
「・・・しろがね殿」
「そちらで呼んでくれたか」
「えぇ私としてもあなたの要望に応えたいので。
それで、一つ、聞きたい事がありますがよろしいでしゅうか」
「あぁ構わないよ」
そう言い、あいつは変わらない態度で、私を迎え入れてくれて、ゆっくりと口を開く。
「あなたはジャック・オー・ランターン、ジャコが一番のお気に入りですか」
「っ!!!」
その瞬間、確かにしろがねには動揺が走り、こちらを見つめながら、ゆっくりと近づく。
「お前、まさかっ!!」
しろがねはその事に気づき、眼を見開きながら、ゆっくりとこちらに近づく。
「まさか、こんな再会があるとはな」
「あぁまた会えたな親友」
そう言い、私の手を握った温かさが伝わり同時
(あぁ本当に、お前が欲しくなってしまったよ、しろがね)
これまでにない、どろどろとした感情が、私をあっさりと支配してしまった。
アスクレピオス・スー
本作の主人公。
前世で学んだ医療技術を使い、人々を救っている。
数々の研修もこなしている為、外科、内科もある程度こなせており、医療の知識も豊富な為、1900年代における彼の腕は他の人間から見たら神の偉業ともいえる数々の出来事を起こしている為、世間では『神の医者』と呼ばれている。
そのあまりにも高すぎる技術と本人が誰だろうと関係なく救う姿勢もあってか、戦争中でアスクレピオスに対しての攻撃は全面的に禁止されている。
本人はしろがねという名前で広めたいと考えていたが、なかなか呼ばれない。