EPISODE G
「お金がもうありません」
それは船の金庫番であるビビの一言が始まりだった。
言わずと知れた麦わらの一味の船であり大事な仲間である。
朝日が上がり、今日も一日元気よく過ごすために皆が思い思いに行動を始めていた。
朝食の後片付けに勤しむコック・サンジ。
そんなサンジのお手伝いをしている船医・チョッパー。
己の信じる道のために邁進する剣士・ゾロ。
今後の航海のためにログの確認をしつつ、今までの航海データをまとめる航海士・ナミ。
サニー号及び
その傍らで手伝いをしている狙撃手・ウソップ。
考古学書を読みながらも今後に不安が募る考古学者・ロビオ。
甲板でバイオリンのチューニングをしている音楽家・ブルック。
特等席で遥か先の目標を目指す夢を見ている船長・ルフィ。
そして、一味の生命線ともいえる金庫番、可能性の欠片と言われる王女。
蝶の羽ばたきにより、再び船に乗り込んだビビ。
彼女の仕事である一味の財務状況把握のために大切な大切な金庫を開けた次の瞬間。
サニー号に彼女の悲鳴が木霊したのは。
そして、冒頭に戻るのであった。
「昨日の島で買い込んだ食糧、衣類、サニーの修繕材料、トニー君のお薬、私たち女性の必需品etc...以上を持ちまして金庫の中身が底をつきました」
帳簿をダイニングテーブルに広げ収支報告をするビビの顔はアラバスタの悲劇を思わせるまでに苦痛で歪んでいた。
「なんだと、おいお前ら」
とりあえずお金が無いことは理解できたルフィは全員を見回すように立ち上がった。
「船長として、前々から言おう言おうと思っていたけどな」
それは仲間を攻めなければならないという苦境が故かルフィにしては珍しく苦渋をのぞかせる顔つきだった。
「お前ら、金遣いが荒いんだよ」
その時、船内の音が死んだように聞こえなくなった。
数秒後、”何か”を殴る蹴る音が船内から聞こえてきた。
「「「「「「9割方お前の”食費”だよ」」」」」」
「この2年間で胃のキャパシティーも上がりやがって」
「あたしたちが、どれだけ苦労して切り詰めてるか。あんた、少しは考えなさいよ」
「しゅ、しゅびば、しゅびばしぇん」
クルー全員から怒られ流石にヘコムルフィをしり目に話し合いは続いていた。
「しかし、実際どれだけ持つんだ。とりあえずオレは酒さえあれば1週間は余裕だぜ」
「クッソマリモが。酒は今回そんなに補充してねぇんだよ。手前がバカスカ飲んじまうからな」
「つってもサンジよ、食料は十分にあるんだろ。最悪、釣りをすれば持つんじゃないか」
「でもねウソップ。昨日から”ログ”に変化が見られないの。次の島まで何日かかるかわからないし、あんたたちがつまみ食いするかもしれないし」
「ナミ、オレはそんな事しないぞ。それよりも実は島で買えなかった薬があったから今作ってるんだけど、それも底つきそうだしな」
「トニー君はお医者さんの鏡ね。それよりも私が計算違いしたかもしれないし。みんな、ごめんね」
「ビビが悪いわけじゃないだろ、ここ最近、ウチの一味に収入がなかったことも問題だしな」
「アウ、ロビオの言う通りだぜ。いかに出てく金を抑えても入る”モノ”がなければ減る一方だからな」
「ヨホホホホ、フランキーさんの言う通り、ここいらで何か収入になりそうなモノがないと我々総出で骨と皮になんてこともありそうですね」
「「「「「「「「ま、ブルックは皮がないんだけどね」」」」」」」」」
「皆さん、私のオチ言わないでくださいよ」
そんな危機的状況のはずなのに笑い声が木霊する船の一室。
結局のところクルー全員が船長であるルフィを信じてここまで歩んできた”家族”なのだと認識させられる光景だった。
「あれ、そういえばルフィは」
だからだろうか。そんな船長がこの場にいないことに誰も気が付かなったのは。
ところ変わり船長室にて何かを探すルフィ。
あれでもない、これでもないとせっかくナミが整理してくれた部屋を荒らしまわり目的の物を探していた。
「おっ、あったあった」
ルフィの右手には羅針盤のような物が握られていた。
そしてそれは”黄金”で作られていたのであった。