渡界者が行く(ちょっと再開)   作:完全怠惰宣言

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GW明けたとたんに残業続き。


Luffy of ORIGINS

「そういえば、ルフィって素敵なイヤーカフつけてるわよね」

 

空島を後にした麦わらの一味は現在穏やかな海で錨を下ろし各々が休息をとっていた。

剣士であるゾロは鍛錬の後に相変わらず昼寝をしており、マストの陰で気持ちよさそうに寝ていた。

料理人愛の狩人であるサンジは日課であるミカン畑の警護とナミのお茶くみに勤しんでいる。

新参であるロビオは持ち込んだ考古学書をデッキチェアに座り読みふけり時折空を眺めては何か考え事をしているようであった。

狙撃手ウソップと船医チョッパーは釣りを楽しんでおり、その最中にウソップの嘘を真に受けたチョッパーが海に飛び込もうとする場面があった。

そんないつも通りの一味の中で思い立ったかのようにナミが呟いたのであった。

 

「”コレ”か。コレもオレの大切な宝物だ、だからナミにはやらんぞ」

 

そういって左耳につけている紅い石が煌めくイヤーカフを両手で隠す船長ルフィ。

 

「そうじゃなくて、普段からお洒落しないあんたにしては良いアクセサリーつけてるなって思っただけよ」

「ナミさんの言う通り、洒落っ気の一切ないお前にしては随分と洒落たモンつけてるなって思ってたんだ」

「確かに、船長さんにしては素敵な物をつけているね」

 

サンジとロビオも何気なく気にしていたことを聞くチャンスとばかりにナミの援護に回っている。

 

「なぁルフィ、そいつも”赤髪”から貰ったものなのか」

「そうなのか、ルフィ」

 

船尾で釣りをしていたはずのウソップとチョッパーも気が付けば集まってきていた。

ふとルフィが気配をたどると寝ていたはずのゾロもこちらを見ている。

 

「いや、コレはリヒターが友達の証にってくれたんだ」

 

そういうとルフィは空を見上げた。

あの冒険の日々を思い出すように。

 

ルフィには二人の憧れる存在がいる。

二人とも綺麗な”赤髪”が特徴で、二人とも腕の立つ剣士だった。

一人は彼の根本を作り上げた。

普段は能天気に見えるほど大らかで、自分への無礼や嫌がらせは平気な顔で見過ごすが、自身の友や仲間を傷つける者には強い怒りを露にする。

そんな彼の周りにはいつも笑顔で溢れていた。

幼かったルフィにとってそれは鮮烈な思い出となって心の深いところにあり続けていた。

そんな、憧れの男とした約束。

 

「いつか、その”麦わら帽子(オレの宝物)”をオレに返しに来い」

 

その言葉がきっとルフィにとっての海賊としての原点となったのだろう。

 

もう一人は不思議な存在だった。

大の苦手である祖父が連れてきた彼は村の酒場で周りが酒を飲んでいるのに自分はマキノ特性オレンジジュースを飲んでいた。

そして、周囲の笑い声を嬉しそうに聞き、笑顔を眺め、時折女性に絡まれ、祖父に絡まれ。

それでも楽しそうにしていた。

今でも、ルフィにとって彼らと旅したあの航海は色あせない思い出となっている。

これは、そんな少年”モンキー・D・ルフィ”と”アーベン海賊団”との昔々の物語である。

 

 

「・・・・というわけでルフィ、お前さんには”こいつ等”と一緒にしばらく海に出てもらう」

 

そういって少年の前にて鎖で雁字搦めにされ身動き一つできない初老の男性”モンキー・D・ガープ”が鎖蓑虫にされ転がされていた。

少年にとって畏怖の対象でもある祖父をこのような状態にしてしまった目の前の男を再度見上げる。

まず目につくのは自分の憧れる大海賊”シャンクス”とは系統の違う赤い髪。

シャンクスの真っ赤な髪も綺麗だったが目の前の男の紅い髪も綺麗だった。

そして、彼の長い髪に隠れていた顔を覗き込む。

彼は心底、本当に心底疲れた顔をしていたのであった。

 

ガープ、貴様リヒターにまで迷惑をかけおってこの馬鹿者が。しばらく机から動けると思う出ないぞ

 

そして、そんな彼の目線の先にある祖父を縛り上げた鎖の上に置かれた電伝虫から先ほどから代わる代わる怒声が響いていた。

 

「しかし、センゴクよコレには訳があるんじゃ」

 

傍から見るとかなり情けない姿にも関わらず未だその不遜な態度が崩れないガープ。

リヒターと呼ばれた男性とその後ろにいるクルー全員が頭痛を抑えるように頭を押さえ、リヒターの横にさり気なくたっているマキノはリヒターの頭を撫でていた。

 

『ほう、貴様その”訳”とは3か月ため込んだ書類仕事から逃げ出し、七武海に変わりを任し、あまつさえその七武海のクルーに捕縛されるまで止まれない”訳”だったんだろうな』

 

通信の向こう側にいるであろう男性(センゴクと呼ばれていたがルフィにとって初めて聞く名だった)の声に怒気が混ざっていくのを周囲は感じ取っていた。

 

「だって、ワシのカワイイ孫達に半年も会えてないんじゃもん。だから会いに来たんじゃ」

「「『『アホか、己は!!!!!!!』』」」

 

通信越し、周囲からの息の合ったツッコミに悪びれもしないガープ。

 

「ホロホロホロ、お前のじいさん面白いな」

「本当に、どういう思考回路してればこういう考えに至れるんだ」

「とりあえず、少しは懲りないのかしらガープさん」

 

ルフィの傍に陣取り一緒におやつをしてる少年少女。

ガープを捕縛するのに一役買っていた彼らに誘われてルフィもおやつを食べていた。

 

「そういや、お前ら名前は?」

「・・・まずは自分から名乗れ。礼儀ってもんだろうが」

 

ルフィの右隣に座る白いモコモコ帽子が特徴の少年に言われ自己紹介もしていないことにやっと気が付くルフィ。

ちなみに、この段階で用意されていたおやつの8割がルフィの腹に消えていた。

そして、マキノが怒った時に見せる笑顔で自分を見ていることにもこの時になって初めて気が付いた。

 

「オ、オレはルフィ・・・です。いつかこの海を制覇する男・・・・です」

 

そう言ってマキノのほうを見るルフィ、マキノの笑顔がいつもの笑顔に戻っているのを確認して安堵している。

 

「あたしは、ペローナ。カワイイ物が大好き」

「ローだ、海賊団の船医見習いをしている」

「ロビンよ、ルフィは考古学に興味ない?」

 

モンキー・D・ルフィ彼の”初めて”の航海はこうして幕を開けたのだった。




うちのルフィはアーベン海賊団のせいでちょっとだけお洒落です
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