渡界者が行く(ちょっと再開)   作:完全怠惰宣言

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ただただ暑い。
皆さん、熱中症には気を付けましょう(経験者談)


EPISODE GO

「なぁなぁ、ナミ。“これ”使えるか?」

 

クルー全員で今後の金策に頭を悩ませていた時だった。

いつの間にか姿を消していたルフィが“何”かを握って戻ってきた。

一味の頭脳担当で航海士であるナミに手渡したのは全てが“黄金”で出来た羅針盤だった。

何気なく渡されたナミはその手の重量から“これ”が純金であることを瞬時に見抜いた。

 

「えっ、ちょちょちょちょっとルフィ。“これ”は何なの」

 

動揺のあまり声とてが震えているナミを尻目にそれはもう暢気に御茶を啜り、煎餅をかじる船長ルフィ。

そして、さも当たり前のように爆弾を放り投げるのだった。

 

「あぁ、テゾーロ“さん”の拠点?だったかな、へのゴールデンポースってやつらしいぞ、エターナルポースみたいな奴だって言ってたかな」

 

再び船内から音が消えた。

ただし、ルフィのイッシシシシシという特徴的な笑い声が代わりにこだましていた。

 

「ル、ル、ル、ル、ル、ルフィさん。その“拠点”の名前は解りますか」

 

思わず丁寧語になってしまっているナミだが、クルー全員が同じ心境だった。

 

「おう、たしか“グラン・テゾーロ”って言ってたような気がする」

 

笑って答えるルフィとナミが気絶して椅子ごと後ろに倒れたのは当然の結果のように思えた。

 

「なぁなぁ、ロビオ。“グラン・テゾーロ”て何だ?」

 

一味最年少、知らないことを知ろうとする意欲と知識欲は人一倍高い船医チョッパーは、一味で最も知識を蓄えている考古学者のロビオに質問していた。

 

「そうだな、簡単に言うと”世界中のありとあらゆる娯楽が集まるオモチャ箱のような場所”であり、”世界政府が黙認している無法地帯と言う名の悪徳の集う都市”だろうな」

「?????どういうことだ。世界政府が黙認しているって」

そんなチョッパーの疑問に答えたのは“変態”麦わらの一味の古き善き父フランキーだった。

 

「おぅ、チョッパー。あそこはな“最良の七武海”の旗を掲げる“どんな悪人”だろうと受け入れちまう場所さ。たーだーし、“守るべきルール”を守らないやつらの末路は悲惨だかな」

「へぇー、そうなのか」

「えぇ、私も一度“彼”が主催する海賊島でのフェスに呼んで頂いたことがありますが、遠目から見た彼からは何処と無くルフィさんと同じ気配がしたのを覚えていますよ」

 

ヨホホホホホと特徴的な笑い声をあげながらチョッパー(末っ子)に補足をつけるブルック。

 

「じゃ、ブルックは会ったことあるのか、その“最良の七武海”に」

 

目をキラキラさせながら羨ましそうに声をあげるチョッパー。

その反対に、ブルックはとても残念そうな雰囲気を出していた。

 

「残念ながら、私も直接はお会いすることは出来ませんでした。私もお話ししてみたかったですね、“緋影絶刀”と」

 

ヨホホホホホと笑うブルックと豪快にコーラを飲み干すフランキー、七武海という単語にやな思いでしかないためか顔をしかめているビビ、興味ないとばかりに船首へと走り出したルフィ彼ら以外全員がその単語に絶句し、ナミが気絶しながらも頭痛を押さえる仕草をしたのは仕方がないことだろう。

 

それから数時間後、ナミが復活してからの行動は迅速だった。

ゴールデンポースの示す方角へと自らかじを取り、他のクルーが引くほどの高笑いを上げながらサニー号を爆走させた。

それは、補充したばかりのコーラ全てを使いきったといえば、そのすごさを解っていただけると思う。

そして、ついに麦わらの一味の前に目的の場所が現れたのだった。

 

「おぉおぉいナミ、もしかしてこのバカデッカイ島船がまさか」

 

一流の航海士であるナミの腕を信じていないわけではないがウソップは思わず声を震わせながら彼女へと振り返った。

 

「えぇ、“此処”こそが世界最大のエンターテイメントシティ。世界中のありとあらゆる娯楽が集う場所。私たちの目的地“グラン・テゾーロ”よ」

 

彼らの目の前には光輝き、黄金で彩られた巨大な島船が存在していた。

 

“グラン・テゾーロ”

 

ありとあらゆる娯楽と人間の欲が交錯する黄金の坩堝がそこには輝いていた。

なお、ナミの目がベリーマークになっており、口から漏れる笑い声が「ベーリベリベリベリベリベリベリベリ」となっていることに突っ込む勇気のある者は誰もいなかった。

 

「ホロホロホロホロホロホロ、案外速かったじゃねぇか“ルフィ”」

 

そんな、彼らの目の前に一人の女性が“浮かんでいた”。

 

「うぉーーーーーーーーーーー、メッチャクソカワユイィィィィ。ルフィ誰だこのレディは」

 

興奮のあまり何時もより余計に回転がかかるサンジ。

 

「おぉ、“ペローナ”2年ぶりだなぁ!」

「ホロホロホロホロホロホロ、やっぱりあたしの、そう“あたし(・・・)”の“旦那”の勘はよく当たるな」

 

朗らかに笑う彼女を様々な感情で見上げる麦わらの一味。

 

アーベン海賊団4番船偵察部隊大隊長

 

“クイーン・オブ・ゴースト”

 

“アーベン・P・ペローナ”はそんなことを一切気にすることもなく優雅に空を舞っていた。


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