オレの名前は“ニコ・ロビオ”。
俗に言う“転生者”って奴だ。
死に様も、神様を名乗るオカマとのやり取りもテンプレ的に済ました。
そんなオレの人生は、ロビンが辿る筈だった人生とはかけ離れていた。
生まれは考古学者崩れの海賊が集う海賊島「カヒル」。
其処で一通り知識を貰い、ある程度“歴史の本文”を解読出来るようになったある日、島は海軍の一斉摘発で無くなった。
そして、世界の裏側に逃げ込むが懸賞金を掛けられることなく、賞金稼ぎとして生計を立てていた。
そんな過去を回想している「サラダ食べてONE PIECEの“ロビン”」の外見に成長してしまったオレは、今砂漠のど真ん中にあるカフェで紅茶を飲んでいた。
「それで、貴方の後任は見つかったのかしら“Mr.1”?」
そんなオレの目の前には、一人の女性が立っていた。
そして、それが誰なのかオレには瞬時にわかったのであった。
マンガでもアニメでも何回も見てきた存在なのだから。
「なんの話だったかな、“ミス・ダブルフィンガー”」
そう、オレの大好きな「ONE PIECE」に登場していた女性“ミス・ダブルフィンガー”がそこにいた。
そう答えると彼女は不機嫌そうに頬を膨らましてこちらを見てきた。
その仕種が剰りにも愛らしくて、ついつい笑顔を浮かべてしまった。
「今は、“ポーラ”よ。まったく、貴方が特例でボスのパートナーになるからって後任の「Mr.1」を探すように言われたって話でしょ」
そう、歴史の修正力というべきか、オレは今アラバスタにて
「目星はついている。だが、君を任せるに値するか正直気が進まない」
そう、ポーラに伝えると彼女は驚いた様な顔をしていた。
「あら、あたしの心配をしてくれるのね。でも、私を侮らないで」
「君ならそういうと思ったよ」
お互い軽口を叩けるのは信頼の証、と割り切り残っていた紅茶を煽り飲み干した。
「それじゃ、これで」
「あら、どこにいくのかしら」
ポーラも意地の悪い笑みを浮かべてこちらを見てくる。
「解っていると思うが、いくら”パートナー”といっても教えることは出来ない」
「・・・・そうね、なんせ我が社の社訓は」
「「”秘密”だから」」
”ボス”に指示されていたレインディナーズについたオレは手順に従い地下へと降りていく。
ポーラには言えないがオレは既にボスの正体を知っているのだ。
「クロコダイル氏、急ぎの用事とは何だい。こう見えてもオレは忙しいんだが」
「うるせぇぞ、ニコ・ロビオ」
原作知識ありきで推理と言って彼の正体を知ったことになったあの日以来、クロコダイルとは対等なビジネスパートナーとなっている。
「クソが、あの野郎。あの野郎のせいで計画を大幅に修正しなきゃなんなくなった」
そう言ってクロコダイルが読んでいた報告書の束を投げつけられ目を通していく。
「なぜ、あいつがあんな所にいたかはこの際どうでもいい。だが、この一件でダンスパウダーの製造と密輸ルートを新たに開拓しなきゃならなくなっちまった」
クロコダイルの怒りは相当なものでこちらから見ていても額に血管が浮いているのがよく分かった。
「で、オレを呼んだ理由を聞いていないんだが」
そういうと苛立たし気に舌打ちをし、オレを睨みつけてくる。
「今回の一件で計画を更に後ろ倒ししなければならなくなってしまった。
その上、あの野郎のせいでこの国でのオレの評価が著しく下がってしまった。
これからは、また”英雄”として活動して下地を作らなくてならなくなってしまった」
「そこで、オレは今まで道理使えそうな大臣たちをこちらに寝返らせればいいのかな」
「イヤ、その逆だ。お前にはスカウトマンとしての活動に専念してもらいたい。
とりあえずはエージェントが固まるまではスカウトマンとしての活動を優先させろ」
そう言って葉巻に火を着けて煙を漂わせるクロコダイル。
そして、報告書に付随されていた新聞の一面に掲載された写真に目を奪われた。
そこには、オレという存在のためにこの世に存在しないはずの”女”が存在していた。
「あの糞野郎が、この国の歴史を調査できるように王に取り計らわれやがって」
そこには、コブラ王と固い握手を交わすオレの知らない七武海とその後ろに妖艶な笑みを浮かべる”ニコ・オルビア”と”ニコ・ロビン”親子が立っていたのだった。
「(誰だ、こいつは)」
原作コミック、アニメ、映画何れにも存在しなかった男の存在に恐怖を覚えた。
歴史の修正力によって今まで原作に準じて行動してきても生き延びてこれた。
なのに、今目の前にオレの知らない未知が存在していた。
「くそ、リヒターの野郎巧くやりやがったな。これでアラバスタに隠された古代兵器探しはあいつが先行した形になっちまったな」
クロコダイルの苛立ちに呼応するように、水槽の周囲にいたバナナワニの彷徨が聞こえてくる。
オレは無事にルフィの仲間になれるのだろうか?
宜しくお願いします、令和。