リヒターが”王下七武海”となって十年余りが過ぎた。
当初は懸念されていた「アーベン海賊団」による裏切りもなく、世界は順調に回っていた。
「・・・・・クロコダイルの奴、馬鹿したな」
ここはとある無人島。
崖の上に立てたデッキチェアでリヒターは新聞を読んでいた。
号外としてニュースクーが運んできた内容は「クロコダイルの七武海称号剥奪」のニュースだった。
そして、もう一冊の新聞には世界経済新聞のスクープを凌駕するアラバスタで起きた”真実”が掲載されていた。
「・・・・・・はっ、ついに来たか”ルフィ”」
そこには、かつて短い時間だったがアーベン海賊団と共に過ごした少年が写っていた。
昔の面影を残しながら、一端の船長としての貫禄も見せる彼の顔は記憶よりも大人になっていた。
昔を懐かしみ柄にもなく黄昏ているリヒターが顔を上げると目の前にコウモリが止まっていた。
「伝書バット・・・か」
そこには、「王下七武海の召集令状」を持った伝書バットがいた。
リヒターはこの大海賊時代という流れが大きな音をたてて暴れ狂っているように感じられた。
数日後
『海軍本部よりマリージョアへ“王下七武海”アーベン・D・リヒター様がお見えになりました』
リヒターは海軍本部に来ていた。
それは召集に応じたからである。
「よぅ、リヒター。遠路遥々ご苦労なこって」
そこには、リヒターを優に越える長身の男性がやる気無さげにねころんでいた。
「お前が出迎えとは、随分と気前が良いじゃないか“大将青雉”」
そこには、かつて中将として出会い、今に至るまで良好とも言える関係を築いてきた男がいたのだった。
「“赤犬”の姿が見当たらないが・・・・・」
「あぁ、あいつならこの間お前さんと殺り合った傷が祟って未だベッドの上だよ」
「そうか、ザマミロ」
「そう言うこと関係者の前で言うかね、同意しちゃうけど」
そう言って互いに声に出して大笑いする
「相変わらずじゃの、お前さんら」
「なんだ来てたのか“ジンベエ”」
リヒターの後ろから現れた魚人。
サメというよりは唐獅子や鬼瓦のような顔立ちが特徴だ。
「リヒター、お前さんたまには魚人島にも顔を出さんかい。“姫様”が会いたがっとったぞ」
「“白ひげの旦那”の縄張りに、出身でもない
「オレとしては、サカズキのあの悔しそうな顔が見られるならどうでも良いけどな。リヒター、行く時はオレも絶対連れてけよ」
3人は連れだって会場へと向かっていった。
「お、前にいるの“ミホーク”じゃねえのか」
3人で喋りながら魚人島に行く算段をつけていると3人の前方を歩く一人の男をリヒターが見つけた。
「あぁ~、確かに“鷹の目”だな」
「あ奴が来るとは今回の議題に余程興味があるのだろうの」
「んぅんんんん、声かけるか。おーい、ミホーク」
思いの外声が響いてしまい、驚いているリヒター。
そんな、リヒターの声に反応したのかゆっくりと後ろを振り向くミホーク。
「なんだ、お前たちか。仲良く一緒にという訳ではないのだろうが」
「おぅ、さっきそこで一緒になったんだ」
「珍しいの、お前さんが会合に現れるなんての」
「まぁ、いいんじゃないのよ。さっさと行かないとセンゴクさんがブチギレそうだしな」
立場・思想・信念・人種、様々なものが異なる彼らの歩みは、この時何故か同じ速度、同じ歩幅だった。
「えぇ加減にせいよドフラミンゴ」
4人が会場に近づいたその時、男の怒声が響き渡った。
「あれ、駄犬来てんじゃん」
「あれ~、今朝見た時はとても動けそうになかったんだったんだけどな」
「ここまで来ると執念としか言いようがないの」
「全く、煩わしい男だ」
4人がそれぞれ感想を言い合いながら会議室に続く通路を歩いてきた。
そして、会場が目にはいると想像通りの光景が広がっていた。
「ドフラミンゴ、貴様“
怒りの剰り右腕が赤々しく燃えたぎるマグマと化している男。
「ふっふふ。だったらよ、こんな下らないことさっさと終わりにしちまおうぜ」
対面には会議で使う円卓に腰掛けて不適な笑みを浮かべる細身の男。
その手は操り人形で遊ぶように奇妙に動かされていた。
その手の動きに呼応するかのように彼の目の前では中将2人の切りあいが起こっていた。
ドフラミンゴと呼ばれた男のさらに後ろ、窓枠に座り本を読みふける巨漢の男性”くま”はこの状況にも動じていなかった。
「ドフィ、いい子だからお止め。赤犬もいちいち突っかかるんじゃないよ」
言い争いをする二人に挟まれた形で傍観を決め込んでいた女性が、二人をまるで子供に言い聞かすように話しかけた。
「おつるさん、しかしのぉ」
「ふっふふ、あんたにゃ敵わねえな」
しぶしぶという雰囲気ではあったが二人は矛を収めたようだった。
「全く、この忙しい時に貴様らは何をしているんだ」
上座に位置する席に座る男、海軍元帥「仏」の異名を冠するセンゴクがため息と同時に頭を押さえた。
「ふん、オレだって”興行”が上手くいき過ぎてるもんだからな。暇になっちまったから顔を出しただけだ」
得意気にそして暗に海賊としての仕事が順調であると匂わすドフラミンゴ。
「迷惑な話だ」
「あぁん」
そんなドフラミンゴの発言にセンゴク元帥の右隣に陣取りため息をつく男がいた。
「迷惑な話だと言っているんだ。貴様ら”
「おうおう、”監察官長”殿も言ってくれるじゃないか。”チクリ屋”のトップが偉そうに」
「ゼファー、ドフラミンゴ、せっかく収まった場をかき回すな」
「アヴラロッサの奇跡」による功績も加味され、新設された監察部にて海軍の風紀を取り締まっているゼファー。
巷では「チクリ屋」などと揶揄されることもあるが、その人脈により世界政府全軍に顔が利く彼は表裏に渡り研鑽を続けている。
また、海軍初の大目付に就任した彼はリヒターと世界政府の友好関係に一役買っている。
「つまらぬ、言い争いが聞こえてきたがオレ”達”は来る場所を間違えたのか」
「ワシ”等”を呼びつけておいてこの体たらく、センゴク殿も大変じゃの」
「センゴクさん、この間の赤派海軍が喧嘩売ってきた件の被害見積もり持ってきたんで、後程清算お願いします」
「あぁ~、オレは指示通り迎えに行って遅れただけっすよ」
四者四様の発言に緊迫していた会場の空気が緩んだ気がした。
遅れてきた4人は思い思いの席に座ると静かに会議の始まるのを待っていた。
「イヤイヤ、よく来てくれた。七武海5人も集まるとは私も予想外だったな。
それでは、会議を始めよう。リヒター、見積もりはいつも通り監査部に廻しておいてくれ」
センゴクが腹部を押さえながら話を進めようとする。
すると突然、会場に声が響いた。
「いやはや、ここまで有名な方々が揃われると圧巻ですな」
声に反応し全員が声の発生源へと視線を移す。
「あわよくば、私にもこの会合に参加させていただきたく参上つかまつりました」
そこには、シルクハットを被りステッキを手に持った色白な素肌の男性が立っていた。
その姿は、良く言えばミステリアスであり、悪く言えば不気味である。
「なんじゃい、お前さんは」
「おんやぁ~、お前さんどっかで見たことあるね~」
流石のサカズキも警戒を露にしている。
ボルサリーノはその顔に見覚えがあるのか、記憶を漁っているようだ。
「“鬼保安官”が何故此処にいる、というかよく入り込めたな」
「そうか、貴様が“ラフィット”か」
リヒターの声を聞き、出席していた少将が声を荒げた。
「ラフィットだって」
「おや、私の事をご存知とは恐悦至極」
恭しく一礼するラフィットに対して警戒心を強める海軍側。
一方、七武海のメンバーはと言うと其々がリラックスした態度で行く末を見ていた。
「カミーヤ少将、彼はいったい何者なんだい」
「奴は私の管轄である
カミーヤと呼ばれた少将の発言を聞きより一層警戒心を強める海軍側。
「ふふふ、私の過去等はどうでも宜しいこと。私がこの場に参上いたしましたのは、今回のクロコダイル氏の称号剥奪に伴い皆様が後継者をお探しではないかと思いまして。そこで私から”ある男”を推薦したくこの場に参上させていただきました」
軽快にタップのリズムを刻み、その言葉回しは丁寧であるがそこから漏れ出す不遜な雰囲気はこの男が良からぬことを考えていることは明白であった。
「その男の名は”マーシャル・D・ティーチ”、我々”黒ひげ海賊団”の船長を張る男です」
キャラクターシート
ニコ・オルビア
異名:知識の魔女(ラプラス) 所属:アーベン海賊団 立場:副船長
懸賞金:9200万ベリー
外見モデル:ニコ・オルビア(出典:ONE PIECE)
好きなもの:コーヒー、サンドイッチ 得意料理:無回答
備考
原作に登場しているオルビア本人。
リヒターヒロイン。
オハラの悲劇をリヒターによって乗り越えたことにより娘と同等に依存しかけている。
この世界において先代オペオペの能力者だった旦那の不完全不老手術を受けたため、娘と双子に間違えられてしまう美魔女となった。
旦那を亡くして早10年、次の恋に向けて準備は万全である。
副船長を張れるだけの知識と経験はあるがなぜか家事オンチなため、キッチンへの立入は禁止されている。
なぜかコーヒーだけは淹れるのが上手い。